秋の風 7   108句

秋の風ことしの音の耳ざわり    長谷部朝子

秋の風  秋風  金風  色無き風

作品
作者
掲載誌
掲載年月
一掬の水に空あり秋の風 丹羽啓子 馬醉木 201911
八高の寮歌の歌碑に秋の風 加藤北天 雨月 201911
新しきウッドデッキに秋の風 山浦紀子 春燈 201912
明日へと草木を誘ふ秋の風 柴田靖子 201912
厩戸皇子の吹かせる秋の風 瀬川公馨 201912
濡れし手に集まつてくる秋の風 近藤喜子 201912
古典からそよいできたる秋の風 高橋将夫 201912
頼まれしことの疎まし秋の風 眞弓真翁 風土 201912
解体の市場見下ろす秋の風 都築繁子 201912
伊良湖岬流人の歌碑に秋の風 村上美智子 雨月 202001
手渡しで手紙が届く秋の風 つじあきこ 202001
晩餐会果てし二人に秋の風 鈴木石花 風土 202001
無より出て無に帰りたる秋の風 田尻勝子 六花 202001
朝戸風秋の風鈴淀みなく 上月智子 末黒野 202001
ゆきずりの祠の絵馬や秋の風 及川照子 末黒野 202001
風紋を心に残す秋の風 三木享 202001
少年は一点みつめ秋の風 中堀倫子 202001
翻る紅絹の紅さや秋の風 小川礼子 202001
行く秋の風はらわたに張子虎 鈴木まゆ 馬醉木 202001
舞ふ二人その手から手へ秋の風 立村霜衣 ホトトギス 202001
秋の風欅の洞に行き止まる 宇都宮敦子 琴引鳥 202002
板塀に囲ふ海女小屋秋の風 蒲田雅子 雨月 202002
古の湯に足つけて秋の風 北村ちえ子 六花 202002
生垣の隙間を抜けて秋の風 増田裕司 やぶれ傘 202002
火渡りの炎を煽る秋の風 橋本美代 やぶれ傘 202002
いちにちの過客は秋の風ばかり 荒川心星 202002
大仏の胸に岐るる秋の風 田丸千種 ホトトギス 202002
それとなく待つ返信や秋の風 吉原ひろ子 末黒野 202002
行秋の風となりたる人のこと 岩岡中正 ホトトギス 202004
手庇のかなたの母へ秋の風 佐藤恭子 あを 202006
友癒えよ初秋の風ふところに 岩永はるみ 春燈 202009
名ある草名のなき草も秋の風 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
ナフタリン匂ふ背広や秋の風 七種年男 202011
折鶴の飛び立ちさうな秋の風 森高武 風土 202011
明日もまた家居の自粛秋の風 佐渡谷秀一 春燈 202011
骨壼の妙なる白さ秋の風 吉田鴻司 202011
振り向くや師の気配して秋の風 山田暢子 風土 202011
同齢の訃報が多し秋の風 大山夏子 202011
搾乳の牛見える窓秋の風 伊藤昌枝 202011
GOTOで少し晴れ間と秋の風 七郎衛門吉保 あを 202011
マスクに曇る手柄話や秋の風 篠田大佳 あを 202011
鎮守掃く箒に秋の風立てり 高久正 202012
初秋の風吹峠父子越ゆる 平居澪子 六花 202012
人間の闇は底無し秋の風 柴田佐知子 202101
岩白き大田切川秋の風 ふなかわのりひと 202101
コロナ禍の古びし絵馬や秋の風 藤生不二男 六花 202101
しづもれる七堂伽藍秋の風 藤生不二男 六花 202101
回廊のきしみて秋の風通る 田口りさ 六花 202101
新調のカーテン揺らす秋の風 神山市実 やぶれ傘 202101
秋の風小川に沿うて夕散歩 臼居澄子 末黒野 202102
豊秋の風に生きよと吹かれけり 善野行 六花 202102
修理屋の少なくなりぬ秋の風 森田明成 202102
格子戸の奥に本尊秋の風 林徹也 202104
気楽には暮らせぬひとり秋の風 山口郁子 末黒野 202104
鳥居なくただ祠のみ秋の風 中田光介 202108
荒川の空いっぱいに秋の風 秋川泉 あを 202110
