綿 虫 3      200句

綿虫やむらさき澄める仔牛の眼   水原秋桜子

雪蛍 大綿 雪婆(白粉婆)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
見つけよととぶかに綿虫の白し 大橋敦子 雨月 200912
綿虫の目に入り来るを捉へたり 大橋敦子 雨月 200912
綿虫を追つて茅葺き門くぐる 上原重一 201001
綿虫の鐘楼の辺に消えにけり 石原節子 春燈 201001
綿虫のまこと重力なき如し 大橋晄 雨月 201001
無重力なる綿虫の降臨す 佐藤山人 201001
綿虫や蒔絵づくしのねね霊屋 田下宮子 201002
菩提寺に入る綿虫の舞の中 乙坂きみ子 末黒野 201002
綿虫に反射神経あるやうな 内山花葉 201002
綿虫のはたしてあそぶ奥の院 中村恭子 201002
綿虫やちまちま詰めてきし鞄 風間史子 201002
綿虫と決め日溜りへ歩み寄る 田村園子 201002
綿虫の潮のいろもて何処かへ 森さち子 201002
綿虫や戦火潜りし石の塔 多戸昌子 遠嶺 201002
綿虫に華やぐ雲となりにけり 根岸善行 風土 201002
夕方は綿虫のとぶ癒しの空 中山純子 万象 201002
手を逸れてゆく綿虫の意志しかと 柴田良二 雨月 201002
綿虫と島原の門くぐりけり 山尾玉藻 火星 201002
綿虫や薪になる木とならぬ木と 杉浦典子 火星 201002
切れ切れに雁木切れ切れに綿虫 深澤鱶 火星 201002
綿虫を朝の光の中に見る 小泉和代 酸奬 201002
綿虫の泛ぶ櫟に日の微塵 高瀬史 馬醉木 201003
綿虫や吐息のやうな風の音 國田欽也 201003
綿虫の自在に生きて死に場なし 泉田秋硯 201003
綿虫の遠のく色に利根夕べ 和田満水 201003
綿虫とぶ湖の凪ぐ日も荒るる日も 博多永楽 雨月 201003
綿虫や音の絶えたる水車小屋 小山徳夫 遠嶺 201003
綿虫の人につきくる石舞台 高田たみ子 万象 201003
綿虫や西行堂へ息を継ぐ 田村すゝむ 風土 201003
綿虫と西行庵の趾に佇つ 田村すゝむ 風土 201003
薪積む嵩に綿虫増ゆるかな 山本耀子 火星 201003
綿虫や救命ボート乾きをり 杉浦典子 火星 201003
綿虫や矢印に沿ひ水に沿ひ 杉浦典子 火星 201003
綿虫に人の高さのある日和 戸田春月 火星 201003
まばたけば綿虫消ゆる橋の上 渡邉紅華 酸漿 201003
綿虫や手紙の束の残り火に 藤本一城 201003
綿虫や返信のなき人のこと 田中藤穂 あを 201003
綿虫のひとつふたつと日表へ 安藤久美子 やぶれ傘 201004
綿虫や忘れかけたる歌の出て 川上久美 ろんど 201004
綿虫や日暮れひとりの小買物 井口初江 酸漿 201004
綿虫の淋しさ眉間に入りこむ 木山杏理 京鹿子 201008
綿虫の飛ぶや三時の狐川 間島あきら 風土 201011
綿虫に救命胴衣干されあり 山尾玉藻 火星 201012
綿虫にあり閘門の赤ランプ 山尾玉藻 火星 201012
弁天橋に立てば綿虫来さうなり 阿部ひろし 酸漿 201012
夕映えの綿虫意志のあるごとく 塩路隆子 201101
綿虫やそこは波郷の眠る杜 水原春郎 馬醉木 201101
綿虫に先を越さるる墓前かな 神蔵器 風土 201101
