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水清く大蕗ゆするコタンかな   高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
大連休しなしなと剥く蕗の皮 林玲子 201007
蕗剥いて厨たちまち野となりぬ 斉藤マキ子 末黒野 201008
蕗を摘む「蛇切りの岩」を遠巻きに 田中佐知子 風土 201008
傘ほどの蕗とユーカラ北の地に 小俣剛哉 雨月 201008
蕗を煮てグツグツ蕗の愚痴を聞く 貝森光洋 六花 201008
殊の外味はひ深き庭の蕗 内田和子 酸漿 201008
手に残る蕗の香何か引きずれり 藤兼静子 201009
病癒え蕗さみどりに煮上げたり 滝川あい子 雨月 201009
蕗叢に黒目の親し北きつね 佐藤いね子 馬醉木 201012
みちのくの便り佳人と蕗の茎 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
泣き言を聞く母の居た蕗の庭 服部郁史 京鹿子 201103
庭中に植ゑし秋田蕗雨来たる 阿部ひろし 酸漿 201106
日本海の波音聞きつ蕗を取る 原田敦子 酸漿 201106
蕗の葉にかくれて畦の石仏 村上絢子 馬醉木 201107
母の忌や到来ものの蕗を煮て 大渕豊子 酸漿 201107
オリジナル蕗煮炊きあぐ誕生日 古井公代 ぐろっけ 201108
その音は蕗の葉を打つ雨のもの 橋本くに彦 ホトトギス 201109
名産の尺余の蕗の重さかな 橋本くに彦 ホトトギス 201109
蕗の束切口どれも斜めなる 黒田秋子 万象 201109
茹でし蕗放てる水に透くみどり 有賀鈴乃 末黒野 201109
蕗の原あをあをと鷹攻めらるる 藤井久仁子 ぐろっけ 201109
蕗の葉は太古のままに山の雨 山田佳乃 ホトトギス 201110
畦道に谿に際やか蕗嵐 松川悠乃 万華鏡 201206
谷地蕗やずい分母に似て写り 石坂比呂子 ろんど 201207
蕗剥くや母より姑に似てきたり 山内碧 201208
蕗剥きて漆黒の手や仕舞風呂 山口弘子 201208
間伐の森に日の斑や蕗群るる 岡井マスミ 末黒野 201208
俄主夫長さきちんと蕗を切り 藤沢秀永 201208
蕗洗ふ生毛の水の匂ひけり 紅谷芙美江 万象 201208
蕗むくや好みし夫の亡き今も 川崎雅子 春燈 201209
火を止めてよりありありと蕗の蒼 井上信子 201209
湯治場に声のあかるさ蕗の風 安田とし子 ぐろっけ 201209
丹念に蕗の皮剥く忌明けかな 亀田やす子 ははのこゑ 201306
狼藉は風が癒せり蕗を刈る 湯橋喜美 201306
野仏を隠す路傍の茂る蕗 後藤克彦 かさね 201307
蕗剥きの手伝いすぐに離れいく 松川悠乃 ろんど 201309
蕗の葉を一椀代り山の水 斉藤マキ子 末黒野 201311
蕗茹でて皮はぎながら句を捻る 斉藤裕子 あを 201406
さつと茹で蕗は剥かれてあさみどり 斉藤裕子 あを 201406
さみどりの彩やかをりや蕗料る 安立公彦 春燈 201407
井戸蓋に蕗の束あり誰も居ず 柴田佐知子 201407
ふたり暮しに余る蕗煮て母遠し 中里よし子 春燈 201408
蕗の灰汁こぼし過不足なき日暮 深澤厚子 馬醉木 201408
蕗の雨後ろの山もかくしけり 森田尚宏 201410
蕗味噌のひとつまみほどにある至福 田中一美 ろんど 201505
蕗味噌やあまだれの音小止みなく 根橋宏次 やぶれ傘 201505
伸びやかな昼の鶏鳴蕗ばんば 原田しずえ 万象 201506
蕗味噌や一夜宿りのあつけなし 本間羊山 風土 201506
蕗味噌のさ緑匂ふ志野小鉢 土江比蕗 春燈 201506
蕗味噌を旨しと夫の一人酒 橋場美篶 末黒野 201506
透明に蕗の色香をとぢこむる 来海雅手 201506
蕗味噌や聞き役のなき老夫婦 川村清子 馬醉木 201506
