涼 し 3    200句

じだらくにねれば涼しきタベかな   宗次   猿蓑

涼し  涼気  露涼し

作品
作者
掲載誌
掲載年月
手の届くところに銀河嶺涼し 小澤克己 遠嶺 200109
涼しき灯寄せ山荘の旅便り 川端和子 遠嶺 200109
真剣なことば交して涼しけり 土岐明子 遠嶺 200109
遠く来て蹠涼しく寝まりけり 城孝子 火星 200109
ペン胼胝を浸して涼し宗祇水 飯塚ゑ子 火星 200109
涼しさや藍の蒅に顔寄せて 浜口高子 火星 200109
背戸畑のしらしら明けにゐて涼し 白鳥武子 酸漿 200109
豆腐屋のつり銭ぬれてゐて涼し 谷合青洋 酸漿 200109
滝を見て来しと涼しき声響く 保科次ね子 百鳥 200109
木と紙の家を涼しくまはりけり 武田和代 百鳥 200109
川床涼し見えぬ所に打つ楔 荒川美邦 京鹿子 200109
円空の笑みゆきとなる涼しけれ 大橋敦子 雨月 200109
小面の口の開きやう涼しけれ 大橋敦子 雨月 200109
白樺の白の林立涼しけれ 辰巳あした 雨月 200109
晶子の書涼しかな文字自在なり 久保晴子 雨月 200109
伎楽面かざり涼しき社務所かな 出口賀律子 雨月 200109
家元の一軸涼し夏座敷 斉藤陽子 雨月 200109
国境を越ゆる大橋風涼し 二宮桃代 雨月 200109
大雷雨に涼しくなりて退院せり 松崎鉄之介 200109
師の作の駅鈴涼し陶芸展 牧悦子 200109
涛の音涼し身返り美人図に 渋谷照代 200109
夕涼し神官木沓ひびかせて 志水千代子 俳句通信 200109
涼しさや御母衣湖水面より暮れて 春田淳子 俳句通信 200109
古事記伝記せし書斎昼涼し 中御門あや 俳句通信 200109
涼しさや宣長筆の歌色紙 阿波谷和子 春耕 200109
健常のホームレスかも夜気涼し 藤井晴子 200109
蔵涼し木の階段に木の軋み 望月晴美 200109
ツインルーム友と涼しき距離にゐる 望月晴美 200109
涼しさの羽生ふるらむ乳母車 辻美奈子 200109
梶の葉の一枚一枚が涼し 岡井省二 200109
チェロ涼し曽祖父虚子よ聞きませと 大橋宵火 円虹 200109
風涼し大樹の下を夫婦して 大田かづみ いろり 200109
御嶽や金剛杖の鈴涼し 須賀敏子 あを 200109
メナム涼し顔も洗へば尿もして 浮田胤子 ぐろっけ 200109
乙女座へサックス聴かせ風涼し 山下佳子 200110
道野辺の夫婦道祖神涼し 鈴木石花 風土 200110
涼しさの中へ踏み入り橅山中 寺田善樹 風土 200110
一言で足る選評や涼しけれ 笠松浩子 200110
白樺の林涼しく馬上の師 橋本良子 遠嶺 200110
灯りたる石の教会星涼し 高畑信子 遠嶺 200110
後朝の涼しき花を愛でにけり 三橋泥太 遠嶺 200110
涼しさや折り目正しき句座の人 渡辺智佳 遠嶺 200110
登頂にまどろむ小屋の星涼し 長島惠吉 遠嶺 200110
とりどりの落葉松の丈星涼し 岡田貞峰 馬醉木 200110
風涼し銘山伏の井戸茶碗 山岸治子 馬醉木 200110
花を見る花も見てゐると涼しき字 山岸治子 馬醉木 200110
大甕に泡盛醸す蔵涼し 近藤暁代 馬醉木 200110
回廊に紫衣高僧の涼しかり 山本雅子 馬醉木 200110
銀河涼し青き地球を住処とし 松田雄姿 百鳥 200110
家々に橋の懸かりて涼しかり 伊藤和枝 百鳥 200110
泣き声を孫の名乗りと聞きて涼し 吉田喜重 百鳥 200110
地中海のハーブがここに水涼し 奥田節子 火星 200110
油瀝青実の丸々と沢涼し 網野茂子 酸漿 200110
涼しさや寺苑真砂の箒あと 小石秀子 酸漿 200110
慈悲観音姿涼しくおはしけり 関正夫 酸漿 200110
集魚灯つづく大灘星涼し 木下玉葉子 酸漿 200110
ひとつばたご葉の広がりの涼しげに 田中章子 酸漿 200110
日の中を涼しく僧の来たりけり 仲尾弥栄子 俳句通信 200110
その辺涼しそのひともの静 亀丸公俊 銀化 200110
灼け残りしお馬流しの船涼し 松崎鉄之介 200110
見えぬ眼の闇を涼しと涼み居る 村越化石 200110
みほとけに涼しき四十八枚田 櫻井康敞 200110
へら鮒の釣りしを逃す掌の涼し 三浦晴子 200110
湖涼しぽかりと現るる逆さ富士 三浦晴子 200110
北斗星仰ぐ湯の宮風涼し 布谷洋子 春耕 200110
星涼し話の続くテラスかな 池端英子 200110
来し方や道草といふ涼しさも 坂本京子 200110
暗室にたつたひとりは涼しかり 田所節子 200110
九度山のいはれ涼しく話されて 立石萌木 雨月 200110
飛騨涼し匠の一刀彫の技 大堀鶴侶 雨月 200110
箸初の子に真似ごとの膳涼し 久保晴子 雨月 200110
