日傘 5   131句

たましいは幼な顔なり日傘さす   岸本マチ子   ジャックナイフ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
人込みを日の斑すべらせ日傘行く 徳丸峻二 風土 200810
駒形の渡舟を待てる日傘かな 中島伊智子 酸漿 200810
白日傘高き吊橋たたみ行く 青木陽子 酸漿 200810
黒日傘たたむ癌検診のバス 田村園子 200810
日傘立見の客として紛れ 瀬下るか 200810
指を当て静脈認知白日傘 猪爪皆子 200810
旱天へ開き日傘の先尖る 定梶じょう あを 200810
白日傘すこし傾け橋の上 船越和香 馬醉木 200811
往き帰り同じ日傘とすれ違ふ 舛田初恵 酸漿 200811
荷の重し日傘の一つ増えたるに 宇垣みきえ 200811
殿には蹤かぬつもりの白日傘 米澤光子 火星 200811
白日傘羊の群れの渡るまで 原田達夫 200901
北野坂十一月の日傘かな 萩尾亜矢子 炎環 200901
恢復期床屋まで妻の日傘に入る 瀧春一 深林 200901
若きをみなの日傘に入りてこだはらず 瀧春一 深林 200901
授かりし一句遮る日傘かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200905
ふだん着の舞妓可憐や白日傘 水船みどり 200907
日傘さし一人の世界生れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200907
草丈に沈んで行きし日傘かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
さしくれし日傘に恋の予感かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
呼び声にくるりとまはる白日傘 米山喜久子 200907
雑踏を流されてゆく白日傘 片山由美子 200907
荷風以後をとこは持たず黒日傘 秋葉雅治 200907
白日傘真砂女の浜を歩きけり 清水美子 春燈 200907
バス座席刀自が日傘で指図する 品川鈴子 ぐろっけ 200907
絵画館日傘の母子出て来さう 鈴木多枝子 あを 200907
指先の潮湿りかな白日傘 岡部名保子 馬醉木 200908
見えてゐてまだ遠き海白日傘 藤原はる美 200908
博物館長蛇の列に貸し日傘 堤節子 ぐろっけ 200908
相合の日傘UVカットして 神蔵器 風土 200908
はるかなる天平へ日傘つづきけり 永島雅子 春燈 200908
千本の杉を日傘に東照宮 遠藤実 あを 200908
白日傘砂丘を遠く見てをりぬ 木村幸 200909
薬師寺のカーブミラーを白日傘 大山文子 火星 200909
ブロック塀俯きがちの日傘かな 篠田純子 あを 200909
軽やかな日傘の中は傘の色 森理和 あを 200909
白日傘水無川を渡りけり 浅田光代 風土 200909
銀座行く男がさせる日傘かな 青木政江 酸漿 200909
白日傘の一寸先に大自然 丸山佳子 京鹿子 200909
もう少し耐へる事あり黒日傘 遠藤実 あを 200909
子が開く妻の遺愛の白日傘 太田寛郎 200910
あぢさゐのむらさきいろに日傘ゆく 池田光子 200910
それぞれの日傘の中にある時間 倉持梨恵 200910
逆縁を歩幅にとどめ杖日傘 大内幸子 六花 200910
持ち歩く小さき日蔭白日傘 吉田晶子 炎環 200910
さっきから道迷ひゐる白日傘 田中藤穂 あを 200910
日傘して米寿の姑の軽井沢 水谷洋子 十進法 200911
前をゆく日傘の揺れに歩を合はす 熊切修 末黒野 200911
白日傘木漏れ日余す独りの歩 小山繁子 春燈 200911
鞄から顔出す小犬白日傘 佐方敏明 ぐろっけ 200911
ある筈はなし紳士用色日傘 足立幸信 200912
追ひついて日傘の影を重ねけり 古林阿也子 200912
きれいごと言うて別れぬ白日傘 淺井照子 京鹿子 201001
日傘さす人ささぬ人海の風 稲畑汀子 ホトトギス 201005
白日傘小さな影を作りけり 秋葉貞子 やぶれ傘 201007
島の子に見知らぬ日傘ばかりなり 山尾玉藻 火星 201007
白日傘開き潮の香したりけり 浜口高子 火星 201007
げんげ野に座す日傘より足二本 木野本加寿江 火星 201007
遠出して嬰に傾げる日傘かな 吉弘恭子 あを 201007
歩を止めて日傘の欲しくなりにけり 伊藤妙 201008
基地移設まはりはじめし黒日傘 鴨下昭 201008
日傘閉ぢ小鉢に屈む陶器市 堀田順子 馬醉木 201009
白日傘黒の日傘と並び行く 高橋将夫 201009
山里を捨て歩き出す日傘ひからかさ 鴨下昭 201009
すれ違ふ日傘の影を一つにし 安立公彦 春燈 201009
痩せし身をかくす日傘となりにけり 見田英子 春燈 201009
