赤蜻蛉 1       605句

小春日や石を噛み居る赤蜻蛉    村上鬼城

蜻蛉  赤蜻蛉 とんぼ 糸とんぼ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
杉の秀の狭めし空を赤とんぼ 岸恒雄 春耕 199811
赤とんぼ山で染まりて里へ来る 松崎鉄之介 199811
一本の杭を好める赤蜻蛉 本多寿美子 雨月 199811
轆轤蹴る少年の背に赤とんぼ 水原春郎 馬醉木 199811
幾百の魂涌くごとく赤蜻蛉 村瀬初実 春耕 199901
ケンケンで来て石段の赤とんぼ 中林明美 ヒッポ千番地 199905
風もなし木落し坂の赤とんぼ 阿部ひろし 酸漿 199910
わが影に羽休めをり赤とんぼ 岡田房子 酸漿 199910
三界の草を枕に赤トンボ 丸山佳子 京鹿子 199910
赤蜻蛉繕ひ済みし鶏の小舎 皆川盤水 春耕 199910
黒牛の腰に止まるや赤とんぼ 杉阪大和 春耕 199910
赤蜻蛉母子観音に遊びをり 中島徳子 酸漿 199911
石のぬくさ覚えて赤とんぼが停まる 宮津昭彦 199911
家跡に石段のあり赤とんぼ 笹家栄子 199911
パレードを連れてきさうな赤とんぼ 小澤克己 遠嶺 199911
赤とんぼ掻きわけゆくや霧ヶ峰 鷹羽狩行 199912
水葬なんて舳先ぐるぐる赤トンボ 阿辺一葉 海程 199912
重なり合う風のすきまの赤とんぼ 河野志保 海程 199912
赤とんぼ唐傘連判状の碑に 松崎鉄之介 199912
赤とんぼ見ている双眼鏡見られ 日吉わたる 船団 199912
赤とんぼ午後の時間のたっぷりと 鶴濱節子 船団 199912
赤蜻蛉野菜炒めの出来上る 東莎逍 船団 199912
赤蜻蛉丘の団地の大通り 白石秀雄 酸漿 200001
赤蜻蛉少し邪魔なバット振る 松沢久子 いろり 200001
グランドに影ながかりし赤とんぼ 山村桂子 遠嶺 200001
赤とんぼ郵便局の貸眼鏡 三上冨佐子 ぐろっけ 200001
赤とんぼ水車小屋まで祖母呼びに 田中藤穂 水瓶座 200002
遊歩道峠へ出でぬ赤とんぼ 田中藤穂 水瓶座 200002
人さらいが来るという坂赤とんぼ 星野早苗 空のさえずる 200002
太古より虚空を流離う赤蜻蛉 尾上有紀子 わがまま 200002
赤蜻蛉汝も動かぬこと好きか 嶋田一歩 ホトトギス 200004
置き去りにされた子に来る赤とんぼ 白倉ボラン ヒッポ千番地 200008
赤蜻蛉子の忌近づく水の音 朝妻力 俳句通信 200009
索道の谷埋むごと赤とんぼ 立島あきら 春耕 200010
赤とんぼ光源定期点検中 中原幸子 遠くの山 200010
四阿に忘れ帽子や赤とんぼ 水原春郎 馬醉木 200011
水音の高まる夕べ赤蜻蛉 丹羽啓子 馬醉木 200011
母の家遥かに置きて赤蜻蛉 天野きく江 200011
斎田の空にとどまる赤とんぼ 生田恵美子 風土 200011
赤とんぼ時間旅行の途中かな 小澤克己 遠嶺 200011
赤とんぼハーブの匂ふ資料館 高村洋子 遠嶺 200011
弟が逃がしてしまひ赤とんぼ 伊藤宇太子 200011
赤とんぼ藍の帽子に似合ひたる 渕江千代 酸漿 200011
揖斐川に隣し城趾赤とんぼ 深川知子 俳句通信 200011
赤とんぼ火床へ送る友増えて 禰寝瓶史 京鹿子 200011
赤とんぼ四郎の指先迂回して 岩尾みち子 京鹿子 200011
渋滞のありさうでなき赤蜻蛉 大川泉舟 200011
子の高さ母の高さに赤とんぼ 杉阪大和 春耕 200011
放課後の空いつぱいの赤蜻蛉 唐沢静男 春耕 200011
揺れに身をゆだねて枝の赤とんぼ 山本潤子 いろり 200011
赤とんぼグランドゴルフ見ていたり 篠田三七子 いろり 200011
赤とんぼ一ッ時群れて消へにけり 松沢久子 いろり 200011
赤蜻蛉どつときて舞ふ鍬の先 能勢真砂子 馬醉木 200012
入母屋や夕日に映えて赤蜻蛉 矢嶋英子 遠嶺 200012
夕刊を受取る庭に赤とんぼ 小倉恵都子 風土 200012
川風に押しもどさるる赤とんぼ 田中英子 火星 200012
山頂に空ありあまる赤とんぼ 宮崎直子 200012
赤トンボ群れて少女の輪の中に 柴田美佐子 いろり 200012
棒切れを持てばやんちやに赤とんぼ 福島茂 200101
抽出の古りし墨痕赤蜻蛉 阿部昭子 遠嶺 200102
真っ直ぐに飛ぶに飛べない赤とんぼ 武井康隆 船団 200103
赤とんぼ指切れさうな葉に止まる 橋場千舟 船団 200103
駄菓子屋に並ぶ自転車赤とんぼ 木下仁司 200109
かわされていなされてなお赤蜻蛉 秋尾敏 火星 200109
「楠公精神発揮せよ」終戦の日の赤とんぼ 堀内一郎 あを 200109
赤とんぼ園の稲田を飛交へり 増田八重 酸漿 200110
赤とんぼ両手をあげて子の走る 酒井多加子 俳句通信 200110
まだ赤くなれずに庭の赤蜻蛉 谷野由紀子 俳句通信 200110
芭蕉像の矢立に憩ふ赤とんぼ 渡辺美知子 200110
さざ波をたたむみづうみ赤とんぼ 宮川みね子 風土 200111
赤とんぼ飛ぶや林檎に朱を点じ 大串章一 百鳥 200111
地鎮祭神主の肩赤とんぼ 大田かづみ いろり 200111
