秋の風 5   200句

秋の風ことしの音の耳ざわり    長谷部朝子

秋の風  秋風  金風  色無き風

作品
作者
掲載誌
掲載年月
誄歌か石切る音か秋の風 福田雅子 万象 201010
奥の間も蕎麦湯もらへり秋の風 常田創 201011
スーツ着て就活中や秋の風 宇治重郎 201011
峠路の発電所過ぎ秋の風 坂根宏子 201011
えんまの鐘叩きてよりの秋の風 金山雅江 春燈 201011
手の中に来てすぐ去りて秋の風 太田佳代子 春燈 201011
言の葉のやはらぐ訛り秋の風 清水美子 春燈 201011
内科外科巡りて一日秋の風 鈴木セツ 201011
浜干しの透き間すき間を秋の風 吉田政江 201011
秋の風酸素たつぷり運びくる 佐々木群 201011
蛸薬師出でていよいよ秋の風 山尾玉藻 火星 201011
ゆっくりと歩き初秋の風の中 辰巳あした 雨月 201011
街中の一人となりて秋の風 鎌倉喜久恵 あを 201011
外来種亀の数増す秋の風 田中藤穂 あを 201011
秋の風生家に銹びし小鳥籠 田下宮子 201012
狂言師罷り出でたり秋の風 高木光子 201012
寄らず過ぐる子の住む町や秋の風 都丸美陽子 春燈 201012
頼家の墓所へ川面を秋の風 安斎久英 末黒野 201012
頂上で空踏みしめる秋の風 白石正躬 やぶれ傘 201012
白壁に靴跡ひとつ秋の風 吉成美代子 あを 201012
観音の胸ふくふくと秋の風 篠田純子 あを 201012
勾玉に菅玉に穴秋の風 佐藤喜孝 あを 201012
道の駅とんがり屋根に秋の風 坂根宏子 201101
頼朝の配流の島や秋の風 坂上香菜 201101
狩衣の浄衣のはらむ秋の風 山本浪子 風土 201101
南座を出て下河原秋の風 西村雪園 風土 201101
帽とりて髪の根通る秋の風 隅田恵子 雨月 201101
六文銭の色褪する旗秋の風 奈辺慶子 雨月 201101
牛の競り始まる日なた秋の風 苑実耶 201101
そこここの物みな遺品秋の風 佐野つたえ 風土 201102
祖谷渓の底生まれなる秋の風 大木清美子 201102
ペコポコと耳の鼓や秋の風 久津見風牛 201102
浅間嶺の白雲払ふ秋の風 網野茂子 酸漿 201102
海光や漣ほどの秋の風 山田佳乃 ホトトギス 201103
みちのくに豊穣祈る秋の風 井島郷雲 万象 201103
たましひの遍歴やまず秋の風 竹下陶子 ホトトギス 201105
きざはしを上れば会へる秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201108
まはりから一人づつ減る秋の風 竹貫示虹 京鹿子 201109
縁台の路地に生まるる秋の風 五ケ瀬川流一 六花 201109
佇めば句碑の裏より秋の風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
きざはしを上り切つたる秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201110
竹林をまるごと抱きし秋の風 布川直幸 201110
眼にみゆるほど狗尾草に秋の風 木村茂登子 あを 201110
巫女舞ふや袖ひるがへす秋の風 武井美代子 万象 201110
焚く香に行方を示す秋の風 ことり 六花 201110
年ごとに引力揩艪髀Hの風 佐藤喜孝 あを 201110
船陸に上りしままや秋の風 宮崎裕子 春燈 201111
覚えなき脛の青痣秋の風 村上倫子 201111
言ひ訳をしない男や秋の風 高橋泰子 201111
訃の知らせ一つ加はり秋の風 松林順子 雨月 201111
丈山の坂を這ひ来る秋の風 西村雪園 風土 201111
讃美歌の唱和の葬や秋の風 西垣順子 201112