新刊書の手触りめきぬ秋の風 西川保子 春燈 202110
石灰洞の碧き水面や秋の風 熊谷成子 202111
原稿の付箋に走る秋の風 田中臥石 末黒野 202111
バルザック像のガウンを秋の風 藤井美晴 やぶれ傘 202111
軒下にタオルと秋の風鈴と 小山よる やぶれ傘 202111
躓いて双手でつかむ秋の風 近藤牧男 春燈 202111
荒川の空いっぱいに秋の風 秋川泉 あを 202111
秋の風もうそろそろにヘアカット 吉宇田麻衣 202112
いつもの道と違ふこの道秋の風 木多芙美子 春燈 202112
バス停の欅の蔭や秋の風 今村千年 末黒野 202112
若き日の写真捨てかね秋の風 久島しんの 末黒野 202112
ひとしきりさやぎて行ける秋の風 藤生不二男 六花 202112
猫飼ふに齢が足らず秋の風 柴田佐知子 202112
リモートの妻の顔より秋の風 山田健太 風土 202201
椎大樹素秋の風の通りけり 黒滝志麻子 末黒野 202201
一盞の祝盃を挙ぐ秋の風 田中臥石 末黒野 202201
追ひかくるうしろ姿や秋の風 岡美智子 末黒野 202201
寝返りの背ナを撫づるや秋の風 伊吹之博 京鹿子 202201
野の花の活けある東司秋の風 升田ヤス了 六花 202201
城垣のくつきりしたる秋の風 住田千代子 六花 202201
ワクチンに肩出してゐる秋の風 岩岡中正 ホトトギス 202202
それぞれの境涯を知る秋の風 高濱朋子 ホトトギス 202204
見慣れし家少なくなりぬ秋の風 森田明成 202205
行く秋の風に疲れし一人旅 森田明成 202205
秋の風組体操のてつぺんに 岡村尚子 202206
廃駅の森の木霊や秋の風 篠田大佳 あを 202210
しんみりと聞く弔辞かな秋の風 沼田巴字 京鹿子 202210
骨壺を持ちて帰る野秋の風 沼田巴字 京鹿子 202210
人生のテーマは無常秋の風 坂本依誌子 春燈 202211
今朝秋の風を見てをり埴輪の眼 小林文良 春燈 202211
観音堂出づれば頬に秋の風 秋山蔦 春燈 202211
猿もまた両手見つむる秋の風 川井真理子 春燈 202211
いつもの道と違ふこの道秋の風 木多芙美子 春燈 202212
指栞して初秋の風を聴く 栗原公子 202211
浸むように円安続き秋の風 七郎衛門吉保 あを 202211
足柄の峠越えくる秋の風 小池一司 やぶれ傘 202212
早起きの窓辺に鳩と秋の風 小池一司 やぶれ傘 202212
スクランブルの人混みを抜け秋の風 高橋宜治 やぶれ傘 202212
鳴り急ぐ秋の風鈴はづしけり 能村研三 202212
馬の背の上に山なみ秋の風 大谷政光 202212
フルートの調べ半音秋の風 仁上博恵 202212
田の神の帰る山里秋の風 太田良一 末黒野 202212
秋の風妻子泣かせてしまひけり 田中臥石 末黒野 202301
コイントスに託す岐れ路秋の風 池乗恵美子 末黒野 202301
ジーンズの穴に遊ぶや秋の風 大川暉美 末黒野 202301
旅先の路面電車や秋の風 廣部尚美 末黒野 202301
落選の陶持ち帰る秋の風 木暮陶句郎 ホトトギス 202305
魚屋も本屋も更地秋の風 林徹也 202306
手を添へて脚を動かす秋の風 佐藤竹僊 あを 202308
顔馴染み減りゆくばかり秋の風 森田明成 202308
十二打つからくり時計秋の風 窪みち子 202308
犬追つて土手を駈くる子秋の風 兒玉充代 202308
アトリエまで登つてゆけば秋の風 田中とし江 202308
秋の風 →1

2023年10月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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