鰯 雲 9     200句

鰯雲個々一切地上にあり   中村草田男   来し方行方

鱗雲  鰯雲  鯖雲  いわし雲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
空色のビルの硝子の鰯雲 森下康子 201411
路地裏の足じやんけんや鰯雲 江草礼 春燈 201411
親鸞の三帖和讃いわし雲 石橋邦子 春燈 201411
海へ出てほぐれくれゆくいわし雲 豊田都峰 京鹿子 201411
老猫と寝て見てゐたり鰯雲 田中文治 火星 201411
鰯雲誰かが手繰り寄せてをり 楠原幹子 201411
手を振りて明日会ふ別れ鰯雲 林昭太郎 201411
哀しみに果たてのありや鰯雲 栗原`公子 201411
着陸の機影近づく鰯雲 丑久保勲 やぶれ傘 201411
誰もかげばかりに夜のいわし雲 豊田都峰 京鹿子 201411
迎鐘いまおくり鐘鰯雲 内藤静 風土 201411
鰯雲みづうみ渉る山の鐘 小西和子 201412
句歴より病歴長し鰯雲 阪本哲弘 201412
鰯雲なだれて岬の千枚田 兼久ちわき 馬醉木 201412
鰯雲熊野の江戸みち明治みち 小坂優美子 馬醉木 201412
鰯雲尾は大まかに撒かれけり 齋藤晴夫 春燈 201412
鍬の柄に顎乗せ仰ぐ鰯雲 久世孝雄 やぶれ傘 201412
後ろ手に門扉を閉めて鰯雲 國保八江 やぶれ傘 201412
鰯雲玄界灘を網羅せり 秋千晴 201412
鰯雲十歳とある異人墓 寺沢千都子 万象 201412
一病は生有る証いわし雲 密門令子 雨月 201412
鰯雲梢をぐらき欅かな 高橋道子 201412
海を見に降り立つ駅の鰯雲 足立良雄 201412
いわし雲親子揃うてヘルメット 藤田素子 火星 201412
同じ地図似たよなバッグいわし雲 笹村恵美子 201412
青墨に綴る平仮名鰯雲 鈴木石花 風土 201412
鰯雲てんやわんやの港かな 黒澤登美枝 201412
住吉は海の大神鰯雲 古賀しぐれ ホトトギス 201501
鰯雲記念撮影より解かれ 坂場章子 201501
おもんみる神の絵ごころ鰯雲 村上すみ子 201501
父と訪ふ父の母校やいわし雲 浅木ノヱ 春燈 201501
鰯雲潮の色の魚を買ふ 齋藤晴夫 春燈 201501
帰還せぬ翼も混じる鰯雲 柴田佐知子 201501
山小屋の雑魚寝はるかや鰯雲 野畑さゆり 201501
鰯雲おやぢ居るかと書肆覗く 安居正浩 201501
いわし雲赤組白組入場す 田所節子 201501
海神の投網を天へ鰯雲 楠原幹子 201501
父逝きし日も広ごれり鰯雲 石黒興平 末黒野 201501
流れくる江差追分鰯雲 上家正勝 末黒野 201501
赤々と暮れ残りたる鰯雲 蒲田豊彦 雨月 201501
いわし雲はたては砂のごとくなる 小林愛子 万象 201501
胸板のボロロンと鳴る鰯雲 入江節子 ろんど 201501
行進の合図の笛や鰯雲 河村啓花 ろんど 201501
延着を待つ空港の鰯雲 定梶じょう あを 201501
鰯雲時計と消せるボールペン 直江裕子 京鹿子 201501
鰯雲初めての靴ゆったりと 赤座典子 あを 201501
どの顔も幸せばかり鰯雲 葦原葭切 春燈 201502
畑中の一本道や鰯雲 峰幸子 末黒野 201502
此の径の此処に思ひ出いわし雲 鳳蛮華 201502
ふるさとへ帰心頻りや鰯雲 及川照子 末黒野 201502
殉教の地より始まるいわし雲 山本則男 201502
青空を押して広がる鰯雲 小川凉 201502
鰯雲鱗大きくほどけたる 山内碧 201502
こころざしなどと今更いわし雲 河合とき 末黒野 201502
あかね雲ちぎれて千の鰯雲 上家弘子 ろんど 201502
渦を巻く海峡またぐ鰯雲 金田けいし ろんど 201503
鰯雲土偶五体に会ひに行く 古川夏子 201504
鰯雲筑後の祝ぎの過客とも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
