蜜 柑 3    200句

わが書棚蜜柑箱より始まりし    田川飛旅子

蜜柑  青蜜柑  花蜜柑

作品
作者
掲載誌
掲載年月
五人目の誕生を聞く蜜柑かな 星井干恵子 遠嶺 200802
一輌車みかん畠をつらぬけり 齋藤厚子 200802
小鋏を鳴らしつつ入る蜜柑山 富沢敏子 200802
湯上りの蜜柑や明日は明日のこと 前川明子 200802
この町で老い老人会の蜜柑狩 小黒加支 酸漿 200802
卓に蜜柑いつもの部屋の常の景 田嶋洋子 春燈 200803
手づからに摘みしと蜜柑甘かりし 高木智 京鹿子 200803
旧道に誘ふ蜜柑のかがやきて 前川明子 200803
外つ国や小さき蜜柑の量り売り 赤池英津子 遠嶺 200803
眺めては唾の湧き出る庭蜜柑 林美智 ぐろっけ 200803
島蜜柑売るバス停の無人店 松元末則 酸漿 200803
朝からよき日の射して蜜柑山 長沼紫紅 200803
夜の蜜柑子供らいつか家はなれ 長沼紫紅 200803
蜜柑ある書斎代りのダイニング 倉持梨恵 200804
蜜柑乗せある読み掛けの別の本 田村園子 200804
微熱ある手でさり気なく蜜柑むく 和田森早苗 200901
遠ち近ちの光たばねて蜜柑山 勝見玲子 200901
柿蜜柑供へて平和いとうれし 藤野寿子 あを 200901
まづ食みてより蜜柑狩始まれり 藤野力 馬醉木 200902
蜜柑山より生まれたやうな雲であり 岡田由季 炎環 200902
御手玉に蜜柑が一つ紛れたり 掛井広通 200902
ひろやかな傾斜にたわわ蜜柑山 大井彌雨 雨月 200903
講演の喉がれ蜜柑にて癒す 加藤峰子 200903
汽車で剥く蜜柑に香る袖の伽羅 品川鈴子 ぐろっけ 200903
蜜柑むくネイルアートを気にしつつ 奈佐幸子 200904
湯上りの爪を染めたる蜜柑かな 橋本正二 200904
猪狩の爺に貰ひし蜜柑かな 大塚洋子 酸漿 200904
輝きて蜜柑の山は眠らざる 嶋田摩耶子 ホトトギス 200905
カーセールス蜜柑生り年畑に来る 藤野寿子 あを 200912
太平洋望む紀の国蜜柑山 細川コマヱ 雨月 201001
灯台に続く坂道蜜柑熟れ 廣瀬義一 雨月 201001
父の忌や父の山なる蜜柑山 小野口正江 末黒野 201002
この階が終の住処よ蜜柑剥く 中川すみ子 201003
蜜柑むく丸く話の収まりぬ 赤羽正行 遠嶺 201003
沖待の巨船の影や蜜柑山 林友次郎 遠嶺 201003
しづかだと思へば蜜柑剥いてをり 高田令子 201003
箱蜜柑弱りはじめの仕分けなり 木下もと子 201004
蜜柑の種噛むで戦時の景浮かぶ 禰寝瓶史 京鹿子 201004
風待ちの港静かに熟れ蜜柑 鈴木圭子 201004
おもひでや蜜柑の色の香る指 本間春星 遠嶺 201005
旅に干す蜜柑の皮に鵯の来て 廣瀬雅男 やぶれ傘 201005

