春 暁 1     164句

ふるさとの春暁にある厠かな    中村草田男

春の朝  春暁  春曙  春の夜明け

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春暁の由布の下ン湯をんな声
河原一夫
199806
春暁やうす湿めりして卓と椅子
高橋さえ子
199807
春暁の体内時計ちと狂ふ
野口光枝
高籬
199812
春暁の雨音たしか聞きにけり
遠藤和彦
遠嶺
199905
春暁の霧由布岳の麓巻く
和田敏子
雨月
199905
春暁の梢に君がいるような
坪内稔典
船団
199906
春暁の梢が君であるような
坪内稔典
船団
199906
春暁の産後の試歩の靴こはごは
池水雅子
199906
春暁の藪の伐られてゐたりけり
水野恒彦
199907
春暁やふつふつ父母の懐かしき
白倉智子
ヒッポ千番地
199908
春暁や赤ん坊にものどちんこ
今城知子
船団
199909
春暁やもし声出さば濡れてゐむ
能村登四郎
芒種
199911
春暁の何か始まる匂ひせり
能村登四郎
芒種
199911
春暁に消されゆく尾や箒星
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
春暁の力をこめてドラを打つ
三宅やよい
船団
199912
春暁の車窓に溢れ日本海
田中藤穂
水瓶座
200002
春暁やすでに煮炊きの音と香と
鷹羽狩行
200003
ひてなほ悲恋と思ふ春暁よ
本橋怜加
冬牡丹
200003
燭消せば春暁にありぬ机上の書
水原秋櫻子
馬醉木
200003
春暁や旅寝を覚ます船の笛
鷹羽狩行
200004
春暁の厨や貝がぺちゃくちゃと
辻のぶ子
俳句通信
200004
春暁の風紋くづす轍あと
井関昌子
馬醉木
200005
春暁の夢尾を引きて気掛かりな
保坂加津夫
いろり
200005
春暁や酔ひし過程を辿れずに
當麻幸子
俳句通信
200005
春暁や湖に遅れて田が目覚め
鷹羽狩行
200006
春暁の空に残れる月と星
科野美鈴
遠嶺
200006
一人入り春暁の温泉をあふれしむ
松崎鉄之介
200007
春暁の俳句は薬ぽあんぽあん
中原幸子
遠くの山
200010
深呼吸して春暁のどろどろへ
中林明美
ヒッポ千番地
200010
春暁のカーテンの襞深しとも
鬼頭桐葉
春蘭
200010
春暁の空より戻る樹々の精
石本百合子
馬醉木
200012
春暁の行灯ともる石畳
中御門あや
俳句通信
200104
春暁や鴉のこゑの湧くごとし
多摩茜
春耕
200104
春暁に間のある闇の西に月
宮津昭彦
200105
春暁や坊ちゃん風呂の太鼓鳴る
楯野正雄
200105

 遠嶺創刊十周年に向けて

額に風受け春暁の嶺に佇つ

小澤克己
遠嶺
200105
春暁や庭のくるるの落る音
鎌倉喜久恵
あを
200105
鍬入れる春暁の畑くろぐろと
長島恵吉
遠嶺
200106
春暁僧忘我のまなこ遠くあり
宮田津々絵
京鹿子
200106
春暁や外湯めぐりの下駄の音
江頭信子
馬酔木
200107
春暁の王家の谷にきてゐたり
瀬川公馨
200107
春暁の伽藍に水のバケツかな
嵯峨根鈴子
火星
200107
春暁や抱へる母の袋菓子
吉弘恭子
あを
200107
春暁に産み落されし我が卵子
篠田純子
あを
200107
春暁の黒門町を茶筅髪
浜麻依子
六花
200107
春暁のわが息と知りしづかにす
能村登四郎
200108
春暁覚む夢中に空らの乳母車
北原志満子
海程
200110
申し分なく降り春暁となりにけり
能村登四郎
羽化
200110
春暁や吾目覚めゐて音もなし
能村登四郎
羽化
200110
春暁を目覚めて何もせずにゐる
能村登四郎
羽化
200110

