万 両     199句

万両  千両  草珊瑚

作品
作者
掲載誌
掲載年月
万両の赤を要に活けらるる 稲畑汀子 ホトトギス 199901
万両を振つてみたくて少し振る 山尾玉藻 火星 199901
万両や日の卍なす猿田彦 小形さとる 199903
これはこれは拾万両の福の笹 水谷芳子 雨月 199903
万両の実のつやつやと漱石忌 皆川盤水 高幡 199905
庭下駄に雀来でゐる実万両 青木幸子 春耕 200002
実万両雲辺に鶏啼きにけり 小形さとる 200003
万両や聖武菩提の多宝塔 松崎鉄之介 200003
万両や帳場格子の手擦れ艶 渡邉英子 馬醉木 200003
万両に日向移りて午後の景 岡本眸 200004
亡き吾子の姿しのびて実万両 石山民谷 遠嶺 200103
露の井を祀る社や実万両 木村てる代 雲の峰 200201
志万両剪るも菊剪るも 後藤比奈夫 円虹 200202
万両や男根石のやゝ傾ぎ 浜麻衣子 六花 200202
龍の玉隠れ萬兩実を垂らす 中杉隆世 円虹 200203
万両や庭師連れ来し女弟子 波田美智子 火星 200203
うすれ日の園万両の紅こぼる 田澤初枝 遠嶺 200204
万両に花ありてふと立話 坂田圭 200210
千両も万両も生ふ旧き家 村越化石 200301
万両に空蝉すがる少林忌 岸野美知子 酸漿 200301
退院の待たるる日々や実万両 水原春郎 馬醉木 200302
万両のひそかに赤し尼の寺 小石秀子 酸漿 200302
万両やつかぬ事とて低く問ふ 舩越美喜 京鹿子 200303
万両より千両明るく活けにけり 牧咲子 京鹿子 200304
丈低き万両鵯の目を逃れ 田中喜久子 酸漿 200401
万両盗る鳥には見えぬ藪柑子 大堀鶴侶 雨月 200402
地味ながら万両深き赤さ持つ 郷地美代子 雨月 200402
万両や覗いてみたき四つ目垣 濱田萬里子 河鹿 200403
千両よ万両よほれ陶狸 高橋将夫 200403
千両と万両揃ふ狭庭かな 下川智子 200403
万両の紅堂縁の下に濃く 山田由利枝 雨月 200403
万両に古りて白緒の竹の下駄 中島霞 ぐろっけ 200403
参道は通勤の径実万両 佐藤京子 百鳥 200404
万両の実より湯気立つ詩仙堂 角南知子 栴檀 200405
万両の日ざしへ伊達襟替へてをり 山元志津香 八千草 200407
垂訓のごとくに垂れて実万両 鷹羽狩行 200502
万両や酒樽高く積まれある 植木戴子 200502
万両に巡礼の杖休めあり 戸栗末廣 火星 200502
万両や思はぬ出来の挨拶句 鷹羽狩行 200502
鳥の蒔きて大粒生りし万両よ 小山ナオ子 酸漿 200503
万両にたまさかの日の射しをりぬ 石川琢之 対岸 200503
義仲の忌の萬兩の白の實や 高千夏子 200503
万両や造酒屋の鬼瓦 小池とみを 雲の峰 200503
実万両ひとつひとつに雨の粒 岡田佳世子 栴檀 200503
万両やバックの奥に珊瑚玉 浦川哲子 200503
実万両座禅中なる札を下げ 内藤静 風土 200505
本家より万両もらふ大安日 秋千晴 200505
香は千両島万両の花みかん 新田巣鳩 馬醉木 200508
金色の鯉千両も万両も 竹内悦子 200602
小熊手に千両万両飾りたて 丸山けさ乃 四葩 200602
殖え続く干両万両終の家 落合絹代 風土 200604
万両が赤を誇示する雪の朝 野村由美 200605
入院の友は帰らず実万両 高倉恵美子 200605
時雨亭松の根方の実万両 村中信子 万象 200605
掌中の玉にはなれぬ実万両 丸山佳子 京鹿子 200606
万両に啄み余す色見ゆる 稲畑汀子 ホトトギス 200701
千両に遅れ万両色づけり 松崎鉄之介 200701
白万両五右衛門風呂の根際にかな 竹内悦子 200702
万両の耐へ切れぬほど実を付けて 前川明子 200703
刃物屋の廂のふかし実万両 荒井千佐代 200703
万両や寂寞の庭に火を灯し 柴田靖子 200704
竹筒に適ふ白万両一枝 仙石君子 雨月 200704
千両も万両もかげる谷戸 百瀬七生子 海光 200705
万両や屋敷神へとのぼる径 関戸国子 酸漿 200705
万両の実を啄みに二三日 松尾緑富 ホトトギス 200706
絆てふ器がのこり実万両 木山杏理 京鹿子 200801
蹲に万両の実の一つ浮く 山田六甲 六花 200801
額装のこの句この文字実万両 宮澤さくら 遠嶺 200802
内庭の千両万両実南天 竹内悦子 200802
万両の赤さに少し翳りあり 大橋敦子 雨月 200802
万両の朱にすこしの刻のあり 松本桂子 200803
実万両朝の日のまづ照らすもの 前川明子 200803
浅草に焦土の日あり実万両 田中藤穂 あを 200803
