冬帽子 4    200句

雪晴れてわが冬帽の蒼さかな    飯田蛇笏

夏帽子 冬帽子  パナマ帽  麦稈帽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬帽は焦茶ですよね翔先生 久染康子 201101
二回目の合鍵作る冬帽子 安部里子 あを 201101
お似合ひよ夫の外出の冬帽子 増田一代 201102
山頭火の採りし拓本冬帽子 阪本哲弘 201102
はやぶさの微粒子受けて冬帽子 栗栖恵通子 201102
冬帽子津山の空の澄みにけり 涼野海音 火星 201102
六地蔵目深に被る冬帽子 陶山泰子 ぐろっけ 201102
髪薄き夫にかぶせる冬帽子 伊藤克子 酸漿 201102
着払ひにて無事戻る冬帽子 金子清孝 ぐろっけ 201102
冬帽子土産物屋に忘れ来し 武田ともこ ぐろっけ 201102
冬帽に一割ほどの男前 石川かおり 201103
旧友を懐しむ子や冬帽子 川崎利子 201103
ぼんぼりの大き男の冬帽子 中川すみ子 201103
冬帽子かぶりしままの一患者 築城百々平 馬醉木 201103
三つ指でつまんで祖父の冬帽子 栗栖恵通子 201103
富士山を観るだけの旅冬帽子 山田暢子 風土 201103
植物園の出口を探す冬帽子 涼野海音 火星 201103
冬帽子面差し変り児から子へ 野沢光代 ぐろっけ 201103
「虞美人草」の歌口遊む冬帽子 川崎利子 201104
冬帽は父針山は母のもの 高橋将夫 201104
遠き嶺の幽かな蒼き冬帽子 水野恒彦 201104
翁にもかなふ冬帽編まれをり 久津見風牛 201104
セピア色の家族写真や冬帽子 豊谷ゆき江 春燈 201104
亡き父と間違はれたる冬帽子 吉村摂護 201104
四股踏んで走り出したる冬帽子 樋口みのぶ 201104
よちよちとうさぎの耳の冬帽子 久世孝雄 やぶれ傘 201104
人混みの冬帽歳月語りをり 黒澤登美枝 201104
冬帽子斜めにかぶり帰郷せり 覚本秀子 ろんど 201104
冬帽子かすめて烏とび去りぬ 鎌倉喜久恵 あを 201104
擦れ違ふ乳母車にも冬帽子 森山のりこ あを 201104
冬帽子昨日は海を見てきたり 山根征子 201105
空元気見抜かれてゐる冬帽子 コ田千鶴子 花の翼 201111
乳母車下りてひよこひよこ冬帽子 上原重一 201201
帰らざる猫と帰らぬ冬帽子 辻美奈子 201201
脇役に存在感の冬帽子 須山登 201201
老くらべせり静かなる冬帽子 井上信子 201202
目深にすさうかけふより冬帽子 石田きよし 201202
明けやらぬ車中うたた寝冬帽子 坂上じゅん かさね 201202
冬帽子脱がねばならぬ人に会ふ 浅野吉弘 201202
見え隠れの富士を固執の冬帽子 足立典子 雨月 201202
会ひたくて目深に被る冬帽子 米澤光子 火星 201202
冬帽子正しくかむり祖父来る 柴田佐知子 201203
お七地蔵を片手拝みに冬帽子 田村すゝむ 風土 201203
老いてまだ未練の有りぬ冬帽子 北村香朗 京鹿子 201203
冬帽子座席に投げてバックギアー 吉井潤 ぐろっけ 201203
傾けてガルボになれぬ冬帽子 岩永はるみ 白雨 201203
晩婚でありしことなど冬帽子 井上信子 201204
地下都市の迷路屈みて冬帽子 史あかり ぐろっけ 201204
冬帽子すぐ使ふやと店主問ふ 小山陽子 やぶれ傘 201206
上京の兄の元気な冬帽子 北崎展江 くりから 201209
折角の福耳隠す冬帽子 近藤ともひろ ろんど 201204
釣竿を寝かせて居りぬ冬帽子 井上信子 201301
禿げ白髪隠して冬帽颯爽と 松嶋一洋 201301
髪切りしうなじを隠す冬帽子 大木清美子 201301
発想の錆つくままに冬帽子 頓所友枝 201302
冬帽子かぶりやさしき顔になる 安居正浩 201302
語り部や昭和遠のく冬帽子 秋葉雅治 201302
卒寿に賜ふ梟皿や冬帽子 南奉栄蓮 風土 201302
携帯は意固地に持たず冬帽子 佐瀬晶子 ろんど 201302
キャバレーのピエロが踊る冬帽子 川井素山 かさね 201302
冬帽のけふは険しき母の貌 五十嵐紀子 201302
空がきれいと独りごちをり冬帽子 田中藤穂 あを 201302
ふかぶかと変身願望冬帽子 早崎泰江 あを 201302
いつの間に母の面立ち冬帽子 神田恵琳 跫音 201303
影長くなるまで浜に冬帽子 岡井マスミ 末黒野 201303
地下を出て遊ぶ風あり冬帽子 池田喜代持 六花 201303
