麦の秋 5   200句

兄弟の半分集ひ麦の秋   斧田綾子

麦の秋  麦秋  麦刈

作品
作者
掲載誌
掲載年月
七半を斜めに立てて麦の秋 金井裕子 風土 200908
富士見えて私雨や麦の秋 相良牧人 200908
疎遠てふどれほどの間や麦の秋 小菅礼子 春燈 200908
篤農家の賞状の古り麦の秋 田中春子 雨月 200908
麦の秋農を一途の兄逝けり 田中春子 雨月 200908
黄ばみたる手擦れの季寄せ麦の秋 川崎良平 雨月 200908
乳母車に居眠る嬰児も麦の秋 長崎桂子 あを 200908
太陽の色敷きつめて麦の秋 鈴木多枝子 あを 200908
麦の秋天下御免のコンバイン 今中道子 200909
ふる里は天地人ブーム麦の秋 和田恭子 200909
太陽にうねり返して麦の秋 遠藤若狭男 200909
芳ばしき夜風吹きぬけ麦の秋 仲田美智子 200909
走ることいつしか止めし麦の秋 久津見風牛 200909
乗り込みし坊ちやん列車麦の秋 桑原逸子 200909
麦の秋母になる日の間近なり 鈴木友寄枝 炎環 200909
廃線の噂しきりや麦の秋 高橋すみ子 万象 200909
笑む埴輪踊る埴輪や麦の秋 久米憲子 春燈 200909
煙突の見ゆる坂道麦の秋 荒井慈 春燈 200909
畑みちは曽て馬道麦の秋 江木紀子 雨月 200909
天下布武の城址望み麦の秋 塩見治郎 雨月 200909
麦の秋金管の音の揃ひたる 近藤倫子 ぐろっけ 200909
麦の秋告白上手く躱されて 近藤倫子 ぐろっけ 200909
麦の秋活字の人に出会ひたる 島内美佳 ぐろっけ 200909
鬱々とむれる匂ひや麦の秋 稲岡長 ホトトギス 200910
鳥羽殿へ駆けしあたりや麦の秋 山本右近 万象 200910
相客に鏡の会釈麦の秋 久米なるを 200910
古帽のつばの反りぐせ麦の秋 川崎良平 雨月 201001
四国路の旅の明るさ麦の秋 稲畑汀子 ホトトギス 201005
丹波口驛にはじまる麥の秋 竹貫示虹 京鹿子 201005
影大き鳥ばかり飛び麦の秋 山尾玉藻 火星 201006
食扶持の一反一畝麦の秋 神蔵器 風土 201007
鋸ペンチ壁に吊さる麦の秋 和田満水 201007
ものさしの罅割れてゐる麦の秋 鳳蛮華 201007
眠り覚む車窓一望麦の秋 永峰久比古 馬醉木 201008
指で読む鎌の切れ味麦の秋 藤岡紫水 京鹿子 201008
リハビリは今日で仕舞ひよ麦の秋 鈴木阿久 201008
麦の秋カレーの店を通り越し 鈴木阿久 201008
麦の秋小作を詠みし歌人あり 鈴木阿久 201008
躓きて齢感ずる麦の秋 中山静枝 201008
川筋に軋む櫓の音麦の秋 大木清美子 201008
麦の秋平面図には夢がある 佐野ときは 201008
パントマイムの見えぬもの追ふ麦の秋 峰幸子 201008
さへづるに似たる異国語麦の秋 荒井千瑳子 201008
にはとりの樹にねまりたり麦の秋 山本耀子 火星 201008
播但線汽笛高鳴る麦の秋 岸本林立 雨月 201008
ごろり寝に風さわさわと麦の秋 小西和子 201009
カーナビの道案内や麦の秋 三川美代子 201009
蒲生野の山々低し麦の秋 池田加寿子 201009
運不運程ほどに受け麦の秋 中本吉信 201009
神話みなどこかが同じ麦の秋 松田泰子 末黒野 201009
