罌粟の花   107句

罌粟ひらく髪の先まで寂しきとき   橋本多佳子   紅絲

罌粟の花  虞美人草  ポピー  コクリコ  芥子坊主

作品
作者
掲載誌
掲載年月
石垣に雛芥子咲けり柳生谷 岩城ひでを 堤月 199806
天道よ罌粟ぼつてりと花も葉も 岡井省二 199806
芥子の花へ一匹の虫のめり込む 河原一夫 199808
明かされて尚更親し芥子の花 高村洋子 遠嶺 199809
罌粟咲いて晶子の行方知れぬまま 葉月ひさ子 船団 199811
卓更けて芥子の花散る音さだか 坪井洋子 199908
耳打ちの如く揺れをり芥子の花 田村すゝむ 風土 199908
女童の千代紙のごと芥子の花 中川濱子 ぐろっけ 200007
恐々とこの世に開く罌粟の花 貝森光大 六花 200009
罌粟の花トロイ廃虚に咲けるかな 夏目満子 酸漿 200107
反論も同意もできず芥子の花 斉藤静枝 あを 200108
芥子の花童話読みたくなりにけり 村田美穂子 百鳥 200108
罌粟の花微量の風を計りをり 大関靖博 200109
はなびらの影はなびらに芥子搖るる 松岡ひでたか 円虹 200109
罌粟の花子供がこども抱いてをり 井上菜摘子 京鹿子 200110
罌粟の花剪ればそよ風蹤いてきし 福山広秋 200206
水にある真昼の昏さ芥子の花 山田美保 200208
夢二描く女けだるげ芥子の花 堀田清江 雨月 200208
芥子咲くや私を満たすための嘘 亀田憲壱 銀化 200208
罌粟の花透けてまた濃しひと日かな 吉弘恭子 あを 200208
長江のゆく先海よ芥子の花 柏木公江 帆船 200208
花罌粟やゆつくりと血の巡るなり 近藤喜子 200209
六甲に咲かせヒマラヤの青い罌粟 北畠明子 ぐろっけ 200209
惜しまれて忽と逝きたし罌粟の花 山口たけし 雲の峯 200308
罌粟咲くや風がひねもす皿廻し 沼田巴字 京鹿子 200308
雛罌粟の絡み合ひつつ咲きゐたり 川口弘子 築港 200308
芥子咲かせ村の高風ひとり占む 豊田都峰 京鹿子 200308
芥子咲くや水ちょろちょろと竜の口 井上紘 雲の峰 200407
罌粟ひらく床に掲げし多佳子の句 市川玲子 春燈 200507
花罌粟は一日花や憂さ晴らす 宮地れい子 春燈 200507
天空へ本を積みゆく罌粟の花 中島陽華 200508
ブルースの廃れて昭和罌粟の花 荒木甫 200509
雛罌粟の一粒種を咲かせをり 高木智 京鹿子 200607
境内に解脱の言葉罌粟咲けり 田中みのる 火星 200608
青空のこぼるるを受け罌粟の花 塙告冬 ホトトギス 200609
罌粟の花墳の裾よりそよぎ出す あさなが捷 200705
をさなごに雛罌粟の花赤すぎる 黒辻美奈子 200707
罌粟の花咲いて天領明かし初む 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
芥子咲いて家居楽しむ日曜日 稲畑汀子 ホトトギス 200805
罌粟咲きて散って麻沙子の忌の近し 樺山翠 雨月 200808
罌粟の花遺跡の中に朱を点ず 三好かほる 万象 200812
罌粟の花指先ほどの闘志かな 常盤優 炎環 200902
風のきて目をつむりたる罌粟の花 佐藤喜孝 あを 200902
鯨音は三井やまつ赤な罌粟咲ける 中島陽華 200908
ヒマラヤの青き罌粟咲きぼんのくぼ 中島陽華 200908
耳痒き日なりけり罌粟風に咲く 木船史舟 200909
ヒマラヤの青き罌粟咲きユートピア 中島陽華 200909
ひらひらと雛罌粟畑別れの日 柳生千枝子 火星 200912
大海の蒼き風吹く罌粟の花 落合絹代 風土 201006
空酒のまはつてきたる芥子の花 戸栗末廣 火星 201009
深く辞儀してより開く花芥子は 椿和枝 201009
八重の芥子三日ほど咲く勁さかな 椿和枝 201009
朝粥に母の菜の花芥子和へ 松崎雨休 風土 201105
ひなげしは芥子に非ずと花圃の主 北尾章郎 201108
