花 火 9    203句

花火やむあとは露けき夜也けり   正岡子規

花火 遠花火 手花火 花火殻 花火果つ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
花火咲く宇宙の闇をやはらげて 高村令子 風土 201810
手花火や腕肘鉄膝頭 山田健太 風土 201810
旧友の尽きぬ話や遠花火 横山さくら 春燈 201810
点滴を掲げて歩く遠花火 宮崎紗伎 春燈 201810
素戔嗚の天駆け巡る揚花火 中田禎子 201811
大花火フリーフオールの火の粉かな 田中信行 201811
揚花火息も継がせぬ二千発 壺井久子 馬醉木 201811
線香花火星になれずに落ちにけり 能美昌二郎 201811
山宿に谺近うす浜花火 浅井青二 雨月 201811
暗黒の天地響動もす大花火 高木典子 雨月 201811
行先のわからぬ鼠花火かな 佐藤貞子 雨月 201811
仁王立ちして花火師の火の粉浴ぶ 岡田ちた子 雨月 201811
厨灯を消して加はる庭花火 岡田ちた子 雨月 201811
花火果て夜空の広さ残りけり 柴田昭子 雨月 201811
火星接近花火のかけら浮きしごと 辻由紀 雨月 201811
どどドンと憂さも吹き飛ぶ大花火 遠山悟史 京鹿子 201811
揚花火亡き父母に心おき 平沢恵子 春燈 201811
訪ひ来る子と並び見る花火かな 川崎雅子 春燈 201811
文机に煩杖ついて遠花火 西村亜紀子 船団 201812
大花火すこし遅れて音と君 西村亜紀子 船団 201812
記憶みな風となるまで遠花火 直江裕子 京鹿子 201812
大花火地球の綻び増やしをり 山中志津子 京鹿子 201812
揚花火交響曲五番運命 竹内悦子 201812
さはさはと雨秋花火かすみ散る 秋川泉 あを 201812
窓越しの音のみ流る遠花火 河野昭彦 ホトトギス 201901
花火とて飛び出す人の今は亡く 河野昭彦 ホトトギス 201901
尺玉を膝に花火師花火見る 後藤比奈夫 ホトトギス 201901
消ゆることそれも演出揚花火 後藤比奈夫 ホトトギス 201901
花火にはある儚げといふ美学 後藤比奈夫 ホトトギス 201901
揚花火昭和どすむと降りにけり 上野紫泉 京鹿子 201901
手花火や燐寸の函にベティさん 田岡千章 201902
揚花火一塊の闇皺くちやに 戸栗末廣 201902
音で観る終了となる遠花火 重原爽美 201902
大花火海を焦がしてとどめ打ち 重原爽美 201902
するすると天を目掛けて大花火 重原爽美 201902
冬花火師の影逃ぐる間を炎が昇る 田村すゝむ 風土 201903
煙中に摩天楼消え花火果つ 阿部重夫 末黒野 201904
花火果て天城にかかる赤き星 石川東児 201904
悌を追ふ手花火を持つ手にも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
山国や冬の花火に揺らぎゐる 池田葉子 春燈 201905
山焼の始めを告げし花火かな 平居澪子 六花 201905
春花火微細な覚書降ってくる 甲斐いちびん 船団 201906
同文で終る祝電揚花火 森藤千鶴 馬醉木 201907
遠花火耳に掛かりし君の息 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
気づきたる時は終りし花火の夜 稲畑汀子 ホトトギス 201908
スーパーたかはし特売に手花火も 井原美鳥 201909
見とれても子の手はなさず揚花火 江島照美 発火点 201909
遠花火案の定音後から来 谷口一献 六花 201909
白燦々青はせつなし大花火 赤座典子 あを 201909
バス下りて皆歩き出す大花火 須賀敏子 あを 201910
長閑なる日々ありてこそ大花火 須賀敏子 あを 201910
目の前に開く花火や展望台 大日向幸江 あを 201910
線香花火あたりつやつやしてきたる 佐藤喜孝 あを 201910
花火師のきりりと巻きしタオルかな 赤松赤彦 六花 201910
早寝して鼓膜に伝はる遠花火 赤松赤彦 六花 201910
藪中を照らしてゐたる揚花火 赤松赤彦 六花 201910
あれれのれ鼠花火の何処へやら 赤松赤彦 六花 201910
手花火にしやがめば母と居るごとし 笹村政子 六花 201910
花火屑そのまま兄弟帰京せり 笹村政子 六花 201910
花火爆ぜげんこつ飴を片頬へ 丸井巴水 京鹿子 201910
里帰り風呂で聴いてる遠花火 赤松赤彦 六花 201910
部屋中でロケット花火してゐたる 赤松赤彦 六花 201910
遠花火両手広げて受け止めし 大日向幸江 あを 201910
寝袋に起す半身遠花火 平居澪子 六花 201911
前髪の揺れ手花火の玉落ちぬ 平居澪子 六花 201911
