名残雪       125句

雪の果  忘れ雪  涅槃雪  名残雪

作品
作者
掲載誌
掲載年月
安曇野の名残の雪に逢ひし旅 鈴木一睡 黄鐘 199808
湯けむりに消えゆく峽の名残雪 春田淳子 俳句通信 199905
送る身の杖を片手や名残雪 村越化石 199906
遠景の北アルプスの名残雪 久保田一豊 いろり 199906
地酒酌み名残の雪となりにけり 川口襄 遠嶺 200007
名残り雪踏みて醤油の町歩く 田村すゝむ 風土 200104
どれほどに積もつてみても名残雪 浅利恵子 円虹 200105
余花吹雪くとき名残あり山の風 稲畑汀子 ホトトギス 200105
転勤や名残雪積む引越車 川副民子 船団 200108
なごり雪芭蕉遡行の旅にあり 能村研三 200203
雪国の名残の梁の太きかな 平田倫子 百鳥 200203
海に向く南吉句碑に名残雪 市川十二代 ぐろっけ 200205
堆く雛積める宮名残の雪 鳴海清美 六花 200206
病室より朝富士眺むなごり雪 片渕清子 ぐろっけ 200206
しばらくは名残を惜しめ春の雪 菊谷潔 六花 200305
名残り雪石は機鋒をあらはにす 沼田巴字 京鹿子 200306
名残り雪踏みて「ガラスの森」歩く 田村すゝむ 風土 200306
東京に束の間の詩なごり雪 向後良子 八千草 200308
消えてゆく残雪も又旅名残 稲畑汀子 ホトトギス 200405
うすうすと日のさす山のなごり雪 藤井美智子 対岸 200406
色となるみつば躑躅に名残雪 三井公子 酸漿 200406
高層ビル暗め名残の雪ふぶく 藤田誉子 雨月 200406
見舞くれし女三人名残雪 村越化石 200406
月山の根雪隠しぬ名残雪 岩瀬満里子 草の花 200407
名残雪目つきの悪い羊かな 山田六甲 六花 200503
知らぬ間に降つてゐたのか名残雪 浜田久美子 六花 200505
檳榔に鶴に名残りの雪飛べり 鈴木厚子 栴檀 200506
名残雪写真の母と語る夜 村井節子 200507
名残雪友と語りし村の道 村井節子 200507
名残雪蛇ノ目行き交う古都の路 佐藤稲詩 200507
オペを待つひとりの部屋よ名残雪 板倉エミ 200507
長靴から猫が顔出し名残雪 小林晋子 200507
クリオネの舞うが如きに名残雪 川口松生 200507
上堂の点火せまれり名残り雪 横井博行 万象 200510
たぎる湯の音にいつしか名残雪 天野きく江 200605
名残雪ラストシーンに泣かされし 大海いつ子 百鳥 200605
野山いま涅槃の雪のなごりかな 宇田喜美栄 200606
川だけを残して降れり名残り雪 藤井美智子 対岸 200606
蔵町の屋根にとどむる名残雪 土田芳月 遠嶺 200607
一瞬の晴一瞬の名残雪 藤浦昭代 ホトトギス 200609
名残雪箱階段に匠の名 能村研三 200704
名残雪とけて土竜をさましけり 佐藤国夫 馬醉木 200705
海暮れてなごりの雪のはなやげる 山田禮子 遠嶺 200706
欄干に鳥の足跡なごり雪 山下青坡 200707
奥飛騨路ちらちら峡の名残雪 久保晴子 雨月 200707
公家邸は泉水のみや名残雪 豊田都峰 京鹿子 200805
子離れの出来ぬ今生なごり雪 倉科紫光 馬醉木 200805
てのひらに受けて確かめ名残雪 高瀬桜 200806
掌を合わす列車の窓になごり雪 宮村フトミ ぐろっけ 200806
名匠は逝き路地裏の名残雪 遠藤和彦 遠嶺 200806
降り初めて雛に名残の雪明り 岡田和子 馬酔木 200905
照り返す夕日や比良の名残雪 藤岡紫水 京鹿子 200905
名残雪去来の墓に積りけり 天野美登里 やぶれ傘 200905
廃屋となりたる宿やなごり雪 増田一代 200905
羞らひのむかしありけり名残り雪 高根照子 200906
透きとほる傘に名残の雪の華 大坪景章 万象 200906
円墳をつつむ名残の雪なりし 大場ましら 200906
見はるかす白山の峰名残雪 中根健 200907
白雲や石槌山に名残り雪 箕浦志づ子 200907
どの景も雪の名残を置ける渓 稲畑汀子 ホトトギス 201003
業平のなごりの邑や雪女郎 中川すみ子 201004
家々は湖へ向く名残り雪 伊藤敬子 201004
臥す友の窓の明かりや名残雪 梅田武 末黒野 201005
手をあげて遠ざかる背や名残雪 河瀬俊彦 遠嶺 201005
なごり雪巣ごもりの日はミルクティ 木村茂登子 あを 201005
なごり雪窓に銘酒の鬼ころし 塩路隆子 201006
なごり雪と思へば愛し箱根山 小山ミツ子 末黒野 201006
名残雪働者を家籠めに 守屋井蛙 酸漿 201006
時計台庭に名残りの雪囲 広瀬峰雄 201006
歌舞伎座に贔屓の鼓動なごり雪 須山登 201006
蛤塚背に伊吹嶺の雪名残 吉田政江 201006
なごり雪と思ひ手に受く旅の果 小山ミツ子 末黒野 201007
庇へと朝の清気や名残雪 改正節夫 ぐろっけ 201007
なごり雪つひに幕引く芝居小屋 川村欽子 雨月 201007
襟立てて来るは父なり名残雪 山田六甲 六花 201102
軒借りて名残の雪を眺めをり 山田六甲 六花 201104
恋歌を作る日もありなごり雪 笠井清佑 201104

