黄砂/黄沙 1    100句

暗いなあと父のこゑして黄沙せり   小川双々子

黄砂/黄沙 1   霾天  霾ぐもり  黄塵

作品
作者
掲載誌
掲載年月
黄砂降るや渦やからすのゑんだうも 今木偉郎 199805
机上なる本の黄沙に指のあと 上野正子 199904
阿羅漢の黄砂の中に烟りだす 白澤良子 199905
切株の面かたむける黄砂かな 中原道夫 銀化 199905
黄沙降る海渡り来し百済仏 田中清司 199907
黄沙降る夕べ洛中洛外図 高橋将夫 199907
イエス説く大いなる掌に黄砂降る 安藤和子 海程 199908
中一は遊び名人黄砂ふる 森津三郎 京鹿子 199908
黄砂中ジャンボ機が今到着す 藤田寿子 ぐろっけ 199908
ニス塗つてニス塗つてかつ黄沙かな 岡井省二 200002
鳥葬のいよよ黄沙となりしなり 岡井省二 200004
かたまるは遺族一團黄砂降る 中原道夫 銀化 200005
黄砂降る白根三山塗りこめて 新井英子 馬醉木 200006
ふりやまず都眠らす黄沙かな 柿原金米 船団 200006
美容師の鋏シャキシャキ黄砂降る 柳生千枝子 火星 200007
黄砂降る明石海峡大橋に 永野秀峰 ぐろっけ 200007
黄砂降る元寇の島指呼の間 藤中正治 200008
トランペット吹けばいよいよ黄沙降る 塩路隆子 精鋭選集 200008
十二億靴音響く黄砂降る 能勢京子 船団 200011
ビル高きゆゑ黄沙めく都心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200103
仔牛病むいちにち黄沙ふり止まず 朝妻力 俳句通信 200104
まんまるの穴に黄砂の入りにける 各務耐子 200105
満州に埋め来しめんこ黄砂降る 大串章 百鳥 200106
竹刀振る少年二人黄沙降る 片山智恵子 百鳥 200106
黄砂降る四国高野の山頂駅 永野秀峰 ぐろっけ 200106
母見入る引揚げ手帳黄砂降る 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200107
筆太の日中友好碑黄砂降る 西田もとつぐ 船団 200109
うすれゆく帰巣本能黄沙降る 木戸渥子 京鹿子 200110
散骨をせよ玄界に黄沙くる 中山杲 船団 200112
口裏を合はせそこねて黄沙降る 能村研三 200204
剣豪の生まれし小村黄砂降る 川瀬里江 雲の峰 200205
さかなには婚姻色や黄沙降る 能村研三 200205
出港の銅鑼や黄砂に消ゆる街 辻本みえ子 馬醉木 200206
黄砂降り飛行機ダイヤ乱れけり 樋野恵美子 築港 200206
段丘の据に化石や黄砂降る 成重佐伊子 雲の峰 200206
沖の日の二つに見ゆる黄沙かな 近藤喜子 200206
冷泉家秘宝や黄砂降りやまず 竹中一花 200206
渾然と湖閉ざされて黄砂来 松村富子 200207
遠き日の引揚桟橋黄砂降る 高橋道子 200207
夜の嵐明けて黄沙の比良隠す 杉本綾 200207
朝夕より京侵し降る黄砂あり 有働亨 馬醉木 200207
雨戸繰り黄砂曇の夜明とは 松尾緑富 ホトトギス 200207
魏志倭人伝以来黄砂を払ひけり 志麻茜 銀化 200207
太陽は鬱金の暗さ黄砂降る 下平しづ子 雨月 200207
黄砂にて野面と子らの染りたる 瀬川公馨 200207
象の目のいくたびうるむ黄砂かな 万城希代子 200207
黄沙降り弥宜の祝詞の聞きづらき 岸はじめ ぐろっけ 200207
富士見えぬ富士見峠や黄砂降る 宮入河童 200208
彦九郎黄砂にまみれ御所拝す 島村絹美 200208
宿場町黄沙しずめの雨しとど 小阪律子 ぐろっけ 200208