自転車のサドル高めに秋の風 羽賀恭子 201112
ビル谷間ゴンドラ往来秋の風 神田惣介 京鹿子 201112
ライオンの檻に骨あり秋の風 涼野海音 火星 201112
赤ん坊のてのひらにのる秋の風 雨宮桂子 風土 201112
良寛も芭蕉も秋の風の中 近藤公子 201112
音信のなくて無事なり秋の風 川下明子 雨月 201112
目薬のいささか沁みて秋の風 中原敏雄 雨月 201112
細縞を着てわたりゆく秋の風 佐藤喜孝 あを 201112
秋の風吉原大門考の影 吉弘恭子 あを 201112
能面の阿形吽形に秋の風 本多俊子 201201
獄門を悼む碑大き秋の風 佐渡谷秀一 春燈 201201
櫻並木樹下のベンチに秋の風 佐藤喜仙 かさね 201201
神馬舎の神馬不在や秋の風 山本漾子 雨月 201201
ネクタイの裏にイニシャル秋の風 涼野海音 火星 201201
豊穣の色を深めて秋の風 橋本くに彦 ホトトギス 201202
モビールのさかなふはりと秋の風 五十嵐章子 201202
姫昔蓬耄けて秋の風 浅岡麻實 末黒野 201202
蔵窓は観音開き秋の風 松本善一 やぶれ傘 201202
人の世にペンと句帖と秋の風 岩岡中正 ホトトギス 201204
勾欄の卍くづしや秋の風 九十九島 山口キミコ 201209
明日香なる馬子の墓に秋の風 北崎展江 くりから 201209
奥多摩のごろ太石吹く秋の風 北崎展江 くりから 201209
舞ひ終へてまた舞ひをらむ秋の風 北崎展江 くりから 201209
クルーズの銅鑼の音秋の風を呼び 塩路五郎 201210
ラーメンの火照り解きゆく秋の風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
ぼつかりと空きたる時間秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201210
半年に一度は会へて秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201210
シャガールのTシャツ闊歩秋の風 前川ユキ子 201211
深呼吸体内巡る秋の風 前川ユキ子 201211
咲き残る空木の花や秋の風 佐藤喜仙 かさね 201211
花壇には隙間目立ちて秋の風 田島昭久 かさね 201211
山麓の灯火の柔し秋の風 岡野安雅 かさね 201211
畳屋の担ぎ行く背に秋の風 吉村さよ子 春燈 201211
ヤク追うて砂漠の秋の風探す 中島玉五郎 201211
棕櫚の葉をこまごまと吹く秋の風 山田六甲 六花 201211
菅浦に湖守る社秋の風 酒井秀郎 返り花 201211
白じろと朴の葉裏や秋の風 小川玉泉 末黒野 201211
母生きよ今日立秋の風吹けば 三村純也 ホトトギス 201212
ひと筋の秋の風知る肘枕 高地勝峰 馬醉木 201212
衿元をからかつて行く秋の風 小倉陶女 春燈 201212
補聴器が命となりし秋の風 水上貞子 ぐろっけ 201212
まだシェフの見送つてゐる秋の風 小嶋洋子 201212
石龕の堅く閉ざされ秋の風 大石喜美子 雨月 201212
中華街の赤門ぬける秋の風 杉浦典子 火星 201212
明石蛸を父の提げくる秋の風 浜口高子 火星 201212
木の股に猫のしつぽや秋の風 浜口高子 火星 201212
鈴鹿峰墨の染め分け秋の風 長崎桂子 あを 201212
晩年は色即是空秋の風 木村茂登子 あを 201212
野に咲く花のやうにありたし秋の風 すずき巴里 ろんど 201212
四つ角に来てちりぢりや秋の風 河村啓花 ろんど 201212
橋ほとり僧衣を返す秋の風 辻香秀 201301
一遍の遊行おもへば秋の風 島谷征良 風土 201301