夜は濃きものと悟りし花火果つ 谷口一献 六花 201911
遠花火潮の香りを運びけり 谷口一献 六花 201911
妖しげな線香花火妻の貌 谷口一献 六花 201911
大花火腹に響きてきたりけり 永田万年青 六花 201911
高低の闇に開ける揚げ花火 永田万年青 六花 201911
揚花火生絹のひかりありにけり 升田ヤス子 六花 201911
還暦の初恋に似て遠花火 善野行 六花 201911
花火持つ小さくて湿る手を包む 善野行 六花 201911
手花火を小さな顔と見つめけり 善野行 六花 201911
手花火の子の横顔の恐ろしき 志方章子 六花 201911
手花火に淋しき顔の並びをり 西村白杼 京鹿子 201911
ねずみ花火の逃げまはる子に迫りけり 佐藤喬風 末黒野 201911
揚げ花火息調へて開きけり 佐藤喬風 末黒野 201911
雨意きざす雲の切れ間や遠花火 菅野日出子 末黒野 201911
花火待つ宵の明星仰ぎつつ 安斎久英 末黒野 201911
花火果つ一湾の空使ひ切り 伊藤よし江 201911
暮れを待つ若き妻の背揚花火 阿部さちよ 201911
またひとつ夜に沈みゆく遠花火 寺川すず江 201911
故郷は発ち去るところ花火の夜 上野進 春燈 201911
花火揚がる浜に住み古り二階窓 田中臥石 末黒野 201911
人々に夜空は一つ揚花火 武藤節子 やぶれ傘 201911
手花火や子の三尺帯の揺れどほし 升田ヤス子 六花 201911
花火果て月影浮かぶ兵庫の津 谷口一献 六花 201911
追憶のはじけ散りをり揚花火 金原登志子 馬醉木 201911
遠花火けふは東の方に音 きくちきみえ やぶれ傘 201911
今は無き店の燐寸で花火点け 瀬島洒望 やぶれ傘 201911
遅れ馳せの音の余情や遠花火 滝澤圭子 雨月 201911
子等去にて昨夜の名残の花火屑 辻田玲子 雨月 201911
遠花火肩が小さくなったよなぁ 陽山道子 船団 201912
手花火や注射のあとの絆創膏 志方章子 六花 201912
揚げ花火急に飛び交ふ鳥の群 箕田健生 やぶれ傘 201912
二十二階より四か所の遠花火 松本善一 やぶれ傘 201912
夢に逢ふ夫は語らず遠花火 中島和子 やぶれ傘 201912
師の逝きて無音の花火開きけり 川内谷育代 馬醉木 201912
遠花火眼と眼で交はす記憶あり 久保夢女 201912
大花火束の間亡夫の残像 大山夏子 201912
揚花火遠い日に似た風の中 都築繁子 201912
一言を胸に留め置き遠花火 近藤真啓 春燈 202001
揚花火終はりて残る星一つ 綱徳女 春燈 202001
皆影となりて花火の夜を帰る 今橋眞理子 ホトトギス 202001
次々と闇新しく花火かな 今橋眞理子 ホトトギス 202001
手花火の散つて深まる闇の色 礒貝尚孝 黄落 202003
春浅し湖上花火の檸檬色 赤座典子 あを 202004
火の橋が火の滝となり花火果つ 角野良生 202005
桐の花花火師栖むてふ峡の村 小河原清江 梛の木 202007
悪疫退散願ひは空へ花火かな 種田利子 春燈 202008
線香花火うす暗闇によく爆ぜて 沼田巴字 京鹿子 202008
揚花火三尺玉の夢現 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
遠花火君の唇熱過ぎる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
申し訳なき欠席も花火の夜 稲畑汀子 ホトトギス 202008
星見台花火のためにある今宵 稲畑汀子 ホトトギス 202008
揚花火半端に生きて来し思ひ 森清信子 露の堂 202008
夫の忌に奇しくも仰ぐ花火かな 澤田明子 春燈 202009
会へぬ子よ送りし花火ためせしや 赤座典子 あを 202010
闇を走る花火師時に浮さ立てり 苑実耶 202010
不意打ちの花火一瞬厄払ふ 能村研三 202010
揚花火変りゆく火と一途な火 成宮紀代子 202010
手花火の終の雫のひとゆらぎ 菊地光子 202010
想ひ百ありて一人の庭花火 高村令子 風土 202010
線香花火海月の形に開きをり 大日向幸江 あを 202010
手花火の雫地に落ち闇弾く 小澤えみ子 202011
自粛する胸にひらくや大花火 藤田美耶子 202011
花火果て冷めゆく空に残る月 能美昌二郎 202011
打上げ花火帰りの道の闇深し 遠藤泉 202011
さよならのあとの線香花火かな 鷺山珀眉 京鹿子 202011
揚花火五発六発頭痛し 小林輝子 風土 202011
中心のずれて頭上に揚花火 湯川雅 ホトトギス 202011
ジヤズ眩し波のあなたを遠花火 楠本和弘 202011
腹にズン予告なしなる大花火 篠田純子 あを 202011
一本の手花火闇を大きくす 涌羅由美 ホトトギス 202012
