短 日 5      202句

短日  日短  暮早し

作品
作者
掲載誌
掲載年月
短日のカクテル美女と野獣かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
弔電を打ち短日の旅に発つ 稲畑汀子 ホトトギス 201212
短日の天体ショーを待つ時間 稲畑汀子 ホトトギス 201212
短日の女の胸に針きらと 丸山佳子 京鹿子 201212
短日の寺を出でゆく水の音 山尾玉藻 火星 201212
短日の机上にぽつんと句帳かな 松嶋一洋 201301
短日や旗ふりて呼ぶ渡し舟 秋岡美津子 京鹿子 201301
短日の鸚鵡に佇てば馬鹿といふ 丸山佳子 京鹿子 201302
短日やカフエで過ごす良き時間 丸田信宏 京鹿子 201302
短日の小鉢に母の煮ころがし 佐々木ひろ 火星 201302
短日の泣く児にひるむ叱り声 岡田満喜子 ぐろっけ 201302
短日や出掛くる昼も電気つけ 森岡陽子 かさね 201303
短日や小銭乗せたる石地蔵 和田勝信 かさね 201303
短日や公園の児童声高し 田中清秀 かさね 201303
短日や稽古帰りの暗き道 菊地崇之 かさね 201303
短日やバス待つ間にも伸ぶる影 府川昭子 春燈 201303
奥に奥ある短日の京町屋 成宮紀代子 201303
短日や皇帝ダリア咲き誇る 加藤八重子 末黒野 201303
短日や言葉尽くせぬままに辞し 溝内健乃 雨月 201303
短日の患者専用理髪店 秋田直己 ぐろっけ 201303
短日の大学芋のひかりかな 大島英昭 やぶれ傘 201303
短日の弥彦山から下りけり 有賀昌子 やぶれ傘 201304
短日や飼葉に混ぜる藷の蔓 亀田やす子 ははのこゑ 201306
短日のはじまつてゐる早出かな 稲畑汀子 ホトトギス 201312
短日の何か忘れてをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201312
短日の済ませ置かねばならぬこと 稲畑汀子 ホトトギス 201312
短日の暮れて落着く会となる 稲畑汀子 ホトトギス 201312
短日を使ひきつたる波止の釣 熊丸淑子 馬醉木 201401
短日や植物園に隣る寮 高田令子 201402
短日や過敏に開く自動ドア 林昭太郎 201402
東京に来て短日を切り刻む 森岡正作 201402
テトラポッド短日の肩寄せあへり 安立公彦 春燈 201402
短日の厨に残る陽のぬくみ 大日向幸江 あを 201402
短日の吊革つかむ右手左手 築城百々平 馬醉木 201402
短日や浮雲のなき国に住み 井上石動 あを 201402
短日や母校のカフェで菓子を食ふ 小山陽子 やぶれ傘 201402
出歩かずゐて短日の過ぎゆける 下平しづ子 雨月 201403
待つ人のなき短日の家路かな 柴田志津子 201403
短日のポストは口を開け続け 甕秀麿 201403
短日の勝負を決める長打欲し 足立良雄 201403
短日の床に立てかく未完の絵 柴田久子 風土 201403
短日やつひに一人の路線バス 岡井マスミ 末黒野 201403
短日や気のせかさるる日の続き 笹井康夫 201403
短日や舞妓の垂らす髪飾り 丑久保勲 やぶれ傘 201403
短日や揺らぎつ淡き己が影 来海雅子 201403
短日の葬送の鉦風に乗り 田中佐知子 風土 201403
短日のカラヤン広場に待ち合はす 奥山茶々 風土 201403
短日の心急かさる時報かな 水田壽子 雨月 201404
短日の日差し逃さじ池浚へ 播磨武子 雨月 201404
短日の暮れて聞ゆる寺の鐘 大橋晄 雨月 201404
短日や何を省けばけふ終る 島谷征良 風土 201404
短日の雲の座りし五位の河 梶浦玲良子 六花 201405
短日のまず倒木を越えにけり 津波古江津 船団 201406
短日の帰路千キロといふ鉄路 稲畑廣太郎句帳 ホトトギス 201412
短日の移動三ケ所つつがなし 稲畑汀子 ホトトギス 201412
短日の予定次々こなす旅 稲畑汀子 ホトトギス 201412
あれは妻が誘ひし短日の喫茶店 堀内一郎 堀内一郎集 201412
短日の昏ゆく先の石畳 槇野あさ子 風土 201501
短日や不意にひとりの走り出す 鈴鹿仁 京鹿子 201501
短日や五時のチャイムも冴え渡る 斉藤裕子 あを 201501
短日の刻を止めて無言館 落合絹代 雨月 201502
短日の兼六園り芭蕉句碑 生田恵美子 風土 201502
山の端も消ゆ短日のしずかさよ 四條進 201502
短日や塩して魚の光りたる 蘭定かず子 火星 201502
短日や中から減つて縄の束 内藤静 風土 201502
短日をのせる流れのうすひかり 豊田都峰 京鹿子 201502
短日の頼まれごとを灯にはたす 豊田都峰 京鹿子 201502
