薄 氷 3     115句

薄氷と遊んで居れば肉体なる    永田耕衣

うすらひ  薄氷  初氷  氷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
薄氷や沼に家鴨の二羽泳ぐ 宇田喜美栄 200403
壊れしは壊れし形に薄氷 山田六甲 六花 200403
風立ちて薄氷に水乗りはじむ 岡本眸 200403
薄氷の漂ふ沼の奥暗し 沢聰 馬醉木 200404
逆境は撥条にと薄氷跨ぎをり 能村研三 200404
薄氷の夕映え湖国暮るるかな 和田一 雨月 200404
薄氷の奥を覗いてをりにけり 竹内悦子 200404
薄氷に警策の音ひびきけり 大串章 百鳥 200404
風が来て薄氷の縞崩れけり 赤尾杉昌子 対岸 200404
薄氷や水底に水湧く力 及川茂登子 対岸 200404
ぴしぴしと水の緊張薄氷 塩川雄三 築港 200404
薄氷の水の表面張力よ 塩川雄三 築港 200404
蹲踞の薄氷赤き実を閉ぢて 大森玲子 築港 200404
薄氷のひかりを受くる櫟山 石脇みはる 200405
霊水の薄氷動きはじめたる 近藤きくえ 200405
薄氷や釈迦堂門前童唄 近藤きくえ 200405
爪立てて薄氷つつきをりにけり 大橋敦子 雨月 200405
薄氷に緋鯉の色の滲みけり 川村紫陽 200405
薄氷に空の青さの透きとほる 永井孔雀 200405
薄氷を背に大鯉の動き出す 岩渕彰 遠嶺 200405
陽のあたる薄氷程のわだかまり 三好智子 200405
薄氷の思ひの外の勁さかな 尾堂Y 河鹿 200405
薄氷に日の差してゐる一回忌 戸栗末廣 火星 200405
掌をすべる法然院の薄氷 飯塚ゑ子 火星 200405
薄氷の蘇州は朝の菓子蒸し 高松由利子 火星 200405
薄氷の門へ五十集の荷を解く 高松由利子 火星 200405
薄氷や日輪の位置定まりし 木内憲子 200405
薄氷の下ゆるやかに錦鯉 角南知子 栴檀 200405
薄氷を踏みつけてゆく漢かな 安原葉 ホトトギス 200406
薄氷こはれてただの氷なり 木下野生 200406
わらしべを引けばよりくる薄氷 太田尭史 対岸 200406
薄氷ねむれば風のゆらぎだす 沼田巴字 京鹿子 200406
どこまでも薄氷の張る起請文 伊藤希眸 京鹿子 200406
田に張れる薄氷鱗がさねして 中村房子 馬醉木 200407
路地売りの菠薐草に薄氷 辻兎夢 200407
風渡る水面を占めて薄氷 稲畑汀子 ホトトギス 200502
薄氷の岸辺の草もゆるみそむ 稲畑汀子 ホトトギス 200502
薄氷の沈黙ほどけはじめけり 稲畑汀子 ホトトギス 200502
薄氷に落ちしばかりの鳥の羽 石橋萬里 ぐろっけ 200502
泡かみしままに動きて薄氷 藤井昌治 200503
薄氷となりて湖心へ去りゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200503
薄氷となり風だけが渡る湖 稲畑汀子 ホトトギス 200503
戸を繰りて薄氷にのる紅椿 鈴木国子 200503
薄氷を踏んで躓く予感ふと 渡辺嘉幸 帆船 200504
薄氷に透け放生の魚影かな 熊岡俊子 雨月 200504
薄氷を割るに抵抗感のなし 塩川雄三 築港 200504
精巧な薄さ軽さの薄氷 塩川雄三 築港 200504
薄氷を蹴つて割りゐる反抗期 塩川雄三 築港 200504
薄氷を見逃さず割る登校子 里見輝子 築港 200504
薄氷をまはりて踏める童かな 山本康郎 酸漿 200504
薄氷やいつより覚めて錦鯉 伊藤たいら 雲の峰 200504
薄氷をつついて濡れし指の先 桜井眞子 対岸 200504
薄氷の消ゆる筋目に亡母のこゑ 神蔵器 風土 200504
薄氷や果てへ伴ふ泡ひとつ 甲州千草 200505
薄氷のひしと支ふる闇の嵩 坂ようこ 200505
指先でつついてゐたり薄氷 木下野生 200505
薄氷やいづれは空へ還るもの 近藤喜子 200505
薄氷やペンギン歩きす子がひとり 梅村五月 栴檀 200505