どことなく手花火の夜の濡れてゐし 和田華凛 ホトトギス 202012
遠花火聞いてをりたる夢うつつ 志方章子 六花 202012
手花火を持つ指先のあちちちち 志方章子 六花 202012
船上に花火師の影浮きあがる 永淵惠子 202101
校舎閉づ五十二発の冬花火 石井美智子 風土 202102
御開きはビンゴゲームや花火の夜 宮澤靖子 末黒野 202104
捨つるごと忘れたき恋冬花火 高倉和子 202107
ふりむかぬ後頭ばかり揚花火 井上菜摘子 京鹿子 202107
遠花火君に見られし涙跡 稲畑廣太郎 ホトトギス 202108
三尺の花火に宇宙近付けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202108
余生かな線香花火の散るやうな 沼田巴字 京鹿子 202108
一枚の空のキャンバス揚花火 宮内とし子 202109
大花火果てて濁世の闇の中 宮内とし子 202109
遠花火酌みて眺めし友和む 松本鷹根 京鹿子 202109
十八区開港祝ふ遠花火 津野桂子 末黒野 202109
憂さ晴らす地響き立ちぬ大花火 平田きみ 末黒野 202109
開港の記念の花火控え目に 平野秀子 末黒野 202109
片紐の美しき背や遠花火 武田未有 202109
遠花火窓辺に寄れば風動く 今井肖子 ホトトギス 202109
花火消え一千万の目ののこる 神蔵器 風土 202109
差上げし「墨田の花火」根付きしか 田中藤穂 あを 202109
聞きたきは聞き難きこと遠花火 川高郷之助 202110
火の粉浴び大筒花火の三河衆 水谷昭代 202110
うつくしき宙を欠伸の花火かな 山田健太 風土 202110
一つづつ過去となるため花火揚る 森なほ子 あを 202110
向日葵はスローな花火空に咲く 森なほ子 あを 202110
手花火や夕べの匂ひ残る路地 西本花音 春燈 202110
父の背の華のやうな児花火果つ 山中洋子 202111
鐘楼の影絵となりぬ揚花火 鈴木英雄 末黒野 202111
午後八時どんと花火の音がして 丑久保勲 やぶれ傘 202111
揚花火ちよつとどや顔して果つる 三木亨 202111
老後とは線香花火の尽くるまで 小張志げ 春燈 202111
初めての手花火つまみ喋りだす 小島正士 京鹿子 202111
線香花火明るさ迄の旅終る 岸上道也 京鹿子 202111
喃語して稚児は花火に魅せらるる 篠田大佳 あを 202111
七十五発村の希望の花火 長崎桂子 あを 202111
向日葵はスローな花火空に咲く 森なほ子 あを 202111
遠花火かすかな音の方へ向く 大山夏子 202112
遠花火天にちちはは地に流離 安田優歌 京鹿子 202112
手花火のあの手この手の懐かしき 本郷公子 京鹿子 202112
川の字と敷布の匂い遠花火 伊吹之博 京鹿子 202112
揚花火太鼓腹へと届くかな 伊吹之博 京鹿子 202112
線香花火横に並びて始めけり 高倉和子 202112
花火の絵箱にあまたの花火買ふ 秋千晴 202112
遠距離の恋はスマホに遠花火 鈴鹿呂仁 京鹿子 202208
再会の沈黙に咲く遠花火 藤井杏愛 京鹿子 202209
庭花火しばらく腕照らしをり 山田健太 風土 202209
隅田の花火てふ紫陽花や雨嫌ひ 渡辺美智子 末黒野 202209
寝付かれぬ旅の枕や遠花火 太田良一 末黒野 202210
待つといふ昂りのあり花火の夜 栗原公子 202210
大花火寝床の中に聞いてをり 志方章子 六花 202210
連発の花火が作る真の闇 高橋将夫 202210
遠花火甍の間に浮かびけり 土江比露 春燈 202211
対岸の揚げ場の筏大花火 渡辺富士子 末黒野 202211
脈動の小さきに触るる庭花火 大曲ゆき枝 末黒野 202211
真つ直ぐ生く男の刹那遠花火 上野紫泉 京鹿子 202211
空に沖あり追悼の大花火 山崎正子 202211
手花火を胸元遠く持つ児かな 伊藤啓泉 202211
心底の懺悔ためらふ遠花火 林徹也 202212
従兄弟再従兄弟混沌として遠花火 日置瀞魚 202212
手花火や静かに寄する波の音 吉田千恵子 末黒野 202212
あの日からどこかが冷めて遠花火 直江裕子 京鹿子 202212
青春は忘れぬ花火日記閉づ 兵泉美 京鹿子 202212
花火果て闇にうつけの顔ばかり 政時英華 京鹿子 202212
手花火に胸の山河を高鳴らす 小山田子鬼 202301
風一陣身をすぼませて冬花火 秋川泉 あを 202301
群衆のこゑ昇りゆく揚花火 吉田葎 202302
時ならぬ花火や春宵の人出 長崎桂子 あを 202304
花火→ 1

 

2023年9月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。