秋の風 3     134句

人の國の牛馬淋しや秋の風    飯田蛇笏

秋の風  秋風  金風  色無き風

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寄進せし瓦どこかに秋の風 中村昭義 百鳥 200402
頭髪を吹き抜けてゆく秋の風 大川嘉智香 築港 200402
銀色の仮面つけたり秋の風 沼田巴字 京鹿子 200402
泣き虫の母を泣かせる秋の風 北島上巳 酸漿 200402
足輕の脛にある布秋の風 佐藤喜孝 あを 200403
松籟の三つ石海岸秋の風 藤原りくを 八千草 200404
修院の生計偲ぶも秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 200408
犬柘植の実に然々と秋の風 堀内一郎 あを 200408
船中を走る人見え秋の風 今瀬剛一 対岸 200409
水底の遥かにありて秋の風 今瀬剛一 対岸 200409
瀧に立つぶつかつて来る秋の風 今瀬剛一 対岸 200409
仏像の手とは物言ふ秋の風 宮崎すみ 対岸 200409
さっきまで誰か居た椅子秋の風 松山律子 六花 200409
われもまた色なきをとこ秋の風 林翔 200410
秋の風見開き過ぎし涙かな 今瀬剛一 対岸 200410
心中にぽつかりと穴秋の風 今瀬剛一 対岸 200410
飴に芯あり秋の風秋の風 今瀬剛一 対岸 200411
秋の風花壇に残る支へ棒 恒川絢子 対岸 200411
秋の風少女の胸の貝ボタン 渡辺美代 対岸 200411
竈の火おとせばすでに秋の風 平千恵 春燈 200411
こまやかに波こまやかに秋の風 宮津昭彦 200411
爪切りし十指かろやか秋の風 横山茂子 200411
頂に貝殻の層秋の風 高木勝子 帆船 200411
雲中をぬけて札所や秋の風 谷村幸子 200411
黒松に秋の風透く一休寺 山口マサエ 雲の峰 200411
風を詠む狩行氏の句碑秋の風 喜多初枝 雨月 200411
湖ゆゑの遊歩は秋の風の中 豊田都峰 京鹿子 200411
托鉢の僧列去りて秋の風 近藤幸三郎 風土 200411
カリヨンの音のながれ行く秋の風 芝宮須磨子 あを 200411
彼の楠に振るるが慣ひ秋の風 堀内一郎 あを 200411
鴨を待つ沼ひろびろと秋の風 沢聰 馬醉木 200412
卒塔婆に墨黒ぐろと秋の風 飛高隆夫 万象 200412
蔓を持て眼鏡洗浄秋の風 富沢敏子 200412
秋扇あふげば秋の風生まる 松本圭司 200412
秋の風錦帯橋を丸く抜け 内山照久 200412
人に尾の名残りありけり秋の風 近藤喜子 200412
物寂びのはじまる頭秋の風 八田木枯 晩紅 200412
藍色の湖の深さや秋の風 大川智美 風土 200412
語らへば皆過去のこと秋の風 田中峰雪 雨月 200412
トアロードを曲がつてきたる秋の風 山尾玉藻 火星 200412
葛橋くものゆのごと秋の風 松崎鉄之介 200412
鐘撞けば音色連れ去る秋の風 木内美保子 六花 200412
焼菓子をほろほろ食へり秋の風 鈴木多枝子 あを 200412
書かぬ間に硯の乾き秋の風 八染藍子 200412
夫を知る花屋と話し秋の風 岡本眸 200412
うつ伏して舟の累々秋の風 岡本眸 200412
剥製の馬の耳立つ秋の風 鳴海清美 六花 200501
親しみし森は更地に秋の風 苑実耶 200501
うたた寝の頬に畳目秋の風 新井佐知子 遠嶺 200501
ひもすがら穴掘つてをり秋の風 近藤公子 200501
幻聴とまがふ旋律秋の風 泉田秋硯 200501
地獄絵の炎を煽る秋の風 木村仁美 馬醉木 200501
秋の風中華街より色持ちて 藤田かもめ ぐろっけ 200501
屋根失せし廃れサイロに秋の風 長洲元子 200501
堂奥の見える見えると秋の風 恒川絢子 対岸 200501
右腦より左腦に廻る秋の風 野澤あき 火星 200501
帰りにはうしろを秋の風吹けり 青山丈 200503
愛犬の逝きて淋しき秋の風 阿彦ふみ 200505
福耳の羅漢に至る秋の風 浦野里山 200505
向日葵の大き黒蕋秋の風 瀧春一 菜園 200509
巖群のゆらぐと見つつ秋の風 瀧春一 菜園 200509
秋の風グランドゼロをつつ抜けに 堀内一郎 あを 200509
折り鶴に多き鋭角秋の風 今瀬剛一 対岸 200510
湿原を吹き来て秋の風となる 大串章 百鳥 200510
朱雀門続く宮跡秋の風 浦松静子 築港 200510
まつ先に蜘蛛の巣にくる秋の風 戸栗末廣 火星 200511
一つ三つ十六羅漢秋の風 今瀬剛一 対岸 200511
