老 鶯 3    202句

老鴬や泪たまれば啼きにけり    三橋鷹女

老鶯  夏鶯  乱鶯  残鶯

作品
作者
掲載誌
掲載年月
老鶯や雨の降り込む露天風呂 松田泰子 末黒野 201009
老鶯の一渓占むるごときかな 島谷征良 風土 201009
老鶯に風の湿りて来りけり 中根美保 風土 201009
老鶯や灘を鎮めし岬宮 矢野百合子 201009
千人塚に老鶯声を極めたり 大橋晄 雨月 201009
薬草の岳のうぐひす老知らず 浅井青二 雨月 201009
老鶯や伊吹山に五州見はるかし 浅井青二 雨月 201009
老鶯に答へ返しつ行く山路 大泉美千代 雨月 201009
よどみなき声を老鶯残しけり 石原光徳 酸漿 201009
老鶯や詩集の余韻しみじみと 大松一枝 201010
老鶯の一社一寺を谷渡り 徳井節子 馬醉木 201010
沢音を裂き鶯の老いを鳴く 占部美弥子 末黒野 201010
老鶯に仏間大きく開けにけり 吉原一暁 201010
老鶯に名前をつけて母元気 加藤峰子 201010
清貧は心の支へ老鶯に 浅井青陽子 ホトトギス 201011
馴れきつてこの小城下の老鶯に 浅井青陽子 ホトトギス 201011
人住まぬ家老鶯のひとしきり 降幡加代子 万象 201011
鶯に老残の生ありやなし 上崎暮潮 ホトトギス 201012
忽然と老鶯啼けり虚子の墓 大越義雄 201107
老鶯の谺弾いて城の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
老鶯や城の昔を語るかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
老鶯に明け渡したる湖の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
老鶯のさ迷ふ彼方此方かな 浅野恵美子 酸漿 201107
老鶯や目前に富士迫りくる 吉野さと 酸漿 201107
老鶯や墓誌に彫られし名をなぞる 森理和 あを 201107
老鶯や山門までの杉木立 伊藤憲子 201108
老鶯の激しき声に目覚めけり 山崎里美 201108
老鶯や宇治の茶亭の抹茶濃き 鈴木照子 201108
被災地に届けと老鴬声を張る 松嶋一洋 201108
老鶯に恋のチャンスの後少し 和田照子 201108
老鶯の啼きてなごみし満座かな 近藤きくえ 201108
啼き競ふ谷の老鶯馬手弓手 松本三千夫 末黒野 201108
老鶯やこの一打差を詰めきれず 菅野蒔子 末黒野 201108
老鶯の木々を渡れる空青し 小寺ふく子 六花 201108
老鶯を天武みかどの声と聞き 坂上香菜 201109
老鶯や渓をへだてて如意輪寺 長谷川翠 馬醉木 201109
老鴬に心和ませ夫と居る 田下宮子 201109
老鶯の声いとほしむ一家かな 大村かし子 万象 201109
老鶯に写経の膝のふと崩る 布川孝子 京鹿子 201109
老鶯の谷渡りなり父母の墓 小野口正江 末黒野 201109
老鶯の声よく透り山の晴れ 熊切光子 末黒野 201109
三門に老鶯の声旅終はる 鈴木阿久 201109
船宿の岬鶯老を鳴く 近藤豊子 雨月 201109
老鶯や御廟の杉は天に入る 岩木茂 風土 201110
老鶯や定刻に来る山のバス 高村令子 風土 201110
老鶯や湖より白む山の朝 小川玉泉 末黒野 201110
老鶯を聞く陸奥の國境 鈴木愛子 ぐろっけ 201110
老鶯や幹にリボンの道しるべ 丑久保勲 やぶれ傘 201110
老鶯のこゑを間近に比企郡 國保八江 やぶれ傘 201110
老鶯や風の峠の力餠 コ田千鶴子 花の翼 201111