イチローのダイビングキャッチ涼しけれ 久保晴子 雨月 200110
マネキンが着れば涼しげ夏衣 久保晴子 雨月 200110
居留地は涼し吹奏楽響き 熊岡俊子 雨月 200110
供華替へて墓石涼しくなりしかな 武政礼子 雨月 200110
牛の子の大きカウベル牧涼し 金森教子 雨月 200110
鰐口は百貫といふ那智涼し 堀田清江 雨月 200110
青墨の匂ふ一机や灯涼し 小町美江子 ぐろっけ 200110
糊こわきシェフの高帽星涼し 小町美江子 ぐろっけ 200110
瞬きを峠に仰ぐ星涼し 吉田節子 ホトトギス 200111
星涼しドレスの色の食前酒 名取袿子 200111
年譜よりはじまる書展灯の涼し 小野寺和子 200111
人波を逃れ涼しき観音堂 細野みさを 200111
盆僧の自我経一巻こゑ涼し 鈴木ゆき子 風土 200111
少女らの手足涼しき浅瀬かな 小山徳夫 遠嶺 200111
目鼻立ある蟷螂の殻涼し 永田二三子 酸漿 200111
卵割る音の涼しき朝厨 宇佐美祐喜子 酸漿 200111
白髪は涼し青年に囲まれ 澁谷道 海程 200111
川涼し郡上の出あい出羽合海 澁谷道 海程 200111
犬の子のふんぐりを見て梅雨涼し 村山半信 海程 200111
泌尿器科検尿コップ涼しげに 松崎鉄之介 200111
土間涼し鹹水を濾す甕十二 西野愁草子 200111
風涼し御塩焼く火を鑽り立たす 西野愁草子 200111
真筆の虚子の短冊涼しかり 遠藤裕子 円虹 200111
涼しさのかたまつてゐる槐かな 岡井省二 200111
夜に雨をたまひて朝のなほ涼し 植松美根子 200111
あじろ敷正座涼しき京町家 岡本幸枝 ぐろっけ 200111
看脚下草履一足土間涼し 川合正男 ぐろっけ 200111
パイプオルガン奏す牧師の目の涼し 佐藤淑子 雨月 200112
糟糠の妻の名笹に付け涼し 萩谷幸子 雨月 200112
父子涼し虚子真筆を宝とし 村松紅花 ホトトギス 200112
涼しさも眺めも客の持てなしに 小島左京 ホトトギス 200112
眼光の鋭きは涼しや阿吽像 南光翠峰 馬醉木 200112
猫涼し遊びごころの手を出して 北原志満子 海程 200112
堰ごとに音の異なる涼しさよ 丁野弘 200112
涼しさや木立の奥の記念館 大堀由子 200112
星涼しギリシャ神話の講座聴く 川端和子 星月夜 200112
佛母寺御目も風も涼しかり 大森ムツ子 ぐろっけ 200112
生れてまだ名のなき嬰の涼しかり 坂本俊子 200201
一矢得て新たに涼し弓道場 遠藤和彦 遠嶺 200201
朝市で売る手づくりのもの涼し 天岡宇津彦 200201
星涼し僧院の灯のはや消えて 龍神悠紀子 200201
王宮の絵タイルの壁藍涼し 龍神悠紀子 200201
部屋涼し剥製の鳥その卵 皆吉司 船団 200201
風涼し神の声なき声を聞く 桑田青虎 ホトトギス 200202
松島湾島それぞれの涼しき座 桜井菜緒 200202
大仏の蔭の最も涼しかり 佐野まさる 百鳥 200202
金太郎飴のような人いて夕涼し 濱口宏子 船団 200202
涼しさや背に日本海良寛堂 能勢京子 船団 200202
父の傍たれの傍より涼しかり 荒井千佐代 系図 200203
最上川の川音入れて蔵涼し 新関一杜 京鹿子 200204
若人を迎へ蕉心会涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200205
俯瞰する高さ涼しき風誘ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200205
一番に戻りしバスの涼しさに 稲畑汀子 ホトトギス 200205
見下ろすといふ涼しさも景観も 稲畑汀子 ホトトギス 200205
見えてゐる星見えて来る星涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200205
夙川に流れ涼しき景となる 稲畑汀子 ホトトギス 200206
涼しさや鳥文様のスープ皿 鷹羽狩行 200207
楽起りさう満天の星涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
千年の樹齢の鏡板涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
光年の時差の煌き星涼し 藤浦昭代 ホトトギス 200207
涼しさに着くドライブでありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200207
言葉より涼しき心貰ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200207