本当の雲に乗りたい赤とんぼ 熊谷みどり いろり 200111
棒杭を打てばすぐ来る赤とんぼ 小林螢二 春耕 200111
磨崖仏とりまきて飛ぶ赤とんぼ 大畠政子 雨月 200112
とどまりし蜻蛉も赤き目を持てる 白岩三郎 馬醉木 200112
赤とんぼひらりと夫が消えにけり 岸田爾子 200112
赤とんぼの臀呫の群るる単線駅 小堀眞由美 200112
南谷に恋の生るる赤とんぼ 鈴木とおる 風土 200112
参道の観音像に赤とんぼ 茂木とみ いろり 200112
林泉に小舟の朽ちて赤とんぼ 中島恭子 百鳥 200112
赤とんぼ運動場をよぎりけり 小田玲子 百鳥 200112
母校いま共学となり赤とんぼ 佐藤京子 百鳥 200112
閼伽棚に羽伏せてをり赤蜻蛉 網野茂子 酸漿 200112
赤とんぼ杖にとまりて吾を見る 浮田胤子 ぐろっけ 200112
赤蜻蛉往き来す山頂県境 坂口みほ子 ぐろっけ 200112
蒼天に一つ動かぬ赤とんぼ 中村興人 酸漿 200201
切株は日矢のぬくもり赤とんぼ 山室キミ子 銀化 200201
巨石に鬼の手形や赤とんぼ 小林共代 風土 200201
赤とんぼ翔びゆく先に師の忌日 早坂静生 風土 200201
赤とんぼ暮れ残りたる峡の底 久保田由布 ぐろっけ 200201
風を乘り分けて飛びをり赤とんぼ 進菁亀 円虹 200202
赤蜻蛉柩の小窓噛みゐたり 鈴木夢亭 春耕 200202
泣きじやくるかごめの輪の中赤蜻蛉 田彰子 船団 200202
川添ひの道を選べば赤蜻蛉 北畠明子 ぐろっけ 200202
故郷に身寄りの減りし赤とんぼ 山本潤子 いろり 200203
赤とんぼ安堵の翅をたたみける 宮原みさを 花月亭 200208
赤とんぼ組体操の崩れたる 波田美智子 をりをりに 200208
誰を待つ有料駐車に赤とんぼ 丸山佳子 京鹿子 200209
大の字に水に浮きたる赤蜻蛉 吉成美代子 あを 200209
眼帯を外すや確と赤とんぼ 水原春郎 馬醉木 200210
その道のプロの目になり赤とんぼ 丸山佳子 京鹿子 200210
赤とんぼ父権は遠く氏素姓 鈴鹿仁 京鹿子 200210
とどまると見せて反転赤とんぼ 関本真一郎 帆船 200210
無遠慮に胸の前とぶ赤とんぼ 大橋敦子 雨月 200210
入相の風を染めゐる赤蜻蛉 川野喜代子 雲の峰 200210
朝と夕餌金に餌赤蜻蛉 森理和 あを 200210
薔薇園の夕日に飛べり赤とんぼ 三宅句生 馬醉木 200211
夕陽より吐かれて増ゆる赤トンボ 寺田千代子 京鹿子 200211
滑走路の先は外つ国赤とんぼ 有山八洲彦 200211
赤とんぼ供へて水の甘からむ 神蔵器 風土 200211
新しき句碑の上とぶ赤蜻蛉 塩川雄三 築港 200211
類は類呼んで集まる赤蜻蛉 塩川雄三 築港 200211
赤とんぼ丸太の橋を一歩づつ 木下野生 200211
赤とんぼ追ふ子カメラで捉へたる 辻田明 200211
安逸に湧いて野面の赤とんぼ 下村志津子 銀化 200211
赤とんぼ湧くが如くにして湖畔 河中透水 雨月 200211
フオツサ・マグナの露頭の濡るる赤とんぼ 陣野今日子 風土 200212
赤とんぼ野を行く人の心読み 清水晃子 遠嶺 200212
花舗の前行きつ戻りつ赤蜻蛉 佐野静子 遠嶺 200212
行商の荷や赤蜻蛉つけていく 須佐薫子 帆船 200212
香煙の揺らじ墓石に赤とんぼ 柿沼利男 帆船 200212
赤とんぼ湖の上畑の上 大串章 百鳥 200212
はぐき出し笑ふ仔馬と赤とんぼ 松木桂子 200212
かほにあたる蜻蛉の群れ赤かりし 竹内悦子 200212
階を登る女と赤蜻蛉 竹中一花 200212
喪の庭にゆきつ戻りつ赤とんぼ 河野友子 六花 200212
高麗川の清き流に赤とんぼ 渡辺初枝 酸漿 200212
濯場に笊干されあり赤とんぼ 東芳子 酸漿 200212
川舟の流れのままに赤とんぼ 水田清子 200212
病棟の窓に見つけし赤蜻蛉 坂口三保子 ぐろっけ 200212
涼新たジャズメンの弾く赤とんぼ 宮澤美和子 百鳥 200212
つんつんと触れ夕映えの赤蜻蛉 及川茂登子 対岸 200212
頷いて逝つてしまへり赤とんぼ 冨田はるみ 対岸 200212
憧れの映画の街へ赤とんぼ 土岐明子 遠嶺 200212
上州のこけしずつしり赤とんぼ 高村洋子 遠嶺 200212
赤とんぼ去りにし日々の美しく 三沢蘭 遠嶺 200212
日の屑のやうに群れけり赤とんぼ 南孝 円虹 200301
赤とんぼホームプレート影に入る 福地真紀 百鳥 200301
赤とんぼ宮司の頭上はばからず 高柳かつを 百鳥 200301
赤とんぼ止まれと追ひし小さき指 砂川せい輝 遠嶺 200302
客僧の大きな鞄赤とんぼ 田中聡子 遠嶺 200302
あの山へ行けたらいいな赤とんぼ 森理和 あを 200302
本堂の前が縄張り赤蜻蛉 塩出眞一 ぐろっけ 200302
赤蜻蛉原子炉2号機停止せり 浦川聡子 水の宅急便 200305
おもひおもひらくがき天にあかとんぼ 西山美枝子 酸漿 200305
赤とんぼ薬草園を塒とし 品川鈴子 ぐろっけ 200309
赤とんぼ宙で素早く掴まえる 筒井圭子朗 ぐろっけ 200309
篁の間の空より赤とんぼ 加藤富美子 200310