蕗味噌の田楽卓に下戸二人 恩塚夕子 馬醉木 201506
蕗青く煮上げて八十路生きめやも 松井志津子 201507
空洞も重さのうちや秋田蕗 原友子 201508
前掛をはみ出す蕗をかかへ来る 横田敬子 201508
民宿の蕗煮る鍋や雨催ひ 平野みち代 201508
谷風の渡る山寺野蕗群れ 山口千代子 万象 201509
せせらぎの音分れゆく蕗の蔭 山田佳乃 ホトトギス 201510
蕗の皮まだ地下足袋のままで剥く 原友子 201510
木道や蕗の広葉に熊の影 東正則 末黒野 201510
蕗味噌の乗つかつてゐる箸の先 きくちえみこ 港の鴉 201510
涼しさや蕗の葉におく魚の錆 玉田瑞穂 万象 201511
山の蕗義経道に香を放つ 升田ヤス子 玫瑰 201604
よぼよぼと斜面の蕗を摘みにけり 山田六甲 六花 201606
余震だにをののく暮し蕗を剥く 上柿照代 馬醉木 201607
蕗の葉の吹かるる大原詣かな 南うみを 風土 201607
餅屋来て蕗売のきて大原志 南うみを 風土 201607
考も剥き妣もむきたる蕗を剥く 山本無蓋 201608
身ほとりに妣の声して蕗を採る 小菅礼子 春燈 201608
太陽に錆びて伏したる秋田蕗 本間羊山 風土 201608
蕗の原棚田の里の水のこゑ 及川照子 末黒野 201608
どやどやと来て裏庭の蕗刈れる 小林愛子 万象 201608
ラワン蕗薪のごとく積まれをり 大内和憲 万象 201608
蕗を煮るぐいと昔をたぐり寄せ 宮坂秋湖 201608
炊きたての蕗の青さを仏前に 木村弓子 末黒野 201609
気配無き家と為りけり秋田蕗 森屋慶基 風土 201610
賽銭を置く野仏の蕗の葉に 小林珠江 万象 201610
仏壇の妣へ蕗の芽土筆和 貞吉直子 馬醉木 201705
蕗売れり一尺五寸の茎揃へ 森岡正作 201706
蕗の葉の切つ先の香や迸る 秋山ユキ子 201706
蕗剥く夜背に水音風の音 柴崎英子 201707
蕗ほほけ母が爪切る裁ち鋏 南うみを 風土 201706
蕗摘みをさそはれゐたり急傾斜 山田六甲 六花 201707
板摺の蕗あをき息の発散 山口ひろよ 201708
ふと横に母の佇つかに蕗を煮る 諸戸せつ子 春燈 201708
待つことが上手になって蕗煮をり 森なほ子 あを 201708
石磴の両脇に蕗青々と 廣畑育子 六花 201709
蝦夷蕗の広葉に楡の種積もる 江見悦子 万象 201709
蕗を採る小さきものは野に残し 上辻蒼人 風土 201709
いつもより多目に炊くや蕗ごはん 中堀倫子 201710
蕗味噌の香の深酒となりにけり 小山田子鬼 201807
虚子の句碑蕗のしうとめ囲みかな 佐々木よし子 201807
伽羅蕗の合はせ技なりしゃきしゃきと 七郎衛門吉保 あを 201807
山蕗の蒼潤結婚五十年 山本雅子 馬醉木 201808
手作りの伽羅蕗好しや朝夕餉 長谷仁子 春燈 201808
八十の恋の終はりは蕗を煮て 直江裕子 京鹿子 201808
蕗の葉へ音たつる雨矢のごとし 亀卦川菊枝 末黒野 201808
春蕗のやうに畠に立つてをり 本多俊子 201905
蕗の葉の風広々と曼陀羅図 中野あぐり 春燈 201906
しゆうとめの蕗に囲まれ石佛 兼久ちわき 馬醉木 201907
蕗を採る裾を茨に引つ張られ 苑実耶 201907
伽羅蕗や祖母の笑顔と涙顔 池上昌子 春燈 201908
沢水の音をたもとに蕗取女 秋山蔦 春燈 201908
蕗の葉に雨落つる音母の笑み 渡辺節子 201909
しきたりの伽羅蕗炊きて一日暮れ 伊藤由良 末黒野 201909
伽羅蕗を煮るや厨の香ばしき 高橋正江 末黒野 201909
蕗の葉を甘煮に仕上げ夜の卓 湯本正友 やぶれ傘 201912
蕗 →4      

 

2014年5月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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