曼珠沙華 14  200句

彼岸花 死人花 捨子花 狐花 幽霊花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
曼珠沙華一世をかけし仇討も 永淵暫子 201607
いくさなき山河すつくと曼珠沙華 永淵暫子 201607
忽然と今日十本の曼珠沙華 能村研三 201611
畦行くや来るな来るなと曼珠沙華 荒井千佐代 201611
曼珠沙華燃えて近衛師団跡 藤代康明 201611
畦行くや来るな来るなと曼珠沙華 荒井千佐代 201611
花泥棒させない気品曼珠沙華 石森理和 あを 201611
曼珠沙華つけ火のごとく夜は燃えて 大日向幸江 あを 201611
ゆるやかに曲る畦川曼珠沙華 亀田やす子 万象 201611
あら草に畦結界の曼珠沙華 能村研三 201612
曼珠沙華余熱の色をまだ残し 大畑善昭 201612
つはものを称へ三河の曼珠沙華 吉田政江 201612
曼珠沙華曲線の技極めけり 頓所友枝 201612
鬨あげてゐる城跡の曼珠沙華 松井志津子 201612
石積みの色みな違ふ曼珠沙華 篠藤千佳子 201612
曼珠沙華明日香は風の音ばかり 樺山翠 雨月 201612
天地(あめつち)の声の集まる曼珠沙華 本多俊子 201612
曼珠沙華うしろにありし闇夜かな 中貞子 201612
上澄みの池面となれり曼珠沙華 平子公一 馬醉木 201612
朝霧に染み一叢の曼珠沙華 森藤千鶴 馬醉木 201612
遠目にも畦の曲線曼珠沙華 馬屋原純子 馬醉木 201612
みなこちら向きて倒るる曼珠沙華 柿沼盟子 風土 201612
畦なりに紅の帯び解く曼珠沙華 高村令子 風土 201612
人もまた群れゐてひとり曼珠沙華 落合絹代 風土 201612
無人家の雨に灯れる曼珠沙華 中山皓雪 201612
曼珠沙華新撰組の屯所跡 木澤恵司 201612
古戦場ただ赫々と曼珠沙華 中村紀美子 春燈 201612
一本も百本も寂曼珠沙華 中村紀美子 春燈 201612
立ち支ふ茎さみどりや曼珠沙華 飛高隆夫 万象 201612
おにぎりとチョコを小昼に曼珠沙華 天野美登里 やぶれ傘 201612
庫裏までは玉石の道曼珠沙華 小川玉泉 末黒野 201612
曼珠沙華瀬音ひかりを弄び 松本三千夫 末黒野 201612
大地よりストロー伸びて曼珠沙華 七種年男 輪中の空 201612
曼珠沙華墓所の一隅照らすかに 本多正子 雨月 201701
曼珠沙華水禍の堤朱に染め 佐藤貞子 雨月 201701
日の下に燃えつきるまで曼珠沙華 寺田すず江 201701
水門のハンドルの錆曼珠沙華 中田禎子 201701
いちめん曼珠沙華手遅れであり 井上菜摘子 京鹿子 201701
一叢の白曼珠沙華愛されて 森川絢子 京鹿子 201701
霧雨にけぶる山並まんじゆしやげ 志方章子 六花 201701
うひうひし咲きしばかりの曼珠沙華 志方章子 六花 201701
曼珠沙華とどまりおれば日暮れけり 藤生不二男 六花 201701
曼珠沙華風も記憶も途切れけり 田村園子 201701
ためらうてひとつ手折りぬ曼珠沙華 荒木甫 201701
畦かしぐままに傾げり曼珠沙華 鎌田光恵 201701
父在さぬ庭に増えたり曼珠沙華 江見悦子 万象 201701
鼻ぺちやの不動明王曼珠沙華 福島せいぎ 万象 201701
写真機に収まりきらぬ曼珠沙華 松尾芳子 万象 201701
落款のごと新宿の曼珠沙華 服部早苗 201701
休み田の土は頑固よ曼珠沙華 岸洋子 201701