鵯に囃され熟れし実万両 波田美智子 火星 200804
千両万両綺麗な嘘と知りながら 大島翠木 200804
伝統の重みと軽さ実万両 小澤克己 遠嶺 200901
計り得ぬ埋蔵金や実万両 安本恵子 200902
実生なる万両として日をはじく 豊田都峰 京鹿子 200902
万両や山陵の磴苔むして 豊田都峰 京鹿子 200902
万両やことば色もつ禅問答 鈴鹿仁 京鹿子 200902
師を祝ふ句碑への抱負実万両 小山徳夫 遠嶺 200903
図書館の万両『遠嶺』二百号 安田久太朗 遠嶺 200903
実万両主張をもつてゐるやうな 猿橋洋子 200903
喉佛千両万両のぞきをる 竹内悦子 200904
月桂冠の名を成す蔵や実万両 落合由季女 雨月 200904
万両や雨のしづくの濡したる 池田いつ子 酸漿 200904
実万両牛頭天王に詣でけり 小澤克己 遠嶺 201002
玄関の鉢の万両くれなゐに 渡辺安酔 201002
眠るごと逝きしと聞ける実万両 菅谷たけし 201003
万両の深沈とあり座につきぬ 谷中弘子 201003
終の家の万両の実の豊かなる 和田一 雨月 200804
友の賞日々の研鑽実万両 東秋茄子 京鹿子 201004
万両や世に出て稚の二本の歯 四條進 201004
紅白の万両並びゐたりけり 筒井八重子 六花 201004
万両の実の目小さし雪達磨 工藤美和子 酸漿 201004
銘菓舗の瑠璃戸も床し実万両 小河平男 201005
情念や万両紅き東慶寺 藤岡紫水 京鹿子 201005
戸を繰りて雪万両の出会ひあり 松本鷹根 京鹿子 201005
天下茶屋千両万両客を呼ぶ 小野寺節子 風土 201005
格といふいひがたきもの実万両 足立幸信 201006
大きくてしき清さの実万両 布川直幸 201011
碑のもと万両のまだ青し 阿部ひろし 酸奬 201011
千両より万両欲しと嫁したる子 塩路隆子 201101
万両のふえて懐あたたかし 安本恵子 201103
庭に剪る松と万両活けにけり 山崎里美 201103
万両を褒めて話を始めけり 阿部重夫 末黒野 201103
万両や花屋の内儀の手と触れる 加藤克 201103
勝運の神に万両実千両 和田崎増美 雨月 201103
厳冬を告げ万両の鮮やかに 原田圭子 ぐろっけ 201103
万両に触るる佳人の掌 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
万両の日ごと鮮やか風の中 紀川和子 201201
一粒を百両と見て実万両 宮崎左智子 201202
鎌倉に千両万両藪柑子 神蔵器 風土 201203
千両も万両もまた実を零し 田村すゝむ 風土 201203
楚楚として立子の墓所に実万両 佐野つたえ 風土 201203
万両を添へて仕上ぐる床の花 本郷宗祥 かさね 201203
参道や白万両の零れなき 内藤静 風土 201204
万両の万の実揺るる初句会 山田夏子 雨月 201204
植木屋の午後の茶を飲む実万両 丑久保勲 やぶれ傘 201204
万両を追ひ抜いてゆく風のあり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
モノクロの庭万両に解けゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
万両の実も余さずに啄める 稲畑汀子 ホトトギス 201301
万両の値下げ著しき色た 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
千両も万両も食ひ鵯騒ぐ 中村ふく子 201303
やはらかき挨拶かはす実万両 塩貝朱千 京鹿子 201303
万両や返せぬものを恩といふ 内藤静 風土 201304
万両や白き都心の片隅に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
白銀の世界万両際立たせ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
はちきれさうな色となりたる実万両 高倉恵美子 201401
千両も万両も鵯容赦なし 池田かよ ぐろっけ 201402
西のお屋敷千両も万両も 山田六甲 六花 201402
万両の色づく杜の閑けさに 増田幸子 万象 201402
「忌中」貼って千両万両藪柑子 松井季湖 201403
住み古りて庭の万両湧くがごと 田村加代 末黒野 201403
初日射す庭の万両たわわなり 斉藤裕子 あを 201403
これよりの出会ひと別れ実万両 福山和枝 201404
残されしいのちの重さ実万両 西村博子 馬醉木 201404
父祖の地のぬくき井戸水実万両 生田作 風土 201404
