蔦紅葉 1    200句

蔦の葉はむかしめきたる紅葉かな    芭蕉

蔦  青蔦  蔦青し  蔦若葉  蔦紅葉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
くぐりゆく橋の裏まで蔦紅葉 藤井圀彦 199812
蔦紅葉館の変遷つつみをり 小田ひろ 円虹 199901
馬繋残る老舗や蔦紅葉 上市良子 俳句通信 199912
蔦紅葉柵染めあげし国境 中里カヨ 酸漿 200001
城跡の石垣を這ふ蔦紅葉 末益冬青 俳句通信 200001
蔦紅葉濃しやどの家も教会も 佐藤淑子 雨月 200002
蔦紅葉絡む明治の煉瓦塀 三浦如水 ぐろっけ 200002
蔦紅葉まとふ大樹の焔のごとし 村瀬初実 春耕 200010
蔦紅葉して旧英国領事館 牛田修嗣 200010
坑口を覆ひてゐたり蔦紅葉 井水貞子 春耕 200012
廃鉱をがんじがらめの蔦紅葉 山城やえ 春耕 200012
のぼらむとして火をこぼす蔦紅葉 長田等 200102
青山に都電車庫跡蔦紅葉 三澤福泉 俳句通信 200102
病みし松いたはるやうに蔦紅葉 邑橋淑子 遠嶺 200103
蔦紅葉ロートレックの踊子たち 田中麻千子 六花 200103
蔦紅葉アラビア文字の呪文めく 上原若子 200112
蔦紅葉土鈴干されし深大寺 西川よし子 春耕 200201
大岩の穴の明るし蔦紅葉 結城トミ子 春耕 200201
看板に襷掛けせり蔦紅葉 大内恵 酸漿 200201
切岸のひときは早き蔦紅葉 吉原一暁 200202
地獄絵のうしろ明るし蔦紅葉 近藤暁代 馬醉木 200202
真つ先に朝日捉へし蔦紅葉 木暮陶句郎 円虹 200202
蔦紅葉訪う人も無き行願塔 小阪律子 ぐろっけ 200202
蔦紅葉してより岳の聳えけり 黒坂紫陽子 馬醉木 200212
猫の毛を繕ふベンチ蔦紅葉 小川洋子 帆船 200212
表札となりし石垣蔦紅葉 鏡山千恵子 帆船 200212
師の句碑の声か一縷の蔦紅葉 能村研三 200212
蔦紅葉運河明るくなりにけり 斎藤くめお 対岸 200212
蔦紅葉スフォルツェスコ城ピエタ像 竹下昭子 ぐろっけ 200302
蔦紅葉白き洋館包み込む 青木暁子 築港 200303
蔦紅葉日裏日表確と見せ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200312
維新の志士遭難の橋蔦紅葉 松崎鉄之介 200312
考古館の石置き屋根の蔦紅葉 望月喜好 200312
枯がれの大樹のまとふ蔦紅葉 芝尚子 あを 200312
廃屋を覆ひ尽して蔦紅葉 中坂和子 帆船 200401
内濠の石垣覆ふ蔦紅葉 岡村容子 築港 200401
神杉にのぼりつめたる蔦紅葉 西畑敦子 火星 200401
蔦紅葉囲める窓に灯をともす 福澤乙 酸漿 200401
城壁の斜面を登る蔦紅葉 中田寿子 ぐろっけ 200401
蔦紅葉ごろごろと来し乳母車 九万田一海 河鹿 200402
蔦紅葉ほどの執着とり戻す 山崎靖子 200402
蔦紅葉燃ゆる夢二の舘かな 中田征二 ぐろっけ 200402
蔦紅葉身ぬちに燃ゆるものの欲し 土生逸磨 河鹿 200403
慰霊碑へ供華のごとくに蔦紅葉 物江晴子 八千草 200405
塀越えてくるもの猫と蔦紅葉 稲畑汀子 ホトトギス 200410
蔦紅葉日陰を恋うてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200410
甲子園球場怒濤蔦紅葉 稲畑廣太郎 ホトトギス 200410