耀うて群舞のごとく曼珠沙華 本池美佐子 201701
曼珠沙華燃えて近衛師団跡 藤代康明 201701
白ければ雲の使ひの曼珠沙華 山本久江 201702
過去未来曼珠沙華曼珠沙華 浅海好美 船団 201702
はればれと一叢白き曼珠沙華 有賀昌子 やぶれ傘 201702
天帝を侮つてゐる曼珠沙華 竹下陶子 ホトトギス 201704
群がって一本づつの曼珠沙華 中川句寿夫 ここのもん 201705
恋文を渡す前夜の曼珠沙華 川副民子 船団 201707
サーカスの檻はからっぽ曼珠沙華 中居由美 船団 201707
このところ妻不良めく曼珠沙華 平川陽三 船団 201707
曲輪跡燠のごとくに曼珠沙華 亀井福恵 京鹿子 201709
そよがずに匂はずにゐる曼珠沙華 能村研三 201710
一茎の意志一茎の曼珠沙華 大畑善昭 201711
海までの距離は知らない曼珠沙華 安居正浩 201711
わが死後は語る人なし曼珠沙華 河口仁志 201711
曼珠沙華徹頭徹尾曼珠沙華 高橋将夫 201711
朝の日に翡翠翔ぬ曼珠沙華 服部鹿頭矢 馬醉木 201711
遊女の墓訪ふ道々の曼珠沙華 村上美智子 雨月 201711
大袈裟に焦げくさきとも曼珠沙華 河前隆三 馬醉木 201712
暁に見き日ぐれ真紅の曼珠沙華 沼澤石次 馬醉木 201712
曼珠沙華敷地ぐるりに真盛り 長崎桂子 あを 201711
クレゾール散霧の団地曼珠沙華 篠田純子 あを 201711
曼珠沙華鯉は深みへ身を隠し 内海良太 万象 201712
うす紅を開き白花曼珠沙華 飛高隆夫 万象 201712
土竜除けとて曼珠沙華庭に燃ゆ 澤照枝 万象 201712
ふたたびの原爆危倶す曼珠沙華 田中臥石 末黒野 201712
曼珠沙華夕暮れの鐘天に地に 中山皓雪 201712
誰が囃せしか一気に揃ふ曼珠沙華 平野みち代 201712
禅問答交はして群るる曼珠沙華 宮田豊子 春燈 201712
夫と行く神話の里や曼珠沙華 永井惠子 春燈 201712
何処に咲いても淋しき花や曼珠沙華 中里よし子 春燈 201712
リバティの窓外に燃ゆ曼珠沙華 室井津与志 春燈 201712
貝塚や白まんじゆしやげ曼珠沙華 望月晴美 201712
曼珠沙華犇き合うてなほ孤独 七田文子 201712
不意といふ咲き方のあり曼珠沙華 兵藤惠 201712
先師句碑へ一本添ふや曼珠沙華 秋山ユキ子 201712
曼珠沙華はるか彼方に棚氷 瀬川公馨 201712
わたくしの彩を譲らず曼珠沙華 寺田すず江 201712
東の畷は白き曼珠沙華 岩下芳子 201712
まだ咲かぬ蕊のけなげさ曼珠沙華 定梶じょう あを 201712
積み上げし棚田の晴れや曼珠沙華 高村令子 風土 201712

 器先生

やすらかに眠る師に添ふ曼珠沙華

林いづみ 風土 201712
一叢は師の墓にふれ曼珠沙華 森田節子 風土 201712
六文銭掲げる里や曼珠沙華 奥田茶々 風土 201712
山気澄み水澄む里の曼珠沙華 落合絹代 風土 201712
ひとつ見て辺りにつぼむ曼珠沙華 住田千代子 六花 201801
ひそと咲く火宅の家の曼珠沙華 河口仁志 201801
群青のどこか寂しき曼珠沙華 西村渾 201801
地の声に律儀に応へ曼珠沙華 三輪温子 雨月 201801
地下に尚秘むる古代史曼珠沙華 密門令子 雨月 201801
曼珠沙華踊る阿呆となりにけり 竹内悦子 201801
曼珠沙華秘密抱へて真つ赤なり 江島照美 201801
身のうちに負を抱へ見る曼珠沙華 直江裕子 京鹿子 201801