夕日赤々燃えつきさうな糸蜻蛉 東野鈴子 雨月 200310
赤とんぼ吾の帽子に二つ三つ 近藤豊子 雨月 200310
山頂や踏まんばかりの赤とんぼ 江頭文子 雨月 200310
赤とんぼ工事現場に群るるかな 沖増修治 百鳥 200310
夫知らぬ旅をしてをり赤蜻蛉 田中藤穂 あを 200310
赤とんぼ抱けと幼子両手開く 高橋信佑 あを 200310
嶺青く囲む街空赤とんぼ 渡邉友七 あを 200310
赤とんぼいつまで待てどわれは來ず 佐藤喜孝 あを 200310
赤蜻蛉もんぺの祖母の現れし 堀内一郎 あを 200310
向きかへて用ある如し赤蜻蛉 渡辺初枝 酸漿 200311
飛鳥川風に吹かるる赤蜻蛉 浦松静子 築港 200311
開け放つ縁から居間へ赤とんぼ 宮村操 築港 200311
赤とんぼ水平飛行して静止 藤田八重子 築港 200311
何もなき空をたのしみ赤蜻蛉 秋岡朝子 200311
大江山に消えてゆきたる赤とんぼ 近藤きくえ 200311
月山へ沈む夕日や赤とんぼ 三宅句生 馬醉木 200311
赤とんぼ水棹は夕陽したたらせ 高橋あゆみ 200311
鉄塊の宙へかるがる赤とんぼ 宇都宮滴水 京鹿子 200311
赤とんぼう若ければ緋をつくしける 和田敏子 雨月 200311
空広し空を青しと赤とんぼ 指尾直子 雨月 200311
赤とんぼ水子地蔵にとまりけり 石原勢津子 雨月 200311
赤とんぼ特急待ちの長停車 芝尚子 あを 200311
本殿の屋根高く越え赤蜻蛉 石川敬子 対岸 200311
先づまづの洗濯指数赤とんぼ 野中啓子 200312
吊橋の手摺りに止まる赤とんぼ 高木昌子 築港 200312
夕風にからまれわれも赤とんぼ 山崎靖子 200312
子等の声届く高さを赤蜻蛉 足立典子 雨月 200312
保育所のお昼寝タイム赤とんぼ 長田曄子 火星 200312
赤蜻蛉飛び交ひ谷を深くせり 平野貴 対岸 200312
赤とんぼたたまぬ翅の輝けり 浅田光蛙 対岸 200312
金閣寺の池に小波赤とんぼ 河中スエ子 200312
土手ゆくやぶつかりさうに赤とんぼ 岡田弘子 百鳥 200312
堰越ゆる水はあたらし赤とんぼ 遠野萌 200312
赤とんぼ水棹は夕日したたらせ 高橋あゆみ 200401
湧くやうに瑞穂の国の赤とんぼ 鮎川富美子 200401
赤とんぼ東洞院西へ行く 藤本純子 京鹿子 200401
赤とんぼ夕日の匂ひ運びくる 岩田育左右 遠嶺 200401
赤とんぼ頭に止りたる影法師 田宮勝代 酸漿 200401
赤とんぼ池過りては掠めては 永岡セツ 酸漿 200401
赤蜻蛉ジャングルジムをほしきまま 石原光徳 酸漿 200401
道なりに行けば三室山の赤とんぼ 矢野節子 草の花 200401
タンカーの完成間近赤とんぼ 石見邦慧 200402
赤とんぼ一匹二匹わつとゐる 久保知音 対岸 200402
赤とんぼ野外授業を覗きをり 阿部一彦 築港 200402
来しかたに涙のにじむ赤とんぼ 菊谷潔 六花 200402
赤蜻蛉空染めてゆくそめてゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200409
赤蜻蛉火星に色を貰ひしか 稲畑廣太郎 ホトトギス 200409
赤とんぼ瀧風に押し戻されし 今瀬剛一 対岸 200409
赤トンボそこはパットのライン上 松山律子 六花 200409
まろやかな石渡りゆく赤とんぼ 水田清子 200409
梅花藻の流れを外れ赤蜻蛉 長村雄作 栴檀 200410
子等が追ふ雨紅の里の赤とんぼ 福澤乙 酸漿 200410
楼門の扁額旧りぬ赤蜻蛉 辻井桂子 雲の峰 200410
魂のかさりと触れて赤とんぼ 今瀬剛一 対岸 200410
今朝の杖いづこへ曳かん赤蜻蛉 野崎たか志 築港 200410
赤蜻蛉東に三笠西生駒 野崎たか志 築港 200410
子午線を行つたり来たり赤とんぼ 山田六甲 六花 200410
絵日記に飛立ちさうな赤とんぼ 吉成美代子 あを 200410
少年の自転車に蹤く赤とんぼ 平田はつみ 馬醉木 200411
赤蜻蛉柵一列にわれを待つ 山田清香 酸漿 200411
赤とんぼすれちがひつつ増え来る 長田秋男 酸漿 200411
東は建築中なり赤とんぼ 高尾豊子 火星 200411
赤とんぼ鍬を休めしときふえし 下田栄子 対岸 200411
丁寧に金箔を押す赤蜻蛉 福島寿重子 帆船 200411
いつの世も幼子たのし赤とんぼ 大串章 百鳥 200411
牛の背に止まりなほせり赤蜻蛉 横森みゆき 雲の峰 200411
雲にあそぶ上の棚田の赤とんぼ 神蔵器 風土 200411
赤蜻蛉乱舞に規律あるらしく 間島あきら 風土 200411
校庭の蛇口節水赤とんぼ 芝尚子 あを 200411
風きって風にのりゆく赤とんぼ 彦坂範子 ぐろっけ 200411
赤蜻蛉おもへば夫は死上手 岸田爾子 200412
渓流のしぶきに増ゆる赤とんぼ 大坪景章 万象 200412
赤とんぼ翻りては色深む 金子孝子 200412
一服の鍬の柄にくる赤とんぼ 深田稚敏 200412
赤とんぼ里の匂ひを運び来る 今村能子 遠嶺 200412
沼杉の葉ずれの音や赤とんぼ 村瀬八千代 遠嶺 200412