医王寺の築地塀ゆく黒日傘 江本路代 酸奬 201009
黒日傘たたみて祷る爆心地 阪本哲弘 201010
歩道橋に合図の日傘高く上ぐ 和田照子 201010
杖を突く妻に差掛く白日傘 鈴木一三 末黒野 201010
人混みを分けて歩める日傘かな 久保東海司 201010
海へ出る寺の抜道黒日傘 諸岡孝子 春燈 201010
白日傘こころ残して戻りけり 都丸美陽子 春燈 201010
浜日傘開くや去年の砂散れり 小野千枝子 万象 201010
ビル風に飛ばされさうな黒日傘 谷泰子 ぐろっけ 201010
日傘傾け浅沓を通しけり 蘭定かず子 火星 201010
失くしたる日傘はいづこ油照 岡久枝 酸奬 201010
気に入りの日傘をさして家路かな 城戸愛子 酸奬 201010
並びをる夫に日傘を翳しけり 藤原さちよ 酸奬 201010
山門を潜る日傘の白さかな 平照子 酸奬 201010
坂下る藍染日傘白絣 東亜未 あを 201010
浜日傘大きな影に母ひとり 卯辰美苗 万象 201011
繕うて母の日傘を差し歩く 岩本紀子 201011
太極殿まで日傘重たき遷都祭 吉田和子 ぐろっけ 201011
閉づるとも日傘に残る熱りかな 藤田千枝子 末黒野 201012
影つれし男の日傘遠ざかる 大西順子 ろんど 201012
アテネ着日本人ガイド日傘振る 大西まりゑ 酸奬 201102
日傘差す皆マドンナになり切つて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
余生とは思う日なくて白日傘 丸山佳子 京鹿子 201105
沓脱に靴と日傘をそろへあり 山田六甲 六花 201105
をばちやんの日傘階段塞ぎけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
黒が先づ句碑に近づく日傘かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
聖堂に潮の匂へる日傘閉づ 荒井千佐代 201107
塔凌ぐもの無し回る白日傘 高村令子 風土 201107
空港の日傘の下でさやうなら 佐藤喜孝 あを 201107
黒日傘海を一度も見ずに去ぬ 佐藤喜孝 あを 201107
ぬけうらを抜けうらをゆく日傘かな 久保田万太郎 春燈 201108
南無観音恋の日傘をたたみけり 三宅文子 春燈 201108
余震なほ日傘青田に囲まれて 鴨下昭 201108
猛犬の声日傘にて防ぎをり 中島玉五郎 201108
白日傘四の五の言はずついて行く 細川洋子 201108
をちこちに絵日傘鯉を釣りゐたり 井山幸子 万象 201108
いつもの道日傘同士のすれちがふ 早崎泰江 あを 201108
ついと来て日傘窄むる扇塚 コ田千鶴子 馬醉木 201109
眼指のいつも子を追ふ白日傘 岩永はるみ 春燈 201109
高くして日傘に男招きけり 柴田佐知子 201109
日傘選る玉蟲色の夢もちて 丸山佳子 京鹿子 201109
黒日傘防犯カメラにも死角 栗原公子 201109
寄席帰り日傘くるくるまはしたく 佐野ときは 201109
夫を呼ぶときは日傘を傾けて 高橋将夫 201109
白日傘畳みて入る骨董店 高橋泰子 201109
築島に日傘があれば茶事さなか 品川鈴子 ぐろっけ 201109
白日傘正午のビルの谷間縫ふ 田中佳子 ぐろっけ 201109
絞り染めの絵日傘まぶし工芸館 福本すみ子 201110
脳CT晴れて眩しき白日傘 大松一枝 201110
兼用といへど日傘にしたき色 高橋道子 201110
陽を払ふやうに日傘をたたみけり 酒本八重 201110
日傘より帽子がよしと大股に 林哲夫 ぐろっけ 201110
黒か白か日傘売場に幾たびも 遠藤とも子 ぐろっけ 201110
話したくない日の日傘深くさす 長山あや ホトトギス 201111
黙礼に黙礼返す黒日傘 村上絢子 馬醉木 201111
母の名の書かれある柄や白日傘 菅澤陽子 春燈 201111
六道の辻めぐり来る白日傘 高野春子 京鹿子 201111
日傘さし道場へ行く剣道士 渡邊孝彦 やぶれ傘 201112
子の家へ一駅歩く白日傘 岩永はるみ 白雨 201203
白日傘真砂女の句碑に畳みけり 岩永はるみ 白雨 201203
日傘傾けてより探鳥の歩に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
旅に持つ今日は日傘として使ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201205
蜷の子が日傘の影をすすみけり 山尾玉藻 火星 201205
生欠伸日傘の中で所在なく 稻畑汀子 ホトトギス 201207
白日傘のぼる鎌倉文学館 神蔵器 風土 201207
日傘→ 6      

 

2021年7月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
2021年7月15日