2(蝦蟇)       100句

蟇歩く到りつく辺のある如く    中村汀女

ひきがへる  ひきがえる  蟾蜍  蟇(蝦蟇)  がまがへる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
徐々に向き替へつつ蟇の居坐りぬ 能村登四郎 羽化 200110
玄關に出でたる蟇を叱りけり 岡井省二 200111
吉兆はこの吉相の蟇 しおやきみこ 船団 200111
蟇猫に手の内読まれゐし 田渕昌子 京鹿子 200201
生きて帰れよと蟇がつぶやく 本村弘一 船団 200202
石塊の遠のみかどの蟇 唯野まり 200204
とむらひの貌となるべく蟇出づる 中原道夫 銀化 200204
蟇いでて越天楽の響きかな 水野恒彦 200205
蟇出でて山の雫に打たれたる 山尾玉藻 火星 200205
てのひらに餅の重さの蟇 三嶋隆英 馬醉木 200206
焼き終へし畦に頭を出す蟇 藤野力 馬醉木 200206
目の前にゐて気づかざる蟇 稲畑汀子 ホトトギス 200206
腹筋をゆたかに蟇の息づかひ 朝妻力 雲の峰 200206
池を占む蟇の数珠子の百尋程 渡辺美知子 200206
花冷の尾根に出て来し蟇蛙 小島三恵 酸漿 200206
いかやうにもお裁きあれと蟇 青山岬 銀化 200206
動き出す地のもろもろに蟇も居り 村越化石 200207
蟇嶋くや閼伽井の裾を水流れ 佐野美智 200207
沼底に蟇の鳴く声籠りけり 北村すなほ 200207
蟇隣りの墓へ隠れけり 石川經子 百鳥 200207
三匹の蟇に日の差す神の池 竪ヤエ子 雲の峯 200207
神妙に蟇のはらから背を干しぬ 前阪洋子 雲の峯 200207
蟇三つ葉の花を揺らしたる 山尾玉藻 火星 200207
蟇あたまに数奇のせたまま 山崎未可 銀化 200207
木の道に蟇の影ひく朝かな 横松しげる 200207
蟇川筋晴れてきたりけり 北嶋美都里 200207
蟇道迷はずに行けといふ 佐野幸子 百鳥 200208
埋められし縄文遺跡蟇 松崎鉄之介 200208
蟇の瞳の告ぐるものあり空碧し 川端実 遠嶺 200208
歌垣の山はまぼろし蟇鳴ける 竹内喜代子 雨月 200208
退屈のままを固めし蟇 金子野生 京鹿子 200208
神学部の芝生に出でし蟇 延広禎一 200208
棲み古りて蟇と齢を重ねたり 宮原みさを 花月亭 200208
棲み着きし蟇に呼名の一太郎 水原春郎 馬醉木 200209
厨房をうろつき蟇に鳴かれけり 白岩三郎 馬醉木 200209
軍配を待つかに構へ蟇 新海りつ子 馬醉木 200209
蟇去りぬ夕照ながく見透かして 泉田秋硯 200209
つちくれの動くとみしは蟇 有吉桜雲 200209
蟇鳴いてみささぎの杜薄暗し 宮永順子 雲の峰 200209
蟇のいぼ島一周を終りけり 梶浦玲良子 六花 200209
蟇鬼籍をぬけてきたるかな 木曽岳風子 六花 200209
蟇亭主はがゆしさりながら 須佐薫子 帆船 200210
靴先で蟇の一歩をうながせり 岩上とし子 200301
しつかりとせよと田の面の蟇 加古みちよ 冬菜畑 200301
姿なきもの乗せ蟇出づる 山本涼 銀化 200304
思ひきの蟇のお玉の可愛ゆらし 大橋敦子 雨月 200306
座禅草座す片ほとり蟇も座す 村越化石 200307
求愛の蟇の濁声夜もすがら 鈴木ヤスエ 築港 200307
しばらくは穴を出でたる蟇のまま 高橋将夫 200307
