火 鉢       104句

親展の状燃え上る火鉢哉   夏目漱石   漱石俳句集

火鉢  火桶  手あぶり  春火鉢(春火桶)  春煖炉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
火鉢には降りねど鶴の脚二本 中原道夫 銀化 199902
捨て切れぬ火鉢引越荷のなかに 松尾緑富 ホトトギス 200002
往診医火鉢に手焙り診察す 永野秀峰 ぐろっけ 200004
月照らす鰊番屋の空火鉢 山本耀子 火星 200012
古火鉢据ゑて妻の座確かなる 杢子安子 200102
磨かれし上り框の箱火鉢 森脇恵香 俳句通信 200102
串柿を股火鉢して忘れ来し 山田六甲 六花 200103
漢薬の本家を名乗る角火鉢 辻享子 シャガールの女 200108
離れがたくあり埋み火のある火鉢 能村登四郎 羽化 200110
喪の客の口滑らかな大火鉢 堀義志郎 火星 200203
遠き日を思ひ起こせし古火鉢 柴田美佐子 いろり 200203
長火鉢均しつ母は聞き流す 田澤初枝 遠嶺 200204
胴丸を火鉢に仕立て土間に置く 小阪律子 ぐろっけ 200204
根つからの酒好きの夫長火鉢 高木勝子 帆船 200302
火の気無し大本山の大火鉢 打田みえ 築港 200302
中国のわらべの笑ふ火鉢かな 江坂衣代 百鳥 200303
一代記語る女や大火鉢 小田道知 円虹 200303
回りゆく舞台の上の火鉢かな 浦川聡子 水の宅急便 200305
神事終え数多の火鉢回廊に 田中敏文 ぐろっけ 200305
瀬戸火鉢大勢家族佳かりけり 岡本眸 200402
いつのまに庭のオブジェの大火鉢 能村研三 200403
話すことなくも撫でゐる桐火鉢 岩下芳子 200406
古火鉢魚が住みて十五年 河井富美子 ぐろっけ 200406
冬の日をあまねく溜めし捨火鉢 能村研三 200502
雅楽師の笙があたれる火鉢かな 本多遊方 春燈 200502
巫女去んで燠美しき大火鉢 原茂美 雲の峰 200503
抽出にぢぢばばのこゑ箱火鉢 田中英子 火星 200503
宣徳の火鉢に父の手の温み 加藤君子 火星 200503
目刺焼く父や火鉢の灰よごし 城孝子 火星 200605
古火鉢廊下に並べある寒さ 大和あい子 百鳥 200605
椎樫の露ぬるる日の初火鉢 瀧春一 常念 200606
初火鉢事に堪へむと想たのし 瀧春一 瓦礫 200606
火の絶えて幾年経たる長火鉢 西出俊子 酸漿 200703
桐火鉢紫檀の卓の四隅に置く 山部淑子 200704
桐火鉢手の甲の皺そつと撫づ 尼嵩太一郎 ぐろっけ 200706
朝餉まへ火鉢にい倚る冬は來ぬ 瀧春一 200706