はればれと大地ふくらむ麦の秋 宇都宮敦子 201009
車椅子用のチャイムや麦の秋 下山田美江 風土 201009
亡き伯母を慕ふ周防は麦の秋 安永圭子 風土 201009
父さんのおどうぐ箱や麦の秋 苑実耶 201009
木立より低き火の見や麦の秋 根橋宏次 やぶれ傘 201009
牛馬居し頃の小川や麦の秋 高倉恵美子 201010
懺悔後の喉の渇きよ麦の秋 荒井千佐代 201101
黄鐘の韻短かり麦の秋 山田六甲 六花 201105
小津館は昭和の匂ひ麦の秋 田下宮子 201107
山荘に鉛筆五本麦の秋 水原春郎 馬醉木 201107
麦の秋遠いところを見て歩く 宮内とし子 201107
息かけて磨くハモニカ麦の秋 林昭太郎 201107
近江路やパッチ・ワークの麦の秋 三川美代子 201108
雛僧の捨て鐘二つ麦の秋 近藤幸三郎 風土 201108
箱書の埃を払ひ麦の秋 及川澄江 風土 201108
病には触れず投函麦の秋 白髭美佐子 201108
北校舎側一面の麦の秋 年森恭子 ぐろっけ 201108
ゆつたりと筑紫次郎や麦の秋 小野千枝子 万象 201108
筑波まで将門の国麦の秋 山本無蓋 201108
鱶喰うて口拭ひけり麦の秋 深澤鱶 火星 201108
湖岸まで畑拡がりて麦の秋 大橋晄 雨月 201108
農継がぬ子も助っ人や麦の秋 田中清子 雨月 201108
地震傷みの土手のシートや麦の秋 菅野蒔子 末黒野 201108
藁屋根の続く宿場や麦の秋 土田亮 末黒野 201108
石積みの島の段々麦の秋 藤生昇三 六花 201108
大河ドラマの地を巡るバス麦の秋 廣見知子 201109
光にも刺す力あり麦の秋 吉清和代 万象 201109
座布団置く駅の待合麦の秋 前原マチ 末黒野 201109
消息の讃岐富士なり麦の秋 中島陽華 201109
父の忌の過ぎにし故郷麦の秋 宮平静子 雨月 201109
用水にせせらぎ戻る麦の秋 松本正生 やぶれ傘 201109
麦の秋海を眩しと予後の父 荒井千佐代 祝婚歌 201110
風車ごと沈むたそがれ麦の秋 今村征一 ホトトギス 201110
リヤカーをバイク引きゅく麦の秋 丑久保勲 やぶれ傘 201110
切株に掛けてしぱしを麦の秋 國保八江 やぶれ傘 201110
満月を地球が齧る麦の秋 松村光典 やぶれ傘 201110
阿蘇山のこの一角は蕎麦の秋 稲岡長 ホトトギス 201201
照り返す道のうねりや麦の秋 高倉和子 夜のプール 201203
父さんのおだうぐばこや麦の秋 苑実耶 大河 201203
茶所に茶を求めけり麦の秋 上月智子 末黒野 201204
単行本一気に読みて麦の秋 鈴鹿仁 京鹿子 201206
口笛の友に和したり麦の秋 コ田千鶴子 馬醉木 201207
一畳は赤子に広し麦の秋 柴田佐知子 201207
バスタブに岩塩入れし麦の秋 細川洋子 201207
麦の秋字の無い絵本読み返す 須賀敏子 あを 201207
夕月夜近江平野の麦の秋 坂根宏子 201208
ああサロメ宴のあとの麦の秋 西村純太 201208
振り返るまつすぐな道麦の秋 山田正子 201208
病む夫に励まされをり麦の秋 北川英子 201208
市庁舎のどんどん伸びて麦の秋 代田青鳥 風土 201208
お弁当のおかずの多色麦の秋 河村啓花 ろんど 201208
トラックの荷台に犬や麦の秋 涼野海音 火星 201208