肩寄せて水子地蔵や赤とんぼ 宮川迫夫 遠嶺 200412
赤とんぼ異郷に会へばなほ親し 高村洋子 遠嶺 200412
赤とんぼ群れ青天の伊勢句会 中島紅からす 草の花 200412
赤とんぼ夕日さがしに峰めざす 宇都宮滴水 京鹿子 200412
赤岳の稜線尖る赤蜻蛉 山本浪子 風土 200412
赤とんぼ浅間山は灰を降らしけり 山本浪子 風土 200412
初恋の啄木の歌碑赤とんぼ 川井政子 風土 200412
赤蜻蛉無人駅舎を通り抜け 石井和子 帆船 200412
赤とんぼ二人揃つてやつて来し 沖増修治 百鳥 200412
赤とんぼ腕に止りてかすかな風 早崎泰江 あを 200412
一塊の八ヶ岳一群の赤蜻蛉 山本浪子 風土 200501
下りて行く南谷より赤とんぼ 井口ふみ緒 風土 200501
赤とんぼこの村にこの子がひとり 木下野生 200501
何処までの晴天わつと赤蜻蛉 古宇田敬子 対岸 200501
身体から影の離れて赤とんぼ 後閑達雄 対岸 200501
碧落に赤の線描き赤蜻蛉 池田倶子 雨月 200501
飛行機の原型として赤とんぼ 森津三郎 京鹿子 200501
風と来て夕日に帰る赤とんぼ 三浦永子 京鹿子 200502
さう言へば今年まだ見ぬ赤とんぼ 金國久子 遠嶺 200502
赤トンボふるさとの兄さがしおり 松澤茂 200503
潮風に乗り赤とんぼ翅眩し 山田桃子 200505
眠る子の寝言の中の赤とんぼ 近藤貞子 六花 200508
赤蜻蛉檜山杉山ながめ倦きぬ 瀧春一 菜園 200509
赤蜻蛉吾前でつと向きを変ふ 堀田綾子 築港 200509
わつと来てゐなくなりたる赤とんぼ 高橋将夫 200510
休耕の畑に飛び交ふ赤蜻蛉 先崎きくよ 酸漿 200510
赤とんぼ少女の駆けるあかい橋 鈴鹿仁 京鹿子 200510
風渡る富士の霊園赤蜻蛉 大関とし子 築港 200510
子を抱く羅漢のつむり赤とんぼ 疋田華子 万象 200511
逆茂木を巡らす城跡赤とんぼ 池田光 200511
赤とんぼこの快晴にこの悼み 小澤克己 遠嶺 200511
川面より遠嶺へ影の赤とんぼ 小澤克己 遠嶺 200511
赤とんぼアトムの歌を唄おうか 小澤克己 遠嶺 200511
干せばすぐ乾ける野良着赤とんぼ 釜井瞳子 対岸 200511
御老師の話の中へ赤とんぼ 村田さだ子 酸漿 200511
赤蜻蛉子連れで来たるボランティア 北嶋薫 築港 200511
ニアミスは仲良き証赤とんぼ 清水公治 200512
紙を干す乙女の肩に赤とんぼ 青木政江 酸漿 200512
草刈つて空平らなり赤蜻蛉 谷合青洋 酸漿 200512
赤蜻蛉指回しつつ見つめをり 牧原佳代子 酸漿 200512
赤とんぼ高々と飛ぶこの日射 青木陽子 酸漿 200512
撓みたる葉先に揺るる赤とんぼ 竹山みや子 築港 200512
肩車まへにうしろに赤トンボ 木村茂登子 あを 200512
一翔がたちまち百に赤とんぼ 伊藤伴子 四葩 200601
赤とんぼ真昼の月を過りけり 前田忍 火星 200601
赤とんぼ群離るるは高く飛び 山本吉人 200601
赤とんぼ雲の縁より日が覗き 佐々木建成 百鳥 200601
赤とんぼサッカー教室開講す 石川英利 百鳥 200601
時の鐘鳴れば飛びたつ赤とんぼ 大西八州雄 万象 200601
駄菓子屋の横丁をぬけ赤蜻蛉 大西八州雄 万象 200601
巨人軍練習場の赤蜻蛉 大久保白村 ホトトギス 200602
大空に向くる手の先赤とんぼ 道給一恵 遠嶺 200602
浄土へと続く蒼宵赤とんぼ 佐々木はな子 遠嶺 200602
日に甘え十一月の赤とんぼ 西山美枝子 酸漿 200602
富士駅発富士宮着赤蜻蛉 嶋田一歩 ホトトギス 200603
睨らめつこ手首に憩う赤とんぼ 丸山冬鳳 京鹿子 200603
指に止まり湯の町見下ろす赤蜻蛉 松井和恵 八千草 200604
竿揺らすことなく発てり赤とんぼ 宮森毅 六花 200605
赤とんぼ木賊にすがり石に伏せ 瀧春一 常念 200606
赤蜻蛉谷深き日に舞ひよどむ 瀧春一 常念 200606
赤とんぼが掴む背広の毛の匂ひ 瀧春一 瓦礫 200606
切株に段差のありて赤とんぼ 小阪喜美子 二輪草 200606
赤とんぼ柱の花として見上ぐ 丸山佳子 京鹿子 200609
赤蜻蛉風の高さに群をなす 岡田麻枝 酸漿 200610
身を振つて都電楽しや赤とんぼ 岡本眸 200610
閼伽桶の縁を離れぬ赤とんぼ 田村園子 200611
赤とんぼ渓に生れて虹映ゆる 竹下幸子 火星 200611
天安門人波の上の赤とんぼ 渡邊美保 火星 200611
一文字瓦の上の赤とんぼ 小澤克己 遠嶺 200611
赤とんぼ一茶の風に乗りにけり 外川玲子 風土 200611
火の山を鎮め降りくる赤とんぼ 鈴木庸子 風土 200611
乳母車に身じろぎもせぬ赤蜻蛉 杉本薬王子 風土 200611
一二匹列はなれをり赤とんぼ 丹羽敦子 酸漿 200611
たましひの数だけ墓地の赤とんぼ 樋口みのぶ 200611
とんぼ赤し浮島丸の受難の碑 吉田裕志 200612
堀川をめぐりてゐたる赤とんぼ 松下八重美 200612
赤とんぼ碧き海へとつづく道 林友次郎 遠嶺 200612
赤とんぼ骨董品の並ぶ街 西澤ひで子 遠嶺 200612
