蟇 3 (蝦蟇)      114句

蟇あるく大きくゆるく爆音下    加藤楸邨

ひきがへる  ひきがえる  蟾蜍  蟇(蝦蟇)  がまがへる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
決まり手は寄り切りであり蟇 上澤邦彦 対岸 200508
浅き池どこに居るのか蟇 井上綾 ぐろっけ 200508
打水の穂先が蟇を歩ましむ 安陪青人 雨月 200508
蟇の眼の用心深く窺へる 植竹美代子 雨月 200508
住む人の無き庭に住む大き蟇 宮崎耕晴 築港 200508
雨はげしまばたきもせぬ蟇 宮崎耕晴 築港 200508
爺婆の守る棚田や蟇鳴けり 松永弥三郎 河鹿 200509
神域の主顔なる蟇 荒川清司 遠嶺 200509
蟇鳴いて鎮守の闇を深めけり 武内沢仙 遠嶺 200509
人の世の風向き読めぬ蟇 柴田近江 200509
蟇総身濡らしまかり出づ 織田みさゑ 万象 200509
無量無辺不可思議蟇の鳴く 水野恒彦 200509
一絃琴きかんに蟇の鳴きいづる 窪田佳津子 雨月 200509
白はちす開くや応ふ蟇の声 福盛悦子 雨月 200509
嘘ついて早寝す暗を蟇笑ふ 吉田多美 京鹿子 200509
蟇後退りして隠れけり 大里快子 酸漿 200509
行く先を決めかねてをり蟇 鈴木栄子 酸漿 200509
蟇のこゑかはたれの湯に身を委ね 足立武久 酸漿 200509
蟇のゐて一目散の家路かな 小川晃枝 馬醉木 200510
蓑虫庵古池塚の蟇鳴けり 木暮剛平 万象 200510
箸紙に蝦蟇の口上お立合 藤江朋子 万象 200510
筑波嶺に夕日の沈む蟇 浅田光喜 対岸 200510
ふくれ面して覚まされし蟇 田中よしとも 酸漿 200510
洞穴に補色の蝦蟇が涼をとる 朝倉富次 酸漿 200510
草の陰逃げるでもなし蟇 小松渓水 酸漿 200510
半眼の憂ひめきたる蟇 二瓶洋子 六花 200510
前の世を恨むことなく蟇 戸田円三 200511
蟇つづまるところ雲上人 伊藤希眸 京鹿子 200511
蝦蟇三里歩いた息使い 村上和子 ぐろっけ 200512
瞑りておのれをかばひ蟇冷ゆる 渡邉友七 あを 200512
抜参り初蝶にあひ蟇にあひ 安住敦 春潮 200602
戦へ行く蟇の轢かれて討死かな 松崎鉄之介 200606
この風の上ミにゐるはず蟇 山尾玉藻 火星 200606
蟇の跳ぶ速さ何物かを逐へる 瀧春一 瓦礫 200606
北斗出て音なく現れし蟇 竹中一花 200606
根元より日暮来てゐる蟇 宇都宮滴水 京鹿子 200607
後朝の別れか蟇の声かなし 味村志津子 雨月 200607
山門に葷酒許さぬ蟇の声 山本康夫 200608
蟇居るを許して神の水呑場 村越化石 200608
阿弥陀池静寂しじまを破る蟇 秋田直己 ぐろっけ 200608
雨音の絶えていよいよ蟇の闇 坪井洋子 200608
扁平にすすむ時間や蟇 太田寛郎 200609
石化せしものの閑けさ蟇 近藤喜子 200609
生家の蟇行方不明となりにけり 和田あきを 風土 200609
蟇の子を蕗の葉に乗せて夫帰る 大塚美孝 200609
草刈女蟇ゐし畦をのこしけり 小山 漂葉 酸漿 200609
草刈りの刃先に蟇のたじろがず 小泉豊流 酸漿 200609
御蟇おんびきが恋の座にをり澄しをり 延広禎一 200610
山水我がもの顔に蟇 原喜久 八千草 200611
掘り出してまだ眠たさの蟇 一瀬昭子 馬醉木 200701
今は昔心斎橋で蟇飼ひし 浮田胤子 ぐろっけ 200703
魔除け蓑吊る湯の宿や蟇の恋 石田野武男 万象句集 200703
蟇出でて不老不死たる面構 天野みゆき 風土 200705
蟇鳴いてうすくれなゐの日暮来る 伊東恵美子 馬醉木 200706
直会の始まる中を春の蟇 小澤克己 遠嶺 200706
蟇鳴くや広目天はたぢろがす 近藤公子 200707
蟇いま飛込んで呉れにけり 中村恭子 200708