鰯雲満天にあり俳句あり 竹下陶子 ホトトギス 201510
だらだらと海へゆく坂いわし雲 大崎紀夫 虻の昼 201510
鰯雲常のひびきの神田川 宮川みね子 風土 201510
鰯雲家族揃ひの背番号 赤座典子 あを 201510
起重機の伸びゆく先や鰯雲 永井惠子 春燈 201511
七十年不戦の空やいわし雲 土屋光男 春燈 201511
切れさうで切れぬ絆や鰯雲 高村令子 風土 201511
鰯雲流るる果ては相模灘 田村すゝむ 風土 201511
艫綱は羽の休み場鰯雲 田村すゝむ 風土 201511
上流に降りたるにごりいわし雲 根橋宏次 やぶれ傘 201511
鰯雲竹で編みたるもの軽く 青谷小枝 やぶれ傘 201511
ひと言をたたむ二の橋いわし雲 山崎靖子 201511
いわし雲天に潮騒あるごとし 河口仁志 201511
罅割れの夜空にあまた鰯雲 田所節子 201511
鰯雲ひとつひとつにある鮮度 篠藤千佳子 201512
野良仕事終へて飴玉鰯雲 久世孝雄 やぶれ傘 201512
月入れて鱗目荒き鰯雲 藤岡紫水 京鹿子 201512
垣間見ゆ巨大なタワー鰯雲 中村三郎 京鹿子 201512
いちにちを未完のままに鰯雲 水野恒彦 201512
大日の臍のあたりの鰯雲 本多俊子 201512
鰯雲こころの波の静かなり 岩月優美子 201512
桃瓦鍾埴瓦や鰯雲 竹中一花 201512
鰯雲大風呂敷の破れたり 中田禎子 201512
間違へて戻る間に消ゆ鰯雲 高橋道子 201512
鰯雲遙かに宇宙ステーション 相良牧人 201512
鰯雲かつて気易きもらひ風呂 相良牧人 201512
手鏡の中にも詰まる鰯雲 宮井知英 201512
表札にのこる母の名鰯雲 野畑さゆり 201512
旅人のうしろ姿や鰯雲 王岩 あを 201511
愛を断つ縁切寺や鰯雲 大日向幸江 あを 201512
おほぞらに風がをきゆく鰯雲 佐藤恭子 あを 201512
鰯雲チベットまでも行けさうな 上原重一 201512
鰯雲海を抑へてひろごりぬ 田中臥石 末黒野 201512
鰯雲ふつふつ湧きし旅ごころ 中春江 末黒野 201512
いわし雲するするすると竹籠が たかはしすなお 201512
鰯雲ふるさとにダム出来るとふ 土井三乙 風土 201512
正面に美保の松原いわし雲 中村洋子 風土 201512
いわし雲こころここにあらずかな 雨宮桂子 風土 201512
手を握るだけの見舞ひや鰯雲 津川かほる 風土 201512
定年のなき生渥や鰯雲 渡会昌広 馬醉木 201601
いわし雲いま魚市の帰りなの 箕輪カオル 201601
捨て切れぬもの括りをり鰯雲 田原陽子 201601
諳んずる掛け算九九や鰯雲 飯田ひでを 201601
暮れ六つの日に染まりけり鰯雲 堺昌子 末黒野 201601
鰯雲夕暮に夫懐かしむ 長崎桂子 あを 201601
クレーンの突き刺している鰯雲 江島照美 201601
鰯雲空に傾斜のありにけり 山下美典 ホトトギス 201602
鰯雲辻に巡査の手信号 森田節子 風土 201602
行く方もいづれ来し方鰯雲 押田裕見子 201602
逢いましょうに見上げるいわし雲 吉原彩 船団 201602
鰯雲一つ一つに乗る夕日 湖東紀子 ホトトギス 201603
空席に座つてゐるのは鰯雲 直江裕子 京鹿子 201603
長雨のようやく上り鰯雲 植木やす子 201603
海砂を握るやふゆる鰯雲 深川淑枝 201605
大川に浸かりたさうな鰯雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
鰯雲豊の越後を見下して 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
摩天楼串刺しにして鰯雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
海に出てまだ已然形鰯雲 伊藤白潮 201609
