蕗の薹 6       200句

蕗の薹まだ如月の頭上かな   和田魚里

蕗の薹  蕗のたう    蕗味噌

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蕗の薹百間川の土手に摘む 品川鈴子 ぐろっけ 201302
約束をせしごと庭に蕗の薹 杉本綾 201304
蕗の薹売る里人の話好き 和田紀夫 201304
踏みさうな蕗の薹より摘みはじむ 窪田粧子 馬醉木 201304
魂を愚直に生きん蕗の薹 大島翠木 201304
世辞下手は父の遺伝子蕗の薹 吉田宏之 201305
ほのぼのと比叡山麓蕗の薹 長濱順子 201305
人通すだけの踏切蕗の薹 小林のり人 春燈 201305
天丼のすみへ顔出す蕗の薹 菅野雅生 ろんど 201305
癒えぬことある哀しみや蕗の薹 黒澤登美枝 201305
蕗の薹傾り隈なく日を満たし 安斎久英 末黒野 201305
蕗の薹潤ひ初めし大地割り 足立典子 雨月 201305
金環をなせる水沫や蕗の薹 来海雅子 201306
顔一つ出して誘ふ蕗の薹 佐瀬晶子 ろんど 201306
谷筋の風の素通り蕗の薹 森清堯 末黒野 201306
山すその落葉より生れ蕗の薹 有賀鈴乃 末黒野 201306
取ることもなく薹の立ち蕗の薹 嵐弥生 末黒野 201306
蕗の薹色の鮮らの祝の膳 堀田恵美子 雨月 201306
蕗の薹萌黄襲の雌花かな 塩見英子 雨月 201306
蕗の薹たけのこ山椒食ふべけり 松村光典 やぶれ傘 201306
蕗の薹少し刻んでスパゲティ 須賀敏子 あを 201306
蕗の薹無人売り場に積まれけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201403
断りもなく隣より蕗の薹 小川玉泉 末黒野 201404
蕗の薹見つけてそろりと足を出す 松本秀子 201404
子規庵の庭に長けたる蕗の薹 坂根宏子 野山の道 201404
日と土の匂ひ新たや蕗の薹 塩路五郎 201404
結界も津波防げず蕗の薹 高橋将夫 201405
嗜まぬ汝の手土産の蕗の薹 鎌田篤 雨月 201405
篠刈りし径に日当たり蕗の薹 白石正躬 やぶれ傘 201405
蕗の薹近江の山気包み込み 安部和子 雨月 201405
蕗の薹むらさき被りまだ小さし 稲岡長 ホトトギス 201405
剥落止めに微力ながらも蕗の薹 田中貞雄 ろんど 201405
初採りは竈の神に蕗の薹 原田しずえ 万象 201406
菩提寺や土押し上げて蕗の薹 堺昌子 末黒野 201406
蕗の薹土持ちあげて叔母送る 坪内キヨ子 201406
蕗の薹錦市場の賑はひに 三川美代子 201406
蕗の薹旧知は淡し芳しき すずき巴里 ろんど 201406
膝つきし土手にぬくみや蕗の薹 後藤桂子 万象 201406
山窪の日向の匂ひ蕗の薹 川崎よしみ 201406
遠き日をおもひ出させて蕗の薹 中山純子 万象 201406
泥付きや夫の摘みたる蕗の薹 長田厚子 末黒野 201406
蕗の薹子孝行など知りませぬ 田岡千章 201407
蕗の薹香り閉ぢ込め天ぷらに 岡山敦子 京鹿子 201407
蕗の薹いつもの土手に主を待つ 藤波松山 京鹿子 201407
バックする車輪免る蕗の薹 今井充子 201407
欲しいだけ摘んでゆきなと蕗の薹 岡野ひろ子 201405
眩しさは雪を脱ぎたる蕗の薹 田中佐知子 風土 201411
蕗の薹に逢ふ少年の大きな耳 堀内一郎 堀内一郎集 201412