老鶯や浮雲うごき影をおく 齋藤晴夫 春燈 201111
老鶯や放哉の墓海を向き 塩見治郎 雨月 201111
波二つ三つ老鶯の谷渡り 村高卯 201111
老鶯や尺をそろへて薪積まる 松橋利雄 光陰 201203
遠近に頻る老鶯谷戸の里 嵐弥生 末黒野 201204
鐘の音に老鶯和してをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
老鶯も動物園の一過客 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
老鶯や右へ曲がれば虚子に会ふ 神蔵器 風土 201206
老鴬の山ゆるぎなき唄ごころ 鈴鹿仁 京鹿子 201206
老鶯の声の濡れゐる飛鳥川 コ田千鶴子 馬醉木 201207
老鶯の鳴きて山道ひと休み 郡山真帆 かさね 201207
子を生せし自負老鴬の声太し 布川直幸 201207
老鶯の美声聞きつつ朝湯かな 竹内悦子 201208
補聴器の捉ふ老鶯深山かな 北尾章郎 201208
老鶯や箒目しるき東慶寺 塩田博久 風土 201208
老鶯の女人高野を離れざる 和田孝村 春燈 201208
老鶯や網目模様にパン焼けて 松本三千夫 末黒野 201208
老鶯や朝茜濃き杣の村 黒滝志麻子 末黒野 201208
老鶯や禅尼の墓の肩欠けて 安斎久英 末黒野 201208
老鶯や木漏れ日揺るる峠道 和泉道草 末黒野 201208
せせらぎに老鴬和して山の宿 福島松子 ぐろっけ 201208
老鶯や昼近き水使ひゐて 杉浦典子 火星 201208
老鶯のとことん山に鳴き尽くす 水谷靖 雨月 201208
老鶯やソフトクリームこぼしたる 大坪景章 万象 201208
老鴬や何も欲しくはない暮し 杉本綾 201209
老鶯や屈んで拝む地蔵尊 松田明子 201209
老鶯や古墳の森の明るかり 犬塚李里子 201209
老鶯や湖いちまいの波の照り 和田幸江 春燈 201209
老鶯や燭を絶やさぬ観世音 山田春生 万象 201209
老鶯の寺領離れる気配なし 笠井敦子 201209
算盤をおき老鶯の不意打ちに 箕輪カオル 201209
老鶯や坂立てかけて三室戸寺 橋添やよひ 風土 201209
老鶯の二タこゑあとは雨の音 藤岡紫水 京鹿子 201209
藩祖称へ老鶯の声廟に満つ 桜井知恵子 雨月 201209
老鶯の声渡りゆく杣の道 小寺ふく子 六花 201209
老鶯のゑひつつ酔はせゐたりけり 篠田純子 あを 201209
老鶯や住まふかたのの丘つづき 佐藤美紀 ろんど 201209
竹林の葉擦れしづまり老鶯鳴く 川井素山 かさね 201210
老鶯や媚薬の効き目ありにける 前田美恵子 201210
老鶯や北山杉の風の道 齋藤晴夫 春燈 201210
老鶯の交信めきて徘徊夫 増本明子 ぐろっけ 201210
老鶯に山の一服つい長し 小倉正穂 末黒野 201210
老鶯のひと鳴き夜の白みけり きくちきみえ やぶれ傘 201210
老鶯のこゑ室生寺の最寄り駅 丑久保勲 やぶれ傘 201210
老鶯やコの字に廊下案内され 森理和 あを 201210
老鶯の声に安らぐ墳墓かな 吉田節子 ホトトギス 201211
老鶯の鳴き過ぎ静寂深めけり 小山ほ子 末黒野 201211
老鶯の次の声まつ小昼かな 國保八江 やぶれ傘 201211
老鶯の井川なまりやつづけさま 大坪景章 万象 201211
老鶯に明け渡したる眉山かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
老鶯の頭上に澄めり香落溪 竹貫示虹 京鹿子 201305
老鶯を聞きつぬかづく虚子の墓 大越義雄 201307