綿虫に水道橋の柱あり 蘭定かず子 火星 201101
綿虫や門標の文字書き直す 伊藤希眸 京鹿子 201101
わが杖に大き綿虫とまりけり 阿部文子 酸漿 201101
綿虫を額に東ひがしへと 常田創 201102
綿虫に少し風出てきたりけり 冨山俊雄 春燈 201102
綿虫舞ふ腑分けの寺のしじまかな 近藤幸三郎 風土 201102
綿虫や山のこどもは山を見て 浅田光代 風土 201102
綿虫の群れに中心なかりけり 菅谷たけし 201102
綿虫や照姫入水の濁り沼 山田春生 万象 201102
水おとの届く綿虫日和かな 和田照海 京鹿子 201102
一条の光の先に綿虫生れ 仙石君子 雨月 201102
綿虫の先に来てゐし石舞台 山尾玉藻 火星 201102
綿虫をまとひ大阪城聳ゆ 助口もも 火星 201102
綿虫や瀬音昏れゆく杣の道 松本三千夫 末黒野 201102
綿虫がとぶよ日暮の石舞台 石原光徳 酸漿 201102
手の平の綿虫吹けばしがみつく 島崎勇作 酸漿 201102
綿虫もたづねてゐたるござれ市 伊藤一枝 酸漿 201102
綿虫も一つ来てをりござれ市 永見嘉敏 酸漿 201102
愛犬の綿虫を目に追へるなり 東芳子 酸漿 201102
綿虫の浮遊空間嵯峨の径 桂敦子 201103
綿虫に明日が見えなくなりにけり 三上程子 春燈 201103
綿虫の漂ふ結界はつかに日 天野みゆき 風土 201103
マフラーに綿虫の来る河内かな 城孝子 火星 201103
綿虫を受くる病後の掌 西村しげ子 雨月 201103
綿虫に歩みを忘れ佇めり 小林れい 酸漿 201103
綿虫の追へば浮べり薄曇り 掛江淳司 酸漿 201103
綿虫の色に暮色のかかりけり 松田明子 201104
綿虫のそだつ風なき船溜 中村翠湖 馬醉木 201105
綿虫をつかみしはずの掌 コ田千鶴子 花の翼 201111
綿虫も日向を恋うてゐる如く 稲畑汀子 ホトトギス 201111
綿虫のおのおの行手ある如し 水原秋櫻子 馬醉木 201112
地図畳み立てば綿虫もう見えず 工藤義夫 馬醉木 201201
綿虫の無数のこゑを聴かんとす 小田司 馬醉木 201202
綿虫に山彦かへる日暮どき 熊川暁子 201202
綿虫は綿泥棒の帰りかも 安居正浩 201202
綿虫の消えゆく方へ独りの歩 北村幸子 201202
綿虫を払ひやんはり断はる手 甲州千草 201202
綿虫を追つて青空見失ふ 神蔵器 風土 201202
綿虫の意志六尺の高さかな 根岸善行 風土 201202
綿虫に綿虫の熱手に享くる 浅田光代 風土 201202
綿虫と連れ立つてゆく父母の墓 天谷翔子 火星 201202
綿虫や女易者のひくき声 田中文治 火星 201202
空海の井より綿虫湧き来る 山田春生 万象 201202
綿虫を追ひし日は身の軽かりき 武藤嘉子 201203
もしやこれが綿虫手足探しみる 小嶋洋子 201203
綿虫や喪中葉書に銀の枠 栗原公子 201203
綿虫の何か伝へに来し夕べ 青木朋子 201203
昼過ぎて綿虫ふゆる潮見台 西村節子 火星 201203
綿虫に眼のかゆみ移されし 藤田素子 火星 201203
綿虫や本堂の戸の半開き 福本郁子 火星 201203
綿虫の影赤糸を張りつめる 雨村敏子 201203
綿虫や記憶消えたること怖し 中貞子 201203
綿虫は来世の私飛び迷ひ 三輪慶子 ぐろっけ 201203