蕗の薹少し地球を膨らませ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
明るさを拡げ行くとき蕗の薹 稲畑汀子 ホトトギス 201502
土ほろと脱ぎたる清さ蕗の薹 布川直幸 201502
蕗の薹濡れたるままに届きけり コ田千鶴子 馬醉木 201503
辛抱を強ひられ易き蕗の薹 田中貞雄 ろんど 201503
蕗の薹夜雨に濡るる顔見せて 西田史郎 201504
もたげたる色鮮やかの蕗の薹 中原敏雄 雨月 201504
蕗の薹食せしことを日記にも 中原敏雄 雨月 201504
分譲の立札の丘蕗の薹 菅野日出子 末黒野 201505
ついでにと蕗の薹まで案内さる 野上杳 201505
荷を背負ふ歩荷は山へ蕗の薹 中島陽華 201505
蕗の薹見つけてよりの道草に 村上悦子 雨月 201505
人の世の苦楽に限り蕗の薹 中村三郎 京鹿子 201505
蕗の薹のてんぷら供ふ忌日なり 近藤紀子 201506
摘み時を逃して庭の蕗の薹 金森教子 雨月 201506
山畑へ行き来の土手の蕗の薹 武政礼子 雨月 201506
墓のみとなりし故郷蕗の薹 牧田澄子 雨月 201506
蕗の薹猫の高声広がりて 岡山敦子 京鹿子 201506
蕗の薹馬頭に傾ぐ仏かな 高島正比古 京鹿子 201506
割れかかる板碑の庭に蕗の薹 神田美千留 京鹿子 201506
存へて今年の蕗の薹摘めり 原田しずえ 万象 201506
蕗の薹川の向かうに手の会釈 本間羊山 風土 201506
蕗の薹雪のゑくぼに影ごぼし 飛田典子 末黒野 201506
故郷に山の神在す蕗の薹 本間せつ子 末黒野 201506
土手伝ひ一番乗りや蕗の薹 藤波松山 京鹿子 201507
蕗の薹二日眺めて摘みにけり 宮本加津代 万象 201507
水ぐるまひかりやまずよ蕗の薹 木下夕爾 春燈 201508
蕗の薹闌けて乱舞す荒れ庭で 渡辺節子 201508
蕗の薹川音早も奏で初め 窪田粧子 馬醉木 201603
思へらく賽の河原の蕗の薹 竹内弘子 あを 201603
故郷はとうに捨てたり蕗の薹 森岡正作 201604
蕗の薹油の中で弾けけり 大木清美子 201604
湧水に雄水雌水や蕗の薹 高橋道子 201604
相変はらず政治と金か蕗の薹 中江月鈴子 201604
咲くやうに揚げられてをり蕗の薹 大川ゆかり 201605
蕗の薹川を引き入る屋敷内 小林共代 風土 201605
洟垂れの頃の盟友蕗の薹 松崎雨休 風土 201605
コップ酒からりと揚る蕗の薹 田原陽子 201605
六尺の虚子句碑囲み蕗の薹 松本三千夫 末黒野 201605
水音に蕾ほぐるる蕗の薹 安斎久英 末黒野 201605
先づ妣に供ふ初摘み蕗の薹 久保田優子 末黒野 201605
里山の裾にはぢらふ蕗の薹 古川幸子 春燈 201605
無縁墓ふゆる一隅蕗の薹 本多正子 雨月 201605
蕗の薹梵妻となり知る調理 本多正子 雨月 201605
病む人へ朝日はとどく蕗の薹 森俊人 201606
書き出しの長き空白蕗の薹 高木晶子 京鹿子 201606
鉢植ゑの蕗の薹摘む夕べかな 志方章子 六花 201606
薬膳のはしに添へられ蕗の薹 菊池洋子 やぶれ傘 201606
どろんこの指先匂ふ蕗の薹 萩原渓人 やぶれ傘 201606
蕗の薹パラボラめきて日を集め 岡野里子 末黒野 201606
蕗の薹からりと揚げて誕生日 原田しずえ 万象 201606
天空へ羽搏いてゐる蕗の薹 竹下陶子 ホトトギス 201607
二三滴雨を溜めをり蕗の薹 成田美代 201607