里川に沿ふ風のあり赤蜻蛉 岡本直子 雨月 200612
赤とんぼ風に断層あるらしく 松本恒司 ぐろっけ 200612
電動の草刈る音と赤とんぼ 助口弘子 火星 200612
庭の日に影ともなひて赤とんぼ 鈴木幾子 酸漿 200612
赤とんぼモデルハウスに影流す 笹村政子 六甲 200612
抱きし児に涙ふた粒赤とんぼ 斉藤裕子 あを 200612
呼んでみて何んでもないの赤とんぼ 篠田純子 あを 200612
赤とんぼ宙に止まり木あるごとし 青木朋子 200612
子育ての頃なつかしや赤とんぼ 柴野静 200701
水浴びの鳩のま上を赤とんぼ 大坪景章 万象 200701
赤とんぼ棒杙のごと佇てば来る 笠原ひろむ 200701
追伸のやうに影くる赤とんぼ 尾崎久子 ぐろっけ 200701
友去りし家の周りに赤蜻蛉 伊勢ただし ぐろっけ 200701
上潮に翅をぬらせり赤とんぼ 百瀬七生子 海光 200705
もの忘れわすれぬ唄に赤とんぼ 堀内一郎 あを 200709
蜻蛉の空赤々と句集生る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
赤とんぼ止まりし草の動かざる 児玉修 200710
天女出づ目付柱に赤蜻蛉 品川鈴子 ぐろっけ 200710
赤とんぼ佐渡へ向ってつぎつぎに 堀内一郎 あを 200710
赤とんぼとまれる指を天へ向け 滝沢伊代次 万象 200711
赤とんぼ人の匂ひを慕ひくる 金井充 百日紅 200711
干し網に綾なし群るる赤とんぼ 中江恵子 200711
赤とんぼ群れたる川の流れかな 竹内悦子 200712
鍵かけぬ山里ぐらし赤とんぼ 駒形祐右子 万象 200712
赤とんぼにはかに故郷近くなる 堤湖舟 万象 200712
赤とんぼモザイクめける分譲地 望月洋子 200712
赤とんぼ宙に陣張る古戦場 長谷川閑乙 馬醉木 200712
赤蜻蛉ぐるみ木道ゆづりけり 鈴木まゆ 馬醉木 200712
太極拳の指を離れず赤蜻蛉 窪田粧子 馬醉木 200712
この空の青き中ゆく赤とんぼ 渡辺暁 酸漿 200712
自販機へ来て止りをる赤とんぼ 渡辺暁 酸漿 200712
防人の歌碑に縋れり赤とんぼ 花岡豊香 酸漿 200712
ベビー服を干すログハウス赤とんぼ 名取袿子 200801
指先は風の重さの赤とんぼ 木山杏理 京鹿子 200801
赤とんぼ形見のめがね磨かねば 村田冨美子 京鹿子 200801
しあはせな人に集まる赤とんぼ 倉持梨恵 200801
気圧されて空に止まりし赤蜻蛉 岡敏恵 ぐろっけ 200801
赤とんぼ子に安心の家があり 奥田紀子 200801
洗濯場は竹筏ツーバイ寄せ場赤とんぼ 小泉三枝 春燈 200802
赤蜻蛉縫れる二羽に肩を貸す 藤澤希宗子 ぐろっけ 200802
木造の学舎今に赤とんぼ 大山妙子 酸漿 200802
赤蜻蛉風の中から風生まれ 浅田光喜 絵巻物 200806
赤とんぼ門扉とざせる遊園地 金山雅江 春燈 200808
湖へ案内役の赤とんぼ 府川房江 母の空 200808
播州は赤とんぼの歌似合ふ里 有元文子 風土 200809
赤蜻蛉遊べりここは国境 金田美恵子 ぐろっけ 200809
赤とんぼ園の芝生に群なして 吉成美代子 あを 200810
介護にも賜はる休暇赤とんぼ 宮崎左智子 200811
石にとまり石とはならぬ赤とんぼ 上原重一 200811
赤とんぼ風と遊べり山の湖 水原春郎 馬醉木 200811
水杙に水のたはごと赤とんぼ 藤井寿江子 馬醉木 200811
赤とんぼ童画の空がそこにある 足立典子 雨月 200811
赤とんぼ賽の河原を往き来せり 青山悠 200811
田まはりの前もうしろも赤とんぼ 小山漂葉 酸漿 200811
溶岩跡に断たれし道や赤蜻蛉 松井倫子 火星 200811
一般車入れぬ林道赤とんぼ 鈴木庸子 風土 200811
赤とんぼ増えて戦ふ事をせり 辻直美 200811
風にゆき風にかへりし赤蜻蛉 菅原健一 200811
赤とんぼ出水のあとに戻りけり 長崎桂子 あを 200811
風よりも夕日に流れ赤蜻蛉 丹羽啓子 馬醉木 200812
夕風に流るる牧の赤とんぼ 森ひろ 馬醉木 200812
一瞬の空の貼絵や赤蜻蛉 湯川雅 ホトトギス 200812
赤とんぼとまるベンチの端を借る 安西可絵 200812
赤蜻蛉山下りて来る登りくる 中村恭子 200812
赤とんぼ追ふをためらふ妻の肩 宇佐見正 200812
赤とんぼ龍野は鉤手径多く 小澤菜美 200812
観戦の椅子の背にをり赤とんぼ 新井青葉 炎環 200812
ひも結び教へをりけり赤とんぼ 鳥居恭宏 遠嶺 200812
人の鞄に不良を知らぬ赤とんぼ 丸山佳子 京鹿子 200812
赤とんぼ仕種ゆたかな妻に蹤く 松本鷹根 京鹿子 200812
分校に音符あそびの赤とんぼ 山中志津子 京鹿子 200812
田の上の風に止まりし赤蜻蛉 庄司久美子 200812
光と風大空に満つ赤とんぼ 宮川みね子 風土 200812
赤とんぼ水辺の空をすこし飛ぶ 外川玲子 風土 200812
釣竿に半ば翅伏す赤蜻蛉 遠藤逍遙子 風土 200812
赤とんぼ四角き句碑の上を飛ぶ 堤内久美子 六花 200812
