五月 6       100句

満州へ五月の旅の辞令かな   京極杞陽   くくたち

作品
作者
掲載誌
掲載年月
風五月身軽になりし旅鞄 稲畑汀子 ホトトギス 200805
羽榑きて五月の宮の音ふやす 宇都宮滴水 京鹿子 200805
旅五月いつも東に海を置き 岡本眸 200805
先づ風に五月の力漲れる 藤浦昭代 ホトトギス 200806
瓦斯タンク聳ゆ五月の景として 定梶じょう あを 200806
天も地も晴れやかにして五月なり 阿部ひろし 酸漿 200806
立浪草花そろへたり五月の日 阿部ひろし 酸漿 200806
砂浜に金色の筋五月来る 高倉和子 200806
五月憂し母は柱に任几りしまま 高倉和子 200806
五月来てゆるり行く贅手こぎ舟 谷沢秀子 200807
帽深く泣き顔隠す五月病 宮田香 200807
誰にでも笑ふ嬰児ゐて風五月 石本百合子 馬醉木 200807
張り替へて五月の透ける網戸かな 岡野ひろ子 200807
原つぱに投げる子打つ子五月来ぬ 和田政子 200807
母の忌やむらさき色に五月来ぬ 和田政子 200807
駆け寄りて子の髪匂ふ五月かな 鴨下昭 200807
五月来る樹と樹のどこか触れ合つて 浅田光代 風土 200807
川底を見せて音無川五月 忍足ミドリ 春燈 200807
風五月髪の祖神に一礼す 忍足ミドリ 春燈 200807
ペダル踏む脚の長さよ五月来ぬ 小島昭夫 春燈 200807
コーラスの窓を五月へ開け放つ 遠藤真砂明 200807
店頭へはみ出すギター五月来ぬ 五十嵐章子 200807
絵馬はみな屋根持つ形風五月 齊藤實 200807
瀬は五月尾鰭水打つ鯉の群 大西まりゑ 酸漿 200807
忘却などありえぬ戦火五月の夜 芝宮須磨子 あを 200807
クール便アスパラガスは五月色 須賀敏子 あを 200807
中国や涙の五月十二日 王岩 あを 200807
叩き付けパン生地捏ねる五月かな 森理和 あを 200807
少年の眉の凛々しさ五月来る 泉田秋硯 200808
陶土より伝はる息吹五月来る 松野睦子 遠嶺 200808
美しき五月を残し夫逝けり 辻直美 200808
五月来ぬ天女もすなる東舞 高久清美 200808
五月かな「慈母弁当」は売切に 高久清美 200808
母の指長くなりけり五月来る 安永圭子 風土 200808
考へるために取るペン風五月 奥山絢子 風土 200808
五月かな二度の盛りのシクラメン 大坪景章 万象 200808
みちのくのずんだ餅食ぶ五月かな 木暮剛平 万象 200808
輝ける五月の湾へ漁舟 浅野恵美子 酸漿 200808
はね太鼓鳴りて墨田の五月かな 井上幸子 酸漿 200808
ほどほどに老いても愛称喜寿五月 岡野峯代 ぐろっけ 200808
象一頭歩めり五月寂々と 大橋晄 雨月 200808
ばら五月不協和音のジャズピアノ 樺山翠 雨月 200808
手水舎の屋根の丸みや五月来る 府川房江 母の空 200808
あをあをと苔盛りあがる五月かな 奥田温子 やぶれ傘 200808
屋根草も花持つ五月来たりけり 野路斉子 200808
五月憂し海どこまでも鼠色 小島みつ代 200808
光る葉もみどりの蔭も五月かな 稲岡長 ホトトギス 200809
昼過ぎの車両にひとり五月行く 高田令子 200809
朝市に苗の出揃ひ五月来ぬ 土井三乙 風土 200809
五月来る海は光のほかになし 松本文一郎 六花 200809
ひさびさに図書館にをり風五月 片野光子 ぐろっけ 200809
旅五月奈良井の宿に買ふラムネ 関まさを 酸漿 200809
てんでんに並ぶ小千鳥五月の日 浅野恵美子 酸漿 200809
献血の真白きテント五月来ぬ 山下由理子 200810
師恩いま確と五月の嶺々仰ぐ 遠藤和彦 遠嶺 200810
岬まで駆ける銀輪五月来る 樋口みのぶ 200810
海は五月家の縮図に人やすらぐ 瀧春一 深林 200901
ヒトデが掴む五月の海はひびきなし 瀧春一 深林 200901
五月の沼漂ふ死魚は子を孕む 瀧春一 深林 200901
五月の幹の赤く整しき松林 瀧春一 深林 200901
青果市場は森林の香の五月来る 瀧春一 深林 200901
いくたびも通ひし阿波の旅五月 稲畑汀子 ホトトギス 200905
旅衣五月の雨に備へけり 稲畑汀子 ホトトギス 200905
植ゑられし五月の庭にジャカランダ 稲畑汀子 ホトトギス 200905
開いてゐる五月の木戸を通りけり 稲畑汀子 ホトトギス 200905
空晴れてまこと五月となりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200905
これよりの晴をたのみて旅五月 稲畑汀子 ホトトギス 200905
絵タイルの橋の欄干五月来る 楢崎京 炎環 200905
洗面の鏡の深き五月かな 鷹羽狩行 200905
淡麗辛口とは五月の海の色 竹貫示虹 京鹿子 200905
シーツヘと熱を逃がせる五月かな ことり 六花 200905
竿売りの路地に入りくる五月かな 増田大 春燈 200906
万華鏡に閉ぢ込められてゐる五月 常田創 200907
五月来ぬじょんがら節の五能線 井口淳子 200907
鉄棒を握りしめたる五月かな 伊藤洋子 200907
ごぱ阿形ずぐん吽形すは五月 常田創 200907
五月くる背番号なきユニフォーム 島田麻衣 炎環 200907
銀輪の影美しき五月かな 藤田良 炎環 200907
帆孕みを大きく白く湖五月 布川直幸 200907
我多忙義理や会合農五月 渡辺安酔 200907
五月来る町の名物人形焼 池田光子 200907
用水のとうとう流る五月来る 池田光子 200907
間欠泉五月の諏訪湖真つ平 岡野ひろ子 200907
腕白と遊ぶ父の背五月来る 吉沢陽子 200907
桟橋に白き貴婦人五月来る 鈴木セッ 200907
婚の夜も葬りの朝も五月にて 辻直美 200907
五月来る象のまなこの皺ぐるみ 千田敬 200907
温存の乳房のぬくみ五月来る 中尾杏子 200907
キーパーの跳ぶや五月を鷲掴み 大森春子 200907
朝礼の五月の言葉透きとほる 七種年男 200907
余生まだ志向ありけり五月来る 大竹欣哉 200907
八方に緑ひき連れ五月来る 苑実耶 200907
鬼凧を飛ばし五月病払ふ 田中貞雄 ろんど 200907
履きなれた靴で五月をよく歩き 吉成美代子 あを 200907
酢を利かせ飯粒立たす五月かな 芝尚子 あを 200907
五月場所了りたる夜の大雷雨 田中藤穂 あを 200907
五月憂し腰につけたる万歩計 早崎泰江 あを 200907
海五月はりととろける大師海苔 布川直幸 200908
山際の水奔り出す五月かな 大谷茂 遠嶺 200908
海五月いつも誰かが手を振つて 遠藤真砂明 200908
五月 →7      

 

2021年5月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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