春 雷 1    280句

好きなものは玻璃薔薇雨駅指春雷   鈴木しづ子

春雷  春の雷  虫出し  初雷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春雷や港のクレーン忙しなく 河上麗子 春耕 199807
春雷にパストラル第五楽章 稲畑廣太郎 ホトトギス 199902
春雷のありしと舟を下りて聞く 稲畑汀子 ホトトギス 199903
春雷に山雨駆け抜けゆきにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199904
春雷や耳遠くして光るのみ 渋沢小枝 いろり 199904
秘め事の一つ春雷鳴り渡る 柳生千校千 火星 199905
弾み鳴る春雷カルテ好転す 柳生千校千 火星 199905
春雷や切口そろへ花の束 鷹羽狩行 199906
春雷や俄かに河の照りかげり 林美智子 199907
隠り宿めき春雷の音もなく 坂井建 ホトトギス 199908
春雷や慢心とくと警めむ 大谷茂 遠嶺 199908
正面から魴ヒ眺めいて春雷 佐々木峻 船団 199909
春雷に屋並いぶせき吉野なる 桑田青虎 ホトトギス 199910
春雷やときにこどもといふ両刃 藤村真理 200001
春雷に覚めし庭面でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200003
春雷や魂はいま薔薇色に わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
春雷の気配を山の稜線に 稲畑汀子 ホトトギス 200004
カーテンの如くに見える春雷霞 熊谷みどり いろり 200005
春雷や歯車少し逢わぬ人 塩見恵介 虹の種 200005
春雷を前髪で受けとめている 塩見恵介 虹の種 200005

