薄 氷 5     145句

せりせりと薄氷杖のなすままに    山口誓子

うすらひ  薄氷  初氷  氷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
つかの間の眼のなごみ薄氷 木村茂登子 あを 201103
薄氷を競ひ踏み行くランドセル 藤見佳楠子 201104
薄氷の解けて輝く金閣寺 中川すみ子 201104
庭先の琵の薄氷日を弾く 和田森早苗 201104
薄氷の指先にあるいのちかな 小山繁子 春燈 201104
薄氷踏んでおどける里訛り 鴨下昭 201104
薄氷を捨てて水替ふ給餌台 中里カヨ 酸漿 201104
遺計からこぼれおちたり薄氷 吉弘恭子 あを 201104
薄氷指の形にとけにけり 葺石鈴代 馬醉木 201105
銀色の花片となりぬ薄氷 近藤喜子 201105
薄氷を音たてて踏み登校す 都丸美陽子 春燈 201105
閼伽桶に薄氷母の忌を修す 小俣剛哉 春燈 201105
ゆるめずにいつもの歩幅薄氷 中村恭子 201105
薄氷の来向かふ風のなすままに 宮崎きみ枝 201105
薄氷や初めて切りし嬰の爪 富川明子 201105
薄氷に羽毛吹かるる猪名野かな 西村節子 火星 201105
蹲踞に薄氷つつく雀二羽 武田貞子 ぐろっけ 201105
形状記憶なくて別れの薄氷 福水尚子 ろんど 201105
薄氷雲より早く川流れ きくちきみえ やぶれ傘 201105
薄氷の端より水へ混ざりゆく きくちきみえ やぶれ傘 201105
薄氷に指立てて見し四月馬鹿 阿部文子 酸漿 201105
薄氷の透明水の透明へ 田丸千種 ホトトギス 201106
薄氷に雲一片もなき朝 安原葉 ホトトギス 201106
薄氷を脇へ押しやる犬の舌 久世孝雄 やぶれ傘 201106
薄氷や光の鍼の四分音符 高瀬史 馬醉木 201106
薄氷や言ひ負かさるる男の子 倉持梨恵 201106
秘め事のありや薄氷音小さく 金森涼 春燈 201106
薄氷のゆらぎ緋鯉の大喉 近藤きくえ 201106
薄氷を割つて水汲む被災の子 河口仁志 201106
薄氷の下にかすかな流れあり 能美昌二郎 201106
花筒に光る薄氷父母の墓 寺沢千都子 万象 201106
枝移る鳥の喃語や薄氷 熊切光子 末黒野 201106
薄氷に狂はされたる老の足 改正節夫 ぐろっけ 201106
薄氷に来てをり鳥の弾む声 上辻蒼人 風土 201106
薄氷の水面を空に明け渡す 稻畑汀子 ホトトギス 201202
薄氷に解き放たれて水動く 国包澄子 201203
薄氷に次の世透かし見る気分 安居正浩 201203
薄氷のよべの風紋記録かな 千田敬 201203
身ほとりに薄氷のあり昼餉どき 山尾玉藻 火星 201203
薄氷をすべるは昨夜のなごり風 豊田都峰 京鹿子 201203
薄氷を押せば傾く水の空 浅川幸代 末黒野句集 201203
薄氷や水面にうつる御影堂 鶴見董子 末黒野句集 201203
鯉の背にふれて割れたる薄氷 福田房子 末黒野句集 201203
薄氷を翳せば旭輝けり 笠井清佑 201204
銀輪の薄氷割る通学路 小池清司 かさね 201204
風やはし薄氷揺るる池面かな 米田文彦 かさね 201204
薄氷に白い羽毛のてんてんと 吉田啓悟 かさね 201204
水口に来て薄氷の立ち上がる 久染康子 201204
薄氷はしばしの水の薄眠り 大畑善昭 201204
浸し置く軍手を掴む薄氷 大木清美子 201204
薄氷を踏み割つてゆく登校生 大西八洲雄 万象 201204
薄氷や西行堂は名残りのみ 田中藤穂 あを 201204
月光の通り抜けたる薄氷 宮井知英 201205
薄氷や思ひ出す人みな遠く 三上程子 春燈 201205
薄氷に表と裏のありにけり 本多俊子 201205
薄氷に胸の十戒写りをり 松田都青 京鹿子 201205
見渡せる池一枚の薄氷 山本無蓋 201205
薄氷の気泡ゆれゐし下校かな 青木ちづる 201205
薄氷の昏きを魚の色動く 坂場章子 201205
潦溶けて又張る薄氷 松木清川 ぐろっけ 201205
先頭が踏めば皆踏む薄氷 松本恒子 ぐろっけ 201205
通学路どの薄氷も割られをり 島貫寿恵子 雨月 201205
薄氷に影ひとつなき心字池 野茂木弘子 万象 201205
薄氷や下弦の月を捉へたる 中村弘 万象選集 201205
薄氷の沈むまで押すボールペン 出口誠 六花 201205
薄氷の割れ目から水噴き出しぬ 出口誠 六花 201205
薄氷のひかり噛みたるショベルカー 坂口夫佐子 火星 201205
薄氷を片寄せてゐる柄杓かな 西村節子 火星 201205
薄氷のかけら持たせてやりにけり 西村節子 火星 201205
薄氷や昨夜の言葉のひつかかり 藤田素子 火星 201205
薄氷のひと夜限りの風の紋 関根瑤華 201205
薄氷やひとり歩くは耳さとく 成田美代 201205
土くれを囲み田んぼの薄氷 大崎紀夫 やぶれ傘 201205
薄氷を踏む音させて路地を出づ きくちきみえ やぶれ傘 201205
