春 曙     130句

春の朝  春暁  春曙  春の夜明け

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春は曙梢はキスの匂いして 小枝恵美子 ポケット 199911
つかぬこと聞きそこね侯春曙 藤岡紫水 京鹿子 200001
ビルの街にもほのぼのと春曙 長谷川登美 ぐろっけ 200006
八ヶ岳春あけぼのの雲被たる 小泉晴露 酸漿 200006
春曙一戸に一個牛乳壜 佐藤真次 200007
春あけぼの川舟に隕石が堕ちる 金子兜太 海程 200008
春あけぼのしたたかに血の増えをりぬ 篠田純子 あを 200103
春はあけぼの鳥の子の襖にも 岡井省二 200105
夫ありて春は曙命惜し 高橋照子 雨月 200105
春はあけぼの老人が向うより 中塚龍之介 銀化 200106
春曙五線紙に音生まれつぐ 久保田哲子 百鳥 200107
春は曙ためらひ傷の二つ三つ 稲見光 船団 200109
唐絵めく春曙の原野かな 水見壽男 円虹 200204
春曙覚めて黄泉ともこの世とも 藤井晴子 200206
春あけぼの水平線に月没し 加地芳女 雨月 200207
春はあけぼの尾をふりさうな秋田駒ヶ岳 小林輝子 風土 200208
冷々と春はあけぼの吉野山 今井千鶴子 ホトトギス 200208
春は曙一茶の里は夫の里 池田冨美 帆船 200210
春曙キャニオンの雲朝焼けて 桑田青虎 ホトトギス 200210
成層圏春あけぼのゝ色神秘 桑田青虎 ホトトギス 200212
何か知ら春曙をヘリ響く 森理和 あを 200304
春の曙ひとあさ三あさなほ続く 阿部ひろし 酸漿 200304
春は曙魞汲む舟を漕ぎ出だす 駒井でる太 200305
春は曙切符販売機の点字 矢島三榮代 帆船 200305
波羅蜜にをとこ放てり春あけぼの 小倉斑女 銀化 200305
鳥声や春あけぼのの夢の旅 佐藤よしい 風土 200305
金砂田楽春あけぼのを舞ひにけり 菊池ゆう子 200306
広峰の春あけぼのの乳房色 高尾豊子 火星 200307
春あけぼの坐して揺るがぬ青つむり 秋葉雅治 200307
春は曙大往生は父の夢 須佐薫子 帆船 200404
春あけぼの開聞岳を遥かに見 神原操 雨月 200405
春は曙女竹の揺れのきはやかに 大島翠木 200405
あけぼのや春の音とは水の音 片山由美子 200407
みよし野の春曙の月うつつ 安原葉 ホトトギス 200409
春は曙なあんてトースト焦がしてる 山元志津香 八千草 200409
春はあけぼの秋は日ぐれの落し紙 八田木枯 「夜さり」 200409
物言はず春曙の訣れとは 松尾緑富 ホトトギス 200501
春はあけぼのとつぶやきまた寝落つ 鷹羽狩行 200504
春は曙耳さとくなりにけり 宮地れい子 春燈 200504
雨なれば雨の音聴く春は曙 木村みかん 200505
春あけぼのイースト菌でふくらます 篠田純子 あを 200506
春曙マンモス目覚む異郷なり 竹村尚紘 200507
春は曙大地ひそかな香を持てり 勝見玲子 200605
春あけぼの船屋を出づる水脈白し 秋葉雅治 200605
輸血得て妻に生気や春あけぼの 廣瀬義一 雨月 200605
春は曙あけぼの色に児の歩む 代田幸子 200605
春はあけぼの後朝の靴履かな 伊藤白潮 200605
春あけぼの厨に貝の突兀と 吉田島江 火星 200606
春あけぼの舟の出でゆく音に覚め 杉浦典子 火星 200705
手術日の雲のかけはし春あけぼの 山崎靖子 200705
春曙野阜めける白登山 松崎鉄之介 200707
刻々の春のあけぼの露天の湯 泉田秋硯 200707
春あけぼの槐の大樹に木霊ある 雨村敏子 200801
日本の春はあけぼの犬の糞 坪内稔典 稔典句集 200804
螺子を巻く春あけぼのの腕時計 神谷耕輔 200805
春は曙正直すぎ鏡かな 大島翠木 200805
華燭の日春あけぼのの月完円 北川英子 200806
大腿骨骨頭まろし春あけぼの 辻美奈子 200806
春はあけぼの肘枕して涅槃像 林いづみ 風土 200806
春は曙笑壺に入りし鳥のこゑ 瀬川公馨 200905
春はあけぼの志功天女の伏目かな 大島翠木 200905
烏鳴くやうやう春は曙に きくちきみえ やぶれ傘 200906
春はあけぼの弥陀の前より掃きはじむ 丸山照子 火星 200906
春あけぼの有袋類の赤ん坊 辻美奈子 200906