秋の風壜の数だけ壜の口 今瀬剛一 対岸 200511
目覚むれば一日にして秋の風 牧原佳代子 酸漿 200511
秋の風生徒のおかつぱ散らしゆく 野田成子 酸漿 200511
新主宰擁し大会秋の風 沼口蓬風 河鹿 200512
往還の片側すでに秋の風 小山光彦 四葩 200512
人気なき芙美子の墓や秋の風 久本久美子 春燈 200512
木肌晒す鈴懸並木秋の風 松崎鉄之介 200512
れんこんの穴と辛子と秋の風 大島雄作 200512
秋の風ねぎらはれたるけとばし屋 荒井和昭 200512
心なし衰微のみ寺秋の風 東野鈴子 雨月 200512
さりげなく秋さりげなく秋の風 松本安弘 六花 200512
うづくまるひざの細さや秋の風 菊谷潔 六花 200512
この虫のしたり顔なり秋の風 菊谷潔 六花 200512
秋の風ジャングルジムを潜り抜け 高田佐土子 築港 200512
忘れてものしたやうに吹く秋の風 鎌倉喜久恵 あを 200512
髪梳くや鏡の中の秋の風 有働亨 馬醉木 200601
少年の老いて池塘に秋の風 川崎洋吉 遠嶺 200601
うたた寝の足に覚ゆる秋の風 大石たか 遠嶺 200601
西方の紫雲この世の秋の風 吉澤利治 遠嶺 200601
原木に籠る一魂秋の風 小林眞彦 遠嶺 200601
病室に本と鏡と秋の風 塩沢とき子 対岸 200601
弥陀ケ原美女平にも秋の風 高橋将夫 200601
秋の風埴輪幼き目をもてる 藤田登久 百鳥 200601
猪の鼻向けて聞く秋の風 三関浩舟 栴檀 200601
思ふこと裏目に出でし秋の風 舩越美喜 京鹿子 200601
納骨の骨コツと鳴る秋の風 中川美代子 ぐろっけ 200601
孝行の二字糺さるる秋の風 大橋麻沙子 雨月 200601
ゆくりなく友の訃音や秋の風 牧原佳代子 酸漿 200601
竜安寺石にしみ入る秋の風 牧原佳代子 酸漿 200601
壬生寺の灯の一つ漏れ秋の風 近藤幸三郎 風土 200601
芥子漬一歯に沁みる秋の風 木内美保子 六花 200601
吊橋の天上天下秋の風 岩岡中正 ホトトギス 200602
宇陀千軒訪うてかそけき秋の風 本城布沙女 雨月 200602
田の中のハム工房や秋の風 安永圭子 風土 200602
追ひかけてゆくものばかり秋の風 舩越美喜 京鹿子 200602
座りたる椅子白ければ秋の風 岩岡中正 ホトトギス 200603
味すぐるなまり豆腐や秋の風 久保田万太郎 春燈 200603
将門の魂を鎮めて秋の風 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
影のあるところに生れ秋の風 稲畑汀子 ホトトギス 200609
膝の皿を盆とし食す秋の風 大橋敦子 雨月 200609
山墓の香煙流れ秋の風 福盛悦子 雨月 200610
いきものにうしろすのがた秋の風 佐藤喜孝 あを 200610
巻尺のするりともどる秋の風 出来由子 200611
関衛る狛犬阿吽秋の風 島田山流 春燈 200611
今年はも胸内抜くる秋の風 大橋晄 雨月 200611
遠野なる姥捨の野や秋の風 岡光子 酸漿 200611
鞴見て外に出づれば秋の風 浜田南風 200612
通勤のジーンズ禁止秋の風 倉持梨恵 200612
秋の風くぐらせる窓ありにけり 倉持梨恵 200612
秋の風千年楠の洞に吹く 府川鈴 200612
葬送の人らに吹きて秋の風 古田考鵬 雨月 200612
後より亡き人の声秋の風 安達風越 雨月 200612
秋の風石より腰を浮かしたる 佐藤喜孝 あを 200612
森の中あけび色した秋の風 安部里子 あを 200612
両の手で白湯飲み干せり秋の風 篠田純子 あを 200612
幅五尺袋小路の秋の風 森裕子 200612
一畳の天地吹き抜け秋の風 桑田青虎 ホトトギス 200701
射的場の与一に吹きまし秋の風 陳錫恭 春燈 200701
麒麟仰ぐ車椅子の児秋の風 折橋綾子 200701
人はみな老いにけるかな秋の風 古田考鵬 雨月 200701
柳御所跡や無尽の秋の風 落合絹代 雨月 200701
別れたる人の面影秋の風 舩越美喜 京鹿子 200701
千住大橋「細道」偲ぶ秋の風 舘泰生 風土 200701
針を持つ手の甲過ぐる秋の風 大須賀容子 遠嶺 200702
身ほとりの透くばかりなり秋の風 川畑はるか 遠嶺 200702
話のみち迷ふ老母や秋の風 野村智恵子 八千草 200704
夜景から吹き上げきたる秋の風 山田六甲 六花 200709
秋の風→4      

 

2021年10月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。