綿 虫 4      185句

綿虫やむらさき澄める仔牛の眼   水原秋桜子

雪蛍 大綿 雪婆(白粉婆)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
綿虫や拈華微笑の城太郎 神蔵器 風土 201512
綿虫の綿ふくらませ来る日暮れ 藤岡紫水 京鹿子 201601
綿虫や空爆の報続きけり 須賀敏子 あを 201601
綿虫や住まひのやうな町工場 根橋宏次 やぶれ傘 201601
いつときの綿虫の舞妻の墓 新海英二 春燈 201601
綿虫の遅れ付き来る葛西橋 安立公彦 春燈 201602
綿虫やふらりと友の訪ね来て 横田初美 春燈 201602
綿虫や子を遠しとも近しとも 能勢俊子 馬醉木 201602
綿虫も指先に来よ千手仏 雨宮桂子 風土 201602
綿虫や胸の高さに漂ひぬ 寺田すず江 201602
手に触れし綿虫淡く消えたりな 高橋照子 雨月 201602
綿虫を追ひかけ宙を一握す 大石喜美子 雨月 201602
綿虫の日の斑に紛れ紛れ飛ぶ 足立典子 雨月 201603
綿虫舞ふ安曇野碌山美術館 遠藤逍遙子 風土 201603
綿虫と山ふところの工房へ 中嶋陽子 風土 201603
綿虫に逆光といふ日ざしかな 鈴木庸子 風土 201603
日表に出たる綿虫見失ふ 辻井ミナミ 末黒野 201603
しづけさに綿虫われに近づきぬ 小林はじめ 六花 201603
綿虫のプラスマイナス弾けあふ 七種年男 201604
眠りたき綿虫山に消えにけり 安野眞澄 201604
綿虫や馬飼ふことを思ひし日 戸栗末廣 201604
綿虫の虚空拡がる雨もよひ 稲畑汀子 ホトトギス 201611
綿虫や叩けば消ゆる愁ひあり 芦田しずく 京鹿子 201701
綿虫や鵜家の壁のみな白し 甲州千草 201701
手応へのなき綿虫を掴みけり 玉置かよ子 雨月 201702
綿虫の闇に溶けゆく遠汽笛 西村博子 馬醉木 201702
綿虫や畑に出て知る足の老い 藤野力 馬醉木 201702
綿虫の綿の重さに漂へる 堤京子 馬醉木 201702
引揚の丘綿虫を手で囲ふ 田中佐知子 風土 201702
綿虫や道から見えぬ坂の口 柿沼盟子 風土 201702
遊ぶかな綿虫するりするり抜け 落合絹代 風土 201702
漂ひし宙に綿虫翳持たず 藤岡紫水 京鹿子 201702
綿虫を掴まむとして空(くう)つかむ 笠井敦子 201702
綿虫の消えては見ゆる日和かな 濱谷和代 万象 201702
綿虫消ゆ動体視力くらまして 卜部黎子 春燈 201702
立話に綿虫耳を立てにけり 木多芙美子 春燈 201702
綿虫の何処へ行くのとついて来る 葦原葭切 春燈 201702
綿虫にわれもまぎれてゆくやうな 田中藤穂 あを 201702
綿虫や潮鳴り鳴りを潜むれば 林昭太郎 201703
綿虫や晩年の時刻み急 内山照久 201703
綿虫の雲からちぎれ雲へ消ゆ 峰崎成規 201703
弁護士の来り綿虫あまた飛び 小林愛子 万象 201703
綿虫に重心のあり礎石群 吉田葎 201703
綿虫や空の南は翳りける 水野恒彦 201704
綿虫のとぶより軽し命かな 田村すゝむ 風土 201704
綿虫も山廬の過客見送りぬ 木村享史 ホトトギス 201706
綿虫の人の高さを飛び交へる 戸栗末廣 201706
綿虫を宙に搏ちたる愚の極み 久保東海司 201709
綿虫を硝子戸越しに見てゐたり 安藤久美子 やぶれ傘 201711
綿虫に声のかけたき日なりけり 河前隆三 馬醉木 201712
空使ひ切つて綿虫浄土かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201712
綿虫にいのちの重さありて泛く 神蔵器 風土 201712
綿虫やゴッホの雪の絵見し帰り 松原智津子 万象 201801
綿虫について行かないまだ生きる 安居正浩 201802
空也より吐かれし息は綿虫に 兵藤惠 201802
綿虫やギプスのとれて身の軽く 落合絹代 雨月 201802
綿虫のただよひをりて雲幾重 大村仍子 雨月 201802
綿虫をあまた見し夜の雨の音 内海良太 万象 201802
綿虫の飛ぶ将軍家墓所の門 下嶽孝一 万象 201802
綿虫のさ迷ふかたを風にきく 蒲田豊彦 雨月 201802
