冬の月 2      197句

喰ものや門売ありく冬の月   里圃  猿蓑

作品
作者
掲載誌
掲載年月
取りつく島なき横顔や冬の月 福島松子 ぐろっけ 200604
熱の子に幾度も触れし冬の月 福島松子 ぐろっけ 200604
山羊のひげ豊かに冬の月昇る 堀木基之 百鳥 200604
異次元にすうとゆけそう冬の月 安部里子 あを 200604
火の島の襞影のぞく冬の月 山元海郎 河鹿 200605
引く波の砂に音あり冬の月 鈴木多枝子 あを 200606
たまさかの手燭の餉なり冬の月 長谷英夫 馬醉木 200612
冬の月約二時間の仮眠かな 中嶋陽子 風土 200612
足音に追はれ追はるる冬の月 篠原普美子 酸漿 200701
釣具屋の竿の列なす冬の月 浜口高子 火星 200702
横向きの蛇口あかるき冬の月 助口弘子 火星 200702
冬の月仰ぎ旅愁の眉開く 小澤克己 遠嶺 200702
「軒の栗通り」を帰る冬の月 森高武 風土 200702
冬の月夫にかはりて般若湯 山田美恵子 火星 200703
電飾の並木のとぎれ冬の月 門伝史会 風土 200703
冬の月家路を急ぐ影美人 明石文子 ぐろっけ 200703
本当はあなたと居たい冬の月 池崎るり子 六花 200704
ふぐりなき身に照り出でし冬の月 竹中一花 200708
島裏にオラショの低し冬の月 芝山喜久子 馬醉木 200802
鳴りひびく訃報の電話冬の月 岡野ひろ子 200802
冬の月こころ野性に戻りゆく 天野きく江 200802
冠省と書きて余白や冬の月 齊藤實 200802
雌猫はやさしく咬まれ冬の月 篠田純子 あを 200802
湯煙りの信濃坂道冬の月 中山静枝 200803
城跡に佇てば真昼の冬の月 前川明子 200803
空中にあそぶ新宿冬の月 片山タケ子 200803
生きてこそ人澄みてこそ冬の月 小澤克己 遠嶺 200803
励ましの言葉降り来る冬の月 阿部昭子 遠嶺 200803
投函の一片の音冬の月 林友次郎 遠嶺 200803
捨つるには惜しき一品冬の月 永田哲心 遠嶺 200803
寒山も拾得も外に冬の月 森竹昭夫 遠嶺 200803
冷静にことはこぶべし冬の月 坂本ひさ子 遠嶺 200803
冬の月塀の瓦の片崩れ 田中みのる 火星 200803
ブランコの鎖静まる冬の月 助口弘子 火星 200803
冬の月白湯のやうなる雅楽かな 関根洋子 風土 200804
黒猫の悠然と鳴く冬の月 神原徳茂 遠嶺 200804
池の面は眠りにつきて冬の月 久世孝雄 やぶれ傘 200805
乙女子の五行の舞や冬の月 府川房江 母の空 200808
振り仰ぐ電光ニュース冬の月 稲見寛子 炎環 200901
冬の月見る息窓をくもらする 中原吟子 雨月 200901
冬の月存分に詠み叱られず 田原陽子 200902
角一つ曲り投函冬の月 鈴木多枝子 あを 200902
根元より木を登りゆく冬の月 東亜未 あを 200902
家々にある物語冬の月 芝宮須磨子 あを 200902
ビル上に風船めける冬の月 筒井八重子 六花 200902
夫と居て言葉はいらぬ冬の月 吉野のぶ子 遠嶺 200903
糸車紡ぐ窓辺の冬の月 田巻和子 遠嶺 200903
拍手して胸熱き帰路冬の月 鈴木石花 風土 200903
冬の月その後の事を知りたしよ 井上信子 200903
細工師の音のつづきぬ冬の月 渡辺数子 火星 200903
海昏れて裸眼に滲む冬の月 竹内弘子 あを 200903
物の影みな際やかに冬の月 藤井美晴 やぶれ傘 200903
京に来て切狂言と冬の月 中島陽華 200904
冬の月背にカクテルはギムレット 高田令子 200904
門送り出づるや冬の月まどか 山形悦子 火星 200904
閉館の門扉の鎖冬の月 小山徳夫 遠嶺 200905
寝起き悪い人の寝息や冬の月 倉持梨恵 200905
縁ある人みな恋し冬の月 松村光典 やぶれ傘 200905
聖堂の影濃き運河冬の月 神原徳茂 遠嶺 200908
大円の山の端に現れ冬の月 大橋敦子 雨月 201001
あおによし奈良には今日も冬の月 常田創 201002
アカペラの黒人霊歌冬の月 棗怜子 春燈 201002
冬の月晩翠翁の旧居まで 岩淵彰 遠嶺 201002
冬の月非常階段下の蒼 北島和奬 風土 201002
いつからか一言がふえ冬の月 上岡理恵 201002
括られし萩の裏より冬の月 山田美恵子 火星 201002
