初 氷    164句

鴨撃ちの通りしあとの初氷   長谷川かな女

うすらひ  薄氷  初氷  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
融けだせる夢な思ひそ初ごほり 中原道夫 銀化 199903
初氷割りて登校下校かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 199912
初氷逃げ損ねたる昨日あり 飯島士朗 銀化 200002
初氷またつつつきに下駄履いて 伊藤多恵子 火星 200104
初氷啄けば水浴ぶ広さかな 島崎晃 遠嶺 200104
初氷佃に残る鰹塚 鈴木冽 春耕 200104
浸けおきし絹にきらめく初氷 朝妻力 雲の峰 200201
初氷杖置きて飲む醍醐水 原茂美 雲の峰 200202
はりはりと山の浮田の初氷 遠藤とく 200202
鳥翔ちて水輪に割れし初氷 平きよし 春耕 200202
分校の登校道や初氷 伯井茂 春耕 200202
初氷猫がバケツを覗きこむ 早崎泰江 あを 200202
父母は天上の星初氷 高橋さえ子 200203
緋袴のひるがへりたる初氷 山尾玉藻 火星 200302
初氷日を照り返し照り返し 森田蝌蚪 200302
だいだら坊の足跡の池初氷 金丸鐵蕉 200302
こけさうな朝月のあり初氷 三浦カヨ子 酸漿 200302
初氷真剣な顔映りけり 太田土男 百鳥 200302
初氷三軒茶屋の洗ひ桶 土屋利之 ぐろっけ 200302
初氷掴んで畦を走りけり 小田玲子 百鳥 200303
留石の棕櫚紐十の字初氷 近藤きくえ 200303
初氷看護士に聞く目覚かな 田中章子 酸漿 200303
初氷行き交ふ人の肩上がり 柳沢典子 酸漿 200303
丸めたる背なに知らさる初氷 桑原泰子 八千草 200306
初氷出すも貰ふも一筆箋 細野恵久 ぐろっけ 200312
女来て赤く映れる初氷 今瀬剛一 対岸 200401
齊田に雀の降りて初氷 藤田あけ烏 草の花 200401
初氷かざし山童かがやけり 中澤文次郎 200402
甲高き梢の鳥や初氷 石田邦子 遠嶺 200403
初氷つついてきたる圭岳忌 小林成子 火星 200403
指で割る犬のバケツの初氷 西山美枝子 酸漿 200403
工事場の太き轍や初氷 若林杜紀子 百鳥 200403
つくばひに赤き実二つ初氷 山崎ミチ子 帆船 200404
覗き込む顔尖りたる初氷 遠野萌 200404
思春期の子と対峙せり初氷 あさなが捷 200405
遠洲作男滝女滝に初氷柱 佐々木スガ子 ぐろっけ 200405
初氷踏めば通学路の騒き 稲畑廣太郎 ホトトギス 200412
たてがみの檻の前なる初氷 遠野萌 200501
蹲踞に木の葉の刺さる初氷 荒木武太郎 対岸 200503
初氷をさな心につまみあぐ 早崎泰江 あを 200503
山脈やまだつながらぬ初氷 目黒慧 遠嶺 200503
恋の息かけてとけたり初氷 片山タケ子 200503
初氷鴉一羽の嗄れ声 半谷弘子 遠嶺 200503
初氷をさはつてをりぬ爪の先 近藤紀子 200504
結晶の華ちりばめて初氷 山口速 200505
池の杭よじ上るよに初氷 中野英歩 八千草 200506
牛小屋のバケツの中の初氷 田口武 さうぢやなくても 200512
思ひ出にすこし罅入る初氷 柴田雪路 200602
初氷割つて砥石を浸しけり 松崎雨休 風土 200602
溜池の半分だけの初氷 木野本加寿江 火星 200603
地下足袋の庭師が揺る初氷 大塚民枝 酸漿 200603
雲間より神のひかりか初氷 奥村邦子 200603
初氷路傍の石に声生まれ 奥村邦子 200603
初氷鳥獣戯画とジョツトの絵 岩月優美子 200603
神木の落葉とぢこめ初氷 世古幸久 200702
日を返し日に消えゆきし初氷 山田天 雨月 200702
水とまだしつくりゆかず初氷 久染康子 200703
酒蔵に住む魂ありぬ初氷 大川ゆかり 200703
両の手で息を囲へり初氷 望月晴美 200704
犬舐めてかしやりとくづす初氷 布川直幸 200802
初氷話せばならぬ事がある 竹下昌子 200802
指先を触るれば割れし初氷 坂本知子 酸漿 200802
幣の切れ端を封じて初氷 太田寛郎 200803
初氷不思議とみたる通学路 斎藤弘行 遠嶺 200804
指先で音確かむる初氷 坂本知子 酸漿 200902
つくばひの松葉とぢこめ初氷 森ひろ 馬醉木 200903
つくばひに風神来たりて初氷 四條進 200903
初氷後戻りして触れてみる 高橋みつ 200903
昨夜吹きし風のかたちの初氷 伊東恵美子 馬醉木 200904
山峡を糸編むごとく初氷 荒木甫 200906
庭に置く古き火鉢に初氷 佐藤喜仙 壁炉 200911
初氷割る麗人の細き指 稲畑廣太郎 ホトトギス 200912
初氷葛の朽葉を閉ぢ込めし 奥太雅 万象 201003
初氷守衛と交す二三言 塩山博久 風土 201003
神木の目どほり三十尺初氷 林いづみ 風土 201003
朱鷺色の水掻すべる初氷 大山春江 万象 201004
太陽の楕円に映る初氷 有本惠美子 ろんど 201004
初氷に光のころぶ鷺一羽 川井秀夫 ろんど 201004
尻振りて家鴨が歩く初氷 守屋井蛙 酸漿 201004
初氷割りたき指が伸びてくる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
主の生れ給ひし朝の初氷 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
初氷せし日の月の鋭さよ ことり 六花 201012
庭に見て箱穭田に初氷 阿部ひろし 酸漿 201102
登校のまづ初氷踏む遊び 松井志津子 201103
噴水の大円盤の初氷 大橋晄 雨月 201103
指先に確かめ桶の初氷 小川玉泉 末黒野 201104