綿虫の翔ちて和毛のただよへり 和田照海 京鹿子 201802
綿虫を視界に捉へ管制塔 和田照海 京鹿子 201802
綿虫の刻限どほり女院御所 和田照海 京鹿子 201802
綿虫飛ぶ今がしあわせかも知れぬ 門伝史会 風土 201802
湧き出しか今綿虫のど真ん中 落合絹代 風土 201802
綿虫のあなたや山容やさしかり 赤石梨花 風土 201802
父の忌の綿虫なれば払ひ得ず 赤石梨花 風土 201802
木洩れ日は綿虫のとぶ坂道に 天野美登里 やぶれ傘 201803
綿虫や百戸の村の葬の列 森清信子 末黒野 201803
綿虫や日暮れを誘ふ杉林 小川玉泉 末黒野 201803
見え隠れして綿虫のただよへる 西千代恵 雨月 201803
綿虫の明日を追へるいのちかな 川内谷育代 馬醉木 201803
綿虫や名曲喫茶残る古都 安居正浩 201803
照り翳りとは綿虫の見え隠れ 田丸千種 ホトトギス 201804
ぶつからぬやうに綿虫舞つてをり 角野良生 201806
綿虫の気ままを少し見てをりぬ 山本則男 201806
遠いなあカバの背中と綿虫と 梨地ことこ 船団 201809
綿虫や異国になじむ大阪弁 福岡貴子 船団 201809
綿虫や一気に暮色押し寄せて 岡部名保子 馬醉木 201901
唇緘ぢて綿虫のもうどこにもなし 能村登四郎 201901
綿虫に逢ひ得し三島大明神 林いづみ 風土 201901
日和見といふ綿虫の裏鬼門 和田照海 京鹿子 201901
綿虫や花魁束は昼下がり 田中藤穂 あを 201901
綿虫や死後に追伸などはなし 田村すゝむ 風土 201902
綿虫の舞ふ山ふところの無言館 中村洋子 風土 201902
朝焼けに染まり綿虫溌剌と 岡本尚子 風土 201902
綿虫や川縁に追ふ母の影 佐藤やすこ 風土 201902
ひとつ消え綿虫の来るまたひとつ 奥田茶々 風土 201902
指先を離れぬ綿虫とあるく 雨宮桂子 風土 201902
綿虫のみなしがらみを下げて飛ぶ 菊川俊朗 201902
綿虫の胸に飛び込む熱血漢 岩下芳子 201903
綿虫飛ぶチェックアウトをして出れば 丑久保勲 やぶれ傘 201903
てのひらに綿虫青む御陵かな 小林陽子 201903
綿虫や寄木細工の店先に 岡田史女 末黒野 201903
綿虫の一ト筋とんで消えにけり 田村すゝむ 風土 201903
綿虫の暮色に紛れざる白に 三輪温子 雨月 201903
綿虫よ君もラーメン食べたいか 林田麻裕 201903
綿虫がゼロ番線を飛んでいる 林田麻裕 201903
綿虫とすれちがふ路地灯りけり 山田正子 201904
綿虫と出会ひ置いてきぼりとなる 塙誠一郎 201904
綿虫の重力思ふころぶなよ 奥田筆子 京鹿子 201904
綿虫よ終身保険説く行員 大政睦子 京鹿子 201904
綿虫の雑木林が現在地 火箱ひろ 201904
綿虫や更地となりし空家跡 大久保白村 ホトトギス 201904
綿虫や吐息の重くなる日暮 杉田智榮子 馬醉木 201904
綿虫を放つ風神青信号 片山煕子 京鹿子 201905
綿虫や近付けばさと離れたる 大橋晄 雨月 201905
綿虫の光負ひ飛ぶ古墳口 深川淑枝 201906
綿虫のさみしき顔をてのひらに 戸栗末廣 201906
憂鬱が綿虫を地に引き戻す 松尾龍之介 201906
綿虫のほどの愛なら持ち合はす 仲里奈央 201909
綿虫の不断の鉦に影持たず 鈴鹿呂仁 京鹿子 202001
彼所までのいのち綿虫もわたくしも 井上菜摘子 京鹿子 202001
綿虫や大阪城の非常口 本郷 公子 京鹿子 202001
綿虫のふはと寺への道しるべ 伊藤隆 202001
綿虫を追へば忘るる齢かな 城戸ひろみ 雨月 202002
綿虫へ差し延べし手のやりどころ 森脇貞子 雨月 202002
綿虫やあの世この世と行きもどり 杉本薬王子 風土 202002
綿虫やいつも心に感嘆符 根本世津 202002
来てみれば綿虫の降る土蔵裏 半谷洋子 202002
上へ上へと綿虫に躱さるる 半谷洋子 202002
無重力とは綿虫の漂へる 宮内とし子 202002
綿虫よ日暮は淋しくはないか 鈴木直充 京鹿子 202002
綿虫の夕日を散らす先師の忌 卜部黎子 京鹿子 202002
綿虫のあたりの空気ほぐれをり 南うみを 風土 202002