黄砂降る午前や梨の返り花 桑田眞佐子 火星 200302
明るさに加はつてゆく黄沙かな 稲畑汀子 ホトトギス 200303
気づかざる黄沙に気づきたる車 稲畑汀子 ホトトギス 200303
黄砂降る追肥などとまたちがひ 中村堯子 銀化 200304
脇侍たる誇りをいまに黄沙降る 酒本八重 200305
狼煙台黄砂の野へと崩れ落つ 池上栄子 ぐろっけ 200305
ものの影あるやなしやの黄沙かな 浜田南風 200306
鶏小屋に貝殻吊し黄砂かな 宇田喜美栄 200306
めつむれる鑑真和上黄砂降る 長岡千波 200306
西国の黄沙もろとも帰宅せり 伊藤早苗 200306
空つぽの郵便受や黄沙降る 宮本幸子 円虹 200306
師の眠る大地の黄砂舞ひ来たる 安藤誠子 築港 200306
綱とりし力士に故郷の黄砂来る 内藤三男 ぐろっけ 200306
対岸ならぬイラクの戦火黄砂来る 北村香朗 京鹿子 200307
大陸の億のためいき乗せ黄砂 安藤誠子 築港 200307
赤子泣く黄砂に山の消えてをり 沖増修治 百鳥 200307
流砂はじまりて黄沙となるところ 岡井省二 省二全句集 200312
黄沙降る狙撃は自働探査とて 品川鈴子 ぐろっけ 200404
黄砂降り三十六峰かき消せり 橘沙希 月の雫 200404
生まじめな望遠鏡に黄砂ふる 丸山佳子 京鹿子 200405
火の国へ一番列車黄砂降る 田中せつ 帆船 200405
黄砂降る町家のばつたり床几かな 矢野節子 草の花 200405
吾が句碑の竣工知らす黄砂かな 松崎鉄之介 200405
ガンダーラよりの黄砂に浴しをり 伊藤白潮 200405
黄砂降り象も麒麟も立ち尽す 大串章 百鳥 200405
元冠の湾煙らせて黄沙かな 中村龍徳 200405
黄砂降る中国展の紅の菓子 生田恵美子 風土 200405
黄沙降り鼓楼鐘楼影絵なす 宮津昭彦 200406
暮遅し黄沙が染めし大雁塔 宮津昭彦 200406
鶏のびつくり眼黄沙降る 藤井明子 馬醉木 200406
新宿の眠らざる街黄砂降る 小黒加支 酸漿 200406
大笑ひして口中の黄沙かな 小田島美紀子 ホトトギス 200407
この街に照準合はす黄沙かな 大地音生 ホトトギス 200407
待つた無き育児の日々に黄沙降る 大地音生 ホトトギス 200407
万丈の天渡りくる黄沙かな 富田楓子 ホトトギス 200407
黄砂降る我が青春の大連よ 石川星水女 ホトトギス 200407
大陸の空に余りし黄沙かな 湯川雅 ホトトギス 200407
長城の外の鉄路の黄砂浴ぶ 松崎鉄之介 200407
シーソーの相手のをらず黄沙降る 鳴海清美 六花 200407
不確かに兆しはじめし黄砂かな 天野きく江 200505
流感の只中にあり黄砂降る 浜福恵 風土 200505
黄砂降る犬ひきずりて戻りけり 指尾直子 雨月 200505
霞でも花粉でもなし黄砂降る 鈴木ヤスエ 築港 200505
黄砂降るしばし紗衣にかこまるる 長崎桂子 あを 200505
黄砂降る易姓革命中国史 関根義行 対岸 200506
黄砂降る天に思惑ありにけり 塩川雄三 築港 200506
犬小屋の三角屋根に黄砂降る 景山まり子 百鳥 200506
天平の甍に黄砂届きけり 山崎辰見 ぐろっけ 200506
黄沙来る電光ニュースの大き文字 田畑幸子 200506
黄砂とも再開発の塵かとも 竹内弘子 あを 200506
黄砂→2      

 

2021年3月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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