曼珠沙華畦の十字を染め尽す 伊藤希眸 京鹿子 201801
雲染めてはるかなる日の曼珠沙華 北村梢 京鹿子 201801
群るるとも一本づつの曼珠沙華 亀井福恵 京鹿子 201801
天平てふ文字のかたちに曼珠沙華 内海良太 万象 201801
曼珠沙華燃え殻となる巾着田 原田しずえ 万象 201801
田の神へ渡る板橋曼珠沙華 樋口みのぶ 201712
中山道は遥か木曽へと曼珠沙華 小巻若菜 やぶれ傘 201712
曼珠沙華地の霊熱き迸り 鈴木撫足 春燈 201801
怪談の始まりさうな曼珠沙華 藤井啓子 ホトトギス 201802
里の景黄金の色と曼珠沙華 井上醇女 ホトトギス 201803
曼珠沙華母屋の側に納屋と墓 小林朱夏 201801
曼珠沙華を掠め白鷲立ちにけり 曽根富久恵 201803
目立たざる場所に目立ちて曼珠沙華 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
曼珠沙華沼への順路明かしゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
曼珠沙華良寛ならば毬撞かむ 沼田巴字 京鹿子 201809
参道は二人の幅や曼珠沙華 小林朱夏 201809
曼珠沙華睡魔襲うてをりにける 古賀恵子 201811
天上畑の空に続けり曼珠沙華 中貞子 201811
曼珠沙華川面かげれば騎りけり 大沢美智子 201811
曼珠沙華万の手仰ぐ地獄絵図 吉武美子 201811
曼珠沙華雨を留めて傾きぬ 須賀敏子 あを 201811
軌道跡かすかに残り曼珠沙華 平居澪子 六花 201812
遠富士を乗せ曼珠沙華横一線 手島靖一 馬醉木 201812
曼珠沙華うなじ湿りて戻りけり 斉藤玲子 馬醉木 201812
筆耕の机より見ゆ曼珠沙華 田中臥石 末黒野 201812
如何(どう)しても伝へたきこと曼珠沙華 加藤みき 201812
昼と夜を仕切つてゐたる曼珠沙華 中貞子 201812
曼珠沙華はっとするとき恋に似て 笹村恵美子 201812
飛び火して遠流の島の曼珠沙華 宮内とし子 201812
曼珠沙華むかしこの道遠まはり 西村渾 201812
悲しみは忘れ上手に曼珠沙華 大室恵美子 春燈 201812
声あらば何を語るや曼珠沙華 小嶋恵美 春燈 201812
淋しらのかたまつてゐる曼珠沙華 太田慶子 春燈 201812
庭隅にただ一本の曼珠沙華 大橋晄 雨月 201901
池囲む赤きは曼珠沙華ばかり 大橋晄 雨月 201901
約束のやうに噴き出で曼珠沙華 荻巣純子 雨月 201901
曼珠沙華胸間くらく抱きをり 能村登四郎 201901
曼珠沙華夫の一世の色ならむ 望月晴美 201901
密に疎にどれも爆笑曼珠沙華 亀井福恵 京鹿子 201901
山の辺の故事の始まり曼珠沙華 上久保節子 京鹿子 201901
曼珠沙華咲く寺屋敷唯静か 藤波松山 京鹿子 201901
木屋町の静かな真昼曼珠沙華 辻水音 201901
曼珠沙華そこだけに日が暮れ残る 荒川心星 201901
曼珠沙華土手を灯して点々と 眞田忠雄 やぶれ傘 201902
柩には曼珠沙華の白いつぱい 近藤紀子 201902
沸騰す軍場跡の曼珠沙華 曽根富久恵 201905
曼珠沙華蕊ちりちりと終はりけり 曽根富久恵 201905
曼珠沙華天のかぎりを青充たす 能村登四郎 201906
その中に群れて孤高の曼珠沙華 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
