夏 薊     133句

埃りだつ野路の雨あし夏薊   飯田蛇笏   読本・歳時記

  夏薊  秋薊   冬薊

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夏薊雲の中より切りて来し 神蔵器 風土 199807
捨窯の壺のかけらや夏薊 金子きくえ 春耕 199908
夏薊思ひのままに書きとめる 宮倉浅子 遠嶺 199909
まひまひず井の底昏し夏薊 大谷茂 遠嶺 199910
夏薊どこへも行けず家俯く 三浦二三子 海程 199910
あをあをと上潮迫る夏薊 中田ゑみこ 馬醉木 199912
夏薊子を呼ぶ声のよくとほる 小林成子 火星 200008
そこここに富士の落石夏薊 升本栄子 春耕 200008
廃線の鉄光りたる夏薊 いしだゆか 遠嶺 200009
お早ようさん三段池の夏薊 笠間圭子 京鹿子 200009
逢うた径別れた小径夏薊 笠間圭子 京鹿子 200009
山の端に雲湧き出せり夏薊 東芳子 酸漿 200010
魚偏といひて刺されし夏薊 田中麻千子 六花 200010
夏薊不器用にしか生きられず 栢森定男 あを 200106
夏薊古墳近くに住んでをり 杉浦典子 火星 200108
戸をくれば雨音はげし夏薊 長崎豊子 ぐろっけ 200108
夏薊咲きし高さを昼の蝶 池内淳子 春耕 200109
山容を水面に映し夏薊 橋本良子 遠嶺 200110
渓流の音に育ちし夏薊 辻のぶ子 雲の峯 200207
山の日を天に返して夏薊 矢崎すみ子 200209
語られぬ故国あるいは夏薊 青山茂根 銀化 200209
ステロイド減る日はいつか夏薊 松本恵子 六花 200209
墓原の道失せやすし夏薊 荒井千佐代 200210
渓流に照らされてをり夏薊 赤座典子 あを 200210
野の雨は音なく至る夏薊 稲畑汀子 円虹 200306
夏薊かつて路傍の草なりし 奥村光子 築港 200308
夏薊咲きつつ綿毛飛ばしをり 森木久美 雲の峯 200308
声あらば叫ぶぞ崖の夏薊 垣尾美智子 200309
海に来てなんぞ泪は夏薊 風間史子 200310
山小屋に湯の沸く音や夏薊 町田洋子 200310
手をつなぐ手を繋がれし夏薊 赤座典子 あを 200409
富士近きホテルを出でて夏薊 岩下芳子 200410
谷間の風の匂ひや夏薊 今村能子 遠嶺 200410
人はひと我はわれなり夏薊 永田歌子 遠嶺 200410
夏薊ひとり棚田を下りてゆく 安宅弘子 百鳥 200410
ことごとく親を裏切る夏薊 あさなが捷 200411
美馬みんまてふ村落ありぬ夏薊 十亀弘史 200507
酢を醸す甕を地に据ゑ夏薊 淵脇護 河鹿 200509
野晒しの五右衛門風呂や夏薊 尾辻のり子 河鹿 200509
牛の背の海真青なり夏薊 手島靖一 馬醉木 200509
断崖の引き寄す怒濤夏薊 大見川久代 馬醉木 200510
辰雄忌の乳鉢くもる夏薊 徳田千鶴子 馬醉木 200510
夏薊はや少年のこゑに銹 吉村たけを 海市蝶 200606
いきいきとはげみし日々や夏薊 松隈絹子 遠嶺 200608
ジンギスカン鍋に錆うく夏薊 深澤鱶 火星 200610
大空へ背筋を伸ばす夏薊 大久保寛子 遠嶺 200610
真直ぐに立ち群生の夏薊 鈴木石花 風土 200610
夏薊まだ本心は明かされず 西澤ひで子 遠嶺 200612
さかんなる雲の白さよ夏薊 糸井芳子 200612
夏薊女の性の嫁姑 上田繁 遠嶺 200709
夏薊かちかち頭の蕾寄せ 西山美枝子 酸漿 200709
夏薊濃霧を知らす鐘の鳴る 神保みね子 酸漿 200710
夕風に心もそぞろ夏薊 稲辺美津 遠嶺 200711
何時よりか守成となりし夏薊 今井松子 遠嶺 200711
夕されば風の通ひ路夏薊 醍醐季世女 200711
夏薊ゴム長靴が常となり 関根洋子 風土 200807
夏薊父にモルヒネ効きすぎぬ 吉岡一三 200808
夏薊挺身隊の写真褪せ 池崎るり子 六花 200808
夏薊神威岬は風の中 廣瀬雅男 やぶれ傘 200808
旧道は柵で閉ざされ夏薊 國保八江 やぶれ傘 200809
夏薊活けて筆持つ夜の卓 加藤克 200810
ことばにも表裏あり夏薊 宮川みね子 風土 200810
夏薊ざんぶり桶に浸けてをく 加藤克 200811
白山へ分水の嶺夏薊 伊藤敬子 200908
後より弾む声して夏薊 三沢蘭 遠嶺 200909