 岬雪夫句集『春雷』序句

春雷や岬はひしと湾を抱き

鷹羽狩行 200005
春雷に覚めて早起き誕生日 品川鈴子 ぐろっけ 200005
春雷やマーマレードを煮る夜更け 岡田万壽美 俳句通信 200005
春雷の地に下り棲みて道祖神 新関一杜 京鹿子 200005
春雷やひとかたならぬ山賊雨 保坂加津夫 いろり 200006
急ぎゆく村に春雷また鳴れり 保坂加津夫 いろり 200006
春雷を湖北に聞けり西行忌 岡崎るり子 銀化 200006
春雷や雷らしからぬ間のびして 保坂加津夫 いろり 200006
春雷や鶏舎のさわぎをさまらず 高橋あゆみ 200006
春雷や人見えずして無人駅 熊谷みどり いろり 200006
声無くて春雷を聞く闇のあり 倉本マキ ヒッポ千番地 200006
春雷や二重カバーの文庫本 中谷葉留 風土 200006
春雷に応へて熱きフラメンコ 吉村春風子 遠嶺 200007
春雷やうら若き音暁空に 斉藤利雄 遠嶺 200007
春雷の七つばかりに寝ね得ざり 山田夏子 雨月 200007
春雷の二つ目を待つまだ鳴らず 川崎不坐 火星 200008
春雷のとどろく中のミサ夕ベ 管谷弘子 雨月 200008
春雷やかならず隅に座る癖 柴田いさを 船団 200010
春雷や言葉少なに婚告げし 北川とも子 ぐろっけ 200105
春雷や肩のやさしくなりし山 武井美代子 風土 200106
春雷に電話帳操る夜びとつ 朝倉晴美 船団 200108
春雷の残せし風の朝かな 稲畑汀子 ホトトギス 200203
春雷の一喝知らず帰宅せし 稲畑汀子 ホトトギス 200203
春雷やまだ遙けきに耳覆ふ 島谷征良 風土 200203
春雷やいのち三月と追而書 西村純一 雲の峰 200205
さう云へば春雷に距離感のなく 海輪久子 円虹 200206
しきりなる夜の春雷に筆擱きぬ 松尾緑富 ホトトギス 200206
雨呼びし夜の春雷のあまたたび 松尾緑富 ホトトギス 200206
春雷に駈け込む寺の大庇 三沢蘭 遠嶺 200206
春雷の遠きひびきや鯉沈む 鎌倉喜久恵 あを 200206
春雷に群青応ふ渦潮図 岡田貞峰 馬醉木 200207
春雷や青菜跳ねゐるフライパン 与川やよい 遠嶺 200207
春雷や少年ユングを読み耽る 祐森彌香 遠嶺 200207
豆皿を洗ふとしつき春雷す 瀬川公馨 200207
春雷にさすらひ心ありにけり 宮原みさを 花月亭 200208
春雷や仁王の腹に罅走る 須田紅三郎 200302
春雷に添ふ雨とてもなかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 200303
春雷や権の助坂権太坂 秋田谷明美 帆船 200304
一喝をして春雷の立ち去れり 丸山敏幸 200305
春雷の一閃窓を輝かす 渡部義次 雲の峰 200305
春雷に取られてしまひ真夜の夢 木内美保子 六花 200305
春雷の過ぎてしづけき雨の来し 樋口多嬉子 雲の峰 200305
春雷や子のいぬ部屋の置時計 武田美雪 六花 200305
春雷や祝ひ忘れし誕生日 武田美雪 六花 200305
春雷や天地の間呼吸せり 武田美雪 六花 200305
春雷にひるむ女人や高野口 中村翠湖 馬醉木 200306
春雷に応へて熱きフラメンコ 吉村春風子 遠嶺 200306
春雷やいきいきめぐる悪女の血 柴田佐知子 200306
春雷や華燭のブーケ投げらるる 遊橋恵美子 風土 200306
春雷や棋士秒読みに入る一手 長谷英夫 馬醉木 200307
春雷のおさまるまでの逢瀬かな 田中倫代 ぐろっけ 200307
春雷やカルテは異国文字ばかり 小林朱夏 200307
春雷や小壜にたむる古切手 堀本祐子 遠嶺 200308
ブラインド透し春雷探る空 桑原泰子 八千草 200309
春雷とにらめっこしてる達磨さん 桑原泰子 八千草 200309
春雷や盆地にしづむ寺の塔 遠野萌 200311
春雷や聖書研究会一人 須佐薫子 帆船 200403
春雷の去りて大地の動き初む 稲畑汀子 ホトトギス 200403
春雷の通り過ぎ雨上り来し 稲畑汀子 ホトトギス 200403
春雷や壺の中なる真暗がり 成井侃 対岸 200404
春雷や志功の文字の躍るなり 近藤喜子 200405
春雷に目玉とび出すあら煮かな 藤井明子 馬醉木 200405
