身に沁む     54句

生き堪へて身に沁むばかり藍浴衣   橋本多佳子   紅絲 

身に入む 身に沁む  身にしむ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
恋唄の身に沁む八尾の廻り盆 保坂加津夫 いろり 199908
乱れなき辞世の三句身に沁むる 水原春郎 馬醉木 200010
子の情身に沁む齢なりにけり 熊谷利子 俳句通信 200101
身に沁むや遺句集に「畢」の一字あり 林翔 馬醉木 200111
身に沁むや星の生れて数多死す 瀧新珠 京鹿子 200202
夕影の身に沁む松の廊下の碑 新福ふく 春耕 200210
身に沁むや師の鉗鎚の扇飛び 奥名正子 帆船 200212
身に沁むや栄華の夢の平家琵琶 吉澤利治 遠嶺 200212
身に沁むや「修羅の涙は土にふる」 山路紀子 風土 200312
身に沁むや六腑ひとつを軽くして 堀博子 火星 200401
身に沁むや民謡酒場賑はひて 武田眞砂 百鳥 200402
身に沁むや知らぬことあまりに多し 半澤佐緒里 百鳥 200412
身に沁むや長子僻地へ赴任の報 栗田武三 ぐろっけ 200502
身に沁むや京の寒さは比叡より 岩崎憲二 京鹿子 200503
身に沁むや明日は喪ふ左乳 諸戸せつ子 春燈 200511
身に沁むや手紙の深き畳み雛 坪井洋子 200601
身に沁むや日々遠ざかる医師の業 水原春郎 馬醉木 200611
身に沁むや征きしままなる友いくたり 水原春郎 馬醉木 200612
身に沁むや光陰の墓こぼつ音 小島みつ代 200702
仏恩の身に沁む落葉掃きにけり 中上馥子 春燈 200703
残暑なほ潮騒の身に沁むばかり 長沼三津夫 200711
身に沁むや人に聞かれし独り言 三浦ゑおり 風土 200803
聴き入りて身に沁む「目黒の秋刀魚」かな 金原亭馬生 炎環 200812
身に沁むや寡黙の鳥の一意めき 鈴鹿仁 京鹿子 200812
身に沁むや武蔵歩みし柳生みち 水原春郎 馬醉木 200912
身に沁むや茂吉全集ありし書架 村田文一 遠嶺 200912
身に沁むや波より低き殉教碑 七種年男 200912
身に沁むや島の岩屋に墓を寄せ 落合絹代 風土 200912
身に沁むや診察番号呼ばれをり 鈴木良戈 200101
身に沁むやそのひと言を待つてゐし 北川孝子 京鹿子 201103
身に沁むや格天井のされかうべ 金山雅江 春燈 201112
鵜の影も歌碑も身に沁む島巡り 千田百里 201201
身に沁むや砂利踏みゆけば頭に韻き 千田百里 201211
身に沁むるかに真夜に聴く鉦叩 辰巳あした 雨月 201211
身に沁むや急に増えたる長電話 和田政子 201212
応へなき病む人の指身に沁みる 古井公代 ぐろっけ 201302
戸隠の翠微身に沁む杉並木 北郷和顔 末黒野 201412
身に沁みて誦す朝々の懺悔文 大畑善昭 201512
白樺の幹の斧傷身に沁むや 根岸善雄 馬酔木 201611
身に沁むや海賊の海波高く 島玲子 風土 201611
共感の思ひ身に沁む二人かな 山荘慶子 あを 201612
かな文字の和名身に沁むアイヌ墓地 棚橋朗 201711
湯に浸かる五体の歳月身に沁みて 呉文宗 春燈 201712
蚊取線香香り身に沁む八十路かな 神田恵琳 春燈 201808
身に沁むや日本滅ぼすプラの塵 七郎衛門吉保 あを 201812
噛み合はぬ会話身に沁む夜の電話 山中志津子 京鹿子 201901
身に沁むや返信はもう無きものと 仲里奈央 201902
フルートの音が身に沁む山また山 渡辺節子 201905
本堂の読経身に沁む杉木立 田中美恵子 201912
ビル風の身に沁む蕉翁終焉地 西川保子 春燈 202001
身に沁むや風の頬打つ松林 堺昌子 末黒野 202003
身に沁みや砂落つ速さ砂時計 渡部恭子 202011
茂吉詠む赤茄子のうた身に沁むる 宮田豊子 春燈 202108
身に沁むや元の上司の訃報来る 濱野 新 やぶれ傘 202302

 

2023年10月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。