蕗の薹見つけしことにまたありし 島田一歩 ホトトギス 201608
抜け道の近くて遠い蕗の薹 津波古江津 船団 201701
蕗の薹蝦夷の大地の目覚かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
蕗の薹地上の恋を覗くかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
頭角を現せし後の蕗の薹 金子野生 京鹿子 201704
大地乾きぬ蕗の薹太らせつ 辻美奈子 201704
蕗の薹昨夜の雪のまだ残り 野沢しの武 風土 201704
蕗の薹次の偶数まで探す 高橋まき子 風土 201705
やはらかき雨にほぐれて蕗の薹 大石喜美子 雨月 201705
噴煙をはろかに望み蕗の薹 稲岡みち子 雨月 201705
日溜りのややに先駆け蕗の薹 宮本俊子 雨月 201705
蕗の薹香に顔そむけマルチーズ 大日向幸江 あを 201703
日本海蕗の薹ある道つづく 田中藤穂 あを 201704
三度三度の食事のはなし蕗の薹 齋藤厚子 201705
芭蕉庵小笹の丈の蕗の薹 原田しずえ 万象 201705
子育てに正解はなし蕗の薹 吉川隆 春燈 201705
小流れの水音かろし蕗の薹 荒井ハルエ 春燈 201705
なだらかにひらく野面や蕗の薹 岡田史女 末黒野 201705
旅土産届けに両手蕗の薹 平澤侃 末黒野 201705
うひうひしそのさみどりの蕗の薹 溝内健乃 雨月 201706
蕗の薹器にひとつ活けおけり 溝内健乃 雨月 201706
蕗の薹幼子の手に香があふれ 秋川泉 あを 201705
円墳の裾に長けたり蕗の薹 斉藤マキ子 末黒野 201706
故郷に蕗の薹摘む父母はなし 志方章子 六花 201706
土くれの名残止めて蕗の薹 小林はじめ 六花 201706
蕗の薹夜半の雨の置きしとも 平野多聞 201706
天盛や本日よりと蕗の薹 石黒興平 末黒野 201707
蕗の薹翻訳すればお袋さん 平佐和子 京鹿子 201707
蕗の薹ひとつの春を賜りし 今井千鶴子 ホトトギス 201707
子規の庭両手に余る蕗の薹 佐藤やすこ 風土 201706
蕗の薹揚げて大地の歌を聴く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
白銀を割り飛び出せる蕗の薹 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
蕗の薹巣立つ子供の眩しかる 岩田洋子 201804
日だまりに瀬音のゆるぶ蕗の薹 市村明代 馬醉木 201804
水神の伏見にありて蕗の薹 田中美恵子 201805
蕗の薹そのさみどりを夢と言ふ 久保夢女 201805
山の日を集めて蕗の薹二つ 上辻蒼人 風土 201805
お社の裏の日溜り蕗の薹 廣瀬雅男 やぶれ傘 201805
乾びたる畑のはしの蕗の薹 白石正躬 やぶれ傘 201805
瑞々しき色に添ふ香よ蕗の薹 大橋晄 雨月 201806
根の力持ちて噴き出す蕗の薹 水谷保子 雨月 201806
朝市の蕗の薹談義弾みたり 水谷保子 雨月 201806
城崖を夢の根城に蕗の薹 高村令子 風土 201806
蕗の薹おや指姫の生まれけり 住田千代子 六花 201807
まつたうに生きほろにがき蕗の薹 岸洋子 201807
してもらふことに慣れずよ蕗の薹 岸洋子 201808
ちんまりと棚田の里の蕗の薹 落合由季女 雨月 201811