春雷や役員改選論議中 加藤抱石 帆船 200405
春雷や投網を肩にして若き 長戸喜久男 百鳥 200405
春雷の過ぎて残りし雨の音 柴田毅 築港 200405
春雷の盗んでゆきし媼かな 田中英子 火星 200406
春雷やヘツドホンより音漏るる 中嶋陽子 風土 200406
夜雨はげし春雷いよよ駆くるなり 松尾緑富 ホトトギス 200407
女(おみな)にも雄(お)ごころの在り春雷す 大磯幸子 河鹿 200407
春雷や均して母の白枕 遠野萌 200408
春雷を近づけてゐるビルの群 稲畑廣太郎 ホトトギス 200503
春雷のあたりにはやもゆきたまふ 佐藤喜孝 あを 200504
春雷や独航船の高マスト 長沼紫紅 200504
春雷の一鼓時効のやうにかな 伊藤白潮 200504
春雷にふと忘じたる一語かな 熊岡俊子 雨月 200505
夢うつつ春雷聞きし心地せり 早崎泰江 あを 200505
春雷の中来し人を招じ入る 田中藤穂 あを 200505
春雷や温泉浴の馬の耳 吉田飛龍子 春燈 200505
春雷や水槽に藻の青く炎ゆ 淵脇護 河鹿 200505
春雷や千枚漬を剥がし食ふ 竹内弘子 あを 200505
春雷や染色されし脳細胞 小林朱夏 200505
春雷や清正石といふ礎石 白鳥義岳 帆船 200505
春雷のつぎの音待つ長く待つ 定梶じょう あを 200505
春雷や一瞬醒める認知症 篠田純子 あを 200505
春雷やひと夜目覚めてゐたるなり 徳田正樹 河鹿 200505
妻旅にあり春雷の卓を拭く 関根義行 対岸 200506
磨崖仏の喝か春雷山ゆする 池田倶子 雨月 200506
春雷や独り住まひの塩湿る 芝生南天 河鹿 200506
春雷や気ままな旅の句読点 青木久子 遠嶺 200506
春雷の止むやたちまち通天閣 加藤君子 火星 200506
春雷の近づく気配なく終る 白鳥彰子 200507
春雷の太鼓のバチが落ちにけり 梶浦玲良子 六花 200507
春雷の毬てのひらに遊ばせり 小澤克己 遠嶺 200507
春雷や錆び付いてをる瓶の蓋 植木戴子 200507
茶柱を傾げ春雷一つゆく 古川洋三 遠嶺 200507
またも気迷ひ春雷の喝を浴ぶ 品川鈴子 ぐろっけ 200508
教皇を偲ぶ春雷耳朶にあり 千原叡子 ホトトギス 200508
急逝の知らせ春雷家揺らす 沖野貞子 ぐろっけ 200509
春雷や門前町にうどん喰ぶ 倉橋房子 栴檀 200509
遷子亡し春雷奔る佐久平 コ田千鶴子 馬醉木 200510
春雷のありしと聞きし目覚かな 稲畑汀子 ホトトギス 200603
春雷や忘れてゐたる稿ひとつ 鷹羽狩行 200604
春雷や遠嶺に曳きし雲一朶 西村勝美 春燈 200605
春雷や天金の書をひらくとき 鷹羽狩行 200605
春雷の過ぎたるあとや空の青 前田陽子 200606
春雷やさくらは紅くこぶし黄に 瀧春一 常念 200606
春雷をうつつに聞きて嵯峨泊り 稲次登美子 雨月 200606
春雷に体内時計コチと鳴る 角谷美恵子 ぐろっけ 200606
春雷の雲は姿を持ちはじむ 小西龍馬 ホトトギス 200607
比叡淡く現れて春雷遠くせり 荻野千枝 京鹿子 200607
春雷や祈りの中のエゴイズ 伊藤希眸 京鹿子 200608
春雷の去りてそよげり庭の木々 岡田房子 酸漿 200608
春雷や猫と駆け込む霊光寺 伊藤律子 四葩 200609
春雷や龍み空にて寝返りぬ 物江晴子 八千草 200609
春雷やおいてきぼりの芥袋 桑原泰子 八千草 200611
春雷や少年事件のスクラツプ 中嶋陽子 風土 200612
春雷に町の渋滞はじまれり 稲畑汀子 ホトトギス 200703
春雷の遠ざかりしを確かめて 稲畑汀子 ホトトギス 200703
騒立てる風春雷を連れて来し 稲畑汀子 ホトトギス 200703
春雷やせき立てられて下山道 林紀夫 春燈 200703
春雷の止めば町中動き出す 稲畑汀子 ホトトギス 200703
春雷の至上命令めく一打 伊藤白潮 200705
春雷やおびえし犬を思ひ出す 松下幸恵 六花 200705
遠くなる春雷女医が青年診る 定梶じょう あを 200706
春雷の過ぎ去りてより湯に入れり 若江千萱 雨月 200706
春雷の城山攻めをのあたり 鷹羽狩行 200706