雑木林ふつと抜けでた冬帽子 大豆生田耕一 ろんど 201303
冬帽を乗せてタクシー走り去る 向江醇子 ぐろっけ 201303
予後の身は目深に被る冬帽子 横内かよこ ぐろっけ 201303
捨てきれぬ亡夫の匂ひ冬帽子 山本敏子 ぐろっけ 201303
冬帽子目深にかぶり蚤の市 井手本恭子 201303
冬帽子見知らぬ人に遠会釈 長濱順子 201304
冬帽子目深に銀座四丁目 松嶋一洋 201304
美容院片道だけの冬帽子 村田とくみ ぐろっけ 201304
人はみな沖に眼を向け冬帽子 太田良一 末黒野 201304
耳つけて橅の息吹を冬帽子 熊切修 末黒野 201304
冬帽子昭和の話続きさう 佐瀬晶子 ろんど 201305
テンションを上げばや豹柄冬帽子 篠田純子 あを 201312
人違ひしさう主宰の冬帽子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
冬帽子とれば明眸現はるる 大木清美子 201401
雑踏に見失ひたる冬帽子 竹内弘子 あを 201401
会釈して人違ひなり冬帽子 金山雅江 春燈 201401
天望ランチ日差に温む冬帽子 赤座典子 あを 201401
冬帽子深くかぶりて昼の酔 大和活夫 201402
禿頭を隠す役目も冬帽子 谷口俊郎 201402
坂のぼる親子三人冬帽子 新海英二 春燈 201402
伏す吾を旅に誘うか冬帽子 山根征子 201402
柴垣を割つてをとこの冬帽子 生田作 風土 201402
さよならは片手で上げし冬帽子 森高武 風土 201402
人気者のミッキーマウス冬帽子 増田一代 201402
点滴の夢安らなれ冬帽子 斉藤裕子 あを 201402
ゆふづつと並ぶ弦月冬帽子 小倉純 末黒野 201403
冬帽子頭かくして本音吐く 呂秀文 春燈 201403
佐分利信気取りに被る冬帽子 近藤ともひろ ろんど 201403
よく無くす夫に握らす冬帽子 山口ひろよ 201403
古本屋の主目配り冬帽子 太田健嗣 ぐろっけ 201403
忿怒仏拝む小脇の冬帽子 原田しずえ 万象 201403
髪減りて目探になりぬ冬帽子 松本アイ ぐろっけ 201403
冬帽子ポツダム少尉まだ老いず 藤岡紫水 京鹿子 201403
シベリアの話を今に冬帽子 福島茂 201501
青年の黒づくめてふ洒落冬帽子 黒澤登美枝 201501
編んでやる極彩色の冬帽子 佐藤弘香 ろんど 201502
冬帽子近江は眠り深き国 安居正浩 201502
冬帽子八十路をとこの沽券とな 千田敬 201502
列あればうしろに並ぶ冬帽子 塩野谷慎吾 201502
男来てすいと買ひたる冬帽子 直井たつろ 風土 201502
冬帽子抱へて拝す九品仏 水井千鶴子 風土 201502
ボガードを模して父の冬帽子 岡本尚子 風土 201502
吟行に従いてゆきたる冬帽子 井上静子 201502
玄関のしんしんとあり冬帽子 井上信子 201502
母子地蔵揃ひの赤き冬帽子 赤座典子 あを 201502
涌水に鍔かたむける冬帽子 笹村政子 六花 201503
ああみんな若者なのだ冬帽子 野村冬魚 京鹿子 201503
鍵をして深々被る冬帽子 野村冬魚 京鹿子 201503
冬帽子うしろ姿に見覚えが たかはしすなお 201503
軽やかな自転車彼の冬帽子 笹村惠美子 201503
回廊に予約の板木冬帽子 辻水音 201503
冬帽子歩き疲れてよく喋る 箕輪カオル 201503
横顔の愁ひをふくむ冬帽子 谷島弘康 末黒野 201503
旅盛んなりし彼の日の冬帽子 河本功 201503
街頭に浮きつ沈みつ冬帽子 円城寺清 201503
冬帽子八十路美男は衰へず 高橋泰子 201503
冬帽子ジヨークを軽く使ひ分け 中村三郎 京鹿子 201504
過ぎて覗く「乱歩」てふ茶舗冬帽子 半田稜 ろんど 201504
冬帽子ひと日一キロ歩くなり 能勢栄子 201504
冬帽子お尋ね者になりにけり 谷口一献 六花 201504
褒められてかぶり直して冬帽子 浦川哲子 201504
鳥羽に来てやうやくなじむ冬帽子 伊藤白潮 201512
頂上に坐す地蔵尊冬帽子 井上石動 あを 201601
野佛に会釈して行く冬帽子 平野暁美 馬醉木 201602
産土や三界霊の冬帽子 杉原ツタ子 201602
隠し持つつむじが二つ冬帽子 千田百里 201603
誉めらるることを覚えて冬帽子 吉田政江 201603
鬢の霜少しのぞかせ冬帽子 川崎良平 雨月 201603
鳩居堂出て香移りの冬帽子 中田みなみ 201603