明日香路を駆くる四輪夏薊 新実貞子 200909
三山を巡りし大和夏薊 坂根宏子 200909
甲賀伊賀分かつ辺りの夏薊 松岡和子 200909
里人の声よく透り夏薊 三川美代子 200909
それとなく匂はせてみし夏薊 近藤公子 200909
夏薊賎ヶ岳より日照雨くる 廣畑忠明 火星 200909
夏薊触れて古墳を巡りけり 竹島勝代 200910
山巓の霧の迅しよ夏薊 宮野百合子 200910
夏薊遥かに青きエーゲ海 大西裕 酸漿 201007
剛の棘持つ鎌倉の夏薊 伊藤トキノ 201009
葛城の棚田明るし夏薊 竹下昭子 ぐろっけ 201009
夏薊日に六便の山の駅 國保八江 やぶれ傘 201010
山姥の通ひし道や夏薊 堀江恵子 201010
この道のずつと先まで夏薊 金子清孝 ぐろっけ 201102
夏薊山肌荒く白根立つ 本多ちづ子 馬醉木 201108
青春のどこかに讃美歌夏薊 山内碧 201108
夏薊川辺に雨は音たてて 白石正躬 やぶれ傘 201109
廃屋の塀より高し夏薊 片岡久美子 201110
もう番号つきし子牛や夏薊 長憲一 201110
夏薊乾ききつたる石仏 伊藤ふみ 馬醉木 201111
あをぞらのこはれやすくて夏薊 蘭定かず子 火星 201111
玄室の失せし朱なれ夏薊 小幡喜世子 ろんど 201208
高原の丈高く咲く夏薊 小林美登里 かさね 201209
夏薊鬼女の紅筆かもしれぬ 原友子 201210
靡き癖つきたる岬の夏薊 伊藤美音子 万象 201210
まだらなす雲は海より夏薊 大崎紀夫 やぶれ傘 201210
夏薊ほとけの道に雨の来て 布施まさ子 風土 201210
一音のごと鳥すぎて夏薊 佐々木紗知 京鹿子 201210
降りんとし虻の逡巡夏薊 定梶じょう あを 201308
夏薊正論吐かば疎外され 松本文一郎 六花 201310
火の山の山肌白し夏薊 成田美代 201311
夏薊大河はゆるく流れけり 鈴木みのる 風土 201311
夏薊とんとんゆくはつまらぬよ 辻水音 船団 201401
ふる里を捨てて得し恋夏薊 久保久子 湖心 201402
大江路に鬼の化身や夏薊 坂根宏子 野山の道 201404
大江路に鬼の化身や夏薊 坂根宏子 璦別冊 201408
何もかも気に入らぬ牛夏薊 吉田葎 201409
夏薊よそ目淋しきふうに見ゆ 黒澤登美枝 201409
風通ふ葛城の道夏薊 柳橋繁子 201410
婆の言ふ飛騨の雨ぐせ夏薊 杉浦典子 火星 201410
阿蘇山のおとなしき日や夏薊 柴田志津子 201508
身を守る棘の勝ちゐて夏薊 平松うさぎ 201509
夏薊硫黄の匂ひただよひ来 三澤いつ子 万象 201510
野仏を石と見紛ひ夏薊 加藤静江 末黒野 201510
島の田は空につつまれ夏薊 柴田佐知子 201609
夏薊野辺のふところ深くする 吉田順子 201609
選択は地獄天国夏薊 前田美恵子 201610
夏薊遠嶺に色を求めざり 松本鷹根 京鹿子 201610
金網に濃き夏薊立ちのき地 木内徴子 万象 201610
ほらそこと指さしあへる夏薊 住田千代子 六花 201611
夏薊身を守る棘を吾も持ち コ田千鶴子 馬醉木 201709
高原の轍の道の夏薊 稲田延子 やぶれ傘 201709
夏薊葉擦れの音と木洩れ日と 宮元陽子 末黒野 201804
夏薊雲は愛宕に執着す 松本鷹根 京鹿子 201808
姉の住む神社の横の夏薊 細川コマヱ 雨月 201808
放牧の大地のうねり夏薊 柴田佐知子 201809
夏薊とがる棘もつ孤独かな 三木亨 201809
夏薊仔犬の戯るるドッグラン 和田啓 末黒野 201810
湖へ向くベンチが一つ夏薊 佐藤あさ子 201909
夏薊咲けば眩しき雲のあり 塚越弥栄子 末黒野 201910
リフト小屋閉ざし一面夏薊 有賀昌子 やぶれ傘 201911
城垣の裏へまはれや夏薊 山田六甲 六花 202007
山鳩の脇径あさり夏薊 大内幸子 六花 202009
奥山の野の憂ひとも夏薊 住田千代子 六花 202010
閉ざされし村の入口夏薊 関妙子 202109
溝川の音高まるや夏薊 平嶋共代 202109
全容の富士真向ひに夏薊 佐藤信子 春燈 202110
日輪のゆらりと高し夏薊 湖東紀子 ホトトギス 202112

 

2022年8月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。