春雷や紙一片の父の墓 山路紀子 風土 200706
春雷が質屋の角を曲りけり 尾崎久子 ぐろっけ 200706
「春雷」と声揃ひたり二度までも 岡野峯代 ぐろっけ 200706
春雷や花しらしらと杉の奥 瀧春一 200706
春雷や平らにうごく雨ふらし 山田美恵子 火星 200707
春雷の過ぎしと思ふ曉の夢 北村香朗 京鹿子 200707
春雷や化石恐竜生るる巌 岩崎真理子 遠嶺 200708
春雷を封じたる井戸石の蓋 次井義泰 200709
春雷のうつつに朝の雨上り 稲畑汀子 ホトトギス 200804
春雷やかの日の銀の耳飾り 坪内稔典 稔典句集U 200804
春雷やてのひらにある爪の跡 中田禎子 200805
春雷の一夜の雨を呼びこみし 栗城静子 200805
春雷の思はぬ方より鳴り来たる 武田美雪 六花 200806
春雷やそろりと明日へ入れ替る 天野きく江 200807
春雷に強き心を促され 北原瑞枝 遠嶺 200808
春雷や村の掟を言ひさしに 吉岡一三 200812
春雷の落ちし火花も空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200903
春雷の一喝と聞く忌日かな 稲畑汀子 ホトトギス 200904
春雷や六腑の乱れならすごと 須藤トモ子 200904
人待てば春雷ひとつ捻りけり 小澤菜美 200904
春雷に阿修羅眼光威を増せる 塩路五郎 200905
春雷に大き背骨を思ひけり 西川火尖 炎環 200905
春雷に方向音痴露顕せる 中川すみ子 200905
川筋を春雷走り去りにけり 関口青稲 万象 200905
春雷のころげ落ちたる東山 那須淳男 馬醉木 200906
春雷の一鞭高く去りにけり 中山静枝 200906
春雷や艇庫すべての閉ざされて 出口賀律子 雨月 200906
春雷や梁の上なる父の闇 水野恒彦 200906
春雷やゆらと豆腐の浮いてきし 浜口高子 火星 200907
春雷や猫が入院したと聞く 池田光子 200907
春雷や返し忘れし部屋の鍵 矢口笑子 春燈 200907
春雷や隣りのけやき未だ覚めず 島青櫻 炎環 200907
春雷一閃夜ふけの湯殿にて 宇田喜美栄 200907
春雷に覚め海鳴りの中にをり 永原朱 200911
火の山に春雷怒りをさめけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201003
春雷に突つ込んでゆく西の旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201003
春雷を無事に抜けたる空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201003
春雷に一瞬猫の歩の止まる 鎌倉喜久恵 あを 201005
春雷のほろほろ窓辺ゆき過ぎぬ 小田明美 春燈 201005
春雷の自己顕示めく高音かな 柴崎富子 春燈 201005
春雷や約束一つ果すごと 川上久美 ろんど 201005
春雷や予感はいつもはづれがち 川上久美 ろんど 201005
春雷や予感はいつもはづれがち 川上久美 ろんど 201005
春雷の威厳に似たる親父かな 泉秀行 201006
春雷やパソコンに打つパスワード 涼野海音 火星 201006
春雷や嬰の泣き声凄まじき 五十嵐勉 201006
春雷や昼の灯台木偶の坊 松本三千夫 末黒野 201006
春雷や落款を押すタイミング 須山登 201006
稚児の列乱し春雷去りにけり 博多永楽 雨月 201006

  小澤克己を悼む

春雷に遠嶺の裂くる思ひかな

小川玉泉 末黒野 201007
春雷や寺門に掲ぐる禅語の偈 清水美子 春燈 201007
春雷や夫の呼吸に耳澄ます 加山ひさ子 万象 201007
春雷や本に挿しある一信書 戸栗末廣 火星 201007
世を憤るごと春雷の一打かな 西川みほ 末黒野 201007
春雷の次は遥かでありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201103
春雷 →2      

 

2015年3月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
15/03/26