黄砂/黄沙 2     124句

黄沙もう降つてはゐない花のしろさ   吉岡禅寺洞

作品
作者
掲載誌
掲載年月
古伊万里の壺の青から黄沙降る 若泉真樹 200506
兵たりし思ひ出遥か黄砂降る 並木重助 酸漿 200507
廃屋に残る洗ひ場黄砂降る 武田眞砂 百鳥 200507
魚の血の染みたる舟や黄沙来る 柴田佐知子 200507
黄砂降る海の上にも国ざかひ 中尾公彦 200508
この星は碧い球体黄砂ふる 田渕昌子 京鹿子 200508
きのふけふ菠蓮草に黄砂つむ 市場基巳 200509
黄沙いまかの楼蘭を発つらんか 藤田湘子 200510
指先のかすかな痺れ黄砂ふる 楠原幹子 白卓布 200602
人間に臼歯犬歯や黄沙降る 柴田佐知子 200605
黄沙降る羽をたたみし孔雀かな 寺田すず江 200605
あをき血も生命のあかし黄砂降る 天野きく江 200605
変幻自在に病窓の黄沙降る 大橋麻沙子 雨月 200605
黄沙降る鴉の群のみ目に立ちて 大橋麻沙子 雨月 200605
黄沙降る観覧車夢まぼろしに 大橋麻沙子 雨月 200605
ふるさとは輪中のまなか黄砂ふる 古賀勇理央 百鳥 200605
天ありと識り黄砂降る音と知り 有働亨 馬醉木 200606
黄沙来る一千キロも誤差のうち 今瀬一博 200606
高麗王廟黄沙ふりつむ時ふりつむ 服部早苗 200606
屋上でつくる葉野菜黄沙降る 大西八洲雄 万象 200606
黄砂降る石灰焼きし灰谷川 松崎鉄之介 200606
井戸茶碗の山疵幽か黄沙降る 林香耀子 200606
国道に詰まる自動車黄砂降る 加古みちよ 火星 200606
茫漠たる世塵茫漠たる黄沙 大橋麻沙了 雨月 200606
湯の中の卵の揺るる黄砂かな 近藤幸三郎 風土 200606
黄砂降る陸軍兵長兄の墓 田辺みのる 万象 200606
すっぽりと黄砂の中の大伽藍 岩月優美子 200606
この黄沙モンゴル近く感ずる日 駒井でる太 200607
天草の白き夕焼け黄砂降る 二階堂妙子 河鹿 200607
黄砂降る火山の方位失せにけり 尾辻のり子 河鹿 200607
黄沙降る手術を明日の夕日かな 福地淳祐 春燈 200607
分水嶺一気に越えて黄砂来る 尾崎貞 春燈 200607
大山は全くかくれて黄沙降る 宮原悦子 雨月 200607
黄沙濃き六甲見やり窓閉ざす 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200607
大陸を近きに想う黄砂かな 松本千勢子 六花 200607
黄砂降る天下国家を論ずれば 北尾章郎 200608
白髪三千丈歴史認識てふ黄砂 滝沢幸助 春燈 200608
黄砂して分水嶺を低くする 森津三郎 京鹿子 200608
黄沙降り黒き手すりも薄化粧 岩田登美子 ぐろっけ 200608
黄砂ふる三半規管じんじんと 桑原泰子 八千草 200608
大亀に誘はれてゐて黄砂降る 松原仲子 200704
人間に犬歯の尖り黄砂来る 柴田佐知子 200704
鋤き込むや黄砂も安房の土として 古屋元 200705
淡月の黄砂の山を照らしけり 山田六甲 六花 200705
黄砂降る機中眼下の砂漠かな 山本ミツ子 六花 200705
青空の向かう黄砂の遠嶺かな 渡辺安酔 200706
摩天樓黄砂しづかかに降下せり 加藤富美子 200706
黄砂降るシルクロードの風便り 池田かよ ぐろっけ 200706
狼はいつも悪役黄砂降る 森理和 あを 200706
近江富士黄沙に姿消されたり 山崎泰世 200707
黄砂降る平成大いなるビルの面 鴨下昭 200707
霊場も太平洋も黄沙かな 近藤きくえ 200707
水打つて黄砂汚れを洗ひをり 松崎鉄之介 200707
黄砂降る陰山越えしシラムレン 柏原章子 200707
熱湯を噴き出す大地黄沙来る 柴田佐知子 200707
象の皮たぶたぶ黄砂塗れなる 石橋萬里 ぐろっけ 200707
病窓をさらに暗める黄砂かな 山本漾子 雨月 200707
天守より望む溜池黄砂ふる 恒成久美子 ぐろっけ 200708
考へを変へねば今日も黄砂濃き 丸山佳子 京鹿子 200710
黄砂ふるまだ見つからない貝釦 陽山道子 船団 200710
ビル街の黄砂に曇る空低し 羽賀恭子 200805
噛み合はぬ話ポケットより黄砂 甲州千草 200805
原子炉の島は眠らず黄砂飛ぶ 大上充子 馬醉木 200805