短日や子猫あげると言はれても 内海良太 万象 201502
短日や帰り促す母の声 大橋晄 雨月 201502
短日や母に分け置くのみぐすり 山本喜朗 雨月 201502
短日の一本松の地に置かれ 小林はじめ 六花 201502
灯が一つ点き短日の無人駅 武政礼子 雨月 201503
短日の月伊勢丹にかかりけり 丑久保勲 やぶれ傘 201503
短日の針を進める花時計 雲所誠子 風土 201503
短日や最高気温摂氏九度 下山田美江 風土 201503
短日やまた怖い夢見てしまふ 高島正比古 京鹿子 201503
短日を白く吹かるるバスタオル はしもと風里 201503
短日のあなたがいない誕生日 たかはしすなお 201503
短日や小鍋の煮炊き焦げやすく 中村房子 馬醉木 201503
短日や引返せずに女坂 半田稜 ろんど 201503
短日や「そんぴん」という焼酎を 渡部次代 ろんど 201503
短日の裸電球古書の市 漆山浩一 末黒野 201503
短日や選句のそばに置時計 阪本哲弘 201503
短日や道に段差があつたはず 丑久保勲 やぶれ傘 201503
短日の影解きゐる雑木山 森田尚宏 201504
短日や一筆箋の走り書き 吉永すみれ 風土 201504
短日やあれもこれもと気がもめる 池田光子 201504
短日や借り手決まらゐ貸し店舗 瀬島洒望 やぶれ傘 201504
短日のしこしこと噛むスルメ鳥賊 北上政枝 201505
短日や駅に階段配置の図 ふけとしこ 船団 201505
短日のペダルを強く速く漕ぐ 涌羅由美 ホトトギス 201505
短日や病院込みて急ぎ足 藤波松山 京鹿子 201505
短日の貨車押しあひつつ停る 木下夕爾 春燈 201508
短日のひとりはつひにふりむかず 木下夕爾 春燈 201508
短日や卓引き寄せて作る席 甲州千草 201512
短日に処して行かねばならぬ用 稲畑汀子 ホトトギス 201512
朝月の沈み短日はじまりし 稲畑汀子 ホトトギス 201512
短日の旅とは又もせかされて 稲畑汀子 ホトトギス 201512
短日の積りて遠き昔かな 池永加代 京鹿子 201601
短日やプラネタリウム星増やす 佐渡谷秀一 春燈 201602
短日や江戸より千里取手宿 山崎刀水 春燈 201602
短日の電話短く訃を告ぐる 生田作 風土 201602
短日や心忙しくなりゐたり 須藤美智子 風土 201602
短日や帰宅時刻を子に問はれ 布川孝子 京鹿子 201602
短日の児童横断見守り隊 平居澪子 六花 201602
短日や独りで使ふ夫婦箸 樋口みのぶ 201603
短日や嫁は厨を丸く拭く 竪山道助 風土 201603
短日や百周年の無人駅 佐藤やすこ 風土 201603
昼を灯して短日の魚市場 藤井美晴 やぶれ傘 201603
短日や眺めひつそり暮れかかる 水谷直子 京鹿子 201604
短日のいそぎ取り込む介護服 元橋孝之 京鹿子 201604
短日や未練捨てさるときむかへ 元橋孝之 京鹿子 201604
短日の水の如くに流れけり 早川八重子 末黒野 201604
短日や猫には猫の月日あり 山田正子 201604
短日や人恋ひしさの墨をすり 森清信子 末黒野 201605
短日や消しゴム付きの鉛筆執り 野沢しの武 風土 201607
短日の宮司の話つづきをり 稲畑汀子 ホトトギス 201611
駅なかにゐて短日を忘れをり 成宮紀代子 201612
短日の庭草にあるひかりかな 沼田巴字 京鹿子 201612
短日のやりくりの朝はじまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201612
短日に追ひかけられてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201612
短日の訃報は若き同人と 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
短日の聖画に点すシャンデリア 熊岡俊子 雨月 201701
短日や人肌よかり猫肌も 加藤みき 201701
短日や鬼面太鼓のうなり打ち 甲州千草 201701
短日の極みと覗く深井かな 近藤喜子 201702
短日の日を吊り上げむ重機かな 岩下芳子 201702
短日や暮れてしまへばパラダイス 岩下芳子 201702
短日の膝にこぼるる痛み止 栗山よし子 馬醉木 201702
短日の窟にとどく波の音 伊藤ふみ 馬醉木 201702
短日の砂を鳴かせるそぞろかな 小嶋恵美 春燈 201702
短日やつぎつぎ増ゆる探し物 山口地翠 春燈 201702
短日や火の見櫓の影長し 石塚勝典 雨月 201703
短日の川は岸より暮れゆけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201703