いくたりも見送つて来し冬帽子 戸栗末廣 201603
会釈して名の浮かびけり冬帽子 野畑さゆり 201603
駈けて来て散華を受くる冬帽子 小林共代 風土 201603
冬帽子目深に降りる海の駅 中嶋陽子 風土 201603
金色のシュシュと青空冬帽子 つじあきこ 201603
冬帽子似合ってをりぬ猫駅長 大日向幸江 あを 201603
すつぽりと被つて軽き冬帽子 赤羽陽子 春燈 201604
冬帽子句帳に余白かなりあり 中田みなみ 201604
同い年位の男冬帽子 中川句寿夫 あを 201604
古書漁る神田の町の冬帽子 足立良雄 201604
老いてゆくことには慣れず冬帽子 七種年男 輪中の空 201612
冬帽子虹には古き彩の無し 中野あぐり 春燈 201701
老いてゆくことには慣れず冬帽子 七種年男 201701
妃殿下の墓前に傅く冬帽子 大日向幸江 あを 201701
人がらの少しはみ出し冬帽子 須山登 201702
陵の前に脱ぎ置く冬帽子 前田美恵子 201702
行交へる留学生の冬帽子 佐藤まさ子 春燈 201702
わが気概のみを恃みに冬帽子 山口ひろよ 201703
人込みに冬帽子の青目印に 紅露恵子 万象 201703
すっぽりと耳を隠して冬帽子 岡淑子 雨月 201703
冬帽子抱つこされればご機嫌に 小山陽子 やぶれ傘 201703
冬帽子相好くずす立話 柳田美代子 やぶれ傘 201703
目が逢ひて響くものあり冬帽子 田原陽子 201703
あったかさう誰が失くせし冬帽子 定梶じょう あを 201703
母親似目尻きりりと冬帽子 田中藤穂 あを 201703
向かう気を出せば飛ばさる冬帽子 相良牧人 201704
立ち読みの出来ぬ花眼や冬帽子 宮崎高根 201704
ふり向かぬ子を見送りぬ冬帽子 中島昌子 201704
乗り出して走者励ます冬帽子 鈴木庸子 風土 201704
手術せずにすみたる冬の帽子かな 中川句寿夫 ここのもん 201705
焼きたてのパン買ひにゆく冬帽子 宮川みね子 風土 201706
どこへも行かぬ先生の冬帽子 浅田光代 風土 201712
植木屋の似たもの夫婦冬帽子 植田桂子 馬醉木 201801
冬帽子柩に納む波音も 鶴岡紀代 春燈 201802
一徹の気慨やいづこ冬帽子 藤岡紫水 京鹿子 201802
天辺に立てば飛ばされ冬帽子 高橋将夫 201802
色違いの冬帽子して双子かな 林田麻裕 201803
小さい頭に小さいピンクの冬帽子 林田麻裕 201803
ハイヒールの音蹤いて来る冬帽子 塩貝朱千 京鹿子 201803
追はるごと街騒を出る冬帽子 藤岡紫水 京鹿子 201803
振り向かばふりむいてゐる冬帽子 笹村政子 六花 201803
冬帽子切手の不足分を貼り 安藤久美子 やぶれ傘 201803
旅に出るラシャの密なる冬帽子 深川淑枝 201803
天恵といふ日だまりや冬帽子 稲垣佳子 末黒野 201804
さりげなく居酒屋に入る冬帽子 志藤章 末黒野 201804
築地塀道行く人の冬帽子 亀岡睦子 やぶれ傘 201804
冬帽子目深に今日を背負ひけり 久保夢女 201805
礼拝の小脇にはさむ冬帽子 土江比蕗 春燈 201805
褒められて脱げなくなりし冬帽子 矢野百合子 201806
冬帽子被り直して別れたり 小原芙美子 風土 201811
冬帽子目まで被りておんぶの子 中谷未知 末黒野 201902
冬帽子攫ふや能登の荒しぶき 岡本尚子 風土 201902
グレーヘアに選ぶまつ赤な冬帽子 岡本尚子 風土 201902
器先生蕎麦屋に脱がぬ冬帽子 奥田茶々 風土 201902
冬帽子思慮深くなんて無理ムリ 波戸辺のばら 201903
観覧車より富士さがす冬帽子 堺昌子 末黒野 201904
もだ深くはらから来る冬帽子 東木洋子 春燈 201904
冬帽子昭和は古びゆくばかり 亀井福恵 京鹿子 201904
冬帽子脱げば母似と言はれけり 志方章子 六花 201904
白髪のちらりと見ゆる冬帽子 今野明子 末黒野 201905
紅を濃く眉を際立て冬帽子 武田ナオミ 末黒野 201905
二番目に生まれて老いて冬帽子 西住三惠子 201906
比叡より比良をながめる冬帽子 中原幸子 船団 201906
冬帽子居眠るやうに覚めてをり 田丸千種 ホトトギス 201906
人違ひされて会釈の冬帽子 山田暢子 風土 202001
冬帽子 →5      

 

2021年12月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。