蔦紅葉いつもの猫は何処行つた 稲畑廣太郎 ホトトギス 200411
幹の朽ち隠し果せぬ蔦紅葉 森屋慶基 風土 200411
蔦紅葉裾の辺りの色深し 牛島千鶴子 対岸 200412
洋館を火攻めするかに蔦紅葉 栗原紘子 200412
雨筋の光りどほしや蔦紅葉 岡本眸 200412
蔦紅葉二階に低き衣紋掛 笹村政子 六花 200501
もののふの墓をおほひて蔦紅葉 佐久間由子 200501
水音に沿つてくだれば蔦紅葉 古川洋三 遠嶺 200501
蔦紅葉崩れし塀を支へをり 高田佐土子 築港 200501
蔦紅葉古井戸の蓋朽ちてをり 武本節子 築港 200502
石垣を縱横にいま蔦紅葉 北村香朗 京鹿子 200502
山裾の巌余さず蔦紅葉 矢作裕子 200502
蔦紅葉映ゆる下野新聞社 田村すゝむ 風土 200502
蔦紅葉桜紅葉の木をのぼる 辻恵美子 栴檀 200502
蔦紅葉枯木に蔓をくひ込ませ 大坪景章 万象 200503
蔦紅葉一気に剥がす解体屋 大山春江 万象 200503
蔦紅葉祠はいつも掃かれゐて 遠野萌 200504
武者顔に似る岩々か蔦紅葉 花島みゆき 八千草 200505
村に増える廃屋数多蔦紅葉 東暁雲 200505
生垣に彩装うや蔦紅葉 遠塚青嵐 200505
老木のポプラを装う蔦紅葉 遠塚青嵐 200506
蔦紅葉溝川わづか彩れる 小黒加支 酸漿 200511
倉庫跡煉瓦の壁の蔦紅葉 石川敬子 対岸 200601
蔦紅葉明治洋館威を増せる 泉田秋硯 200602
アルプスを間近のカフェや蔦紅葉 今中道子 200602
蔦紅葉蒸気時訃のメロディー音 坂本ひさ子 遠嶺 200602
隙のない女の横顔蔦紅葉 柴田朱美 京鹿子 200602
空井戸の中へ続けり蔦紅葉 師岡洋子 ぐろっけ 200603
からまりて廃屋ささふ蔦紅葉 岩田登美子 ぐろっけ 200603
蔦紅葉黄葉なだるる夕日かな 芦川まり 八千草 200605
蔦紅葉高樋あふれて雨の如 瀧春一 常念 200606
蔦紅葉日を吸ふ角度ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200611
蔦紅葉岩のあわひに溢れ出づ 山田六甲 六甲 200612
日差しへと近づきゆけり蔦紅葉 山田六甲 六甲 200612
道標の木目の渦や蔦紅葉 成田美代 200701
蔦紅葉ミレーの心にふれる旅 奥田茶々 風土 200701
山の道城址標の蔦紅葉 井上幸子 酸漿 200701
湖に向き傾く幹や蔦紅葉 井上幸子 酸漿 200701
長々と岩の背を這ふ蔦紅葉 島崎久美子 酸漿 200701
人住まぬ窓に燃えをり蔦紅葉 伊藤セキ 酸漿 200701
写真館まとうてゐたる蔦紅葉 阿部正枝 遠嶺 200702
蔦紅葉明治どつしり石の蔵 岸田爾子 200712
美術館の外壁おおひ蔦紅葉 上慶子 200712
蔦紅葉まとうて山毛欅の悪女めき 佐々木新 春燈 200801
蔦紅葉宇津ノ谷峠に火の走り 柴田久子 風土 200801
蔦紅葉芭蕉の墓に慕ひ寄る 安居正浩 200801
石垣が里親なりし蔦紅葉 梶浦玲良子 六花 200801
石の塀に描きし如き蔦紅葉 深澤テル子 200802
呼びだしておいて待たせる蔦紅葉 坂口夫佐子 火星 200802
そそり立つ岩壁おほふ蔦紅葉 岡田弘子 遠嶺 200803
踊るかに幹にありたる蔦紅葉 ことり 六花 200811
蔦紅葉比叡一望の茶房かな 古田晴子 200812
夫いつも上昇志向蔦紅葉 小梅順 炎環 200812
高原の蔦の紅葉にゴルフせり 佐藤健伍 200812
