千 両 1     137句

千両の句をひつくるめ只の人    加藤郁乎

万両  千両  草珊瑚

作品
作者
掲載誌
掲載年月
わりなきは選句染筆実千両 鷹羽狩行 199902
長居せぬ鵯にはにかむ実千両 水島夜雨 京鹿子 199904
千両や母の講釈聴こえくる 葉月ひさ子 船団 199912
供華に活け千両の実をこぼしけり 稲畑汀子 ホトトギス 200001
藍墨のかすれて匂ふ実千両 神蔵器 風土 200001
実千両入江泰吉遺愛の庭 脇本千鶴子 200002
実千両に男二十人糶ことば 上田かつみ 京鹿子 200003
兄の九九を弟が覚ゆ実千両 平形貞子 200003
千両や開館を待つ彩りに 稲畑汀子 ホトトギス 200101
千両にはじまる館の庭造り 稲畑汀子 ホトトギス 200101
開館の近し彩る千両も 稲畑汀子 ホトトギス 200101
美容院鏡の中の実千両 後藤志づ あを 200101
実千両こぼれた数だけ神隠し 柳生正名 海程 200102
系図説く鞭長かりき実千両 竹中秀子 京鹿子 200102
ここまでの道のり思ふ実千両 桑垣信子 いろり 200102
実千両死することより病まぬこと 神蔵器 風土 200103
千両の雪を払ひし実の赤し 永見博子 酸漿 200103
母の忌の墓に実生の黄千両 松崎鉄之介 200103
雨いつか雪にかはりし実千両 梅本豹太 200103
世に疎くゐる傍らの実千両 津田経子 火星 200105
実千両庭に乱れて空家らし 山荘慶子 あを 200201
千両の実の青きより予約あり 古井君枝 ぐろっけ 200201
千両や縁に庭師の煙草入れ 原茂美 雲の峰 200202
実千両代官屋敷跡地かな 保田英太郎 風土 200202
千両や猫にと出されぽち袋 山田六甲 六花 200202
夕暮れて風の集まる実千両 阿部正枝 遠嶺 200203
実千両褒めて千両いただきぬ 柴田美佐子 いろり 200203
大ぶりの千両買へり年用意 小黒加支 酸漿 200203
よい知らせきつと明日くる実千両 寺内佶 遠嶺 200204
投薬の一つが減りて実千両 加藤はま子 200204
今年もまた実をつけぬわが千両よ 原田圭子 ぐろっけ 200204
千両も万両も生ふ旧き家 村越化石 200301
実千両一重まぶたのあねいもと 鈴鹿仁 京鹿子 200302
実千両陽の翳りきて赤いよよ 小島紅雅 雲の峰 200302
聴禽書屋千両あかき雪の上 岸のふ 馬醉木 200303
松活けて千両根締めひきたちぬ 青垣和子 雨月 200303
湖のぐるつと暮れて実千両 関口幹雄 遠嶺 200303
実千両賑やかに日の当たりゐる 櫛原希伊子 百鳥 200303
実千両我に二十歳の師のありて 林裕子 風土 200303
千両や丸く小さき力石 山口たけし 雲の峰 200303
万両より千両明るく活けにけり 牧咲子 京鹿子 200304
年金の目減りどうのと実千両 蓮尾みどり ぐろっけ 200305
千両や千両役者の晴舞台 横溝千代 八千草 200306
呼鈴の脇に薄日の実千両 東亜未 あを 200401
一篇の詩を朗々と実千両 橋本良子 遠嶺 200402
千両や太き節の手さし出され 柴田靖子 200402
石臼に根付きて松と実千両 高木勝子 帆船 200402
千両よ万両よほれ陶狸 高橋将夫 200403
二人して助けあふ道実千両 矢嶋みつ江 遠嶺 200403
千両と万両揃ふ狭庭かな 下川智子 200403
実千両米寿も夢でなくなりぬ 赤羽秋刀子 百鳥 200403
千両や手足を仕舞ひ猫ねまる 金子つとむ 雲の峰 200403
裏鬼門日の矢を誘ふ実千両 三好智子 200403
千両の日毎艶めき尾長來る 濱口南子 京鹿子 200403
静けさの戻りし居間の実千両 亀ヶ谷照子 遠嶺 200404
千両の実の鮮やかや絵筆塚 和智秀子 酸漿 200406
偲ぶより恋しと思ふ実千両 鈴木あき子 築港 200503
息災を願ふ大寺実千両 松本静江 遠嶺 200503
夫の留守切り花にする実千両 浦川哲子 200503
千両を片隅に置く理髪店 高山志げる 築港 200504
きもの派の紡ぐ言の葉実千両 大曽根育代 遠嶺 200504
千両に埋もれてゐてわが命 上崎暮潮 ホトトギス 200507
わが庭に千両生えて実をつけし 大高芭瑠子 炎夏 200507
息子去る庭の千両に鳥遊ぶ 御古ゆたか 200508
余生とは言はねど余生実千両 水原春郎 馬醉木 200601
千両に鳥追ひ案山子立ててやり 浜野清彦 四葩 200601
不器用に折れまがりても実千両 丸山佳子 京鹿子 200601
金色の鯉千両も万両も 竹内悦子 200602
寺の名に福やら寿やら実千両 伊藤白潮 200602
小熊手に千両万両飾りたて 丸山けさ乃 四葩 200602