冬深き故人の山よ蜜柑熟れ

永田二三子 酸漿 201005

藤野寿子追悼

熟し蜜柑おいて金星遠のけり

吉弘恭子 あを 201005
分け入りて蜜柑の花の香の中に 稲畑汀子 ホトトギス 201006
色づきし鈴なり蜜柑母の家 西尾京子 酸漿 201006
蜜柑剥くグード圖法を範として 佐藤喜孝 あを 201006
甦り蜜柑の花の香立つ 大房帝子 酸奬 201009
蜜柑山登りそのまま青空へ 市村健夫 馬醉木 201012
海光に島の蜜柑の磨かれて 境幹生 201012
初ものの蜜柑の酸ゆきお中日 中山純子 万象 201012
海のぞむみかん明りの段畑 井口淳子 201101
宇和島の海光返すみかん摘む 井口淳子 201101
太平記ゆかりの土地にみかん捥ぐ 井口淳子 201102
海光をあますことなくみかん山 豊田都峰 京鹿子 201102
島空のあをさもろとも蜜柑狩 豊田都峰 京鹿子 201102
昃れば湖のまぶしきみかん山 奥田順子 火星 201102
庭の枝に刺せし蜜柑の凍ててをり ことり 六花 201102
南海へ粒をそろえしみかん山 竹下昭子 ぐろっけ 201102
どの家も蜜柑畑を背にしたり 竹下昭子 ぐろっけ 201102
烏にはやらぬ算段みかん採る 竹下昭子 ぐろっけ 201102
兄妹蜜柑の里に並ぶ句碑 中田寿子 ぐろっけ 201102
爪に灯を点して今日の蜜柑むく 堀内一郎 あを 201102
飛び跳ねて届く高さに蜜柑の実 きくちきみえ やぶれ傘 201102
蜜柑売蜜柑の山を背に負ひて 島谷征良 風土 201103
みかん食ぶ天柱山に腰下ろし 大西八洲雄 万象 201103
曲るほど蜜柑明りの千早村 浜口高子 火星 201103
老いぬればなかなか減らず盛り蜜柑 中島霞 ぐろっけ 201103
蜜柑島底幾丈の土壌かな 大西ユリ子 ぐろっけ 201103
島みかん試食にもらい皆笑顔 濱田ヒチヱ ぐろっけ 201103
畑の隅色付き初めし福蜜柑 網野茂子 酸漿 201103
むきためし蜜柑の皮ぞ蜜柑風呂 大内恵 酸漿 201104
夏みかん手に重し林芙美子の忌 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
蜜柑山ひたと照りゐる武具飾 山尾玉藻 火星 201106
梅林の白を眼下にみかん山 小川玉泉 末黒野 201106
六波羅のぽっと明るいみかんかな 火箱游歩 船団 201107
咲きつのることのしづけき蜜柑山 山尾玉藻 火星 201107
板橋は島の波止場よ蜜柑舟 大西ユリ子 ぐろっけ 201108
母の日をみかんの里に目覚めけり 渡辺数子 火星 201108
みかん一つ供へてありぬ隠れ塔 中條睦子 万象 201110
蜜柑捥ぎ海のきららを手に包む コ田千鶴子 花の翼 201111
蜜柑山のフォークソングや茅渟の海 庄司久美子 201201
故郷や早生の蜜柑の出荷時 三橋玲子 末黒野 201201
敦子師と蜜柑狩せし浜名湖を 磯野しをり 雨月 201201
墓石の裏ばかり見ゆ蜜柑の木 山尾玉藻 火星 201201
だまし舟みかんの香りのせて折る 吉弘恭子 あを 201201
仰山お食べ籠のみかんの天こ盛 森下康子 201202
瑕瑾なき空のつめたさ蜜柑捥ぐ 小田司 馬醉木 201202
夕刊を開きみかんの皮を剥く 岡野安雅 かさね 201202
剥かれても自然体なる蜜柑かな 黒澤登美枝 201202
何気無き色の装ひ蜜柑山 矢口笑子 春燈 201202
幼子は乳吸ふやうに蜜柑食む 史あかり ぐろっけ 201202
悲劇の皇子有間に一朶の蜜柑をば 本城布沙女 雨月 201202
木洩れ日のいとなめらかに蜜柑熟る 本城布沙女 雨月 201202
