秋の風 6   100句

秋の風ことしの音の耳ざわり    長谷部朝子

秋の風  秋風  金風  色無き風

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋の風父情さらりと流しけり 藤岡紫水 京鹿子 201512
磴なかばより渓谷の秋の風 大橋弘子 末黒野 201512
切株に残る木の香や秋の風 太田良一 末黒野 201512
高原の木道走る秋の風 塚篤子 末黒野 201512
白き帆の数定まらぬ秋の風 中村洋子 風土 201512
芭蕉読む八潮橋より秋の風 石井ケエ子 風土 201512
子ら去にて揺るるふらここ秋の風 堀田こう 雨月 201512
ゲレンデを滑り降りくる秋の風 岡田ちた子 雨月 201512
高館の夢跡に佇ち秋の風 石井秀一 風土 201512
秋の風諸手に小さき絆創膏 野中圭子 京鹿子 201601
文の束クリップに錆秋の風 松林依子 201601
野地蔵に銭が錆ゐる秋の風 青野安佐子 201601
寺山の蝉塚渡る秋の風 堺昌子 末黒野 201601
木道の先は池塘や秋の風 松浦哲夫 末黒野 201601
空といふ無きもの高し秋の風 小田嶋野笛 末黒野 201601
秋の風陳列棚に石包丁 竹内弘子 あを 201601
背の闇にあまさず吹きし秋の風 柴田靖子 201601
重き雲追ひ出してゐる秋の風 橋本くに彦 ホトトギス 201602
庭めぐり栞によき葉秋の風 水谷直子 京鹿子 201602
繰り言を巧みに躱す秋の風 押田裕見子 201602
読めぬ句碑なぞれる指に秋の風 遠藤清子 末黒野 201602
胸の奥へと一すぢの秋の風 岩岡中正 ホトトギス 201603
みづうみの青き翳より秋の風 深川淑枝 201605
住職と二た言三言秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201608
立秋の風と思へばそれらしく 稲畑汀子 ホトトギス 201608
立秋の風をまとひて旅立ちぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201608
影恋うて日差を恋うて秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201610
バスを待つ列の間合を秋の風 横田初美 春燈 201610
表札は昔のままよ秋の風 大坪景章 万象 201610
目薬の雫を待てば秋の風 林昭太郎 201611
つまづくも杖が頼りや秋の風 佐藤淑子 雨月 201611
塔拝し全身清し秋の風 磯野しをり 雨月 201611
部屋のものなべて遺品や秋の風 川上恵子 雨月 201611
秋の風未知の扉を開けて来る 岩月優美子 201611
秋の風そよと命をはこびくる 柴田靖子 201611
重ね着く句稿へ秋の風やさし 数長藤代 201611
われより先はらわたのあり秋の風 佐藤喜孝 あを 201611
序破急のリズムに適ひ秋の風 松本三千夫 末黒野 201611
ビル街の辻に素秋の風立ちぬ 東小薗美千代 末黒野 201611
胸中を貫くことも秋の風 大橋晄 雨月 201612
舫ひ綱ゆるめば締る秋の風 熊川暁子 201612
マネキンの素肌にまとふ秋の風 高野昌代 201612
静かに確と沼の面を吹く秋の風 土井三乙 風土 201612
飯を炊く匂ひの中や秋の風 野中圭子 京鹿子 201612
廃業の窯へ吹き込む秋の風 阿久津勝利 万象 201612
秋の風減りゆくものに消臭剤 中川句寿夫 あを 201610
鐡棒は垂直に落つ秋の風 佐藤喜孝 あを 201612
朝鴉の声の低さや秋の風 岩田洋子 201701
靴紐の解けてしばらく秋の風 安居正浩 201701
マネキンに見えてゐるなり秋の風 森なほ子 あを 201701
子守歌いつしか秋の風となる 林八重子 馬醉木 201702
でで虫の殻ごろがして秋の風 飛高隆夫 万象 201702
かはらけの的に当らず秋の風 福島せいぎ 万象 201702
祝事の余韻まぶたに秋の風 伊藤由良 末黒野 201702