朽板と湯華の岩や実千両 山田六甲 六花 200603
「藍」も「愛」も日本の希望実千両 丹生をだまき 京鹿子 200603
恙なき日々ありがたし実千両 西氏宣子 遠嶺 200604
城ありて会津若松実千両 石橋亀次郎 遠嶺 200604
水際に鳥の骸と千両と 安岡房子 200604
千両や石庭に水打つてをる 石脇みはる 200604
小鳥来て千両の実を食べつくす 高橋玲水 酸漿 200612
千両に遅れ万両色づけり 松崎鉄之介 200701
千両を買ひ来て何か豊かなり 渡邉紅華 酸漿 200701
千両や小壺なれども備前焼 鷹羽狩行 200702
子の家の千両の実の豊かなり 伊藤一枝 酸漿 200702
防鳥ネットの中の平和や実千両 泉田秋硯 200703
百歳のわれへ書き置く実千両 宮澤さくら 遠嶺 200703
千両の恥らふごとく色づけり 牧原佳代子 酸漿 200703
一輪の千両挿して陶器展 井出やすはる 酸漿 200703
柏手の響き新たや実千両 高尾幸子 遠嶺 200704
齢経て心豊かに実千両 青木久子 遠嶺 200704
初声の鵯よ千両食べてゆけ 大島翠木 200704
裏木戸に鳥の植ゑたる実千両 辻直美 200704
一両がほどの明るさ実千両 足立幸信 200705
マスクして足早少女の眼千両 范友佳女 春燈 200705
千両も万両もかげる谷戸 百瀬七生子 海光 200705
千両といふつつましき主張かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
丸々と雀千両揺らしけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
庭あれば何処かの隅に実千両 松崎鉄之介 200801
内庭の千両万両実南天 竹内悦子 200802
いつも一歩後れるわたし実千両 数長藤代 200802
千両や偶に訪ひけり本籍地 及川澄江 風土 200803
飛び石は和尚の歩幅実千両 須藤美智子 風土 200803
屋根重き家に住み古り実千両 笠井敦子 200803
夕星や門扉明るき実千両 玉川悠 遠嶺 200803
千両万両綺麗な嘘と知りながら 大島翠木 200804
孫活けし青き竹筒実千両 松下セツ子 200804
縁側は民話の宝庫実千両 府川房江 遠嶺 200804
千両の揺るる高さの生れけり 上崎暮潮 ホトトギス 200805
千両のひと色のみを活けにけり 白石正躬 やぶれ傘 200805
千両を日向に摘みぬ銀婚日 岡敏恵 ぐろっけ 200805
実千両飾りし宿に吸ひこまる 藤本友治 遠嶺 200902
紅を深めてたわわ実千両 加藤克 200903
一念に夫を守らな実千両 吉野のぶ子 遠嶺 200903
北側の千両黄の実なりにけり 須賀敏子 あを 200903
千両の燦々長寿祝がれをり 村上光子 馬醉木 200904
千両を活けて佳き年願ひけり 金井香ル 200904
喉佛千両万両のぞきをる 竹内悦子 200904
実千両揺れて隠れる庭佛 小林玲子 ぐろっけ 200904
築山に続く敷石実千両 鈴木石花 風土 200904
庭隅に釜めしの釜実千両 松本善一 やぶれ傘 200905
実千両ひとつ残らず喰はれけり 奥太雅 万象 200908
江戸つ子は気風がいのち実千両 徳田千鶴子 馬醉木 201001
千両や西行堂は跡のみと 山田春生 万象 201001
千両と若松供へ綾子句碑 田村愛子 万象 201001
産み月の千両紅を深めけり 武田巨子 春燈 201002
残照の眩しかりけり実千両 大信田梢月 万象 201002
千両に鵯の早業見たりけり 田中喜久子 酸奬 201002
千両の丈にとどかぬ巴塚 田村すゝむ 風土 201003
千両や米寿の話實多し 長崎桂子 あを 201003
火縄銃に栄えし町や実千両 井口淳子 201003
師の句碑の建立きまり実千両 小島とよ子 遠嶺 201004
千両を壺に家うち華やげり 加藤千津 ろんど 201004
欝の日の千両の紅濃かりけり 千坂美津恵 201005
天下茶屋千両万両客を呼ぶ 小野寺節子 風土 201005
千両や笑ひ声する天下茶屋 小野寺節子 風土 201005
千両を落つ雨粒の二両ほど 岩垣子鹿 ホトトギス 201006
千両か十両かいや二十両 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
千両より万両欲しと嫁したる子 塩路隆子 201101
勝運の神に万両実千両 和田崎増美 雨月 201103
選りて剪る庭の千両年用意 伊藤一枝 酸漿 201103
千兩 →2      

 

2021年1月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。