短日のポストの口に封書の尾 加藤峰子 201703
短日や遊び足らざる子らに風 斉藤マキ子 末黒野 201704
短日や自転車灯す部活の子 大霜朔朗 末黒野 201704
短日の海女町で買ふ糠鰯 中川句寿夫 ここのもん 201705
短日の帰路を急ぐや漁の船 平木三恵子 末黒野 201705
短日のくち溶けのよいあんこ玉 津波古江津 船団 201707
草野球短日の靄まとひそめ 水原秋櫻子 馬醉木 201711
短日や三つの会の二つ目に 稲畑汀子 ホトトギス 201712
三つ目の会は短日暮れてゐし 稲畑汀子 ホトトギス 201712
短日の焦る心のなき旅路 稲畑汀子 ホトトギス 201712
短日やドリルで削る人工歯 近藤真啓 春燈 201712
短日を振子のやうに過ごしけり 森岡正作 201801
短日やプリンの蜜が足りないぞ 齊藤實 201801
短日やことに淋しき膝頭 大塚文枝 京鹿子 201801
短日や体内時計修理中 久留米修二 馬醉木 201802
短日の入日に寄する願ひあり 齋藤晴夫 春燈 201802
人並に短日かこつ閑人かな 河崎國代 春燈 201802
短日の眼重たくなりにけり 岩下芳子 201802
短日の帰宅や皓と月を上ぐ 溝内健乃 雨月 201803
短日の厨早々灯を点し 服部珠子 雨月 201803
短日や足より暮るるバスのりば 岡尚 風土 201803
短日の陰長くして屋敷越す 小林はじめ 六花 201803
短日の仕舞の早し陶器市 加瀬伸子 末黒野 201803
短日の千手のほとけをろがむや 小林文良 春燈 201803
短日の散歩切り上げ縄暖簾 小池一司 やぶれ傘 201804
沖に沖ある短日の漁船 兒玉充代 201804
短日の金の朝月仰ぎ発つ 千原叡子 ホトトギス 201805
短日といふ空白の中にをり 崎素粒子 ホトトギス 201805
短日の金の朝月仰ぎ発つ 千原叡子 ホトトギス 201806
短日の小半時とや一句成す 鷺山珀眉 京鹿子 201901
短日の子に促すや入浴を 大日向幸江 あを 201901
短日の巫女の摺り足砂利とばす 鈴鹿呂仁 京鹿子 201902
短日の窓口の女まくし立つ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201902
短日のほどほどにする立話 中村風信子 馬醉木 201902
短日や手探りで知る鍵の向き 宮内とし子 201902
短日や鍋一杯の煮豆かな 須賀敏子 あを 201902
短日のバス停にある掛時計 金森教子 雨月 201903
短日や小太き声の占い師 山田健太 風土 201903
短日の吐息も落とす砂時計 山中志津子 京鹿子 201903
短日や波のいらだつ宇治の川 片山煕子 京鹿子 201903
短日の酒饅頭の湯気に列 有賀昌子 やぶれ傘 201903
短日の段差に転ぶ常の道 有賀昌子 やぶれ傘 201903
短日や行きつ戻りつ神楽坂 今村千年 末黒野 201904
短日の時計の針を戻す旅 山田佳乃 ホトトギス 201905
短日や気ばかりせいて足鈍る 植木やす子 201905
短日の焦げ目ほどよき一夜干 石田蓉子 201905
短日のことりと自動販売機 戸栗末廣 201906
短日の机の中の秘密かな 佐藤日和太 船団 201906
短日の午前の長しヘリコプター 内田美紗 船団 201906
短日の逢魔時や振り返る 中川のぼる 201907
短日の病室仕事山積みに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
短日や植木鋏の音尖る 佐藤千恵 京鹿子 202001
短日や秒針の音闇に生る 本郷 公子 京鹿子 202001
短日や図書返却へ急ぎ足 須賀敏子 あを 202002
短日や月に一度の通院日 須賀敏子 あを 202002
短日の日ざし尊し禅の庭 堀井英子 雨月 202002
短日や頼りにならぬ糸切歯 菊地光子 202002
短日の動物園のアナウンス 安藤久美子 やぶれ傘 202002
短日や庭師の残す高梯子 鷺山珀眉 京鹿子 202002
短日の影を惜しみて野辺巡る 松本鷹根 京鹿子 202002
短日や廃工場の鉄の屑 根來隆元 202003
短日や明日の予定は気負はずに 大霜朔朗 末黒野 202003
短日の厨の換気扇磨く 有賀昌子 やぶれ傘 202003
短日や杼はいそがしく右左 小原紀子 末黒野 202004
梅田発つとき短日と思ひけり 戸栗末廣 202006
短日の手相見に声掛けられし 戸栗末廣 202006
短日や動く歩道で追ひ抜かる 田岡千章 202007
短日や子を待つ明り外に内に 石井美智子 風土 202011
短日 →6      

 

2021年11月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。