黄砂あび杉花粉あび二月尽 馬場宏一 春燈 200805
晴れ男晴れ女にも黄砂降る 丸山佳子 京鹿子 200805
長安の都模す京黄砂降る 久保田雪枝 雨月 200805
古町に古き寺あり黄沙降る 林いづみ 風土 200806
漂泊の黄砂なれ繋がる地表 天野きく江 200806
黄沙来て雀色時早めけり 久本久美子 春燈 200806
黄沙降り通天閣の灯のうるむ 磯野しをり 雨月 200806
黄砂来ると独りごちゐて仏の間 廣瀬義一 雨月 200806
黄砂降る今朝の血圧平常値 池崎るり子 六花 200806
海人族に道は自在や黄砂来る 柴田佐知子 200806
山間を押し開きくる黄沙かな 吉村摂護 200806
海渡る黄砂に楯の何もなし 鈴木多枝子 あを 200807
南溟に征きて帰らず黄砂降る 長谷英夫 馬醉木 200808
ビルの壁塗り替へてゆく黄沙かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200903
わが旅路黄沙に消えてゆく行方 稲畑汀子 ホトトギス 200903
予定変へ午後は黄沙といふ予報 稲畑汀子 ホトトギス 200903
二日目は黄沙をさまる雨となる 稲畑汀子 ホトトギス 200903
黄砂降りフロントガラスくもらせる 高野綸 200905
黄砂舞ふ天空にまたひたち野に 布川直幸 200905
中也集きのふの黄砂指先に 米山喜久子 200905
鐘撞くや黄砂をまとふ音のして 延広禎一 200905
チンギスハン駆けてゆきたる黄沙かな 近藤喜子 200905
黄沙降る真昼の光燦々と 戸谷たみ子 酸漿 200905
ぶらさがるだけの鉄棒黄砂降る 松本峰春 春燈 200905
並べある新車に容赦なき黄砂 千坂美津恵 200906
風神の破れ袋なり黄沙ふる 中田禎子 200906
鎌倉彫一枚看板黄沙降る 山本浪子 風土 200906
パーマ屋の窓に貼るビラ黄砂降る 木村美猫 ぐろっけ 200906
横綱はモンゴルの民黄砂降る 井田実代子 雨月 200906
一笑に付してはをれぬ黄砂拭く 丸山佳子 京鹿子 200908
暮れてなほ黄砂降りつぐ船の笛 五領田幸子 馬醉木 200912
旬日の黄砂沈めて濁る池 稲畑汀子 ホトトギス 201003
黄沙降る四千年の歴史秘め 稲畑廣太郎 ホトトギス 201003
黄沙降り三井寺の甍を覆ひけり 竹内悦子 201005
列島の黄沙曇や書に飽きて 水原春郎 馬醉木 201005
黄沙降るエンタシスてふ法隆寺 神蔵器 風土 201005
鉛色の黄砂の中を新幹線 篠田純子 201005
黄沙降る鴎尾の眼に涙かな 塩路五郎 201006
招かぬに遥か砂漠の黄砂かな 三川美代子 201006
黄砂降る大地に種を蒔きにけり 石脇みはる 201006
お日様が鏡となりし黄砂かな 竹内悦子 201006
黄砂降り雪降り老いの年をつむ 久津見風牛 201006
産土のはるかなりけり黄砂来る 冨松寛子 201006
日本の彼岸を攻めし大黄沙 泉田秋硯 201006
太陽の幾度焦がす黄砂降る 甲州千草 201006
黄沙色にそまる貌もて引揚げし 大草由美子 春燈 201006
春一番無用の黄沙伴ひて 仙石君子 雨月 201006
列島今し雨風黄砂三つ巴 井田実代子 雨月 201006
三国志の国より来たる黄沙かな 村上美智子 雨月 201006
氷州アイスランドのマグマの熱し黄砂以後 千田百里 201007
議事堂は黄沙にまみれ押し黙る 泉田秋硯 201007
ひたひたと不況来る街黄砂降る 立石萌木 雨月 201007
船忽と現れぬ黄砂の海坂に 紫野静 201008
故宮似の大極殿へ降る黄砂 井上美智子 201008
黄砂降る埴輪の囗の奧暗し 荻野加壽子 万象 201008
フビライの不意の目覚めや秋黄砂 小澤菜美 201101
紅葉見や今頃黄砂言はれても 堀百合子 201102
肌寒き秋にめずらし黄砂かな 原田圭子 ぐろっけ 201102
金峰山黄砂の衣冬かすみ 原田圭子 ぐろっけ 201102
霜月の黄砂を泛べ手水鉢 小川玉泉 末黒野 201103
黄砂→ 3      

 

2021年3月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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