曼珠沙華黄泉の扉を開きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
一年ごとに紅を加ふる白曼珠沙華 江島照美 発火点 201909
曼珠沙華散り胸中に火の欠片 コ田千鶴子 馬醉木 201910
流れより暮れゆく土手の曼珠沙華 廣瀬雅男 やぶれ傘 201911
天界に色の通へる曼珠沙華 吉田順子 201911
曼珠沙華消滅部落の畦暑し 池元道雄 馬醉木 201911
公園の白曼珠沙華疾く咲けり 大橋晄 雨月 201911
遅れゐてやっと開花や曼珠沙華 長崎桂子 あを 201912
麻酔医の薄き唇曼珠沙華 小林朱夏 201912
樹の下ヘプレート放射曼珠沙華 近藤綾 201912
曼珠沙華ゆれて牛乳販売所 辻水音 201912
時は今土塁燃え立つ曼珠沙華 植村蘇星 京鹿子 201912
曼珠沙華あつと声あぐ出合あり 松本鷹根 京鹿子 201912
はじまりの汚れあり白曼珠沙華 鈴木光影 201912
淋しさ言はず白曼珠沙華ゆれもせで 渕上千津 201912
曼珠沙華魂住む山の裾に燃ゆ 渕上千津 201912
一本気蕊まで通す曼珠沙華 菅谷たけし 201912
曼珠沙華この世に余白ある限り 萩庭一幹 馬醉木 201912
入日いま炎上のごと曼珠沙華 村上絢子 馬醉木 201912
湖眩し一茎一花曼珠沙華 服部鹿頭矢 馬醉木 201912
朱の色に募る望郷曼珠沙華 葦原葭切 春燈 201912
古里に増ゆる空地や曼珠沙華 小林紫乃 春燈 201912
馬頭観音バス停前や曼珠沙華 石田康明 春燈 201912
一頻り過疎の散華や曼珠沙華 上野進 春燈 201912
曼珠沙華内なる炎吐くごとし 中山惠子 201912
曼珠沙華カメラ目線の犬と婆 鈴木愛子 201912
情念の炎となりて曼珠沙華 岩月優美子 201912
墓原の堤に群るる曼珠沙華 塩見治郎 雨月 201912
机上なる白曼珠沙華鮮らけし 大橋晄 雨月 201912
病窓より見えゐて遠き曼珠沙華 田中佐知子 風土 201912
捨て畑にも華やかさ添へ曼珠沙華 野上あつ子 雨月 202001
三吟句碑の供華のごとしや曼珠沙華 村上美智子 雨月 202001
もう友はグレーヘアーか曼珠沙華 たかはしすなお 202001
勿来関越えみちのくの曼珠沙華 森高武 風土 202001
真直なる水路をさやに曼珠沙華 善野行 六花 202001
西国のふるさとの畦曼珠沙華 藤生不二男 六花 202001
地の火照り土手一面の曼珠沙華 大坂正 末黒野 202001
淋しさは言はで元気と曼珠沙華 山崎稔子 末黒野 202001
土手ひろげ紅燃ゆる曼珠沙華 堺昌子 末黒野 202001
寺領へと人誘へり曼珠沙華 岡田史女 末黒野 202001
田を埋めるごとこれほどの曼珠沙華 小林和子 202001
曼珠沙華あの日の嘘はもう時効 政時英華 京鹿子 202001
晴れやかにリチウム開発曼珠沙華 鈴木としお 春燈 202001
曼珠沙華からくりのごと消えにけり 池田光子 風土 202001
林間の小径にぽつと曼珠沙華 森美佐子 やぶれ傘 202002
かりそめの世吐に燃えたちぬ曼珠沙華 山田閏子 ホトトギス 202002
曼珠沙華だけが覚えてゐる小道 今橋眞理子 ホトトギス 202002
吾あるがゆゑに今あり曼珠沙華 嶋田一歩 ホトトギス 202002
曼殊沙華 →15      

2015年10月18日 ">2015年10月18日 >

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。