春はあけぼの大地ひそかな香に満てり 勝見玲子 200906
春は曙隣合せの部屋に寝て 次井義泰 200906
春曙窓に海ある島泊り 伊藤紫都子 200908
夢の尾のしばらく残り春曙 小川匠太郎 201002
春暁の曙杉の高さかな 中川悦子 酸漿 201005
人も無き春曙の磴降る 小野木雁 酸漿 201005
春は曙鶏鳴のゆるやかに 鈴木良戈 201006
春曙けふの時また刻み初む 安立公彦 春燈 201006
春はあけぼの新聞のやつてきし 井原美鳥 201007
春は曙鶏が鳴き牛が啼き 彦根伊波穂 201007
春はあけぼの枕草子に戦なし 鳥居おさむ ろんど 201104
孟宗のいみじき粉や春曙 大島翠木 201105
心地よき夢は現や春曙 近藤豊子 雨月 201105
やはらかき雨のにほひの春曙かな 松本三千夫 末黒野 201105
春はあけぼの乱数表に着火せよ 中原幸子 船団 201107
春あけぼの救世観音の在しけり 河内桜人 京鹿子 201110
被災地の春曙の夢ならず 稻畑汀子 ホトトギス 201204
春は曙犬の転がしゐる食器 白石正躬 やぶれ傘 201206
春あけぼの枕草子に戦なし 鳥居おさむ 万華鏡 201206
春は曙おれは総理に向いてゐる 小堀寛 京鹿子 201206
春あけぼの雲を誘ひて島浮かぶ 根岸善行 風土 201207
春曙「おむつ交換」近づき来 酒井秀郎 返り花 201211
春は曙とどなたの言ひし熟寝かな 七田文子 201304
春はあけぼの御襁褓にゆまり仕る 十川たかし 201305
春なれや曙を見る床の中 四條進 201306
春はあけぼの縮緬じやこをひとつまみ 遠山陽子 201401
春あけぼのこれは夢だと思ひつつ 篠田純子 あを 201404
春はあけぼのヒレカツの切口も 上谷昌憲 201405
春は曙光源氏の去ぬるころ 千田百里 201405
春は曙清少納言もこの空を 水谷直子 京鹿子 201406
良き目覚め春曙の鳥の声 小川玉泉 末黒野 201406
春あけぼの一寸法師の櫂の音 熊川暁子 201406
春はあけぼの耳鳴りの笙篳篥 熊谷ふみを ろんど 201407
春はあけぼの産院に着く救急車 たかはしすなお 201409
春曙スクランブルエッグ二人分 吉田政江 201504
春はあけぼのたそがれは吾のもの 井上石動 あを 201504
同じ目を春あけぼのの水平線 田部井幸枝 201505
友来たる春曙の光り負ひ 田中臥石 末黒野 201506
春は曙影ゆらしつつ露天風呂 児玉有希 京鹿子 201507
春は曙ルンバは踊るスペースを 長沼佐智 船団 201508
春は曙その中にある赤信号 きくちえみこ 港の鴉 201510
春はあけぼの常磐木のけぶり立ち 千田百里 201604
春あけぼのやうやうこころ目覚めけむ 磯崎啓三 風土 201609
春はあけぼのたそがれは吾のもの 井上石動 あを 201703
白みつつ春曙の明けてゆく 佐藤淑子 雨月 201705
春はあけぼの母の水仕の一生かな 千田百里 201705
春は曙急ぐことなき齢かな 石川充 馬醉木 201705
春はあけぼの病状の遅々として 佐藤淑子 雨月 201705
東山春あけぼのの白い麺麭 笹村恵美子 201806
春はあけぼの西川ローズ羽根布団 三宅やよい 船団 201809
みよし野の春は曙寝てをれず 安原葉 ホトトギス 201810
妻はしき春曙の九十九髪 田中臥石 末黒野 201906
春曙書き直したき文のあり 山田正子 201909
たっぷりと春曙に接岸す 陽山道子 船団 201910
生も死もただの一文字春あけぼの 北川孝子 京鹿子 202003
春は曙キリマンジャロの香り立つ 赤峰ひろし 202004
消しがたき夢の余韻や春あけぼの 藤原照子 202005
春あけぼの木の声水のこゑさやか 安田優歌 京鹿子 202006
ほのぼのと差し来る曙光明の春 植村蘇星 京鹿子 202101
春曙や農具の唸るこゑ響く 中田禎子 202104
寝台特急春曙へ動き出す 神山節子 202104
春は曙玄米の炊き上がる 阿部眞佐朗 202105
酎ハイが積まれし歩道春あけぼの 篠田大佳 あを 202106
春はあけぼの蹠より入る手術室 和田照海 京鹿子 202205
あけぼのとたそがれに二度春の色 松尾龍之介 202208
春曙半僧坊の深い息 仁上博恵 202209

 

2023年3月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。