綿虫や上目遣ひの龍燈鬼 田中佐知子 風土 202002
綿虫の影の無き身を悲しめり 杉本薬王子 風土 202002
綿虫のひかりの中の命かな 杉本薬王子 風土 202002
案の定綿虫飛ぶや社殿裏 森脇貞子 雨月 202002
綿虫や鳥辺野はやも日の翳り 本郷公子 京鹿子 202002
綿虫や靴をそろへて川渡し 和田照海 京鹿子 202002
綿虫や永代供養は誰がする 平野多聞 202003
綿虫と同じ日向に電車待つ きくちきみえ やぶれ傘 202003
綿虫の重さよ空の重たさよ 増成栗人 202003
綿虫の青さよ母とゆく小径 井上つぐみ 202003
綿虫やかこちてゐたる不整脈 升田ヤス子 六花 202003
バス停の綿虫バスに乗らないね 林田麻裕 202003
綿虫を指に遊ばせ人恋いぬ 松井季湖 202003
船宿の歌行灯に綿虫来 寺田すず江 202003
綿虫も人もさりげなく消ゆる 奥田筆子 京鹿子 202003
綿虫に夕日一すぢ届くとき 今井千鶴子 ホトトギス 202004
綿虫に懸命の翅使ひあり 中村嚢介 ホトトギス 202005
いとほしむ命は人も綿虫も 木村享史 ホトトギス 202005
綿虫の高さで失踪思ひもし 山中志津子 京鹿子 202005
綿虫の群れて虚空を現にす 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
綿虫の秒速漕ぐがごときなり 奥田筆子 京鹿子 202101
綿虫を見失ひたる目のやり場 西川保子 春燈 202102
綿虫の浮いて明日のとほくなる 南うみを↓ 風土 202102
寄り来るは昨日の綿虫かもしれぬ 谷田明日香 風土 202102
綿虫の綿を欲しがる奪衣婆 鈴木鳳来 春燈 202103
碧天や綿虫の舞ふ深大寺 今村千年 末黒野 202103
綿虫の漂ふ朝の静けさよ 宮崎浩美 末黒野 202103
綿虫や空に浮沈といふ迷路 湯川雅 ホトトギス 202104
綿虫やふはりと包む掌 菅野日出子 末黒野 202104
綿虫やこれより先は行き止まり 大西乃子 202105
綿虫のすでに来てをる屋敷神 中田みなみ 202105
綿虫の仏足石に来て消ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202112
突然に綿虫ふはりベランダに 須賀敏子 あを 202201
綿虫に夕影早き寺院かな 安立公彦 春燈 202201
綿虫のこんなに群れてゐて静か 坂下成紘 202201
綿虫の日暮れの綿の重かりき 枇杷木愛 202201
綿虫を飛蚊症かといぶかしむ 三好康子 風土 202201
綿虫はたましひの色日に透くる 竹内久子 京鹿子 202201
綿虫に遊びごころを誘はる 増成栗人 202201
桂郎の忌よ綿虫の飛ぶは飛ぶは 増成栗人 202201
綿虫の風を配りに行くやうな 和田満水 202202
大量の綿虫飛びて今日は晴 秋川泉 あを 202202
綿虫や下校の門を子らてんでん 平沢恵子 春燈 202202
谷間の綿虫の飛ぶ駅ホーム 鳥山英子 春燈 202202
綿虫の高さに薪を積み上げて 南うみを 風土 202202
綿虫や日に六便のバスを待ち 木村傘休 春燈 202203
旅券なき綿虫風の管絃に 奥田筆子 京鹿子 202203
遊びをせむとや綿虫が肩の辺に 増成栗人 202203
地団駄を踏み綿虫の自在かな 待場陶火 202204
綿虫や潮入川に魚影なく 岡野里子 末黒野 202204
綿虫や夕照まとひただよへり 菅野日出子 末黒野 202204
綿虫を壊さぬやうに通りけり 角町良生 202205
綿虫の空青ければ青くとぶ 星加鷹彦 202205
だんまりの綿虫日暮連れ来り 鈴木直充 春燈 202303
綿虫というて失ふ夕べかな 杉渕良子 春燈 202303
釈迦逝きし日なり綿虫飛ぶ日なり 増成栗人 202304
綿虫の影を踏ませぬ大手門 鈴鹿呂仁 京鹿子 202301
綿虫の只一匹を追いかけて 須賀敏子 あを 202301
綿虫や村を出る友見送りて 門間としゑ 末黒野 202302
綿虫は淋しい人に近づきぬ 広渡敬雌 202302
綿虫 →1      

 

2023年12月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。