野には野の山には山の秋の風 藤岡紫水 京鹿子 201301
この道は黄泉へ続くや秋の風 廣畑忠明 火星 201301
晩秋の風竹林に遊びをり 城戸緑 末黒野 201301
栴檀の木の失せ秋の風ばかり 大橋晄 雨月 201301
神木の裾より朽ちて秋の風 田邊豊子 201301
秋の風寸暇惜しむといふことを 岩岡中正 ホトトギス 201302
身はひとつ湯治寄り添ふ秋の風 大森尚子 風土 201302
月見坂登れば浄土秋の風 大森尚子 風土 201302
唐寺の七聯ゆらす秋の風 柿本麗子 千の祈り 201307
死人花なんぞでするな町興し 森田尚宏 201401
早暁に済ますリハビリ秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201310
水の辺に立つ立秋の風のいろ 中嶋昌子 春燈 201310
真夜の雨朝は上りて秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201310
秋の風ゑのころ草のそのあたり 木村茂登子 あを 201310
忘れもの取りに戻りぬ秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201310
日常を取り戻したる秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201310
一歩二歩三歩四歩や秋の風 神蔵器 風土 201310
移りゆく季節に追はれ秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 201310
行く水の音より速し秋の風 神蔵器 風土 201311
かつぽれを松に踊らす秋の風 山田六甲 六花 201311
初秋の風薄々と御堂筋 小原登志春 雨月 201311
初秋の風や山頂ハーブ園 伊藤純子 201311
閼伽桶の水をゆらせる秋の風 太田チエ子 末黒野 201311
野仏の彫り人知らず秋の風 藤丸誠旨 春燈 201311
秋の風トリコロールを掲ぐ店 栗原公子 201311
鰻屋のうの字跳ねゐる秋の風 藤田素子 火星 201311
口を出づ言葉千曲の秋の風 四條進 201312
草を食む眼下の牛や秋の風 片岡久美子 201312
つとふるる秋の風鈴ちりと鳴る 安藤久美子 やぶれ傘 201312
粗方の依怙地消えゆく秋の風 桑名さつき ろんど 201312
急ぐ水急がぬ雲や秋の風 戸栗末廣 201312
スケジュールなんとかこなせ秋の風 井日淳子 201312
廊曲がるたび新たなる秋の風 小林成子 火星 201312
里山のととのつてゆく秋の風 豊田都峰 京鹿子 201312
裏山に父母の声聞く秋の風 山本とく江 万象 201312
利根川をたどつて来る秋の風 白石正躬 やぶれ傘 201312
秋の風水辺は人の佇つところ 宮内とし子 201312
秋の風ものに憑かれた百日紅 佐藤喜孝 あを 201312
又手は胸に手を当つること秋の風 瀧春一 花石榴 201312
閉店か馴染みの老舗秋の風 羽賀恭子 201312
物差の長きを持たぬ秋の風 物江康平 春燈 201312
柏手を打てば初秋の風生まる 佐藤三男 万象 201312
バス待つも心愉しき秋の風 松村光典 やぶれ傘 201312
誰が阻むや極撰の秋の風 瀬川公馨 201401
増長天の鬚のちぢるる秋の風 西村節子 火星 201401
繋留のヨット舫ふや秋の風 井口淳子 201401
曲り屋をきちんと曲り秋の風 柴田佐知子 201401
騙し絵のドアーを開き秋の風 有本南陵 ろんど 201401
初秋の風のやさしく頬流れ 副島いみ子 ホトトギス 201401
翅散らしめ絮を舞はしめ秋の風 山田美恵子 火星 201401
