障 子 4     203句

出雲から紙来て障子あらたまる   飴山實

作品
作者
掲載誌
掲載年月
障子貼る去れば短き半世紀 川村清子 馬醉木 201412
遠鷺の発ちたる障子洗ひけり 山田美恵子 火星 201412
障子貼り薄き余生の紙を貼る 四條進 201412
障子入る香炉の瑠璃のあらたまり 久布白文子 馬醉木 201501
貼り終へし障子や白は祝ぎの色 秋葉雅治 201501
障子貼るしゆんしゆん沸きし大薬缶 村上倫子 201501
満遍に霧吹きかける障子貼り 秋田典子 六花 201501
秋さるや障子の色が目に立ちて 佐藤恭子 あを 201501
障子貼る常に気にしつ今年貼る 長崎桂子 あを 201501
南蛮の絵入り茶碗や障子の間 川崎利子 201502
美濃和紙の少し贅沢白障子 増田一代 201502
祭壇をつつむ陽差しや白障子 大内幸子 六花 201502
片付かぬままに暮れゆく白障子 藤井寿江子 馬醉木 201502
障子貼りこの部屋何かよそよそし 加藤みき 201502
夕日さす障子に遊ぶ鳥の影 内田梢 末黒野 201502
毎日が千日手なり白障子 宮井知英 201502
白もまたあたたかき色障子張る 松田泰子 末黒野 201502
雨音の瀬音にまぎれ白障子 齋藤眉山 末黒野 201502
白障子閉ざす大寺松の影 森岡恵子 万象 201502
障子洗ふこぬか雨降る裏通り 西田たかこ 万象 201502
白障子開けるや決意新たにす 前田美恵子 201502
後手に閉める独りの障子かな 田中藤穂 あを 201502
寺縁起知り尽したる白障子 西村操 雨月 201503
切り貼りの紅葉の透くる白障子 吉村幸子 雨月 201503
貼り替へし障子に夕日遍しや 本多正子 雨月 201503
屏風絵に障子越しなるあかりかな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201503
波音のほかは聞こえず白障子 柴田佐知子 201503
その奥の御所の腰高白障子 田村すゝむ 風土 201503
鳥声に覚むれば障子明りかな 中島芳郎 201503
障子貼り終へ一服の静寂かな 峰幸子 末黒野 201503
啄める鳥の影濃し白障子 塩路五郎 201503
洗はれて障子の桟にある木目 吉田政江 201503
喪の家の悲しみ閉ざす白障子 岡真紗子 201503
祭壇の笑顔と語り白障子 大内幸子 六花 201503
白障子嬰を抱く母の影ゆたか 中井登喜子 201504
白障子不意に襲へる鳥の影 片岡久美子 201504
障子閉め一書に向ひ合ふ静寂 山田佳乃 ホトトギス 201505
障子の穴花形に貼り娘は母に 白神知恵子 女坂 201508
武藏野を油障子で圍ひたる 佐藤喜孝 あを 201511
喧噪の世を断ち凛と白障子 沼田桂子 春燈 201602
海光の滴る障子洗ひけり 小田司 馬醉木 201602
四阿の障子の白さ暮れなづむ 黒澤登美枝 201602
茶柱や障子を鳴らす朝の風 小川玉泉 末黒野 201602
猫の手も借りて障子をはづしけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
孤独否孤高は難し冬障子 藤原照子 201603
人の世も裏表あり白障子 安野眞澄 201603
障子鳴る折から急転ミステリー 荒木甫 201603
父と子の影絵遊びの障子かな 須藤美智子 風土 201603
後ろ姿障子を抜けてゆきにけり 松崎雨休 風土 201603
鳥の影雪見障子の向う側 安藤久美子 やぶれ傘 201603
水かげろふ障子に朝はゆつくりと 安藤久美子 やぶれ傘 201603
独り居の障子明りやサスペンス 辻井ミナミ 末黒野 201603
大寺の長き廊下の白障子 菊池洋子 やぶれ傘 201604
本堂の障子に日の斑早雲寺 有賀昌子 やぶれ傘 201604
一日の暮れゆく障子染まりけり 長憲一 201605
吉兆や障子を過る鳥の影 石黒興平 末黒野 201605
猫の手も借りて障子をはづしけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
障子貼り空気緻密となりてをり 能村研三 201612
真つ新な影に会はんと障子貼る 峰崎成規 201612
障子沈ふ桟の疼きは母のこゑ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201612
爪あとの長きひとすぢ障子貼る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201612
推敲を障子明りにをさめたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
障子貼る母の口伝の糊加減 吉田きみえ 末黒野 201612