接待の老鶯しきり札所寺 古川千鶴 かさね 201307
老鶯や源流ちかき橋わたる 小林成子 火星 201309
老鶯や鬼も市民として親し 大久保白村 ホトトギス 201310
老鶯の声浴びてゐる吉祥天 本多俊子 201310
老鶯と競ひ朝の鶏の声 小川玉泉 末黒野 201310
老鶯や海見ゆるまで登りつめ 安斎久英 末黒野 201310
老鶯や尾根道に出て仰ぐ富士 庵原敏典 末黒野 201310
父恋ひしと話さるる師や老鶯 東野鈴子 雨月 201310
老を鳴く鶯右近生誕地 塩見英子 雨月 201310
老鶯に招かる丘の投票所 西田敏之 ぐろっけ 201310
老鶯や甲斐と信濃のくにざかひ 野畑さゆり 201310
老鶯のこゑを間遠に湖の朝 國保八江 やぶれ傘 201310
老鶯の翠巒幾重御坂路 齋藤晴夫 春燈 201311
左千夫忌やタベ鶯老いを鳴く 安斎久英 末黒野 201311
老鶯や健診結果まづは良し 荒木甫 201311
老鶯やホーホケキョーにケキョ足せり 瀧春一 花石榴 201312
老鶯となりゆく葉騒パン焼く香 半田稜 ろんど 201402
上皇の魂か鶯老を鳴く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
老鶯や鶯張りに呼応して 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
老鶯に鳴き包まれし虚子の句碑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
老鶯にきりこんでくる不如帰 山田六甲 六花 201406
老鶯や走りて消ゆる池の波 渡邊孝彦 やぶれ傘 201407
老鶯やコロラトゥーラの澄渡る 赤座典子 あを 201408
老鶯の庭木に鳴けば雨上がる 渡辺安酔 201408
老鶯の折しも渓の声澄める 水野節子 雨月 201408
老鶯の声老練に路地の風 宮地静雄 末黒野 201408
老鶯の声のこだまや峡の径 高木邦雄 末黒野 201408
老鶯の高音澄みしが谺せる 稲田和子 201408
老鶯のアリア激しき峡の里 山本丈夫 璦別冊 201408
老鶯の高音澄みしが欲せる 稲田和子 201408
老鶯の声繋ぎあふ谷わたり 中村ふく子 201408
庭に来て老鶯鳴くや声すがし 渡辺安酔 201408
老鶯昼の静寂にソロ聞かす 齋藤晴夫 春燈 201409
老鶯や峠の宿の露天風呂 池田節 春燈 201409
老鶯や朝の谷戸をほしいまま 大川暉美 末黒野 201409
老鶯や深山の風の中に佇つ 大内マキ子 万象 201409
老鶯や手入の多し山の家 遠山みち子 201409
老鶯や眼下遥かに大阪湾 赤松赤彦 六花 201409
老鶯の谷渡る時橋渡る 鈴木初音 201409
老鶯の声胸に沁む雨あがり 辰巳あした 雨月 201409
老鶯の声の古刹をつつみけり 鈴木鞠子 末黒野 201409
老鶯の声が背押す九十九折 中野久雄 末黒野 201409
老鶯の水に濁りの消えてゐし 西田孝 ろんど 201409
老鶯の仕切り直しの弾む声 上辻蒼人 風土 201409
法華経諳んず老鶯修行寺 内山萬壽 京鹿子 201409
老鶯の先回りして鳴きにけり 松本文一郎 六花 201409
節回しよき老鶯や地鎮祭 小川玉泉 末黒野 201409
庭に来て老鶯別れ告ぐるかに 小川玉泉 末黒野 201409
一山に老鶯の声透きとほり 武生喜玖乃 雨月 201409
老鶯や鑿あと著き切通し 加藤静江 末黒野 201410
老鶯や林泉に反り橋たひら橋 加藤静江 末黒野 201410
老鶯や石庭の石ひびかせて 加古みちよ 火星 201410