秋の風葉擦れに目覚む閨の中 水野弘 ぐろっけ 201401
秋の風ハープ奏者の指の先 伊吹之博 京鹿子 201401
瓢箪を誇る暖簾や秋の風 松田和子 201401
傘鉾に潜む鈴の音秋の風 福山和枝 201401
黄泉からのものと思へり秋の風 松嶋一洋 201401
パントマイムふいに掴むや秋の風 関根瑶華 201401
湖の水面緑に秋の風 市川伊團次 六花 201403
玄関にいとこの立って秋の風 東英幸 船団 201403
吹けば掃き掃けば吹きたる秋の風 松本文一郎 六花 201403
討死の兵の手紙に秋の風 吉村摂護 201403
湿原のかげりを深め秋の風 森清信子 末黒野 201404
目も口も穴の埴輪を秋の風 故竹貫示虹 京鹿子 201409
後輩の墓に詣でる秋の風 森理和 あを 201409
銀河系宇宙に列し秋の風 井上石動 あを 201410
一軒の川宿のこと秋の風 井上信子 201410
秋の風青磁を白磁へ変へにけり 有松洋子 緑光 201411
被災地に吹く風もまた秋の風 後藤大 春燈 201411
一枚のぺージをめくる秋の風 鎌田悟朗 ろんど 201411
雪舟の画の中に僧秋の風 広渡敬雄 201411
柱なき穴も遺跡や秋の風 宮内とし子 201411
人波の一瞬とぎれ秋の風 有松洋子 201411
出張は黒づくめなり秋の風 柴田佐知子 201411
死ぬ前は草木となれ秋の風 有松洋子 201411
身の内に純子をとどめ秋の風 田しずえ 万象 201411
石垣に雲母(きらら)ひかれり秋の風 藤井美晴 やぶれ傘 201411
雨戸繰り初秋の風をきく朝 武生喜玖乃 雨月 201411
にはとりを見てゐるだけや秋の風 山田暢子 風土 201411
手のひらを返せば秋の風が来る 小林輝子 風土 201411
国宝の堂の一扉へ秋の風 秦和子 201412
吹き抜けの書院茶室や秋の風 飯田美千子 201412
波の穂の崩るる礁秋の風 遠藤清子 末黒野 201412
長椅子の赤い毛氈秋の風 笹村恵美子 201412
石垣に雲母(きらら)ひかれり秋の風 藤井美晴 やぶれ傘 201412
一日を終へたる紫煙秋の風 田中信行 201412
屋上はただ佇つところ秋の風 有松洋子 201412
他人の幸知らぬ顔して秋の風 江島照美 201412
煮えたぎるものに音あり秋の風 高橋将夫 201412
何事も過ぎて今年の秋の風 佐土井智津子 ホトトギス 201501
円柱に触れて廻れば秋の風 柴田佐知子 201501
モンローの裾ひるがへす秋の風 中谷富子 201501
頭陀袋かけて雲水秋の風 東野鈴子 雨月 201501
砂音の走る浜辺や秋の風 渡辺安酔 201501
スケボーの捩ぢり反しぬ秋の風 山尾玉藻 火星 201501
地球より重き遺句集秋の風 小島芦男 ろんど 201501
白孔雀つぶさに光り秋の風 水野恒彦 201502
弦のなきビオロン売らる秋の風 今井春生 201502
看板の大き地酒屋秋の風 山内碧 201502
秋の風ただ筆硯を友として 岩岡中正 ホトトギス 201503
晩秋の風高原のけもの道 西川みほ 末黒野 201503
ほふりゅう寺かはらぬものに秋の風 佐藤喜孝 あを 201505
町中になほ壁残し秋の風 遠藤迫遙子 風土 201507
かくれすふたばこのけむり秋の風 木下夕爾 春燈 201508
みづうみのここ北の果秋の風 大橋櫻坡子 雨月 201510
濡れ軍手引き剥がすとき秋の風 生田作 風土 201511
秋の風白い絵のある白い皿 藤井美晴 やぶれ傘 201511
猿石も吾れを見てをり秋の風 竹内弘子 あを 201511
秋の風 →6      

2021年10月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。