 悼冨松寛子さん

ふいに聞く知らせなごりの雪を踏む

雨村敏子 201105
角の無き鹿の目静か名残り雪 坂根宏子 201105
文机に座すや名残りの雪明かり 田中臥石 末黒野 201105
ふうはりと窓に寄り来る名残雪 東亜未 あを 201105
名残雪と言へざり天の戒めか 池田倶子 雨月 201106
被災地に更なる打撃なごり雪 山口キミコ 201106
マネキンの和服を剥がす名残雪 丸井巴水 京鹿子 201106
吹きつける湯村の源泉名残り雪 西躰いとの ぐろっけ 201107
母木偶の声かきくもる名残雪 コ田千鶴子 花の翼 201111
すぐ消ゆるとて残雪に名残あり 稻畑汀子 ホトトギス 201202
並木路やメタセコイヤのなごり雪 中川すみ子 201205
春の雪積もる名残の寒椿 塩田博久 風土 201205
明け初めて始発列車の名残雪 大内幸子 六花 201206
名残雪御香の宮を白化粧 古田光子 ぐろっけ 201206
古き酒肆屋根に名残りの雪積みて 田島昭久 かさね 201207
名残り雪真間の手児奈の井蓋にも 北崎展江 くりから 201209
なごり雪風の旅するところまで 菊谷潔 六花 201212
光則寺山門に在る名残雪 山下健治 春燈 201304
幾たびの名残の雪や二月堂 菊谷潔 六花 201305
名残雪わらべうたほど降り積もる 風間史子 201305
原発ドームを臨み若狭の名残雪 浜福惠 風土 201305
輪中野に積るともなき名残雪 水谷靖 雨月 201306
なごり惜し初雪の大山あとに 稲畑汀子 ホトトギス 201311
初雪の来し大山に旅名残 稲畑汀子 ホトトギス 201311
ガス灯は明治のなごり春の雪 伊藤純子 201404
名残雪頷くだけの友見舞ふ 北川孝子 京鹿子 201405
声弾む名残りの雪の商学部 相沢有理子 風土 201406
降り積もる名残の雪と言ふけれぞ 上辻蒼人 風土 201406
名残雪無言で暫し眺めゐし 水谷直子 京鹿子 201407
誰か来しちちははの墓名残雪 恩田洋子 馬醉木 201407
倒木の多き峠や名残雪 森清信子 末黒野 201408
子を送る傘に重たしなごり雪 松田洋子 201504
名残雪新幹線の開通す 片岡良子 雨月 201505
名残りかと思ひし雪をまた重ね 福島照子 京鹿子 201505
相席は東北訛りなごり雪 中山静枝 201506
手に受けてなごりの雪と思ひけり 岡美智子 末黒野 201506
なごり雪分けて列車の灯の疾し 清水量子 201508
にぎはひの中の孤独や名残り雪 田川美根子 201606
名残雪兜太追ふかに直人逝く 梅田武 末黒野 201806
俯瞰する瀬も樹も尾根も名残り雪 若泉真樹 201902
止め石の結び十字や名残り雪 能村研三 201904
名残雪打ち捨てられし鮫二体 楠本和弘 201907
車椅子降りて名残りの雪を踏む 田村すヽむ 風土 202006
満目に優しさ舞へり名残雪 野村宏 202006
伊吹山名残の雪を染め上げし 安原葉 ホトトギス 202007
墓もたぬ姉の忌日やなごり雪 岩木茂 風土 202106
あたたかくなれば会はうと名残雪 山田六甲 六花 202204
名残雪燃える入日に紅となる 江口九星 202206

 

2023年3月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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