借景に落日を背の蔦紅葉 小城綾子 200901
倒木を癒し華やか蔦紅葉 小城綾子 200901
蔦紅葉の紅残照に暮れなづむ 大泉美千代 雨月 200901
蔦紅葉燃えて賑はふ運河沿 三井公子 酸漿 200901
枝打ちをされし檜の蔦紅葉 渡邉孝彦 やぶれ傘 200903
村人の建てし教会蔦紅葉 松本正生 やぶれ傘 200903
城郭に老舗ジェラート蔦紅葉 谷澤秀子 200911
蔦紅葉してさながらに煉瓦館 鷹羽狩行 200911
直立ちの木を飾りけり蔦紅葉 阿部ひろし 酸漿 200911
舞妓浜松にからみて蔦紅葉 加藤克 200912
蔦紅葉裏面は仕上ってはをらず 大橋敦子 雨月 200912
ひとときの夕日集めて蔦紅葉 沖倉好秋 酸漿 200912
蔦紅葉拾ひ吉備路の旅鞄 小澤菜美 201001
とざされし古き別邸蔦紅葉 吉沢陽子 201001
胸に師の喪を抱く旅の蔦紅葉 菅谷たけし 200101
山寺の岩のぼりをり蔦紅葉 柳沢典子 酸漿 201001
城古りて残る石垣蔦紅葉 佐藤喜仙 201001
蔦紅葉ブロック塀に高級感 新実貞子 201002
教会の午後の静けさ蔦紅葉 小山直子 末黒野 201002
糺の森の一本道や蔦紅葉 岩永はるみ 春燈 201002
古びたる煉瓦館や蔦紅葉 三羽永治 遠嶺 201002
石垣の石に罅あり蔦紅葉 國保八江 やぶれ傘 201002
一幹を飾りてゐたり蔦紅葉 飯田角子 酸奬 201002
蔦紅葉神も粧ひたまひけり 岩岡中正 ホトトギス 201003
蚕屋の世は遠く離りて蔦紅葉 宮木忠夫 201003
窓小さき煉瓦の壁や蔦紅葉 丑久保勲 やぶれ傘 201004
葉脈を透かせ夕べの蔦紅葉 布川直幸 201009
ひとり立ち出来ぬ諦め蔦紅葉 呂秀文 春燈 201012
酒蔵にリボン掛けたる蔦紅葉 石川かおり 201101
形見とて未だ交信蔦紅葉 野口喜久子 ぐろっけ 201101
軟石の蔵奔放に蔦紅葉 園部早智子 ろんど 201101
赤頭巾の子ども地蔵へ蔦紅葉 川崎利子 201102
白壁へ線描自在蔦紅葉 廣見知子 201102
蔦紅葉小山の庵の昼明かり 安井和恵 201102
蔦紅葉墓所彩つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
蔦紅葉学舎の窓赤く染め 中島玉五郎 201112
蔦紅葉ためらひの舌うごき初む 小形さとる 201201
首無しの野仏纏ふ蔦紅葉 秋場貞枝 春燈 201201
火となりて神杉登る蔦紅葉 中根千恵子 ろんど 201201
アジ聞きし教室いまも蔦紅葉 五十嵐章子 201201
愛といふ束縛ありぬ蔦紅葉 花田心作 201201
蔦紅葉ナイフフォークを使ふ昼 高松由利子 火星 201201
壁泉の獅子が水吐く蔦紅葉 久世孝雄 やぶれ傘 201201
白樺の低き高きに蔦紅葉 堀岡せつこ 201202
蔦紅葉這はす館にドーベルマン 野口喜久子 ぐろっけ 201202
売家の看板彩る蔦紅葉 福島松子 ぐろっけ 201202
橋脚を覆ひ隠すや蔦紅葉 宮島ムツ 末黒野 201202
湖際の白亜のホテル蔦紅葉 中山良子 末黒野 201202
廃線跡名残のロゴや蔦紅葉 有本南陵 ろんど 201202
絡まるる蔦と紅葉づる神樹かな 西川みほ 末黒野 201203
雄橋を吊り下げてゐる蔦もみぢ 和田照海 京鹿子 201203
蔦紅葉見下す高さありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
昼灯す雨の門燈蔦紅葉 白澤よし子 馬醉木 201211