 吉原一暁主宰誌しまなみ創刊を祝して

春暁や島々は手をつなぎあひ

鷹羽狩行
200204
春暁の湖ひとすぢの水尾明かり
小澤克己
遠嶺
200205
春暁の前照灯を弱めけり
佐藤真次
200205
春暁をランプウェーの渦に入る
佐藤真次
200205
春暁の星残し鳴く虎鶫
長田秋男
酸漿
200205
春暁の地震に覚むれば庭の霜
阿部文子
酸漿
200205
春暁や口笛洩るる螺旋階
橋本和子
200205
春暁や耳朶ふたつやはらかき
武井美代子
風土
200206
春暁や水聚まりて海となる
近藤喜子
200206
春暁や湯小屋の屋根を野猿とぶ
神山テル
春耕
200206
賣文の徒や春曉のいや迅し
中原道夫
銀化
200206
春暁の左手をもむ右手かな
上林孝子
200206
春暁や下弦の月に語りたく
北村香朗
京鹿子
200207
春曉のモネの睡蓮動きけり
松原仲子
200207
春暁の光に消ゆる金の星
池部久子
酸漿
200207
春暁の水音洩らしゐる鵜小屋
佐藤冨士男
ホトトギス
200210
春暁や明日香の村の田の平ら
門伝史会
風土
200211
春暁や予定通りに旅終へて
稲畑汀子
ホトトギス
200304
春暁の浜に珊瑚のかけら満ち
谷口佳世子
200304
春暁や期末テストの最終日
増田祐三
帆船
200304
気配して春暁の浜うごき初む
浜明史
風土
200304
春暁の処々啼鳥のこゑあふれ
小澤克己
遠嶺
200305
春暁や梢を渉る鳥のこゑ
山田禮子
遠嶺
200305
春暁の伽藍天平の夢の中
狭川青史
馬醉木
200306
春暁の一吟終へし安堵かな
瀬尾幸代
200306
春暁の机辺にあそぶ蛾の小さし
阿部ひろし
酸漿
200306
春暁を覚む身ごもりし夢を見て
清わかば
雲の峯
200306
春暁や遠き視線に妣の在
中田征二
ぐろっけ
200306
春暁の潮騒に耳覚めてをり
清水節子
馬醉木
200307
春暁を狂ふ観世の弟鼓
野中亮介
馬醉木
200307
春暁の露天温泉に人魚のポーズなんて
山田をがたま
京鹿子
200307
雷駈けしあと春暁の日矢太き
中澤文次郎
200307
春暁を早起きなりし卒寿翁
二村蘭秋
雨月
200307
春暁の眠りゆさぶる救急車
山村修
築港
200307
春暁の松透くあかね濃かりけり
関口八郎
200308
春暁やゴロゴロ去りし旅鞄
桑原泰子
八千草
200309
春暁の杉生しづかにたちまちに
岡井省二
省二全句集
200312
春暁の湖に水脈曳く小舟かな
遠藤和彦
遠汽笛
200312
春暁を発ちて一日使ひ切る
稲畑汀子
ホトトギス
200404
春暁の寂光院に来てをりぬ
石脇みはる
200404
春曉や釣人ばかり始発バス
宮坂幸次郎
帆船
200404
春暁の丘に残れる星ひとつ
阿部ひろし
酸漿
200404
ロールパン春暁の空明けにけり
片岡静子
200405
捨てられし鶏春暁を告げて鳴く
丹生をだまき
京鹿子
200405
春暁や小さき地震に起こさるる
天野れい子
雲の峰
200405
春暁を映す鏡で紅をさす
川浪広子
築港
200405
春暁に羽化するごとく目覚めけり
岸田爾子
200406
春暁の三日月低きポルトガル
鍬形幸子
百鳥
200407
特等席は春暁仰ぐ露天風呂
山田をがたま
京鹿子
200407
春暁や駅の扉の開く音
永田歌子
遠嶺
200407
春暁や鴉に遅れ鶏鳴けり
安藤ヒサ子
河鹿
200407
春暁の地階に停まるエレベーター
木村みかん
200407
春暁や車内洗顔つんのめり
富沢敏子
200407
春暁を待ちかね病室のカーテン引く
山田をがたま
京鹿子
200408
春暁を覚めず逝きたる弟よ
松尾緑富
ホトトギス
200501
春暁や昇る朝日は不思議な色
芝宮須磨子
あを
200503
春暁の丘の木の間に月黄なり
阿部ひろし
酸漿
200504
春暁を発ち旅予定狂ひなく
稲畑汀子
ホトトギス
200504
みよし野の月春暁に置き忘れ