刻告ぐる柱時計や麦の秋 藤生不二男 六花 201208
一枚のハガキ確かに麦の秋 森理和 あを 201208
一と匙の蜂蜜重し麦の秋 荒井千佐代 201209
手で開けて電車を下りる麦の秋 田所節子 201209
SLの汽笛ひびけり麦の秋 山田春生 万象 201209
上毛の山大大と麦の秋 山本無蓋 201209
麦の秋しやがむかたちの人の影 齋藤厚子 201209
心臓に電気を通す麦の秋 近藤幸三郎 風土 201209
麦の秋復路は藁を焼いており 濱田ヒチヱ ぐろっけ 201209
海鳴りをはなさぬ岬も麦の秋 岡田貞峰 馬醉木 201210
伊都国の一と色となる麦の秋 田代貞枝 201210
麦の秋畦に仔犬と三輪車 村田とくみ ぐろっけ 201210
ハモニカに鉄の味する麦の秋 林昭太郎 あまねく 201210
開け放つ仏間に赤子麦の秋 林昭太郎 あまねく 201210
うたた寝のシーツの皺や麦の秋 橋本正二 201211
空爆のあとをたどれば麦の秋 犬丸勝子 201211
竹トンボ我がもの顔に麦の秋 五ヶ瀬川流一 六花 201212
大橋を二つ繋ぎて麦の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
麦の秋きらきら星のリコーダー 宮田香 201307
関ヶ原の古戦場跡麦の秋 岡野安雅 かさね 201307
ささやかな城ささやかな麦の秋 大久保白村 ホトトギス 201310
着陸へ広がつてゆく麦の秋 井上浩一郎 ホトトギス 201310
開店の気球のあがる麦の秋 根橋宏次 やぶれ傘 201309
参道は野中の小径麦の秋 大島英昭 やぶれ傘 201309
一と処ゆたかに峡の麦の秋 小倉正穂 末黒野 201310
結納のふろしき包み麦の秋 内海保子 万象 201310
倭鶏鳴けば牛も啼くなり麦の秋 下平しづ子 雨月 201310
バスツアー野山をぬけて麦の秋 松本アイ ぐろっけ 201310
顔を拭く熱いタオルや麦の秋 高倉和子 201310
釣竿をかついで帰る麦の秋 白石正躬 やぶれ傘 201310
国道の一直線や麦の秋 久世孝雄 やぶれ傘 201310
遺品棄てそしりに堪ふる麦の秋 吉田克美 ろんど 201309
切手貼る一滴の水麦の秋 今瀬一博 201401
父よりは六つ年上麦の秋 山田六甲 六花 201405
出かけては遊ぶ約束麦の秋 塩見恵介 船団 201406
雨水不要嬉々と焦げゆく麦の秋 布川直幸 201406
男坂を一歩踏みしめ麦の秋 森田利和 201407
鍵盤の黄ばみ沈みも麦の秋 荒井千佐代 201407
パン匂ふ移動販売麦の秋 塩千恵子 201407
岬まで夜雲明るき麦の秋 中田みなみ 201407
七曜の入れ替へ自由麦の秋 千田敬 201407
放たれし鶏の高鳴き麦の秋 宮内とし子 201407
母の忌の兄も老いたり麦の秋 谷口俊郎 201407
百姓と手書きの名詞麦の秋 岩下芳子 201407
麦の秋大きなものを洗ひけり 井原美鳥 201407
到着の国は果てなき麦の秋 落介絹代 風土 201407
朝ドラのロケ隊多勢麦の秋 松岡和子 201408
見まい聞くまい何かきこゆる麦の秋 茂木なつ 春燈 201408
こそばゆき結びの恋や麦の秋 河崎國代 春燈 201408
蒼空へ定刻離陸麦の秋 甕秀麿 201408