足弱の父を追ひ越し赤とんぼ 鈴木しのぶ 200901
いくたびも同じ穂先に赤とんぼ 大山春江 万象 200901
故郷の野山を前に赤蜻蛉 小林定雄 酸漿 200901
我が手にも幼なの手にも赤蜻蛉 萩原渓人 やぶれ傘 200901
赤とんぼ群れる高さに風のあり  涌羅由美 ホトトギス 200902
泣きじやくる童子の肩に赤とんぼ 杉本絢之助 万象 200902
午後五時にチャイム鳴る町赤とんぼ 杉良介 200909
川沿ひに風の道あり赤とんぼ 竹貫示虹 京鹿子 200909
甲子園球場工事赤蜻蛉 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
赤蜻蛉水を歪めてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
かたまると見せては散つて赤とんぼ 鷹羽狩行 200910
赤とんぼ頭大きな子が好きで 山尾玉藻 火星 200910
赤とんぼ指さしてみてひとりかな 長谷川照子 春燈 200910
色里に遊びし子規や赤とんぼ 二宮一知 万象 200910
半蔵の峠を越ゆる赤とんぼ 伊藤敬子 200910
腕に来て翅を下げきる赤とんぼ 森理和 あを 200910
やんちゃ眼がす早く捉へ赤蜻蛉 和円郁子 200911
風の中嵯峨野の尼寺へ赤とんぼ 岡佳代子 200911
きのふ三つけふは十に赤蜻蛉 水谷洋子 十進法 200911
赤とんぼ妊婦ゆつくり座りをり 篠原まどか 炎環 200911
指に来てあしたの空の赤とんぼ 神蔵器 風土 200911
人気なき午後の漁港や赤蜻蛉 綱徳女 春燈 200911
赤とんぼ入日まみれに生くる証し 小山繁子 春燈 200911
赤とんぼ居場所探してとんでゆく 池田光子 200911
赤とんぼ草をしならす重さあり 吉沢陽子 200911
舫ひ舟きのふの位置に赤とんぼ 吉沢陽子 200911
赤とんぼ群れて岸辺を広げをり 吉沢陽子 200911
夕の陽に染めあげられて赤蜻蛉 山口天木 雨月 200911
君が肩わが肩親し赤とんぼ 渡辺数子 火星 200911
まとひ来る赤蜻蛉の燃えてをり 笹村政子 六花 200911
赤とんぼ葛飾望む土手に立つ 永見博子 酸漿 200911
単線の駅まで一里赤とんぼ 中村風信子 馬醉木 200912
葉の尖り選び休息赤とんぼ 中川すみ子 200912
大利根の今日の水嵩赤とんぼ 榎本慶子 炎環 200912
大阿蘇の野に馬並ぶ赤とんぼ 中島陽華 200912
赤とんぼ水を紡いで空深し 高畑信子 遠嶺 200912
茅葺きの移築の旧家赤とんぼ 曷川克 遠嶺 200912
赤とんぼ筋金入りの尾を張れり 久染康子 200912
赤蜻蛉みすずの空を降りてくる 七種年男 200912
赤とんぼ江戸西詰の六地蔵 小張昭一 春燈 200912
遊女墓に執着の一赤蜻蛉 松本峰春 春燈 200912
つながらぬ記憶のつぎ目赤とんぼ 荘司正代 春燈 200912
学校に尊徳の像赤蜻蛉 小原登志春 雨月 200912
赤とんぼ故なく里の恋しかり 岡田史女 末黒野 200912
うらうらと赤とんぼ乗る舫綱 関根洋子 風土 200912
赤とんぼ増えきて音のなかりけり 浅田光代 風土 200912
赤とんぼ浜でハモニカ吹く翁 佐方敏明 ぐろっけ 200912
赤とんぼ飛ぶ四万十の沈下橋 島内美佳 ぐろっけ 200912
国なまり商い上手赤とんぼ 福島悠紀 ぐろっけ 200912
幼子とこの指止まれ赤とんぼ 大山妙子 酸漿 200912
ゆるやかな流れの堀や赤蜻蛉 横川泰子 酸漿 200912
赤とんぼ墓参済ませし石畳 池崎るり子 六花 200912
船を待つ宮の渡しの赤とんぼ 鳥取博子 200912
サッカーの喚声の空赤トンボ 鎌倉喜久恵 あを 200912
赤とんぼ盲導犬の視野にあり 阪本哲弘 201001
陽だまりに陽だまりにをり赤とんぼ 和田森早苗 201001
赤とんぼ磁気ある如く空回す 岸田爾子 201001
子の遠し目路のかぎりの赤とんぼ 和田幸江 春燈 201001
算数の時間は大空赤とんぼ 鎌田悟朗 ろんど 201001
ゆきあひの空はぐれ来し赤とんぼ 外川玲子 風土 201001
大嵐去りし空なり赤とんぼ 永岡セツ 酸漿 201001
北八ヶ岳の道しんがりは赤とんぼ 松木溪子 201001
安達太良の智恵子の空に赤とんぼ 岡田誠吾 201001
ダンボールの家でままごと赤とんぼ 陶山泰子 ぐろっけ 201001
赤とんぼ去年ここらは芋畑 岩藤礼子 やぶれ傘 201001
甲斐駒を遠見にあかねとんぼかな 奥田温子 やぶれ傘 201001
野の風のみな赤とんぼ乗せてをり 坂口麻呂 ホトトギス 201002
編物の指休ませし赤とんぼ 筏愛子 201002
流木に影を宿して赤とんぼ 川口襄 遠嶺 201002
里山や目の先いつも赤とんぼ 佐竹千代 やぶれ傘 201002
赤とんぼと河原に遊ぶ童かな 滝沢伊代次 万象 201008
風と来て風を放ちて赤蜻蛉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
マイク手に女船頭赤とんぼ 坂上香菜 201010
岬道へ風の流るる赤蜻蛉 佐久間由子 201010
歩行器で歩き回る嬰赤とんぼ 三原利枝 201011