草原といふ涼しさを意のままに 稲畑汀子 ホトトギス 200207
見えて来しわが宿の灯の涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200207
原稿のほぼ仕上りぬ灯涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200207
食断ちて一物もなき身の涼し 松崎鉄之介 200207
母とも思ふ兄嫁とゐて涼しかり 戸栗末廣 火星 200207
陶工の便り涼しく拝しけり 山田六甲 六花 200207
八百年の刀工の裔涼しけれ 堀田清江 雨月 200207
鈴の音のひびき涼しき壱岐神楽 田中章子 酸漿 200207
野の涯の蠍座さがす橋涼し 岡本まち子 馬醉木 200208
航跡図壁に帆船涼しかり 薪豊子 馬醉木 200208
涼しかり上人樹上坐禅像 神蔵器 風土 200208
鳴り竜を聞く輪の中にゐて涼し 中谷葉留 風土 200208
壇上の桂信子の涼しかり 林裕子 風土 200208
僧涼し母の菩提の後生車 松崎鉄之介 200208
靴を脱ぐ土間の涼しさありにけり 村越化石 200208
涼しさの奥ある森を畏みぬ 村越化石 200208
歩と言はで歩橋てふ風涼し 金丸鐵蕉 200208
涼しさの二胡の調べや海夕べ 水野あき子 遠嶺 200208
邸一歩入り虚子の世の風涼し 山田弘子 円虹 200208
汀子句碑涼しき距離に美穂女句碑 ほりもとちか 円虹 200208
琵琶の音の激しく涼し句碑披き ほりもとちか 円虹 200208
天守閣を望む御廟や風涼し 宮原悦子 雨月 200208
縁涼し歩き初めたる子を囲み 喜多初枝 雨月 200208
目礼の届きしことも涼しけれ 武政礼子 雨月 200208
病室の朝な神父の声涼し 片山喜久子 雨月 200208
チアガールの息の合ひたる涼しさよ 足立典子 雨月 200208
涼しさの極み庖丁砥がれけり 林翔 200208
雲涼しお手をどうぞと言はれても 丸山佳子 京鹿子 200208
太郎より次郎の山の池涼し 丸山佳子 京鹿子 200208
涼しさの器にたらす黒酢かな 高橋将夫 200208
尾花沢音霊をいふ涼しさよ 雨村敏子 200208
藍色の涼しさ選ぶ有田焼 三村禮子 酸漿 200208
千社札たかだかとある涼しさよ 宮原みさを 花月亭 200208
拍手の古式涼しき楠公へ 品川鈴子 ぐろっけ 200208
序の舞のいま足拍子笛涼し 渡辺昭 200209
涼しさを求め若狭に深く入る 岩木茂 風土 200209
病む窓の空水色に風涼し 相沢有理子 風土 200209
患者衣の夫涼しげに粥すする 相沢有理子 風土 200209
涼しさに流れ藻の紅濃かりけり 山尾玉藻 火星 200209
ステンレススプーン涼しき機内食 飯塚ゑ子 火星 200209
師の忌なりその句涼しき白磁碗 村上光子 馬醉木 200209
漂泊の思ひやまずよ星涼し 田代史子 馬醉木 200209
汽水湖の橋の半ばや旅涼し 古川利子 200209
墳丘に隣る生活の灯涼し 吉田節子 円虹 200209
はげましのことば涼しき便りかな 松永唯道 円虹 200209
一生のかく涼しきと読み了へぬ 松永唯道 円虹 200209
山涼し猿が三十通せんぼう 丸山佳子 京鹿子 200209
大津絵の鬼の涼しき塗師の店 山本耀子 火星 200209
朝涼し一家を乗せて渡し舟 薬師神和美 百鳥 200209
池涼し蓮の大葉の象鼻酒に 辻井桂子 雲の峰 200209
天主堂跡にマリアの像涼し 林和子 雲の峰 200209
土間涼しよく磨かれし釜の蓋 原茂美 雲の峰 200209
鐘涼し絵馬に残りし白絵の具 原茂美 雲の峰 200209
星涼しアニメのかかる映写会 川瀬里江 雲の峰 200209
水涼し毬藻は生ける青さもて 池田厚子 雲の峰 200209
ワインゼリー涼しく一日終りけり 三崎由紀子 遠嶺 200209
棚田より水音涼し北の駅 菊池育子 遠嶺 200209
あま藻根をよこたへ寄する海涼し 黒田咲子 200209
マーマレード作り終へたる涼しさよ 近藤きくえ 200209
海風の涼しさを背に城めぐる 吉田眞弓 雨月 200209
千木あげて元伊勢御師の里涼し 山本漾子 雨月 200209
鳥語涼し山上駅に降り立てば 足立典子 雨月 200209
虚子のそれも傘寿の筆の涼しけれ 足立典子 雨月 200209
反抗期の寝顔涼しくいとけなし 金森信子 雨月 200209
目許とは涼しき處眉の垂る 中原道夫 銀化 200209
星涼しまたも迷子になつてゐる 堀川夏子 銀化 200209
涼しさの町弥陀仏より立ち昇る 志方章子 六花 200209
涼し→ 4      

 

2021年7月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。