台湾の人に教はる焼みかん 坂根宏子 201203
みかんの皮形状記憶してゐたり 小嶋洋子 201203
蜜柑むく話だんだん遡る 高倉和子 201203
達者かと一筆伊予の蜜柑着く 田岡千章 201203
みかん剥く中流時代あったころ 山本孝子 ろんど 201203
垣の外蜜柑ぽとりと午後の町 山荘慶子 あを 201203
伝言のメモの重石に蜜柑かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201203
鳶の背を見下ろすことも蜜柑山 鳳蛮華 201204
甕棺の朱の滲みたる蜜柑畑 吉田葎 201204
往診医蜜柑一枝提げ来る 林八重子 馬醉木 201205
オーナーとなりて剪定みかん畑 山本エリカ ろんど 201205
蜜柑剥く指に竹箆返しの汁 布川直幸 201210
盛売りの蜜柑先づ買ふ郷の駅 品川鈴子 ぐろっけ 201211
神事果てみかんを放る子ども達 江見悦子 万象 201212
茶の畠みかんの畑穭に穂 森理和 あを 201212
潮騒を背ラに聞きて蜜柑捥ぐ 蒲田豊彦 雨月 201301
みっかびの蜜柑到来友健在 木村茂登子 あを 201301
夕日うくる松山城やみかん風呂 山崎里美 201301
絵手紙を書くため葉付きみかん置く 中山静枝 201301
蜜柑山登れば峠御幸芝 山口キミコ 201302
海にむく段段畑蜜柑もぐ 天野美登里 やぶれ傘 201302
紀伊の里みかん祖神の田道間守 山口キミコ 201302
置炬燵膝のみかんの光かな 菊地崇之 かさね 201302
海見えぬ谷も日に向き蜜柑山 稲岡長 ホトトギス 201303
紀の国の無尽蔵なる蜜柑かな 中杉隆世 ホトトギス 201303
南面の斜面峰まで蜜柑山 稲岡長 ホトトギス 201303
談笑や蜜柑むく間の軽き黙 稲岡長 ホトトギス 201303
蜜柑剥くどこのどなたと母の言ふ 藤原千代子 万象 201303
ひと刷けの雲やほつほつ蜜柑山 成田美代 201303
寄り添うて今を大事に蜜柑むく 大内幸子 六花 201304
新聞の三面記事や蜜柑むく 久世孝雄 やぶれ傘 201304
考へる間合の蜜柑むきにけり 田岡千章 201305
先生の一日一句みかん山 原ゆき 船団 201306
就職の孫の記念樹みかん植う 青野安佐子 201307
酸つぱいは苦手といひて蜜柑食ぶ 稲畑汀子 ホトトギス 201310
染まるほど食べし若き日蜜柑むく 稲畑汀子 ホトトギス 201310
腰痛し蜜柑畑の息上がる 中島玉五郎 201311
蜜柑に爪あてし匂ひのとどく距離 竹内弘子 あを 201312
蜜柑剥く逝きし人にもひとつ剥く 黒澤登美枝 201312
神籬の小さき遺跡や蜜柑畑 有本南陵 ろんど 201401
卓上にみかんのど飴住所録 森理和 あを 201401
幸せのしんみりひとつ蜜柑あり 佐々木良玄 春燈 201401
宇津谷を点して蜜柑実南天 千田百里 201402
坂道に言葉少なの蜜柑狩り 中山静枝 201402
蜜柑狩り眼下に瀬戸の橋眺む 齋部千里 ぐろっけ 201402
かざす手に蜜柑のにほふ駅火鉢 山本耀子 火星 201402
マンデラの遺影を見つつ蜜柑剥く 涼野海音 火星 201403
白き手で剥けゆく蜜柑美味なりし 向江醇子 ぐろっけ 201403
海光に磨かれてをり蜜柑山 板橋昭子 201403
鈴なりの蜜柑実らせ吉田翁 常田創 201403
触れなむで酸いもあまいも蜜柑かな 吉弘恭子 あを 201403
人摘まず鳥もつつかず蜜柑畑 西郷慶子 201403
ぽんぽん船たんかんみかん積み込んで 今井春生 201404
蜜柑剥く叱り過ぎたる母にむく 岡部名保子 馬醉木 201404