夫立ち妻膝をつく障子貼 大坪景章 椿垣 201612
千金の晴のひと日を障子貼る 須賀敏子 あを 201612
主なき書斎も障子貼り替へて 三上程子 春燈 201701
娘との会話の尽きぬ障子貼 坂入妙香 春燈 201701
夜の障子積木のやうに齢重ね 北川孝子 京鹿子 201701
障子張る昭和のくらしに妣のゐて 森川絢子 京鹿子 201701
別荘のかつてを語る白障子 山崎靖子 201701
障子貼り部屋が突然広くなる 梅村すみを 201702
声ひとつなき接心の白障子 小林千草 馬醉木 201702
銀幕や日永障子にひとの影 山田六甲 六花 201702
夜の障子文箱に逝きし人のこゑ 北川孝子 京鹿子 201702
深追ひの一語おもたき夜の障子 北川孝子 京鹿子 201702
うしろ手に閉めし障子の日ざしかな 西住三恵子 201702
マンションの明り障子の昼下り 坂入妙香 春燈 201702
独り居や破れ障子もそのままに 山口地翠 春燈 201702
温泉に入らぬも贅白障子 赤座典子 あを 201702
百畳の障子明りや写経の座 林八重子 馬醉木 201703
膝の子を夢ごと移す日の障子 鎌田八重子 馬醉木 201703
古民家や近所集ひて障子貼り 堺昌子 末黒野 201703
点されて結界のごと冬障子 甕秀麿 201703
灯に映えて明日へとつなぐ白障子 塚越弥栄子 末黒野 201704
鴨の陣障子あかりに心解く 山田天 雨月 201704
雪見障子しんとありけり和三盆 近藤紀子 201705
穴ひとつ開いて気安き障子の間 山田佳乃 ホトトギス 201705
残る結ひ障子を貼って返しけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
障子貼ることも世辞いふことも下手 中川句寿夫 ここのもん 201705
白障子話せぬ兄に語り掛け 森清信子 末黒野 201705
病床や朝の障子と夜の障子 須藤常央 ホトトギス 201706
障子貼つて夕日の影のやはらかし 高橋和女 風紋 201709
差水にうなる鉄瓶白障子 コ田千鶴子 馬醉木 201712
外の音障子の隔つ暮しかな 稲畑汀子 ホトトギス 201712
変はりなき一人の暮し障子の間 稲畑汀子 ホトトギス 201712
あつて無き如く障子を開け放つ 稲畑汀子 ホトトギス 201712
障子入れて月の出汐に敏くなる 吉田啓郷 風土 201712
尼寺の祭の障子閉めらるる 升田ヤス子 六花 201801
貼り替へて障子の前の正座かな 宮内とし子 201801
遠目にも障子の白き合掌家 宮内とし子 201801
忠敬旧居舟音の来る白障子 大沢美知 201801
障子貼る矩形に波を撓ませて 石田静 201801
貼り替へて障子明りの中に坐す 阪上多恵子 雨月 201801
惜しみつつ月の障子を閉ざしけり 吉田万喜子 雨月 201801
障子貼り真白き明かり溢れしむ 鈴木撫足 春燈 201801
貼りかへて障子しばらく茫々乎 定梶じょう あを 201802
正座して人待つ部屋の白障子 佐藤雄二 万象 201802
句の宿の障子劈く雪起し 川村みよき 万象 201802
誰か過ぐ障子の影や一葉忌 木村梨花 春燈 201802
奥の間の襖障子は嵌め殺し 田村すゝむ 風土 201802
顔色を窺っている白障子 たかはしすなお 201803
お座敷のピアノ教室白障子 つじあきこ 201803
照紅葉破れ障子の向かうがは おーたえつこ 201803
拈華微笑迦葉に障子明かりかな 橋添やよひ 風土 201803
障子貼る影あたらしき指狐 佐津のぼる 六花 201803
洗ひけり鴨居の固き古障子 升田ヤス子 六花 201803
風鐸鳴る李朝館や白障子 菅野日出子 末黒野 201803
天井は網代編なり白障子 岡田史女 末黒野 201803
まろまろと影を障子に吊し柿 布施政子 馬醉木 201803
喪にこもる日のうすうすと白障子 柴崎英子 201803
白障子ほつそり止まる猫の影 大川ゆかり 201803
潮騒の滲みたる障子洗ひをり 戸栗末廣 201801
はるかより海光降れり白障子 栗坪和子 201804
閉め切つて四次元時空白障子 村上葉子 201804
新婚のひと間ま白き障子かな 藤井啓子 ホトトギス 201804
一日の光と影の過ぐ障子 湖東紀子 ホトトギス 201804
岩がきは二個で一皿障子鳴る 奥田温子 やぶれ傘 201804
山寺の障子亜麻色猿が来る 宮井知英 201803
雪しまく夜通しびびと鳴る障子 秋山蔦 春燈 201805
貼り替へし障子に庭の影揺るる 秋千晴 201806
障子開くより花嫁の出来上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
ががんぼの脚もてあまし障子打つ 大橋淳一 雨月 201809