薄氷を突いてカオス始まりぬ 熊川暁子 201206
薄氷やはきつと物言ひ転院す 布川孝子 京鹿子 201206
ひとひらの紅を閉ぢこめ薄氷 大橋伊佐子 末黒野 201206
薄氷の解けたる水の平凡に 今橋眞理子 ホトトギス 201207
風吹きて寄るべなき身の薄氷 宮田香 故郷 201207
川岸の薄氷棒で押しやつて 有賀昌子 やぶれ傘 201209
はかなげな若者ふえぬ薄氷 酒井秀郎 返り花 201211
薄氷の下にザリガニ飼はれをり 布川直幸 201301
薄氷の消えゆく光置きそめし 稲畑汀子 ホトトギス 201302
川尻の薄氷解けてをらざりし 稲畑汀子 ホトトギス 201302
薄氷の刃のごとく生れにけり 細野恵久 ぐろっけ 201302
薄氷に犬も走らぬ朝の道 水野弘 ぐろっけ 201302
薄氷やけものの消えし石ぬれて 山田六甲 六花 201303
おほかたは薄氷となる水たまり きくちきみえ やぶれ傘 201303
薄氷にかすかに風の擦りしあと 荒井千佐代 201303
薄氷ばりばり踏みて反抗期 辻香秀 201304
薄氷の但馬の池を眼下にす 山田六甲 六花 201304
薄氷を舐むる仔犬の毛ばだてり 谷口律子 末黒野 201304
薄氷天井張つたと池の鯉 佐藤淑子 201304
踏み出して爪先沈む薄氷 北上正枝 201304
日のさして薄氷浮かぶ手水鉢 橋本修平 かさね 201305
薄氷の風に遊びぬ潦 柴崎富子 春燈 201305
水底にやはらかき影薄氷 神田恵琳 春燈 201305
薄氷や風なき空を月渡る 海村禮子 春燈 201305
かいま見る人の脆さや薄氷 藤岡紫水 京鹿子 201305
薄氷や人想ふとき二人称 内藤静 風土 201305
薄氷の引き合ひ矢羽根模様かな 鈴木庸子 風土 201305
薄氷の閉じ込めてゐるものあまた 近藤紀子 201305
薄氷に紅き花びら屠腹の碑 福島せいぎ 万象 201305
薄氷をくだきて戻る車椅子 松本恒子 ぐろっけ 201305
薄氷を踏み後悔はいつもふと 永田圭子 ろんど 201305
薄氷の熔けて濁りの残る濠 佐津のぼる 六花 201305
消ゆるまで水面に浮かび薄氷 佐津のぼる 六花 201305
日のさして薄氷ゑみしごとくゆれ 吉弘恭子 あを 201305
薄氷を割るやあまたの日のかけら 森清堯 末黒野 201305
薄氷の光を返すにはたづみ 川崎良平 雨月 201305
しょんぼりと帰る子のゐて薄氷 中原敏雄 雨月 201305
薄氷や諸々棲める心字池 小原登志春 雨月 201305
薄氷に突つ立つてゐる鎖樋 根橋宏次 やぶれ傘 201305
抜け裏や薄氷にまだ日の射さず 田嶋洋子 七線譜 201306
薄氷を軽々渡る石たたき 佐藤喜仙 かさね 201306
薄氷や波ひくやうに痛み去り 熊切光子 末黒野 201306
林泉の浅き流れや薄氷 和田慈子 末黒野 201306
澄みきつて木賊の中の薄氷 水野恒彦 夢寐 201306
薄氷や郵便受けのぎゆう詰めに 安藤久美子 やぶれ傘 201306
薄氷の昔味噌屋の大釜に 國保八江 やぶれ傘 201306
薄氷の刃先は水となつてをり 今瀬一博 201401
薄氷となりて失せたる光かな 稲畑汀子 ホトトギス 201402
動きある池の薄氷失せてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201402
真黒い猫が走れり薄氷 竹内弘子 あを 201404
何色ならむ藍瓶に張る薄氷は 千田百里 201404
薄氷斜に掬れて鳥の水 田尻勝子 六花 201404
薄氷斜に掬ふ鳥の水 筒井八重子 六花 201404
薄氷や眼の奥に万華鏡 伊藤希眸 京鹿子 201404
薄氷の裏側の泡つながりぬ 林昭太郎 201404
薄氷にぴしりの音の跡ありぬ 辻美奈子 201404
薄ら陽を乗せ薄氷の浸水す 森岡正作 201404
刷毛塗りのごとく張りたる薄氷 山本久江 201404
捨て水の薄氷となる高山寺 岡本尚子 風土 201405
薄氷や老舗旅館の手水鉢 松本文一郎 六花 201405
薄氷や予告編なき世を生きて 芝田幸惠 末黒野 201405
薄氷の閉ぢこめてゐる日の光 菊池ふじ子 馬醉木 201405
薄氷の小さき風をとらへけり 西岡啓子 春燈 201405
薄氷に灯る外科医の非常口 宮川みね子 風土 201405
薄氷を音たてて踏む登校児 石原健二 やぶれ傘 201406
薄氷の揺蕩ふ流れ錦鯉 菅野日出子 末黒野 201406
薄氷とあそびし傘の歩きだす 梶浦玲良子 六花 201406
薄氷やブリュレヘ挿し込む銀の匙 網野月を 201410
薄氷や曝くことのなくはなし 齋藤厚子 201405
薄氷白菜漬はピンとはね 吉弘恭子 あを 201412
顔がそのまま毀れてしまふ薄氷 堀内一郎 堀内一郎集 201412
薄氷→ 6      

 

2021年2月14日 作成

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