稲畑汀子
ホトトギス
200504
春暁や一階は覚め二階まだ
鷹羽狩行
200504
春暁や時計の針をすかし見る
鎌倉喜久恵
あを
200504
春曉の靄をおしゆく湖の面
中野京子
200505
春暁や夢のつづきは夫と旅
杉山喜代子
帆船
200505
春暁の川音に覚む峡の宿
府川鈴
200505
春暁のくらがりにあり母の杖
大山文子
火星
200505
春暁の燭ゆらぎ立つ遠忌かな
川崎俊子
馬醉木
200506
春暁の紋提灯の灯の淡き
川崎俊子
馬醉木
200506
春暁の黄泉路の旅に妻は発つ
瀧澤白絣
遠嶺
200506
春暁の月白じろとごみ出し日
林田茂子
帆船
200506
春暁の秒針なぞる余震かな
栗栖恵通子
200507
春暁の竹ささやくをひとり聞く
斉藤小夜
風土
200507
春曉の青きひかりに鬪魚覺む
瀧春一
菜園
200509
春暁の欅の息吹もらひけり
宮澤さくら
今生
200510
春暁の指あたたかく目覚めけり
吉田陽代
200601
春暁や尾道港へ一番船
渡辺玄子
酸漿
200603
春暁や自転車も乗る通勤船
渡辺玄子
酸漿
200603
春暁のお百度石を廻りける
安岡房子
200604
春暁の片月ながら南中す
阿部ひろし
酸漿
200604
春暁のうすむらさきに目覚めけり
外川玲子
風土
200604
春暁の祈りに似たる日の出かな
新井佐知子
遠嶺
200605
春暁や酸素吸入器の水の音
川崎光一郎
京鹿子
200605
春暁や眉月残る白鳥湖
内藤恵子
万象
200605
春暁の丘に光れる星一つ
古川さかえ
酸漿
200605
春暁の夢より生れし発句ネタ
沼口蓬風
河鹿
200606
春暁やトランペツトソロの少女
田代ヨシ
河鹿
200606
春暁の迷はず立ちし鴉かな
高尾幸子
遠嶺
200606
春曉や五輪の金に日本湧く
北村香朗
京鹿子
200606
春暁や母に添ひ寝の夢を見し
木村克子
対岸
200606
春暁の日にさざなみの日本海
長沼三津夫
200606
春暁を仕切る薄布ほの朱し
鎌倉喜久恵
あを
200606
春暁の微熱ひろごる夢中かな
吉弘恭子
あを
200607
春暁や孫の誕生声高く
鎮田紅絲
200608
春暁の山起ち上る湖国かな
木内憲子
200608
春暁の影黒々と如意ヶ岳
田中きよ子
酸漿
200609
春暁や入山名簿念入りに
林紀夫
春燈
200703
春暁や猫帰り犬目覚めゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
200704
春暁のビルの先より動き初む
稲畑廣太郎
ホトトギス
200704
春暁を発ち常の如旅にあり
稲畑汀子
ホトトギス
200704
春暁の夢の行方をさぐりをり
池崎るり子
六花
200704
春暁や漁夫が自慢の軍鶏のこゑ
松本幹雄
馬醉木
200705
春暁の水を離るる水の靄
谷田部栄
万象
200705
春暁を餌付けのすずめ来て騒ぐ
長沼三津夫
200705
春暁の夢の中なる物忘れ
上林孝子
200705
春暁の闇を脱ぎつつ帰港せり
西山春文
200706
春暁を覚めし命や南無阿彌陀佛なまんだぶ
小野喬樹
馬醉木
200706
春曉の橅の林となりゐたり
石脇みはる
200706
春暁の霊山として照り給ふ
長沼三津夫
200706
春曉のむらさき榧の木がうかび
水野恒彦
200707
春暁や富士が見ゆると祖父まねく
村瀬八干代
遠嶺
200707
春暁に三ヶ月淡く光り居り
浮田胤子
ぐろっけ
200707
春暁の火を焚きて待つ漁のあり
長沼三津夫
200707
春暁の空清ければ香を聞く
瀧青佳
ホトトギス
200708
春暁や薔薇色空に広がりぬ
菊地惠子
酸漿
200710
春暁の女の長き睫毛かな
石井智也
200801
春暁 →2      

 

2021年3月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。