塔の影さす丁石や赤蜻蛉 コ田千鶴子 馬醉木 201011
草の揺れ難なくとらへ赤とんぼ 窪田粧子 馬醉木 201011
赤とんぼ笑顔日に日にもどる母 小山繁子 春燈 201011
友逝きぬ共に歩きぬ赤とんぼ 松嶋一洋 201011
渓川の風が生み出す赤とんぼ 柴田久子 風土 201011
赤とんぼ小学校に龍太の句 林いづみ 風土 201011
赤とんぼ止まれる水を買ひにけり 柿沼盟子 風土 201011
花嫁のブーケに止まる赤とんぼ 村田望 201012
裸婦像はいつも一人や赤とんぼ 菅谷たけし 201012
赤とんぼどれも低くて頼りなき 松本桂子 201012
赤とんぼみんな帰つてしまひけり 伊勢弘江 201012
赤とんぼ止まる所を探しをり 秋千晴 201012
影を地に帽子の縁の赤とんぼ 小川玉泉 末黒野 201012
奥宮の老樹百態赤とんぼ 黒滝志麻子 末黒野 201012
青空の厚みを飛べり赤蜻蛉 宇都宮敦子 201012
赤とんぼ駄菓子を買ひに橋渡る 大西八洲雄 万象 201012
牛の耳ぴくりと動く赤とんぼ 柴田良二 雨月 201012
叱られて涙目で指す赤とんぼ 濱田カノエ 酸漿 201012
今様の歌は知らぬよ赤蜻蛉 竹内悦子 201101
活溌な扮装の娘へ赤とんぼ 増田一代 201101
赤とんぼ手造り帽を好みたり 福田漣 201101
日を運びをりほまち田の赤とんぼ 山崎靖子 201101
時々は風に流され赤とんぼ 小川玉泉 末黒野 201101
複眼に海照り返す赤とんぼ 森屋慶基 風土 201101
捨てきれぬ未完の昭和赤とんぼ 鴨下昭 201101
人癒し己傷つく赤とんぼ 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201101
目の前をすいーとよぎる赤とんぼ 林美智 ぐろっけ 201101
池の面にボールゆらゆら赤とんぼ 本木下清美 ぐろっけ 201101
水切りの小石にぬくみ赤とんぼ 大崎紀夫 やぶれ傘 201101
山廬へのだらだら坂や赤とんぼ 大崎紀夫 やぶれ傘 201101
武田菱鬼瓦上の赤トンボ 渡辺和夫 ろんど 201101
ついと寄りついと離るる赤とんぼ 松村光典 やぶれ傘 201101
青空に時にとどまり赤蜻蛉 嶋田摩耶子 ホトトギス 201102
熊笹に葉づれありけり赤蜻蛉 谷村幸子 201102
赤とんぼ猫と並びし塀の上 須藤初枝 万象 201102
吊橋は夫と同齢赤とんぼ 陶山泰子 ぐろっけ 201102
山峡の風筋に群れ赤とんぼ 堺昌子 末黒野 201104
動くとも見えぬ巨船や赤とんぼ 吉村摂護 201110
赤蜻蛉止れと指を唯廻す 大橋敦子 雨月 201110
赤蜻蛉捕へたれどもすぐ放つ 大橋敦子 雨月 201110
頂上の小さき社や赤蜻蛉 坂根宏子 201111
旧道の瀬音はげしき赤蜻蛉 高倉和子 201111
大師像すつくと立つや赤とんぼ 羽賀恭子 201111
水張りし減反の田や赤蜻蛉 飯田ひでを 201111
枝の先かはるがはるの赤蜻蛉 稲垣佳子 末黒野 201112
赤とんぼ群れて鎌倉文学館 内藤庫江 末黒野 201112
神主に祓はれてゐる赤とんぼ 野口喜久子 ぐろっけ 201112
友送り帰る道の辺赤蜻蛉 長瀬節子 ぐろっけ 201112
赤とんぼ誰も遊ばぬすべり台 能美昌二郎 201112
早池峰を降りつつ赤くなる蜻蛉 小林輝子 風土 201112
子の走る高さに飛んで赤とんぼ 布施まさ子 風土 201112
赤とんぼ滄浪閣は荒れにけり 川村文英 ろんど 201112
赤とんぼ漢の恋ふる子守歌 中田禎子 201112
八丁とんぼ神の創意の赤き身に 大橋敦子 雨月 201112
思ひきり泣けて幸せ赤とんぼ 遠藤実 あを 201112
停車場の前は大川赤とんぼ 村上絢子 馬醉木 201201
「赤とんぼ」の里はモノクロ秋深き 宮田香 201201
朽ち船を寄る辺に岸の赤とんぼ 国包澄子 201201
磐石の居坐る沢や赤とんぼ 熊切光子 末黒野 201201
ひるがへり風に真向かふ赤とんぼ 石田きよし 201201
赤蜻蛉がらくた市に来てゐたり 松本恒子 ぐろっけ 201201
赤とんぼ悟り澄まして友の病む 岡田満喜子 ぐろっけ 201201
赤とんぼ追へばあの頃逃げさうで 松田都青 京鹿子 201201
花形のゴルフアーへ群る赤蜻蛉 平野数子 京鹿子 201201
救命の浮き輪水辺に赤とんぼ 根橋宏次 やぶれ傘 201201
目の癒えて塩辛蜻蛉赤蜻蛉 千原叡子 ホトトギス 201202
赤蜻蛉家の奥より妻の声 根岸善行 風土 201202
巫女溜りのぞいてゆきぬ赤とんぼ 荒木稔 ぐろっけ 201202
赤とんぼ群れてボールを見失ふ 岡山敦子 京鹿子 201202
花の名を記す句帳へ赤とんぼ 内藤庫江 末黒野 201202
豆蔓のからむ支柱や赤とんぼ 高島三郎 万象 201202
綱引きの綱の張力赤とんぼ 久世孝雄 やぶれ傘 201202
赤蜻蛉親し多生のやからかも 禰寝瓶史 京鹿子 201203
いっときの憩い青笹の赤とんぼ 吉弘恭子 あを 201208
白球を追へば群れ飛ぶ赤蜻蛉 安藤虎酔 かさね 201209
一番のティーグランに赤とんぼ 柳田晧一 かさね 201210