国後は母のふるさと冬の月 川合八重子 酸奬 201002
祈ること只ひとつなり冬の月 渋谷ひろ子 酸奬 201002
娘の恙癒えよと祈る冬の月 細川コマヱ 雨月 201003
段畑を隈無く照らし冬の月 乙坂きみ子 末黒野 201003
顧みて良母たりしや冬の月 木村美智穂 遠嶺 201003
冬の月平山郁夫の星蒼く 中村恭子 201003
忘れ音や天城に細き冬の月 久保久子 春燈 201003
前山の杉の梢を冬の月 松野豊治 酸漿 201003
伸び上る月桂樹まで冬の月 松本周二 201003
冬の月空には他に星ひとつ 天野美登里 やぶれ傘 201004
冬の月さへぎる雲のなかりけり 高柳正幸 やぶれ傘 201004
冬の月巨船は白き壁なせる 竹貫示虹 京鹿子 201012
走るとき鬣となる冬の月 佐藤喜孝 あを 201012
貫木の金具キラリと冬の月 吉成美代子 あを 201101
スカイツリー煙突のやう冬の月 田中藤穂 あを 201101
ハトバスの電飾ツアー冬の月 宮川秀穂 201102
暮れなずむ東きらら冬の月 渡辺安酔 201102
昇るほど池深くなる冬の月 大橋俊彦 201102
半身に棲みつく痛み冬の月 藤原照子 201102
冬の月最終バスの固き椅子 久世孝雄 やぶれ傘 201102
風くれば闇のうごける冬の月 平子公一 馬醉木 201103
眼鏡替へて形定まる冬の月 浅野洋子 春燈 201103
金星に繋がれてゐる冬の月 安居正浩 201103
貴婦人てふ白樺の木や冬の月 岡田史女 末黒野 201103
昼よりも夜空の広し冬の月 松田冨枝 末黒野 201103
我が光に触れてゆきたる冬の月 西村純太 201104
街騒や空の真中に冬の月 渡邉孝彦 やぶれ傘 201104
をちこちの路地にまた出る冬の月 荒木甫 201105
パソコンの迷宮ぬけて冬の月 山本節子 201201
竹林に銀の光や冬の月 石川かおり 201202
晩鐘やまだやはらかき冬の月 堀田順子 馬醉木 201202
火酒重ね憂さはらひけり冬の月 川井素山 かさね 201202
濃紺の雲抜けぽつかり冬の月 福島松子 ぐろっけ 201202
冬の月カードで扉開けにけり 根本ひろ子 火星 201202
冬の月スカダルリヤの石畳 松村光典 やぶれ傘 201202
冬の月武蔵野線を長き貨車 楠原幹子 201203
十分と母言ひにけり冬の月 苑実耶 201203
冬の月丹をまとひつつ蝕に入る 藤原若莱 春燈 201203
冬の月肩をすぼめて急ぎ足 本郷宗祥 かさね 201203
月食後くまなくはれし冬の月 内山タエ 末黒野 201203
ルミナリエ吹き飛ばされし冬の月 水野弘 ぐろっけ 201203
今昔物語こんじゃくの怪しはをんな冬の月 岡本尚子 風土 201204
冬の月鴉つぎつぎ臥龍山 小林登喜枝 万象 201205
大川にその影揺るる冬の月 國保八江 やぶれ傘 201206
母の忌のこの上もなき冬の月 北崎展江 くりから 201209
冬の月見しかと問はれすれ違ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201211
ちりちりと熱き出湯や冬の月 江見悦子 万象 201212
川波のその先々や冬の月 井上信子 201301
祈ること多くなりたる冬の月 コ田千鶴子 馬醉木 201302
冬の月一人独りの家路かな 野坂民子 馬醉木 201302
打ちつける破堤の波や冬の月 佐藤喜仙 かさね 201302
桶仕舞ふ物置に射す冬の月 だいじみどり 201302
海原の静けさ包む冬の月 遠田澄子 馬醉木 201303
森閑と汚染地区あり冬の月 飯田ひでを 201303
遠吠えが遠吠えを呼ぶ冬の月 三村紀子 万象 201303
人形の髪梳きにける冬の月 西村純太 201303
街川の濁りを封じ冬の月 佐瀬晶子 ろんど 201303
それぞれの物差しがあり冬の月 横内かよこ ぐろっけ 201303
弾痕ののこる水筒冬の月 青木朋子 201303
冬の月一すぢの道筑波へと 池田光子 201304
目鼻口少し違って冬の月 陽山道子 おーい雲 201304
裏木戸の鍵落す音冬の月 福島悠紀 ぐろっけ 201304
工場ののこぎり屋根に冬の月 平居澪子 六花 201304
昏睡の窓辺を照らす冬の月 井山幸子 万象 201304
さはやかに老いてゆきたし冬の月 中村月代 末黒野 201304
ようやくに晴れたる夜空冬の月 松村光典 やぶれ傘 201304