トーストのバターの匂ふ麦の秋 宮川みね子 風土 201408
人の棲む惑星ひとつ麦の秋 岩月優美子 201408
顔ほどもある煎餅や麦の秋 柿沼盟子 風土 201408
茅葺きの里の静寂や麦の秋 中野久雄 末黒野 201408
荒彫の秘仏微笑む麦の秋 石川かおり 201408
主亡き豪邸を訪ふ麦の秋 鈴木石花 風土 201408
巡礼の鈴の音響く麦の秋 森脇貞子 雨月 201408
音よりも機体遅れる麦の秋 大木清美子 201408
遠く噴く阿蘇手庇に麦の秋 高橋明 末黒野 201408
踏まれてぞ今日のありけり麦の秋 北尾章郎 201408
鼠麦とていっぱしの麦の秋 杉山瑞恵 雨月 201408
電柱が等間隔に麦の秋 小林朱夏 201408
イカロスの翼落ち行く麦の秋 河崎尚子 火星 201408
一日の流れの違ふ麦の秋 中村洋子 風土 201408
ドライアイうすうす痛む麦の秋 渕上千津 201408
雨のまま暮るる明るさ麦の秋 藤岡紫水 京鹿子 201408
湖に波立ちさはぐ麦の秋 岡田史女 末黒野 201409
額から泣き出す赤児麦の秋 たかはしすなお 201409
晩鐘やむらさき麦も麦の秋 本多俊子 201409
無人駅続く路線や麦の秋 前川美智子 末黒野 201409
麦の秋新婦の父の涙かな 田中信行 201409
写真の母いつも絣や麦の秋 戸栗末慶 201409
おとうとの来てすぐ帰る麦の秋 野上杳 201409
麦の秋万年補欠の子が走る 松田都青 京鹿子 201409
麦の秋ドロップ缶をゆさぶつて 辻水音 201409
こんなことあつた気がして麦の秋 竹田ひろ子 ろんど 201409
渦巻の土偶の乳房麦の秋 鈴木まゆ 馬醉木 201409
笹子トンネルつくづく長し麦の秋 安斎久英 末黒野 201410
天と地の色を二分や麦の秋 北尾章郎 201410
少年の石を蹴りつぐ麦の秋 吉武千束 太古のこゑ 201411
半反の刈り残されし麦の秋印南平野 山田六甲 六花 201506
中原に馬まだ主役麦の秋 中島玉五郎 201506
麦の秋パイプオルガン重々し 宮内とし子 201507
カツサンド老舗の矜持麦の秋 臼井珊瑚 201507
干魚ですます昼餉や麦の秋 柴田志津子 201508
麦の秋ゆるりと去りぬ小浜線 安達正行 春燈 201508
書庫にかへす詩書の天金麦の秋 木下夕爾 春燈 201508
懐の深きひとなり麦の秋 田原陽子 201508
麦の秋駅は町への出入口 七田文子 201508
「どんとはれ」で終る民話や麦の秋 岡真紗子 201508
忘らるる村の半鐘麦の秋 生田恵美子 風土 201508
MRI定期検査や麦の秋 井口ふみ緒 風土 201508
楽器屋にチェロ借りに行く麦の秋 中嶋陽子 風土 201508
びつしりとゴッホの点描麦の秋 安永圭子 風土 201508
注連低く架かりし鳥居麦の秋 安部和子 雨月 201508
西に湖東に伊吹山麦の秋 山田由利枝 雨月 201508
麦の秋昔無人の駅なりし 石谷淳子 雨月 201508
トンネルの先にふる里麦の秋 石谷淳子 雨月 201508
身に遠く風の過ぎゆく麦の秋 近藤喜子 201508
甘きもの一口欲しき麦の秋 宮内とし子 201509
麦の秋→6      

 

2021年5月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。