北秩父西は信濃へ赤とんぼ 野畑さゆり 201210
中空に銀のレリーフ赤とんぼ 田代貞枝 201210
赤とんぼ鬼押出に乱れ舞ふ 辻香秀 201211
赤とんぼふわふわ飛ぶよいねの上 廣瀬将也 201211
中空の真澄を流る赤とんぼ 亀卦川菊枝 末黒野 201211
二世帯に玄関ふたつ赤とんぼ 須山登 201211
赤とんぼ輪投げの針に止まりけり 山田六甲 六花 201211
サッカーの子等の喚声赤とんぼ 加藤静江 末黒野 201211
我が丈を越えし草の秀赤とんぼ 菅野日出子 末黒野 201211
停車場のお国訛りや赤とんぼ 大内由紀 末黒野 201211
かの峠越ゆれば甲斐や赤とんぼ 坂口郁子 末黒野 201211
麓まで一気に来たる赤とんぼ 岩下芳子 201211
高原の暮れゆく空や赤とんぼ 池田節 春燈 201212
赤とんぼ明日を遠しと思ひけり 齋藤厚子 201212
風と来てビルの谷間に赤とんぼ 加藤廣子 201212
赤とんぼ去らず読経の終りても 大坪景章 万象 201212
赤とんぼぽつくり寺に笑ひ声 枝村春江 万象 201212
赤とんぼ気圧の谷というところ 大東由美子 火星 201212
赤とんぼおそれ入りたる杭の上 田尻勝子 六花 201212
園庭を繋がって飛ぶ赤とんぼ 篠田純子 あを 201212
足弱にも欲しい止り木赤トンボ 木村茂登子 あを 201212
水神の使者あらあらと赤蜻蛉 佐藤凉宇子 ろんど 201212
赤蜻蛉あまた集ひてしづかなる 中村恭子 201301
臥す友を訪えば室津の赤とんぼ 村田とくみ ぐろっけ 201301
就活の孫の背中に赤とんぼ 的場うめ子 ぐろっけ 201301
ゲームセットどこより来たる赤とんぼ 荒木稔 ぐろっけ 201301
赤とんぼ止まりし指に余韻かな 戸田澄子 末黒野 201301
となめして空を流るる赤とんぼ 福島せいぎ 万象 201302
杭一本あれば足るなり赤蜻蛉 加藤峰子 201302
赤とんぼ指先にきて暮れかかる 安藤久美子 やぶれ傘 201302
冬うらら見晴台に赤とんぼ 島谷征良 風土 201303
舟小屋の石置く屋根や赤とんぼ 斉藤マキ子 末黒野 201304
水に書く一編の詩や赤蜻蛉 上山永晃 鶴翼 201305
たましひの浮遊そこここ赤とんぼ 柿本麗子 千の祈り 201307
夕暮れに涼風流れ赤とんぼ 山本草風 かさね 201310
赤蜻蛉馬上の吾をかすめ飛ぶ 橋本靖子 201311
にはか雨骨董店へ赤とんぼ 塩路五郎 201311
赤とんぼ群ゐる中に乳母車 塩貝朱千 京鹿子 201311
赤とんぼ子らの帰りし校庭に 塩田博久 風土 201311
環濠の丘に遊べる赤とんぼ 大島みよし 201311
真名仮名のつんつん当たる赤蜻蛉 柳本渓光 ろんど 201311
屹立のアルプスの嶺々赤とんぼ 足立典子 雨月 201311
外国の人と露天湯赤とんぼ 伊藤純子 201312
紺青の空に浮かべり赤蜻蛉 石橋公代 春燈 201312
高原の空を埋めたる赤とんぼ 池田節 春燈 201312
竹林を透きとほる風赤とんぼ 岡田史女 末黒野 201312
夕映の一色の野を赤とんぼ 宮平静子 雨月 201312
だらだらの坂登りゆき赤とんぼ 柿沼盟子 風土 201312
夕焼の廃車に遊ぶ赤とんぼ 羽賀恭子 201312
墓石に音符休止符赤とんぼ 平野みち代 201312
尾の先を水面につけて赤とんぼ 出口誠 六花 201312
赤とんぼ樹の間に大き夕日かな 松村光典 やぶれ傘 201312
極楽の風に乗りたる赤とんぼ 岩下芳子 201312
赤とんぼ翅のつけ根も赤くあり 出口誠 六花 201312
向き変ふるとき赤とんぼ濃かりけり 浜口高子 火星 201312
隠沼をへこませへこませ赤とんぼ 浜口高子 火星 201312
ひとむらの風に追はるる赤とんぼ 浅木ノヱ 春燈 201312
源平のいくさの浜の赤とんぼ 戸田春月 火星 201312
雲流る野点の席に赤とんぼ 羽賀恭子 201312
行合の空のまほらを赤とんぼ 村上悦子 雨月 201312
赤蜻蛉手はグー・パーにウォーキング 安田とし子 ぐろっけ 201312
雲水の行くに纏はる赤とんぼ 荒木稔 ぐろっけ 201312
赤とんぼいつしか消えて故郷は 井上あき子 ぐろっけ 201312
夕陽中煙めき群るる赤蜻蛉 塩路五郎 201401
坐らない女にとまれ赤とんぼ 高橋龍 201401
濡れ縁の手斧けづりや赤とんぼ 黒滝志麻子 末黒野 201401
畦をゆく宅配便や赤とんぼ 齋藤眉山 末黒野 201401
覗きみる渓の深さよ赤蜻蛉 齋藤眉山 末黒野 201401
赤トンボみんな賢治のふるさとへ 濱上こういち 201401
深秋の日差しを翅に赤とんぼ 小川玉泉 末黒野 201402
笹笛の風音となり赤とんぼ 古川夏子 201402
川霧のとどかぬ高み赤とんぼ 飯塚満里子 万象 201402
山頂や帽子へふはり赤とんぼ 岩上行雄 末黒野 201402
赤とんぼ足湯にはしやぐ男の子 竹内涼子 末黒野 201402
山頂の小さき社や赤蜻蛉 坂根宏子 野山の道 201404
赤蜻蛉→2      

 

2021年8月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。