鰯雲遊行せよとの師の教へ 沼田巴字 京鹿子 201609
鰯雲より頂きし元気かな 稲畑汀子 ホトトギス 201610
割算に生るる永遠鰯雲 今井肖子 ホトトギス 201610
鰯雲黒板に書く先師の句 室井津与主 春燈 201611
鰯雲ピエロは涙かくしけり 宮沢治子 春燈 201611
鰯雲テニスコートの恋いまも 田部井幸枝 201611
乳房あげ仰臥の陶狸鰯雲 藤岡紫水 京鹿子 201611
鰯雲うしろに大魚ひそみゐて 吉田順子 201611
鰯雲こころに赤き起伏あり 水野恒彦 201611
心にも質量ありぬ鰯雲 高橋将夫 201611
ジーンズを叩き洗ひに鰯雲 青谷小枝 やぶれ傘 201611
鰯雲水の流れの果てしなく 今井肖子 ホトトギス 201611
ふるさとへ子らは帰らず鰯雲 横田敬子 201612
しみじみと幻戯の名優鰯雲 齋藤晴夫 春燈 201612
囁かれ頬染めし日の鰯雲 渡辺若菜 春燈 201612
鰯雲村に一つの小学校 渡辺若菜 春燈 201612
農道を通る近道鰯雲 渡辺若菜 春燈 201612
鰯雲リフトに乗つてゆくところ 箕輪カオル 201612
鰯雲母の忌に姉荼毘に付す 田村園子 201612
渋滞のいつしかほぐれ鰯雲 森清堯 末黒野 201612
おつかひの籠高く振り鰯雲 堀田順子 馬醉木 201612
一病のえにしを朋に鰯雲 鈴木漱玉 馬醉木 201612
鰯雲ひとつひとつにある鮮度 大谷昌子 馬醉木 201612
勾玉の曲り具合や鰯雲 杉原ツタ子 201612
草千里呑み込まむとす鰯雲 前田美恵子 201612
一語づつ区切る宣誓鰯雲 能美昌二郎 201612
鰯雲こころ遠くへ行きたがる 多田ユリ子 201612
銀翼の消えゆく先や鰯雲 植木やす子 201701
天網を漏れて勢ふ鰯雲 峰崎成規 201701
鰯雲見上げる度に励まされ 頓所友枝 201701
ふるさとの嶺々より続く鰯雲 矢野百合子 201701
芋坂は鉄路に断たれ鰯雲 服部早苗 201701
鰯雲未来見えなきこと楽し 荒井千佐代 201701
鉄塔の先より広ぐ鰯雲 箕輪カオル 201701
見はるかす嶺の起伏や鰯雲 石原孝人 京鹿子 201701
鰯雲樹海にマヤのピラミッド 竪山道助 風土 201701
対州は石積みの島鰯雲 永淵惠子 201701
鰯雲巨人しづかに過ぎゆけり 水野恒彦 201701
北斎の生まれし町や鰯雲 飛高隆夫 万象 201702
鰯雲唱歌うたひしあの頃に 岡山敦子 京鹿子 201702
湧いて来て鰯雲にはなりきれず 箕輪カオル 201702
鰯雲行きどころなき高層群 栗原京子 201704
廃線の駅のベンチや鰯雲 林徹也 201704
鰯雲布団干したる後の用 中川句寿夫 ここのもん 201705
鰯雲本気で子等を叱りをり 中川句寿夫 ここのもん 201705
鰯雲能登も広しと思ひけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
行く方もいづれ来し方鰯雲 押田裕美子 201706
鈴鳴らし座敷わらし行く鰯雲 甲斐いちびん 船団 201707
昨夜星を食みて太りぬ鰯雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
大空を明け渡したる鰯雲 稲畑汀子 ホトトギス 201709
鰯雲ため息空に消えにけり 横山さくら 春燈 201710
鰯雲淋しくなれば空を見て 野沢しの武 風土 201710
鰯雲崩れ鯖へとなる早さ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
鰯雲うろこ崩さず海に出づ 水谷文謝子 雨月 201711
教会のギターの漏るる鰯雲 鎌田光恵 201711
コンビニに休む神輿や鰯雲 中嶋陽子 風土 201712
鰯雲→10      

2021年10月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。