初氷割れつつ光る轍道 田中臥石 末黒野 201104
吉祥と見し初氷源平池 中島讃良 ろんど 201104
富士晴れて田圃一面初氷 山口まつを 雨月 201104
供花挿しに来たれば墓に初氷 近藤豊子 雨月 201104
初氷昨夜の芥を張りつけぬ 久松和子 万象 201105
初氷帽子に入れて登校す 星野早苗 船団 201110
初氷子等の遊び場減りにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
初氷風に解けてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
初氷指もろともに割れにけり 山田六甲 六花 201201
初氷期待をこめてのぞく甕 早崎泰江 あを 201201
初氷思ひのほかの厚さかな 中村月代 末黒野 201204
初氷踏み確めつ通学児 古林田鶴子 ぐろっけ 201205
鉢物を急かすがごとく初氷 仁平則子 201301
つくばひの木の葉絡めて初氷 松本周二 かさね 201302
谷空に昨夜のけはひや初氷 蘭定かず子 火星 201303
余生とは爪先立てる初氷 佐藤淑子 201303
登校の子らの見っけし初氷 城戸緑 末黒野 201303
初氷父の形見の鑿鉋 荒木甫 201303
初氷水のかたちに皺よせて 犬塚芳子 201303
初氷足下の朝静かなり 長崎桂子 あを 201303
登校の子らの踏みゆく初氷 小泉欣也 ろんど 201204
新婚の朝餉の仕度初氷 藤田宣子 ぐろっけ 201305
ひと踏みに微塵と砕け初氷 布川直幸 201311
初氷踏みし早出の苦にならぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201312
初氷とは壊されるために張る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
少女らの声の響きや初氷 横山さくら 春燈 201401
初氷さぞ蹼の忙しかろ 甲州千草 201402
初氷遠くの音が聞こえる日 水野恒彦 201402
たたまるる水の囁き初氷 工藤ミネ子 風土 201402
海国の朝日が溶けて初氷 遠藤真砂明 201403
初氷透かし見る空よく晴れて 岩木眞澄 ぐろっけ 201403
行きがけに出すごみ袋初氷 塩田博久 風土 201403
魚狙ふ鵜の姿なし初氷 難波篤直 201404
犬連れの歩巾に余る初氷 中貞子 201404
粛々と写経の古寺や初氷 松田和子 201502
白鳩や源平池の初氷 荒井慈 春燈 201502
バス停に朝の顔ぶれ初氷 塩田博久 風土 201503
濁り皆除かれけさの初氷 有松洋子 201503
ひとり踏み皆が踏みゆく初氷 森藤千鶴 馬醉木 201503
初氷して初雪の日となりし 山口素基 万象 201503
大空へかざす輝き初氷 小林文良 春燈 201503
初氷朝日を乗せて輝けり 愼野あさ子 風土 201504
小突きてもびくとも揺れぬ初氷 大橋晄 雨月 201505
水音の絶えてをりたる初氷 稲畑汀子 ホトトギス 201512
この庭の消息として初氷 稲畑汀子 ホトトギス 201512
初氷しばらく過去は封じをり 時澤藍 201603
初氷ポストに本の届く音 中嶋陽子 風土 201603
金バッジつける一団初氷 辻水音 201603
畳み皺ほどの筋透く初氷 梅村すみを 201604
古傷のうづいてゐたる初氷 萩原久代 やぶれ傘 201604
正夢と覚しきデジヤビユ初氷 鈴鹿呂仁 京鹿子 201701
空堀川水ある処初氷 須賀敏子 あを 201702
乗鞍の尖峰晴るる初氷 布施政子 馬醉木 201702
初氷張ると日記に今日終る 田中藤穂 あを 201702
朝刊をポストに取りに初氷 森美佐子 やぶれ傘 201703
舟仕舞ふ波打ち際の初氷 濱谷和代 万象 201703
初氷固有名詞が喉の奥 木戸渥子 京鹿子 201704
踏みつけし後のさびしさ初氷 西村白杼 京鹿子 201801
海峡の風ざらつきぬ初氷 佐藤哲 万象 201803
水底の草いきいきと初氷 笹村政子 六花 201803
深爪の痛みや庭の初氷 柴崎和男 やぶれ傘 201804
水桶に初氷見る朝まだき 亀岡睦子 やぶれ傘 201804
さざ波に洗はれてゐる初氷 笹村政子 六花 201804
きつぱりと神の青空初氷 古賀しぐれ ホトトギス 201805
暁の微光に震ふ初氷 村上葉子 201903
沈むべきものは沈めて初氷 大矢恒彦 202003
紐状のもの閉ぢこめて初氷 服部早苗 202005
さざ波の途切れてをりぬ初氷 善野行 六花 202103
河光り富士見ゆる日や初氷 森なほ子 あを 202103
初氷捉へてをりぬ空の青 斉藤マキ子 末黒野 202104
かぜあめは舊き友垣初氷 佐藤竹僊 あを 202202
青空を片寄せ沼の初氷 服部早苗 202208
初氷無傷のものに触れられぬ 井上菜摘子 京鹿子 202211
街騒を弾き返して初氷 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
初氷張りて季節の扉開く 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
日輪を遠ざけてゐる初氷 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
日輪に命預けて初氷 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212

 

2022年12月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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