薄氷の桶より山羊の水飲めり 安室敏江 百鳥 200505
薄氷の解けて水辺を離れたる 土屋酔月 火星 200505
薄氷を踏み締めにつつ寺の墓地 古田考鵬 雨月 200505
手水鉢薄氷張つて柄杓閉づ 清水幸子 築港 200505
日の射して薄氷風に乗る命 徳永キヨ 築港 200505
薄氷の出來不出来あり田の面 長石肇 築港 200505
薄氷のあらがふこともなく割らる 佐本英介 築港 200505
指先にシクと応へし薄氷 田口たつお ぐろっけ 200505
薄氷の割れ筋どれも直線に 田口たつお ぐろっけ 200505
薄氷や歩みて捨つる思ひごと 木内憲子 200505
天地に薄氷張りし夜明かな 滝青佳 ホトトギス 200506
寄墓の閼伽の一荷の薄氷 東野鈴子 雨月 200506
薄氷の育つ絹糸はじくたび 荒川美邦 京鹿子 200506
薄氷や深きに歪んだ鯉の居て 佐藤仁 200506
薄氷をかき分けてくる鯉の口 大久保白村 ホトトギス 200507
薄氷の解くるがごとく忘れたる 高橋将夫 200507
薄氷の面に残る風の紋 卓田謙一 万象 200507
薄氷の水にならむとささやくか 清水ゆみ子 200510
薄氷や太陽のなき一日過ぎ 稲畑汀子 ホトトギス 200602
正座して薄氷の池見てをりぬ 中村房枝 六花 200602
ひとときの日ざしくれなゐ薄氷 鷹羽狩行 200603
つつと動きて薄氷とわかりけり 鷹羽狩行 200603
薄氷にあんぱんの胡麻こぼれたり 浜口高子 火星 200603
薄氷に残る夜来の風の紋 天田美保子 酸漿 200603
薄氷を纏ひて芹の瑞々し 菊池由惠 酸漿 200603
鶺鴒の乗つて薄氷刃なす 神蔵器 風土 200603
薄氷に閉ぢこめられし鳥の羽 近藤紀子 200604
薄氷の予定調和のやうに消ゆ 伊藤白潮 200604
諦めと違ふ薄氷毀さずに 田原陽子 200604
日を返す能登の捨田の薄氷 石原光徳 酸漿 200604
青竹の切口尖る薄氷 里中章子 200604
薄氷の底に緋鯉の微動せる 廣瀬義一 雨月 200604
薄氷持たされて子の駆けだせり 石川喜代美 百鳥 200604
中学生道に薄氷蹴りいだす 石川喜代美 百鳥 200604
薄氷も午後は自由を得て浮けり 泉田秋硯 200605
薄氷を割つて角膜透きゐたり 掛井広通 200605
漣のまま薄氷となりし浜 佐藤哲 万象 200605
薄氷をつきぬけてきし蘆の角 藤井昌治 200605
薄氷を愛しむやうに青い雨 福岡もも 百鳥 200605
漂へる池の形の薄氷 佐藤佐代子 200605
病棟の影のかむさる薄氷 佐藤佐代子 200605
薄氷にのつてみること今もして 定梶じょう あを 200605
薄氷に閉ざされて泡扁平に 千原叡子 ホトトギス 200606
後園の薄氷解けぬままに暮れ 松尾緑富 ホトトギス 200606
眼にみえずねむれるうちの薄氷 八田木枯 晩紅 200606
眼のひかり夜が消しとめぬ薄氷 八田木枯 晩紅 200606
やはらかき風のすぎゆく薄氷 荏原やえ子 200606
雀来る器の水の薄氷 島崎久美子 酸漿 200606
薄氷や仰臥の夫の足洗ふ 斎藤妙子 200606
薄氷を鴨踏み抜いてしまひけり ことり 六花 200607
天平の美女となりゆく薄氷 梶浦玲良子 六花 200607
薄氷に指一本の自由あり 稲畑汀子 ホトトギス 200702
水音の中に薄氷ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200702
朝の間の動きとどめず薄氷 稲畑汀子 ホトトギス 200702
薄氷をほどく光と影の中 稲畑汀子 ホトトギス 200702
薄氷の草ひとすぢの緑かな 杉良介 200702
薄氷に小さき皺のありにけり 滝沢伊代次 万象 200702
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2021年2月7日 作成

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