綿虫や世になきものを恋ひわたる 田中藤穂 あを 201203
綿虫を掌に這はせゐて掴まざる 大島英昭 やぶれ傘 201203
綿虫の雲をこぼるる日にまとふ 久保東海司 201204
綿虫やよき明日祈るたなごころ 岡澤田鶴 201204
綿虫によはひ一つを重ねけり 岩岡中正 ホトトギス 201206
綿虫にかかはり夫に遅れをり 北崎展江 くりから 201209
白樺の向かう白樺綿虫来 広渡敬雄 201211
綿虫に波郷に会ひに深大寺 コ田千鶴子 馬醉木 201301
綿虫や父に慟哭の日のありぬ 浅田光代 風土 201301
綿虫や行年三十路母逝ける 碇天牛 雨月 201301
綿虫のふれたる水の面さざなみす 定梶じょう あを 201301
綿虫や造り酒屋の屋敷神 水木沙羅 201302
綿虫の高さにこゑを交はしけり 南うみを 風土 201302
綿虫のやうにふはりと人のそば 浅田光代 風土 201302
綿虫や鞄の中の鬱の闇 山本孝子 ろんど 201302
綿虫や鎮守の裏に塚丸く 小川滋 やぶれ傘 201301
綿虫やチンパンジーの眼の澄める 浜口高子 火星 201302
綿虫や海より来たる神もあり 大山文子 火星 201302
綿虫に雨後の日差しのありにけり 松山直美 火星 201302
綿虫のゆるりと過ぎぬ池平ら 小川玉泉 末黒野 201302
陽を浴びて綿虫の舞ふ湖畔かな 田中清秀 かさね 201302
綿虫の来ぬ世となりぬ草に風 井上信子 201302
綿虫のさまようてゐる地獄谷 堀田清江 雨月 201302
綿虫の行く手阻むにあらねども 鈴木撫足 春燈 201303
隠沼を飛ぶ綿虫のつと消ゆる 青木由芙 末黒野 201303
綿虫の高く漂ひ切通し 辻井ミナミ 末黒野 201303
まなじりで数ふ綿虫飛鳥寺 大島翠木 201303
綿虫や絣袢纏陽に曝す 後藤マツエ 201303
綿虫とび高天原の伝承地 尾崎みつ子 雨月 201303
綿虫の光の粒や粒の影 入江節子 ろんど 201303
綿虫やなかりしごとくありしこと 田中藤穂 あを 201303
綿虫の行方な追ひそ結界ぞ 中島芳郎 201304
駅前雑踏綿虫右往左往せり 田中一美 ろんど 201204
綿虫といふ木洩れ日に光るもの 山田天 雨月 201304
綿虫の横にとぶ時ありにけり 島谷征良 風土 201311
綿虫の一念見たり風の中 鈴鹿仁 京鹿子 201312
手にとりて見たき綿虫妻の墓 新海英二 春燈 201401
綿虫を離る老斑増えさうで 田中貞雄 ろんど 201402
綿虫やガラシヤの墓所にふつと消え 船越和香 馬醉木 201402
綿虫の虜となりて波郷の句 和田政子 201402
綿虫の綿をこぼさぬやうに飛ぶ ほんだゆき 馬醉木 201402
綿虫の残照を追ふ高さかな 久保久子 湖心 201402
綿虫に道ゆづりけり楡の下 西村節子 火星 201402
綿虫に原野の広さありにけり 宮内とし子 201402
心臓のあり綿虫の漂へる 神蔵器 風土 201402
疑問符のやうに綿虫てのひらに 浅田光代 風土 201402
綿虫の空気に粘りありにけり 鳳蛮華 201403
綿虫やボウルに買つてくる豆腐 根橋宏次 やぶれ傘 201403
綿虫や多羅葉に書く雪一字 岡野里子 末黒野 201403
綿虫や山の時間はたっぷりと 火箱ひろ 201403
綿虫やもとより殺気などあらず 宮内とし子 201403