酷暑の日挑みていざと障子貼る 秋川泉 あを 201809
嵐の去りし朝しらじらと白障子 浜福恵 風土 201811
障子貼るずれる眼鏡を気にしつつ 住田千代子 野に遊ぶ 201811
つい後で黄ばむ自室の障子貼る 長崎桂子 あを 201812
障子貼りかへ閉めてみるあけてみる 定梶じょう あを 201901
前川に障子洗ひし日のありし 志方章子 六花 201902
水かげろふ棲みついてゐる障子かな 南うみを 風土 201902
冥界の障子明りに閻魔帳 和田照海 京鹿子 201902
声明のそろひ畏し日の障子 和田照海 京鹿子 201902
障子貼る我にも一つ隠し事 犬飼典子 京鹿子 201902
物干の影絵遊ぶや白障子 平野無石 201902
朝なさな風に鳴りたり寺障子 斉藤玲子 馬醉木 201902
白障子羽根のごとくに軽く開き 高橋将夫 201902
雨意迫る影と覚ゆる白障子 能村研三 201902
黒松に端正にあり障子の間 今橋虞理子 ホトトギス 201903
白障子開くれば青き空のあり 赤羽陽子 春燈 201903
大正の香りを残し障子閉づ 大文字孝一 春燈 201903
白障子奥より能の留拍子 岡野里子 末黒野 201903
文開く障子明りの六畳間 高木邦雄 末黒野 201903
鼓打つ音の洩れくる白障子 岡田史女 末黒野 201903
一と幕のごとく暮れゆく冬障子 中田みなみ 201904
古民家や障子明りの展示品 谷貝美世 末黒野 201905
降る雨の音を見つめつ障子閉む 重原爽美 201905
米山に開けたる障子空蒼し 重原爽美 201905
まづ全部紙に穴あけ障子洗ふ 吉田葎 201905
去年今年ガラス障子に厳島 戸栗末廣 201906
襖より障子は少し民主主義 梅村光明 船団 201906
ちちははの来さう日の射す古障子 岸洋子 201907
張り替へし障子のどこかよそよそし 角野良生 201907
南風吹く御堂は障子開け放ち 佐藤香珠 船団 201910
あはき日にあはきもの影障子貼る こと枝 雨月 201910
木の影は家の中まで障子貼る 天野美登里 やぶれ傘 201911
ちぎれ雲いづこへゆくや障子貼る 鈴木愛子 201912
障子貼り終へし仏間に灯をともす 佐藤淑子 雨月 202001
障子貼りかへて畢竟富むごとし 定梶じょう あを 202001
貼り替ふる障子や薄ら日のやはら 前川美智子 末黒野 202001
障子貼さ中の寺を訪ねけり 能村研三 202002
障子貼る刷毛は三十年物で 丑久保勲 やぶれ傘 202002
黄色味を帯びた障子に今落暉 長崎桂子 あを 202003
障子貼さ中の寺を訪ねけり 能村研三 202003
にこにこと真白な障子見てをりぬ 近藤紀子 202003
琴の音や葉擦れの影の白障子 若見洋子 馬醉木 202003
賽銭箱の幅だけ開きて白障子 服部早苗 202005
庭の木の影さわぎたる白障子 住田千代子 六花 202005
障子閉めいよよ一人と思ひけり 田代貞香 202006
思ひ出の穴も残さず障子貼る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
日の本の明日を称へて障子貼る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
障子開く虫の楽隊目の前で 酒井たかお 202011
貼り替へし障子と判る響きかな 高田非路 ホトトギス 202102
塗椀や明り障子の一の膳 太田良一 末黒野 202102
日常のなき日常や障子貼る 木下晃 末黒野 202102
心地よき風に障子を洗ひけり 住田千代子 六花 202102
けふ残る四枚の障子洗ひけり 住田千代子 六花 202102
古民家や樹々の影置く白障子 岡野里子 末黒野 202103
茅葺きの東屋ほのと白障子 加藤静江 末黒野 202103
障子越しの日が文机に波郷の忌 佐藤あさ子 202103
人影の夫かと思ふ障子ごし 志方章子 六花 202103
沈香のほのかな中に障子貼る 住田千代子 六花 202103
秋障子満天星の影丸くあり 住田千代子 六花 202103
日を溜めて父の微睡む障子の間 木下圭子 ホトトギス 202104
母に問ふ障子明りの仏間かな 木下圭子 ホトトギス 202104
をさな児に障子がたごと抵抗す 南うみを 風土 202104
囲碁を打つ音の弾けり白障子 東小薗美千代 末黒野 202104
神名備の竹垣の朽ち白障子 加藤静江 末黒野 202104
張り替へし障子しづかに開けにけり 高倉和子 202105
白障子開けて局の化粧の間 小原紀子 末黒野 202105
鳥来れば破れ障子を良しとして 奥田温子 やぶれ傘 202105
障子→ 5

 

2022年11月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。