風通ふ道に群れなし罌粟の花 大川暉美 末黒野 201108
住まぬ庭誰が撒きしや罌粟の花 田中佳子 ぐろっけ 201108
安居僧夢のなかにも罌粟咲かせ 安立公彦 春燈 201108
山麓の風穴に咲き青い芥子 片岡久美子 201109
やや憂ひある人妻や罌粟の花 丸井巴水 京鹿子 201110
国境に火を放ちたり芥子の花 岩永はるみ 白雨 201203
死火山へ道ますぐなり芥子の花 池端英子 万華鏡 201206
遠き日を透かして見たる芥子の花 鈴木良戈 201208
泣きたいと言ふは気易し芥子の花 高倉恵美子 201209
罌粟の花いい人ばかりではをれぬ 大木清美子 201209
寺町の露地の軒端に芥子の花 川井秀夫 ろんど 201209
か弱さの群舞となりて芥子の花 川上久美 ろんど 201209
咲くまではうなだるばかり罌粟の花 箕輪カオル 201209
芥子咲いてレールは錆を濃くしたり 有本惠美子 ろんど 201309
ヒマラヤの空恋ひ咲ける青き罌粟 鈴木照子 201409
芥子の花疲れがどつと肩にくる 村田岳洋 ろんど 201409
古は向こう見ずなり芥子の花 山田佳子 201410
乾きたる土に足跡芥子の花 藤井美晴 やぶれ傘 201410
罌粟ひらくあまたの軍靴過ぎし地に 白水良子 201410
ヒマラヤの芥子淡淡と室に咲く 田伏博子 ろんど 201505
ひな芥子に吾はほろりとこぼれけり 山田六甲 六花 201506
芥子坊主触れれば固き頭かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201507
風のリズム覚え雛罌粟踊り咲く 祐宗千代子 雨月 201508
夭逝の君の墓域や罌粟咲かす 綱徳女 春燈 201509
芥子坊主小さしモルヒネにはならぬ 山田夏子 雨月 201509
罌粟の昼クレオパトラとすれ違ふ 天谷翔子 201510
隙あらば咲き町内の芥子の花 藤原照子 201607
悲しみを独り堪へ来し芥子の花 吉田とよ子 春燈 201609
花芥子の赤きを見むと回り道 宮田豊子 春燈 201610
昏れてなほ残る眩しさ罌粟の花 玉田瑞穂 万象 201611
雛罌粟の産毛獣のやうにかな 鎌田光恵 201707
青い傘白いかさ来る罌粟畠 山口ひろよ 201708
作業車の唸り広ごる芥子畑 箕輪カオル 201708
芥子の花笑うみんなが揺れるから つじあきこ 201709
キリストの血より咲きたる罌粟の花 水野恒彦 201709
かたまりて秘密を頒つ罌粟の花 藤田美耶子 201709
薄紙を剥ぐやうに罌粟咲きにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
罌粟の花ひよろひよろと風躱しけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
もやもやと雲ゆく昼の芥子真つ赤 大崎紀夫 やぶれ傘 201807
牛と馬雛罌粟蝦夷の大地かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
雀色どき雛罌粟は群れてこそ 上谷昌憲 201907
罌粟咲いて森の中なるレストラン 樺山翠 雨月 201907
罌粟の花アフガニスタン思ひをり 加藤みき 201909
黒潮の香やぞくぞくと芥子咲けり 小河原清江 梛の木 202007
みちのべのまづ目に留まる罌粟の花 渡邉孝彦 やぶれ傘 202007
春くや風の離れぬ罌粟の花 森清信子 露の堂 202008
芥子の花若き日の無我いま何処 中川のぼる 202009
藍白の雨にうたるる芥子の花 中田光介 202108
花罌粟や顔にすぐ出る昼の酒 戸栗末廣 202112

 

2023年6月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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