彗星の尾に触れてより蟇に恋 近藤幸三郎 風土 200308
畳みたるテントの跡に蟇 伊藤京子 200308
けだるげに湯舟に聞ゆ蟇のこゑ 石村美智子 築港 200308
蟇此の上なしの不器量と 多田節子 雨月 200308
着きてすぐ蟇の鳴き出す母の家 影山わこ 百鳥 200308
星空に語りかけをり蟇 清水晃子 遠嶺 200309
蟇大きな虚ろ歩きけり 成井侃 対岸 200309
硯墨紙筆穴を出でし蟇 岡井省二 省二全句集 200312
蟇大騒ぎして大真面目 森理和 あを 200404
合併に故郷の消ゆ蟇 相馬計太 帆船 200405
いづこよりさまよひ来たる蟇の貌 河口仁志 200405
この先も自適を通す蟇 金子孝子 200405
蟇交るポリープなれば温存す 加藤峰子 200405
人の世の端に居座る蟇 村越化石 200406
蟇出でていま白日の深くあり 水野恒彦 200406
もうどこも行かぬと決めし蟇 高倉和子 200406
雨意はらむ夜空見てをり蟇 水原春郎 馬醉木 200407
手をつきて何奏上の蟇 藤井明子 馬醉木 200407
窯跡の解説読むに蟇鳴けり 松崎鉄之介 200407
蟇庭にて鳴くも姿見ず 新倉舒子 200407
膝立てて見得切ってみよ蟇 田中藤穂 あを 200407
山径に出会ひ跳ねけり我と蟇 斉藤利男 百鳥 200408
蟇藻だたみすでに水覆ふ 久保東海司 200408
百幹の竹騒にゐし蟇 山尾玉藻 火星 200408
河内野の月待つ蟇の背中なり 山尾玉藻 火星 200408
鍬先に起せし蟇の目が眠し 海上俊臣 酸漿 200408
突つかれておのれをげず蟇 遠藤若狭男 200408
石と思へば歩み出し蟇 遠藤若狭男 200408
禅僧になりそこねたる蟇 遠藤若狭男 200408
永平寺生まれを誇り蟇 遠藤若狭男 200408
普賢菩薩にひれ伏して蟇 遠藤若狭男 200408
天敵に襲はれかけし蟇 遠藤若狭男 200408
自閉症薄暮の蟇と対峙して 泉田秋硯 200409
結局は降り出しにけり蟇無言 乗鞍三彦 春燈 200409
一瞬のためらひもなく蟇跳ぶ 川端正紀 春燈 200409
穴出づる蟇訃音の重さ知らぬなり 藤原りくを 八千草 200409
蟇穴出づボスの座とるぞことしこそ 有賀元子 八千草 200409
雨あがりいざ言挙げむ蟇 川崎光一郎 京鹿子 200409
今年また姿を見する蟇 橋本孝子 200409
待ちてゐし滂沱の雨や蟇 阿部ひろし 酸漿 200409
水中に入りたる蟇の食はれけり 石脇みはる 200410
蟇出でてたつぷり雨に濡れてをり 長田秋男 酸漿 200411
ふるさとの闇深まりぬ蟇のこゑ 杉田智栄子 馬醉木 200412
積みあげる石の順序や蟇 中村葉子 帆船 200504
雲は雲水は水なり春の蟇 小澤克己 遠嶺 200505
蟇出でて仏足石を脾睨す 西川五郎 馬醉木 200505
蟇鳴いてうたげの前の旅愁あり 水原秋櫻子 馬醉木 200506
半ば覚め半ば眠れる春の蟇 村越化石 200506
卒爾ながらと罷り出て蟇 遠藤若狭男 200507
夜の蟇の出合頭に犬の息 吉田康子 火星 200508
次の世は手脚を長く蟇 五十嵐暢子 対岸 200508
蟇 3→      

 

2021年5月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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