落日やしばしみかんの色残り 今井春生 201404
掌に紅まどんなといふ蜜柑あり 近藤紀子 201404
出つぱりて円にはならぬ蜜柑かな 出口誠 六花 201405
核心に触れないようにみかんむく 火箱ひろ 船団 201406
戦争を知らぬ島人蜜柑売る 福島せいぎ 万象 201407
みかん山つづく浜町眩しかり 出口貴美子 雨月 201407
早生みかん妻に供へぬ小祥忌 小川玉泉 末黒野 201411
置きざりの朽舟に座し蜜柑むく 橋場美篶 末黒野 201304
献饌のみかん一個を取り落す 篠田純子 あを 201412
島の影全し蜜柑真つ盛り 工藤義夫 馬醉木 201601
母の忌の極早生みかんやはり買ふ 数長藤代 201601
童謡の流るる駅や初蜜柑 根岸善行 風土 201602
中座して席に蜜柑を置かれけり あさなが捷 201602
海からの光集めて蜜柑山 大木清美子 201602
買ひ置きの蜜柑も切らし常備薬 森理和 あを 201602
みかん熟る蜜柑畑はみかん色 森理和 あを 201602
深爪のまだ痛むなり蜜柑むく 田中藤穂 あを 201602
本当の銃音みかんとNHK 佐藤喜孝 あを 201602
蜜柑より林檎欲しがる幼き子 森理和 あを 201603
みかん代木箱にひびく無人店(たな) 布施由岐子 末黒野 201603
あれこれと思ひ巡らせ蜜柑剥く 久保田優子 末黒野 201603
恙なく体重ふえてみかん剥く 木戸渥子 京鹿子 201604
冬鳥へ買ひ置きしたる蜜柑食ふ 松村光典 やぶれ傘 201608
蜜柑山のみかんの下に墓三基 丑久保勲 やぶれ傘 201701
一系の句碑のかがやき蜜柑島 鈴鹿仁 京鹿子 201701
蜜柑むく自我とにきびの一つ消ゆ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201701
爪の香よ蜜柑の蔕のほの甘し 鈴鹿呂仁 京鹿子 201701
食卓に鍵のせしまま早生蜜柑 天野美登里 やぶれ傘 201702
蜜柑匂へり足元に目の上に 大湾宗弘 万象 201702
塾生へ蜜柑を置きて言添へぬ 佐藤哲 万象 201702
裏山の蜜柑切り口新しく 高川令子 201702
蜜柑むき幸せつてやつ鑑みる 久保夢女 201702
朝市に蜜柑金柑金眼鯛 森なほ子 あを 201703
常一の生れし島とぞ蜜柑熟る 藤沢秀永 201703
塾生へ蜜柑を置きて言添へし 佐藤哲 万象 201703
右の手の動く倖せ蜜柑食ぶ 落合由季女 雨月 201703
伊豆の海左に右は蜜柑山 安藤久美子 やぶれ傘 201703
蜜柑むく頼るこの身をたよられて 北川孝子 京鹿子 201703
地の蜜柑買うて相模の薬師みち 布施政子 馬醉木 201704
食み散らす蜜柑の匂ひ笹子鳴く 山本とく江 万象 201704
蜜柑山は大き日溜り初山河 池田光子 風土 201704
新茶買ふおまけの袋詰め蜜柑 田中藤穂 あを 201707
蜜柑山沿ひに線路はカーブして 瀬島洒望 やぶれ傘 201711
一湾の光に蜜柑熟るる山 堀井英子 雨月 201801
蜜柑すつぱし正月の昔話 山田六甲 六花 201801
白秋の小径に続く蜜柑山 持田信子 春燈 201802
尾長目白と日々分ち合う蜜柑かな 赤座典子 あを 201802
風呂敷をほどき蜜柑を解き放つ 川崎真樹子 春燈 201802
居眠りの夫の目の開く蜜柑かな 高橋ひろ 万象 201802
お喋りに耳を預けて蜜柑剥く 河本由紀子 春燈 201802
蜜柑→4

 

2021年1月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。