綿虫の舞の華やか弱き地震 甲州千草 201403
綿虫の消えて何処へ夕まぐれ 岡淑子 雨月 201403
綿虫のあやふやな空払ひけり 村田岳洋 ろんど 201403
綿虫のあの世この世を行き戻 安居正浩り 201403
綿虫とぶ八十八基の石祠 竹内喜代子 雨月 201403
掴みどころなき綿虫を捕へ得ず 播磨武子 雨月 201404
薪積む嵩に綿虫殖ゆるかな 山本耀子 絵襖 201404
綿虫や鞍馬といふはここらより 戸栗末廣 201404
綿虫の空気に粘りありにけり 鳳蛮華 201404
綿虫や久方ぶりを恥じ入ると 火箱ひろ 船団 201406
知恵の輪の解け綿虫に遇へるやも 土谷倫 船団 201406
どむみりと綿虫の舞ふ埴輪村 伊藤白潮 201411
綿虫を放ち茅葺き開山堂 コ田千鶴子 馬醉木 201412
綿虫や手秤しかと米一合 布川直幸 201412
綿虫を追うてすげなき返事かな 白神知恵子 春燈 201501
綿虫や疲れやすさの募る日々 ク大口堂遊 春燈 201501
綿虫飛ぶ長岡京の皇都址 安部和子 雨月 201501
綿虫を這はせ感触なき小指 安部和子 雨月 201501
綿虫の綿の残りし薬指 安部和子 雨月 201501
綿虫が爪折れ傘に入り来たる 山尾玉藻 火星 201501
綿虫を掴みし筈の掌をひらく 土屋草子 ろんど 201501
綿虫のしばらく見えてゐたりけり 根橋宏次 やぶれ傘 201501
綿虫や日は愛宕へと沈み落つ 杉本綾 201502
綿虫や無口ふたりの散歩道 宮田香 201502
手に受くる綿虫風の攫ひけり 久米憲子 春燈 201502
綿虫の蹤きくるは誰が転生か ほんだゆき 馬醉木 201502
火の国の綿虫にある炎の匂ひ 森岡正作 201502
荒息の綿虫となる坂半ば 浜口高子 火星 201502
綿虫の野望のひかり臥龍廊 鈴鹿呂仁 京鹿子 201502
逆光の綿虫青く光りけり 堀井英子 雨月 201502
子等遊ぶ路地に綿虫集まり来 嶋崎豊子 雨月 201502
綿虫に声弾ませて遅れがち 風間史子 201502
綿虫と息を交して別れけり 相良牧人 201502
綿虫や飴なめて待つ路線バス 丑久保勲 やぶれ傘 201503
石仏をめぐる綿虫連れもして 工藤はるみ 風土 201503
綿虫の淡き命を掌に囲ふ 間島あきら 風土 201503
綿虫や幸いにして忘れんぼ 火箱ひろ 201503
海光の綿虫連れて帰りたし 田中貞雄 ろんど 201503
綿虫や日差の遠き高野山 森清信子 末黒野 201503
綿虫やこのごろ着たき赤いもの 中田みなみ 201503
綿虫の夕暮れ色をしてゐたり 久染康子 201503
今日何をせしか綿虫ついてくる 中島悠美子 京鹿子 201504
綿虫やたそがれどきを女客 小林愛子 万象 201504
綿虫の風の間に間のいのちかな 原田しずえ 万象 201504
綿虫やじゃまじゃま話が途切れてく つじあきこ 船団 201505
綿虫の発車の窓を追ひ来り 中原吟子 雨月 201505
陰いづるなり綿虫となりにけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
綿虫や納屋をはみ出す薪の束 ほんだゆき 馬醉木 201510
綿虫→ 4      

 

2020年12月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。