実朝をしのぶ碑傍の実万両 仙田孝子 風土 201404
万両のいつしか増えし狭庭かな 塩田博久 風土 201404
万両の一粒づつの艶やかさ 桂敦子 201405
万両の真白の中に華やげり 江島照美 201406
万両やもうこれよりか負かりまへん 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
風の端万両磨き上げてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
万両や終の栖にゐて老いず 大沼遊魚 201502
蹲は舟形なりし実万両 杉原ツタ子 201503
万両を跨ぐ回廊渡りけり 瀬島洒望 やぶれ傘 201504
万両や大甕の肌乾きゐて 竹内悦子 201505
万両の高さに館の道標 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
木洩れ日に色を深めて実万両 青野安佐子 201603
静もりて実篤旧居実万両 箕輪カオル 201603
飛び石に日向と日蔭実万両 廣瀬雅男 やぶれ傘 201603
実万両食ふひよどりと眼の合ひぬ 内海保子 万象 201610
万両や葉影も紅に染まりつつ 長崎桂子 あを 201701
鳥の道千両万両すつからかん 奥田筆子 京鹿子 201702
万両や手湯をすすめる若き女医 田中藤穂 あを 201703
万両の紅を豊かに活けにけり 王岩 あを 201703
万両の実の赤々と年暮れる 王岩 あを 201703
千両の万両の紅米寿祝ぐ 岡淑子 雨月 201703
つつがなし庭の万両絵手紙に 松本鷹根 京鹿子 201703
万両や猫の番する屋敷神 雨宮桂子 風土 201704
万両や温泉宿の床飾り 赤松赤彦 六花 201705
万両の実の青々と翁の忌 市村明代 馬醉木 201802
万両に身を洗はるる影法師 佐久間由子 201802
万両の一粒に風寄り道す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
万両や庭の木洩れ日朱を点す 松本鷹根 京鹿子 201803
晩節のあゆみ確かに実万両 上柿照代 馬醉木 201803
実万両句碑はやたらとつやつやし 小山陽子 やぶれ傘 201803
万両や漱石の碑の文字古りて 堀田こう 雨月 201804
南宗寺千両万両実のあまた 大橋晄 雨月 201804
万両や妣植ゑしより二十年 善野行 六花 201804
万両や昼過ぎて開く骨董屋 大沢美智子 201901
万両の段々の赤五輪塔 升田ヤス子 六花 201902
千円にて万両を買ふ老舗花舗 山口登 末黒野 201903
万太郎の句碑をなぞるや実万両 山下健治 春燈 201903
実万両巾着の紐ゆるびをり 竹内悦子 201904
そもそもは鳥の糞から実万両 磯野青之里 六花 201905
万両の一両づつを磨く風 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
万両の苔に一粒しづみけり 住田千代子 六花 202003
万両の千両ほどを剪り供華に 岡村彩里 雨月 202003
入れ替はり次の鳥来る実万両 足立典子 雨月 202003
万両や吾子を頼りの昨日けふ 渡部良子 馬醉木 202003
万両や曲り廊下に灯の入りて 笹村政子 六花 202004
万両や無効となりしパスポート 亀井福恵 京鹿子 202005
葉隠れといふ万両の主張かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
千両も万両もあり殿ヶ谷戸 加倉井たけ子 202102
悔なしと思ふ哀楽実万両 阪倉孝子 202103
植木屋が来てゐる庭の実万両 丑久保勲 やぶれ傘 202103
万両や木つ端燃しゐるドラム缶 瀬島洒望 やぶれ傘 202103
中庭の縁先灯し実万両 鈴木礼子 末黒野 202104
これ千両これ万両とやかましく 松村光典 やぶれ傘 202105
万両や主に殉じ庭の荒れ 松尾龍之介 202107
万両や葉裏に色を育てゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202112
万両の色を仕上げて風去りぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202201
万両に狭庭色付き初めにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202201

 

2023年1月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。