身に入む 2           124句

野ざらしを心に風のしむ身かな    芭蕉

身に入む 身に沁む  身にしむ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
身に入むや白黒写真にある噺 鈴鹿仁 京鹿子 200511
杣小屋の出入り身に入む掛け筵 金子篤子 200512
身に入むや髭半白のチェロ奏者 伊藤白潮 200512
身に入むや美しことばのサンルーム 川崎洋吉 遠嶺 200601
身に入むや北斎の浪とどろきぬ 久保久子 春燈 200601
身に入むや御堂に透かし彫の竜 鈴木智子 200601
身に入むや終刊号のこの笑顔 塩谷康子 百鳥 200601
身に入むや父の写真のセピア色 大串若竹 百鳥 200601
身に入むや北の窓には北の山 吉田陽代 200601
身に入むや沼へ真向ふ風見鶏 田村園子 200601
身に入むや音信絶えし友の増え 二村蘭秋 雨月 200601
身に入むや濡れ縁欠けし芭蕉堂 塩井志津 万象 200601
身に入むや机はみだす肘の先 冨円正吉 200601
松籟の身にしむ城垣美術館 稲嶺法子 遠嶺 200602
身に入むや頬紅を刷く兎の尾 鎌須賀礼子 万象 200602
身に入むや深夜の街を通り過ぐ 永田勇 六花 200602
身に入むや墓誌の末尾の故郷の字 服部早苗 200602
身に入むや被災一年瞬く間 安原葉 ホトトギス 200603
身に入むや法然院の廊きしむ 北川孝子 京鹿子 200603
身に入むや鹿の角切る鋸の音 小畠和男 栴檀 200603
身に入むや佐渡をはなるる夕汽笛 駒井でる太 200605
スケジュール身に入む余日なきことも 稲畑汀子 ホトトギス 200610
身に入むやかつての湯屋を納屋代り 丁野弘 200610

 心筋梗塞

身に入むや撫でてゐたるは妻の胸

滝沢伊代次 万象 200610
身に入むや樽三千の深ねむり 刈米育子 200612
身に入むや海女の影なき野島崎 遠藤真砂明 200612
身に入むや亡弟の犬白くなり 前川明子 200612
寂聴尼の法話身に入む嵯峨夕べ 高橋照子 雨月 200612
山国の殊に身に入む硫黄の香 坪井洋子 200612
身に入むや貞節称ふガラシャの碑 永井雪狼 200701
身に入むや医の原典の手擦れたる 水原春郎 馬醉木 200701
身にしむや私の顔が神鏡に 木田千女 200701
身に入むや嘘を上手にいつはりて 林雪江 春燈 200701
身に入むや撃たれし熊の目に涙 中條今日子 万象 200701
身に入むや二人となりし同期生 二村蘭秋 雨月 200701
身に入むや宗門帳に祖の名見え 森脇貞子 雨月 200701
蜑小屋に干す命綱身に入むる 乗光雅子 雨月 200701
身に入むや木々のざわめき耳につき 石井平八郎 雨月 200701
身に入むや子供ひとりの一区画 須藤美智子 風土 200701
身に入むや朱の廻廊を退る潮 山中宏子 200702
身に入むやここ餘部の名残り橋 高根照子 200702
身に入むや筆圧弱き母の文 荒木治代 ぐろっけ 200702
身に入むや初冠雪の磐梯山 佐原正子 六花 200702
身に入むや草ぐさに紅滲みとほり 高橋さえ子 200702
身に入むや四季に替えしと玉堂画 真木早苗 八千草 200705
身に入むやもうプロ野球見てません 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
俳磚の故人身に入む数となり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
身に入むや牛乳を注ぐ女の絵 伊藤白潮 200712
くちびるや身に入む候と書きながら 井上信子 200712
身に入むや波郷語るに酒こぼし 森岡正作 200712
身に入むや名刺に小さく再生紙 宮内とし子 200712
身に入むやパントマイムに死の演技 次井義泰 200801
身に入むや堂に日蓮法難図 森脇貞子 雨月 200801
身に入むや白光なせる河の面 坪井洋子 200801
身に入むや日露いくさの資料館 田中敬 200802
「末期」との医師の診断身に入むよ 峰尾秀之 200802
峰寺の山気身に入み来りけり 安原葉 ホトトギス 200804
身に入むや昨日の試合あれなんや 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
身に入むや波郷の朱筆いと細か 千田敬 200810
身に入むやざんざん雨の忠魂碑 遠藤実 あを 200810
身に入むや千二百年消えぬ灯に 稲畑汀子 ホトトギス 200811
身に入むや刃の一字義士の墓 金田美恵子 ぐろっけ 200811
身に入むや宰相になき立志伝 鈴掛穂 200812
身に入むや尺八の音に祈りあり 花岡豊香 酸漿 200812
身に入むや天竺語る老師さま 谷合青洋 酸漿 200812
銅鑼一打響き終りぬ身に入みぬ 稲岡長 ホトトギス 200901
身に入むや未完の自画像とこしえに 山下佳子 200901
身に入むや「召さる」で途絶えたる日記 辰巳比呂史 200902
身に入むやひとりの灯しつけてより 鈴木とおる 風土 200902
身に入むや戒壇廻る善光寺 門伝史会 風土 200902
身に入むやお茶の香りの緋毛氈 坂口夫佐子 火星 200902
身に入むや物減らしをる快感に 木下もと子 200902
身に入むや木目摩滅の踏絵板 柿本麗子 200902
身に入むや恩愛の旬碑立つ宮居 松林順子 雨月 200903
身に入むや椅子に全身あづけをり 竹下昌子 200903
身に入みて七尾まだらに宴果つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
身に入みて雨の横川路辿り来し 稲畑汀子 ホトトギス 200910
しみじみと降られし一と日身に入みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200910
横川路の帰路の変幻身に入みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200910
邂逅は句碑に身に入む心抱き 稲畑汀子 ホトトギス 200910
今ここにつづく縁の身に入みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200910
稿債の遅れがちなる身に入みて 稲畑汀子 ホトトギス 200910
身に入むやベツドのつひのありがたう 竹貫示虹 京鹿子 200909
身に入むや真赫小貝掌に馴染む 宮木忠夫 200911
洞窟の幻想世界身に入みる 坂根宏子 200912
身に入むや湧水の音重ね聴き 藤森すみれ 200912
身に入むや引き摺り歩く影法師 永田勇 六花 200912
身に入むやつまづく程の猿の墓 中田みなみ 201001
身に入むや波郷遺品の杖と帽 黒滝志麻子 末黒野 201001
身に入むや一遍像の胸うすき 前原マチ 末黒野 201001
身に入むや初めて作る老眼鏡 大内由紀 末黒野 201001
身に入むや京に幽霊子育飴 藤原繁子 春燈 201001