縫れたるままもまたよし蔦紅葉 山田六甲 六花 201211
大岩を搦めてゐたる蔦紅葉 小林はじめ 六花 201212
白壁をおほひ尽して蔦紅葉 斉藤裕子 あを 201212
地震跡の断崖に這ふ蔦紅葉 笠井敦子 201301
蔦紅葉小屋の破れ板飾りけり 松本恒子 ぐろっけ 201301
名刹の欅にまとひ蔦紅葉 上月智子 末黒野 201302
蔦紅葉大樹を抱きて何思ふ 犬塚芳子 201302
廃屋の壁の装ひ蔦紅葉 神戸やすを 201303
洋館を鎖すよろひ戸蔦紅葉 古川干鶴 かさね 201312
北岳の天心にあり蔦紅葉 今田清三 馬醉木 201312
法螺ひびく出羽三神の蔦紅葉 鈴木照子 201312
白樺の白の浮き立ち蔦紅葉 田村加代 末黒野 201312
蔦紅葉仔犬のワルツ深く聞く 本田和子 201401
塚ひとつ刑場跡の蔦紅葉 黒住康晴 201401
塚ひとつ刑場跡の蔦紅葉 黒住康晴 201401
杉木立深き神域蔦紅葉 小川玉泉 末黒野 201401
急坂の足へ負荷あり蔦紅葉 遠山みち子 201401
廃屋に使はぬ闇や蔦紅葉 大矢恒彦 201401
蔦紅葉派手に鳴らして猿夫婦 山口ひろよ 201402
蔦紅葉血は立ったまま立ったまま 篠田純子 あを 201402
常盤木の幹這ひ上る蔦紅葉 藤井美晴 やぶれ傘 201402
歳経るも恋は八入や蔦紅葉 久保久子 湖心 201402
黄昏のめらめら終の蔦紅葉 鎌田慶子 ろんど 201403
高原の街はモダンに蔦紅葉 中貞子 201412
約といふ軽きものあり蔦紅葉 伊丹さち子 馬醉木 201501
終生の友の一語や蔦紅葉 橋本靖子 201501
球場の壁ひたのぼる蔦紅葉 藤本千鶴子 火星 201501
道端に土管立ちをり蔦紅葉 渡邊孝彦 やぶれ傘 201502
倒木を搦め捕つたる蔦紅葉 森岡恵子 万象 201502
二十分の頭部撮影蔦紅葉 井口ふみ緒 風土 201502
どこまでも登りつめたる蔦紅葉 犬塚芳子 201502
蔦紅葉百年経北る異人館 堀井英子 雨月 201502
白壁の血脈のやう蔦紅葉 佐々木紗知 京鹿子 201503
蔦紅葉秒針の音耳ざはり はしもと風里 船団 201505
馬車道の十番館や蔦紅葉 田村すゝむ 風土 201511
ふるさとの廃れし鉱山(やま)や蔦紅葉 見田英子 春燈 201512
蔦紅葉古刹に隣る珈排館 中村洋子 風土 201512
蔦紅葉石の柱をぎゆつと抱き 岡野ひろ子 201601
廃校や門に絡まる蔦紅葉 高橋明 末黒野 201601
車窓より手の届きさう蔦紅葉 有賀昌子 やぶれ傘 201602
いとほしき一葉となり蔦紅葉 菊谷潔 六花 201602
蔦紅葉昔家具屋を彩りぬ 藤波松山 京鹿子 201603
山荘の前も後ろも蔦紅葉 伊藤紫水 風土 201612
蔦紅葉宿場に残る水車小屋 嶋崎豊子 雨月 201701
恥ぢらひの色にはじまる蔦紅葉 三上程子 春燈 201701
酒蔵にいのちをからむ蔦紅葉 佐久間由子 201701
夕映えの白壁土蔵蔦紅葉 山本無蓋 201702
杉の木へ燃えあがりたる蔦紅葉 峰幸子 末黒野 201702
休診の歯科の看板蔦紅葉 延川五十昭 六花 201801
大岩の迫り出す割目蔦紅葉 福島せいぎ 万象 201801
遥拝所とふ山の頂蔦紅葉 奥田温子 やぶれ傘 201712
潮風の届く酒蔵蔦紅葉 山田佳乃 ホトトギス 201802
蔦紅葉→2      

2021年11月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。