蟇わたしもちよつとメランコリー 折橋綾子 200708
観音の扉の立てられし蟇 坂口夫佐子 火星 200708
行く先を決めかねてゐる蟇 市川十二代 ぐろっけ 200708
蟇出でよ今宵は雨の降る予報 水原春郎 馬醉木 200708
大富士の雨のにほひの蟇 橋本榮治 馬醉木 200708
一つ家の一つ灯ともす蟇 橋本榮治 馬醉木 200708
佗び寂びの国はここぞと蟇のこゑ 水野恒彦 200709
酢のやうな心字池に蟇鳴きにけり 大島翠木 200709
蟇鳴くや小町伝説この村に 戸田和子 200709
踏ん張つてふんばつて生き蟇 伊藤豊美 遠嶺 200709
蟇まばたきをなす不思議かな 中谷葉留 風土 200709
蟇ひとつまばたきしたりけり 中谷葉留 風土 200709
草木みな息をひそめる蟇の闇 西村博子 馬醉木 200709
筑波山わらふや蝦蟇の口上に 平野伸子 馬醉木 200710
蟇動かず吾の動き出す 小林輝子 風土 200710
陶房の土間に棲みつく蟇 生井慶子 万象 200711
投函の吾を見てゐる夜の蟇 野路斉子 200711
桃色の蝦蟇の膏や破れ芭蕉 延広禎一 200712
疲れとも湯中りかとも蟇の声 半澤正子 馬醉木 200712
靄深しふたたび出会ふ秋の蟇 加藤みき 200801
アパートの明かりいろいろ蟇 坪内稔典 稔典句集 200804
蟇棲みついてゐし荘のこと 稲畑汀子 ホトトギス 200806
星を見に出て動くもの蟇 稲畑汀子 ホトトギス 200806
外の風恋うて出る庭蟇 稲畑汀子 ホトトギス 200806
蟇出でて一手の置き処思案かな 後藤眞由美 春燈 200806
穴を出づ四六の蟇の口上に 荒井和昭 200806
蟇飛びのくでなし座すでなし 山田六甲 六花 200806
歩兵らの親しきものに蟇 谷山花猿 頂点 200806
蟇生涯弱気吐きませぬ 塩路隆子 200807
蟇ことしの老いを曳き歩む 山尾玉藻 火星 200807
身のうちに宇宙のカオス蟇 小澤克己 遠嶺 200807
蟇出でて英彦山ひこの天狗に仕へけり 柴田佐知子 200807
棒先に蟇が顔出す池うらら 浅野恵美子 酸漿 200807
蟇鳴いて夜遊びせよとそそのかす 上田幸夫 ぐろっけ 200807
放哉の寺に放下の蟇 浅田光代 風土 200808
蟇出でて電気明りを見てゐたり 鈴木みのる 風土 200808
瞼重たく動かぬ蟇や雨もよひ 水谷芳子 雨月 200808
教室に蟇の存在大きかり 坂本緑 幸せのかたち 200808
蟇蛙苦しき時の疣頼み 貝森光洋 六花 200808
どか靴の水たまり占め蟇 泉田秋硯 200809
蟇鳴くや枯木の父の深眠り 忽那みさ子 やぶれ傘 200808
蟇詰めし袋は何処へ捨てやうか 佐藤山人 200809
欠伸噛み殺して蟇となりゐたり 石寒太 炎環 200809
蟇いつもの顔の揃ひたる 石脇みはる 200809
あとがきに本心少し夜の蟇 久津見風牛 200809
夜の蟇をBGMに終焉記 小澤菜美 200810
蟇淋しきときは空を見る 伊東恵美子 馬醉木 200810
少年の顔してをとこ蟇つかむ 伊東恵美子 馬醉木 200810
葛城に通り雨あり蟇 中島陽華 200810
禅林を日暮れに訪うて蟇 小山徳夫 遠嶺 200810
薬降る口暗く開く陶の蟇 布川直幸 200810
蟇歯形ぐにやりと採られけり 奥田筆子 京鹿子 200810
炎昼の耳よりあまた蟇 石原みどり 炎環 200810
心做し大きくなりて蟇 斉藤裕子 あを 200809
新顔の蟇水遣りに出できたる 川原典子 酸漿 200811
顎あげて蟇の踏ん張る小径かな 柿沼盟子 風土 200811
呼ぶもゐて応ふるもゐて蟇 市村健夫 馬醉木 200812
蟇→ 4      

 

2021年5月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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