老鶯の笊碁弥次るや窓近く 中村弘 末黒野 201410
老鶯の墓地の大樹を癒しをり 仁平則子 201410
老鶯のしきりと兼好法師展 岡田史女 末黒野 201410
老鴬の鳴き残さじと声絞る 小谷正夫 ろんど 201410
月変りして老鶯の声となる 後藤立夫 ホトトギス 201410
裏山は老鶯の森風の森 奥田好子 ホトトギス 201411
老鶯の声のもてなすリフトかな 茂木なつ 春燈 201411
老鶯に応へて棚田そよぎをり 浅田光代 風土 201411
老鶯に広げられゆく蝦夷の空 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
蝦夷訛もて老鶯は語部に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
老鶯や烏帽子の合ふ重忠像 鈴木鳳来 故山 201505
老鶯に山気解けてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
老鶯に山気解けてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
正一山へ老鴬渡りけり 鈴鹿仁 京鹿子 201506
老鶯のまたもまねくや水景めぐり 豊田都峰 京鹿子 201507
老鶯に足とどめては里下る 安部和子 雨月 201507
老鶯の澄む声山の散歩道 田村加代 末黒野 201508
一山を統ぶる老鶯虚子の墓 正谷民夫 末黒野 201508
老鶯に峰は葉風の艶競ふ 松本鷹根 京鹿子 201508
老鶯の棲みついてをり福の耳 上野紫泉 京鹿子 201508
山ガール来て老鶯の鳴き止みぬ 甕秀麿 201508
老鶯やひたすら待ちて手打蕎麦 来海雅子 201508
老鶯のダムを挟みて応へけり 工藤ミネ子 風土 201508
老鶯の谺岬山めぐるかな 室伏みどり 雨月 201508
言霊に老鶯応ふ高野かな 田禎子 201508
老鶯やリフトにしかと掴まりて 高橋あさの 201509
老鶯や有珠山煙吐き止まず 上谷昌憲 201509
老鶯や風やはらかき千枚田 荒井貞子 末黒野 201509
老鶯のけふも小節を誇りけり 漆山浩一 末黒野 201509
老鶯や昼ひとしきり鳴いて去ぬ 齋藤晴夫 春燈 201509
老鶯や遠白波のめくれやう 高橋道子 201509
老鶯の悲恋の塚へ声を張る 三輪温子 雨月 201509
老鶯の谷戸を住処に鳴き尽す 福岡かがり 雨月 201509
老鶯の遠音に耳を欹てり 大村仍子 雨月 201509
老鶯に一目を置く鴉かな 織田みさゑ 万象 201510
老鶯と波長の合ひし畑仕事 原友子 201510
老鶯や信濃の宿の自在鉤 野畑さゆり 201510
老鶯の案内につきて手漕ぎ舟 中原吟子 雨月 201510
舟を追ふ老鶯名残惜しむかに 中原吟子 雨月 201510
老鶯の背山に鳴いて蜑部落 宮原悦子 雨月 201510
老鶯の鳴くや山影差す辺り 上辻蒼人 風土 201511
こだまして老鶯しばし谷戸の主 稲垣佳子 末黒野 201511
老鶯や雲中にして水の里 宮崎洋 春燈 201512
老鶯やひたすら待ちて手打蕎麦 来海雅子 201602
托卵を知らぬ老鶯朗々と 関桂二 201602
老鶯や森のしじまを深めをり 加藤榮一 末黒野 201604
五合目や老鶯四方に鳴き交す 長尾タイ 末黒野 201604
老鶯に台湾訛ありにけり 岡本尚子 風土 201605
老鶯 →4      

 

2021年6月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。