秋の風遊女の墓は片隅に 武藤節子 やぶれ傘 201702
雲までもさざ波となる秋の風 山本素竹 ホトトギス 201704
秋の風オペラシテイの赤ワイン 松村光典 やぶれ傘 201710
筋トレの後の体に秋の風 枝みや子 やぶれ傘 201710
誰彼の遠くなりたる秋の風 辻前冨美枝 201710
晩年のづかづかと来る秋の風 西村博子 馬醉木 201710
仲見世を抜け来る秋の風に彩 七田文子 201711
ふりむけば秋の風なり迷ひ星 寺田すず江 201711
開け放つどの窓からも秋の風 水谷文謝子 雨月 201711
通帳へ差し入る風も秋の風 井上石動 あを 201711
一歳のうなじを秋の風が吹く はしもと風里 201712
横たはる體の下を秋の風 佐藤喜孝 あを 201712
千年家鉄瓶揺らす秋の風 石谷淳子 雨月 201801
橋わたる在所在所の秋の風 加藤翅英 京鹿子 201801
夕やみが迫りころりと秋の風 中島好江 京鹿子 201801
弟の遠ざかりゆく秋の風 田代民子 201801
虚子庵の惚け紫苑や秋の風 岡野里子 末黒野 201802
酔ふほどは飲めなくなりぬ秋の風 森田明成 201802
路地曲がるたび新しき秋の風 矢野百合子 201802
ご朱印の墨の香りや秋の風 及川照子 末黒野 201804
地球の穴ドーナツの穴秋の風 西村亜紀子 船団 201805
たいがいのことはひとごと秋の風 池田澄子 201805
秋の風仏ごころがふと涌けり 丸井巴水 京鹿子 201810
グーグルでぐるぐる迷ふ秋の風 篠田純子 あを 201811
鴉除けシートを捲る秋の風 丸井巴水 京鹿子 201811
殿の山車に付き来る秋の風 能美昌二郎 201811
風紋を残して去りぬ秋の風 石川りゆうし 201811
万年橋芭蕉と渡る秋の風 若泉真樹 201811
どつしりと地を這う松や秋の風 工藤はる子 201811
素秋の風弥陀の御顔となり眠る 伊藤希眸 京鹿子 201811
園児等の無心な舞踊秋の風 長崎桂子 あを 201812
秋の風犬にもあるや診察券 深川敏子 春燈 201812
花を切るうなじをさーと秋の風 はしもと風里 201812
潮の香のしめり纏へり秋の風 安斎久英 末黒野 201812
源流の森の奥より秋の風 森清堯 末黒野 201812
御百度の踏まれし石や秋の風 藤生不二男 六花 201812
死ぬことは忘れて生きる秋の風 篠田純子 あを 201812
秋の風鈴かそけき声が二階より たかはしすなお 201901
やはらかきもの見えてきし秋の風 仲まゆみ 風土 201901
提げて打つトライアングル秋の風 青谷小枝 やぶれ傘 201901
行秋の風の中なる膳所城址 村上悦子 雨月 201901
古書街の回廊巡り秋の風 木村純子 末黒野 201902
墳山の形のままに秋の風 高倉和子 201902
精神の風景喩へば秋の風 竹村淳 201903
いま欲しきものに詩才と秋の風 岩岡中正 ホトトギス 201903
秋の風大手町に森出現す 田中藤穂 201904
仕込樽に匂うひしおや秋の風 伊藤昌枝 201904
のぞみ一号麦秋の風ひろふ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201905
己が身を離れて見ゆる秋の風 神蔵器 風土 201909
昨日伊予今日は難波の秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201909
庭桜大きな洞に秋の風 秋川泉 あを 201910
風の中一筋すがし秋の風 奈辺慶子 雨月 201910
すこしくは秋の風鈴らしく鳴る 辻美奈子 201910
見ゆるものすべて詠めよと秋の風 戸田澄子 末黒野 201911
醤油の香佃路地より秋の風 千田敬 201911
秋の風 →7      

2021年10月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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