冬の月山廬海抜千メートル 武井良平 ホトトギス 201305
ミュージカル跳ねし札幌冬の月 武井良平 ホトトギス 201305
既にして蝕まれゐる冬の月 竹内弘子 あを 201401
右肘に覚えなき傷冬の月 田中藤穂 あを 201401
とどきさうな象形文字の冬の月 沼田桂子 春燈 201402
からすなくこゑのとほのき冬の月 渡邊孝彦 やぶれ傘 201402
野良猫のすごみきかせて冬の月 秋千晴 201402
枝の影露台に黒し冬の月 藤井美晴 やぶれ傘 201402
ひとり佇つ凪の埠頭や冬の月 落合絹代 雨月 201403
銀の砂嘴を縁取る冬の月 佐々木新 春燈 201403
湯の街の裏道冬の月上る 杉浦典子 火星 201403
電飾がそっと掲げる冬の月 太田健嗣 ぐろっけ 201403
カフェラテにハートの浮かぶ冬の月 安居正浩 201403
触れたればきんと鳴るかに冬の月 奥田温子 やぶれ傘 201404
温泉浴みより冬の月光浴みしこと 河野美奇 ホトトギス 201404
ベランダに猫が来てゐる冬の月 藤井美晴 やぶれ傘 201404
こぼれ哭く犬に目覚めし冬の月 藤生不二男 六花 201405
山上にオレンジ色の冬の月 廣瀬将也 璦別冊 201408
漆黒の大黒冬の月明り 塩路隆子 201502
決断にほどよき光り冬の月 甲州千草 201502
国宝展出でて高々冬の月 内藤静 風土 201502
冬の月一休利休の寺照らす 竹中一花 201502
あららぎ を遠見に帰る冬の月 今井充子 201502
引揚げの記憶は深し冬の月 宮崎高根 201502
冬の月一片の雲も寄せつけず 山内洋光 201503
焼売や朱色の街に冬の月 中林晴雄 201503
風に鳴く帆綱の継目冬の月 福永尚子 ろんど 201504
レトロビル昭和モダンの冬の月 江島照美 201504
冬の月船の霧笛の上に出る 後藤立夫 ホトトギス 201505
物なべて眠り安かれ冬の月 宮田豊子 春燈 201602
冬の月大きくまろし子ら帰る 水原春郎 馬醉木 201602
ぶら下がる洗濯物に冬の月 藤井美晴 やぶれ傘 201602
遠く来て三十階の冬の月 遠山のり子 201602
冬の月海を宥めてのぼりけり 大木清美子 201602
水都古河露路くらく冬の月大き 竹内弘子 あを 201602
耳鳴りがするほど冬の月繊し 佐藤喜孝 あを 201602
背筋より突き離したき冬の月 渡部節郎 201603
集荷場まだかまびすし冬の月 柿沼盟子 風土 201603
冬の月長き廊下を折り返す 雨宮桂子 風土 201603
冬の月高台薄く削り出す 中嶋陽子 風土 201603
林泉の闇解き放つ冬の月 谷島弘康 末黒野 201603
煙突は遠くにありて冬の月 坂本徹 201604
ゲルニカのをんなの泪冬の月 宮崎紗伎 春燈 201604
胸中を見すかされたり冬の月 寺田すず江 201604
小鼓の調べの緒の紅冬の月 井上和子 201604
消灯の病室を出で冬の月 吉田きみえ 末黒野 201605
鬼太郎の赤い留金冬の月 田彰子 船団 201612
鬼太郎の屋根から屋根へ冬の月 田彰子 船団 201612
白米を水に眠らせ冬の月 原ゆき 船団 201612
自作人形ここだ眠らせ冬の月 井上正子 童女 201701
家持の海一望に冬の月 荒井千瑳子 201702
神杉の深き眠りや冬の月 池美佐子 201702
死者の書を閉じて瞬く冬の月 水野恒彦 201702
わたくしの心見透かす冬の月 岩月優美子 201702
忘れたる空に大きな冬の月 永峰久比古 馬醉木 201702
詫状をポストに落す冬の月 田村園子 201702
大楠の眞上にありし冬の月 秋川泉 あを 201702
飾り窓にピエロ人形冬の月 中田禎子 201703
魂を取らるる近さ冬の月 山田夏子 雨月 201703
旧意匠復刻列車冬の月 小山陽子 やぶれ傘 201703
冬の月山容ほのと明るくす 湯本正友 やぶれ傘 201703
イルミネーションずつと深くに冬の月 宇都宮敦子 201703
塾の子を拾ひゆくバス冬の月 森田明成 201703
冬の月、影は先生いえピカソ 長沼佐智 船団 201707
冬の月輝やきあれど繊細に 久保晴子 雨月 201801
冬の月 →3      

 

2021年2月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。