雪掘つて火の匂ひなす蕗の薹 神蔵器 風土 201901
前略やポンと産まれた蕗の薹 菊池和子 京鹿子 201901
蕗の薹記憶の切れ端ほろ苦く 仁上博恵 201902
厨房に里山連れて蕗の薹 楠本和弘 201902
摘むよりもまだ掘るといふ蕗の薹 片山喜久子 雨月 201903
ささやかな背戸にふくよか蕗の薹 渡邉清央 春燈 201904
しばらくは覗かれてをり蕗の薹 川高郷之助 201904
蕗の薹子牛に角の生え始め 大霜朔朗 末黒野 201904
蕗の薹の香の満つ厨妣の声 荒井貞子 末黒野 201904
万歩計二万三千蕗の薹 須賀敏子 あを 201904
人の世の苦さ甘さや蕗の薹 コ田千鶴子 馬醉木 201905
幼くてむらさき濃ゆき蕗の薹 永井惠子 春燈 201905
佳き年の始まる予感蕗の薹 池田葉子 春燈 201905
蕗の薹他郷これより終の地か 赤石梨花 風土 201905
まぶしさの畦となりけり蕗の薹 片桐紀美子 風土 201905
蕗の薹廃線近き定期バス 西村白杼 京鹿子 201905
芯に満つふる里ごころ蕗の薹 菊池和子 京鹿子 201905
ほつほつと大地の鼓動蕗の薹 黒滝志麻子 末黒野 201905
測量の糸の張られて蕗の薹 岡田史女 末黒野 201905
悲なき日よほろ苦き蕗の薹 森川淑子 201905
二上山の日和みはらす蕗の薹 溝内健乃 雨月 201905
蕗の薹に取り囲まれし農家かな 駒井でる太 馬醉木 201906
蕗の薹総ぶる義民の生家跡 木村あさ子 201906
蕗の薹現在位置は昭和なり 高木晶子 京鹿子 201906
山寺の崖にゆとりの蕗の薹 小林共代 風土 201906
アイゼンの雪掻く音や蕗の薹 眞弓真翁 風土 201906
野面積空家の角の蕗の薹 大内幸子 六花 201906
突として籬の隅に蕗の薹 今村千年 末黒野 201906
集落は二軒なりけり蕗の薹 秋津令 201907
気象予報士揚げる菜の花蕗の薹 波戸辺のばら 201907
蕗の薹川に行きつく廃線路 田岡千章 201909
「放番」札吊る座禅堂蕗の薹 間島あきら 風土 202002
裏庭に出でし日もあり蕗の薹 大橋晄 雨月 202003
蕗の薹からりと揚げて抹茶塩 芝田幸惠 末黒野 202004
三寒の土をもたげて蕗の薹 浜福恵 風土 202004
せせらぎの音にふくらむ蕗の薹 西本花音 春燈 202004
蕗の薹分けて童話の会始む 平田はつみ 馬醉木 202004
雨降れば雨に色増し蕗の薹 与田幸江 末黒野 202005
犬の曳く散歩の道や蕗の薹 佐藤喬風 末黒野 202005
わが星の青き息吹や蕗の薹 橋本順子 202005
川の音聞いてをりたる蕗の薹 志方章子 六花 202005
蕗の薹苦みを好む齢となる 安野眞澄 202005
水溜めに青空返し蕗の薹 大内幸子 六花 202005
梅の木の根元のそこら蕗の薹 白石正躬 やぶれ傘 202005
戦災の銀杏の根元蕗の薹 加倉井たけ子 202005
もう誰も育てて呉れぬ蕗の薹 高木晶子 京鹿子 202005
をちこちに膨らむ気配蕗の薹 今村千年 末黒野 202006
日本海望む棚田の蕗の薹 高木邦雄 末黒野 202006
身を切らる風のあしもと蕗の薹 菊池和子 京鹿子 202006
老幹の添木の根方蕗の薹 岡野里子 末黒野 202006
蕗の薹苦言を胸にあたたむる 宮田千優 京鹿子 202006
蕗の薹 →7

 

2021年2月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。