 

身に入みて恩沢のこと忘れまじ

鈴木良戈 200101

 飯田龍太展

身に入むや巨きかひなの中に入る

林いづみ 風土 201001
身に入みて病院ホールの二重奏 小林玲子 ぐろっけ 201001
身に入むやまた昵懇の一人減る 大竹欣哉 201002
身に入むやかかる処で転ぶとは 金子隆吉 201002
身に入むや木彫も半ば義兄逝き 石井邦子 酸奬 201002
纏ふより身に入む風の痛みかな 湯川雅 ホトトギス 201003
身に入むや遺体無き墓苔むして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
邂逅の身に入む別れ重ね来し 稲畑汀子 ホトトギス 201010
身に入みて犬の表彰状受けぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201010
身に入むや魂抜け木偶の緋ちりめん 塩路隆子 201012
神在はす暁の彩雲身に入むる 前川ユキ子 201012
身に入むやをんな流人のほつれ夜具 田下宮子 201012
身に入むや「鉛筆いっぽん」反戦歌 増田一代 201012
身に入みて法筵一座進めゐる 大畑善昭 201012
身に入むや戒名つけぬ先師なる 大西八洲雄 万象 201012
ねんごろの法話身に入む達磨の忌 中島伊智子 酸漿 201012
身に入むや玄関にある松葉杖 能勢栄子 201101
身に入むや維新史実を述ぶる文 伊東和子 201101
身に入むや古稀で患ふ五十肩 井上美智子 201101
身に入むや言の葉一つ気にかかり 吉田順子 201101
身に入むや集骨台の骨の音 荒井和昭 201101
身に入むや大原御幸の松枯れて 松本三千夫 末黒野 201101
身に入むやモーツァルトの父の文 山本浪子 風土 201101
身に入むや襟に社章の穴のこり 和田満水 201101
身に入むや真言秘密の仏たち 佐藤真隆 京鹿子 201101
身に入むや柩を囲む幼どち 谷泰子 ぐろっけ 201101
身に入むや夫人へ記す悔み文 阪本哲弘 201102
長者森平家伝説身に入む 刀禰小勇 ホトトギス 201102
身に入むや乳呑み児のゐる殉教図 八田マサ子 馬醉木 201102
身に入みて竜馬受難の柱傷 安達実生子 201102
「望郷」のギャバンのラスト身に入みて 有田蟻太 201102
身に入むや病舎に音の歩行杖 筏愛子 201102
身に入むやたかが小指の傷と言へ 木村幸 201102
身に入むや灯を明うして古句読めば 島谷征良 風土 201102

身に入む→ 3

     

2021年10月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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