幽かなる歡び

夕餉待つひまの火鉢に手をあぶる

瀧春一 200706
一茶忌や笙を温めし朱の火鉢 能村研三 200801
大火鉢三つの五徳据ゑ置かれ 幡谷哲子 200801
茶事ゆるやかに次の間の桐火鉢 ほんだゆき 馬醉木 200802
ガサ市の煉炭火鉢久に見し 長屋璃子 火星 200803
大火鉢囲みて山の診療所 斉藤敬子 万象 200804
大津絵の店は吹き抜け箱火鉢 岡本幸枝 ぐろっけ 200805
初火鉢此の日端坐の己れあり 瀧春一 深林 200901
婚約す二人に訪はれ初火鉢 瀧春一 深林 200901
大火鉢に鉄瓶たぎるロビーかな 河崎尚子 火星 200902
なほ残る祖父の落書箱火鉢 宮田香 200903
遠州の庭見よと置く箱火鉢 服部鹿頭矢 馬醉木 200903
古火鉢買うて文人めく仕草 中原敏雄 雨月 200904
梅咲くや英治の火鉢もらひ受く 伊藤いな栄 酸漿 200904
ちちははの桐の火鉢でありしかな 高橋将夫 真髄 200907
褞袍着て火鉢囲んで我慢会 栗田武三 ぐろっけ 200911
殘といふもののなし火鉢かな 佐藤喜孝 あを 201001
懐かしや火鉢の部屋に暖をとり 富田ヒナ江 201002
諸子焼く火鉢に焦げし竹の箸 山田六甲 六花 201003
反り返る鯣を押へ瀬戸火鉢 田中藤穂 あを 201003
座せばすぐ主役となりし陶火鉢 橋本良子 遠嶺 201004
埋火の点となりたる箱火鉢 大貫美智子 万象 201004
子規堂の主待ちたる火鉢かな 小幡喜世子 ろんど 201004
父母と火鉢を囲む日のありし 大地真理 201005
手火鉢に膠溶きつつ夜なべせる 石川裕子 万象 201102
年用意藁灰入るる大火鉢 山村幸苑 馬醉木 201103
灰少し足して火鉢を定位置へ 長憲一 201104
父祖よりの火鉢に皺の手をかざす 安武晨子 201104
亡き父母の幾度なでしや陶火鉢 伊藤敦子 末黒野 201105
緋牡丹を火鉢に咲かせ佃煮屋 山田春生 万象 201108
雨粒や火鉢の目高ちりぢりに きくちきみえ やぶれ傘 201109
大火鉢刻ほのぼのとある暮し コ田千鶴子 花の翼 201111
郷愁の茶屋に据ゑたる古火鉢 松田和子 201202
句心をあたためくるる大火鉢 萩原すみ 春燈 201206
旧知二代耶馬客殿の箱火鉢 能村研三 201301
妣のゐて昔なつかし桐火鉢 小林久子 201304
縁台の雪丸火鉢京の町 藤本秀機 201305
曽祖母の指定席たる長火鉢 増田甚平 ろんど 201305
瞽女ら来て竹の手のべよ炭火鉢 桂樟蹊子 201401
かざす手に蜜柑のにほふ駅火鉢 山本耀子 火星 201402
忘れられ土間にぽつりと大火鉢 辻香秀 201402
料理屋の火鉢に席を待ちゐたる 安藤久美子 やぶれ傘 201403
鳴る釜の日暮る中庭大火鉢 坊野貴代美 ぐろっけ 201403
橋立の練炭火鉢汐流る 西村節子 火星 201502
干芋あぶる父ありし日の火鉢 高橋将夫 201503
町めぐる馬車に火鉢や蔵の町 西川みほ 末黒野 201503
縁側にゆると坐りて猫火鉢 柴田敬子 201504
鉄瓶の湯気やはらかき火鉢かな 竹内喜代子 雨月 201505
帰るのは火鉢のよこの母のまえ 梨地ことこ 船団 201508
こけし談義や土産物屋の箱火鉢 原田達夫 箱火鉢 201511
箱火鉢媼の膝にいつも三毛 コ田千鶴子 馬醉木 201601
伏せられて片隅に濡る陶火鉢 赤座典子 あを 201601
引出しに飴の出て来る長火鉢 國保八江 やぶれ傘 201602
長火鉢帳場格子の招き猫 平野無石 201611
長火鉢下町文化の置土産 植木やす子 201611
永遠がかたちとなりて長火鉢 早瀬淳一 船団 201701
出鱈目な話火鉢をまたぎをり 鈴鹿呂仁 京鹿子 201702
牡蠣漁へ舟の芯なす箱火鉢 南うみを 風土 201704
和菓子屋の鉄瓶滾る大火鉢 笹倉さえみ 雨月 201704
股火鉢父の歳月疑はず 中川句寿夫 ここのもん 201705
持ち出して煉炭火鉢きらはるる 中川句寿夫 ここのもん 201705
三四郎生れし文机丸火鉢 平野無石 201811
万年筆の草稿染みし丸火鉢 大山夏子 201811
古民家の和らかき日や瀬戸火鉢 加藤静江 末黒野 201905
長火鉢老嬢たばこ吸うてけり 木村秋草子 京鹿子 202002
百畳に火鉢ひとつの読経かな 大矢恒彦 202002
ホトトギス火鉢抱へて編みし虚子 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
燈明の合掌の間に火鉢欲す 長崎桂子 あを 202201
元朝の火鉢にかざす子の肌着 佐藤竹僊 あを 202202

 

2022年12月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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