蟷 螂 1   292句

蟷螂の斧と白波五人男の傘   高島茂

蟷螂  かまきり  枯蟷螂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
八朔の蟷螂の顔近くあり 山尾玉藻 火星 199809
蟷螂と生れ斧を振るほかはなき 山田夏子 雨月 199902
蟷螂のはりつく地蔵の無表情 横倉由紀 船団 199902
蟷螂の掴む大屋根傾ぎをり 嵯峨根鈴子 火星 199907
狛犬の阿の口中に蟷螂生る 木谷尚子 俳句通信 199908
浴室に蟷螂のゐる晝寢覺 小山森生 199909
木の白き泡の中より小蟷螂 長谷川登美 ぐろっけ 199911
蟷螂の貌いつぱいにある怒り 三瀬教世 円虹 199912
蟷螂の長き凝視でありにけり 三瀬教世 円虹 199912
蟷螂の金色の眼の不動なり 杉山瑞恵 雨月 200001
浴室に蟷螂のゐる書寝覚 小山森生 200008
蟷螂の大き眼と合ふかくれんぼ 和田和子 馬醉木 200010
望遠鏡に観光づれの青蟷螂 丸山佳子 京鹿子 200010
それぞれの道化一生蟷螂生る 渡辺純 京鹿子 200010
昂りし蟷螂の斧空を切り 南方惇子 馬醉木 200011
星明り蟷螂眠りをりしかな 高橋将夫 200011
蟷螂に袂のありて晝の月 小山森生 200011
蟷螂のいのちの色のまみどりに 戸村よねこ 遠嶺 200012
蟷螂にもの言うて行く伝道師 永野由美子 円虹 200012
蟷螂の首切れさうに振向けり 平しげる 酸漿 200012
蟷螂やマリオネットの動きして 小滝奈津江 酸漿 200012
金亀虫蟷螂と今日は楽しいな 稲葉千尋 海程 200012
蟷螂の構へし鎌の透きとほる 山城やえ 春耕 200012
蟷螂の着地に乱れなかりけり 諏訪痴花女 ホトトギス 200101
蟷螂の胸かきむしる仕草にも 副島いみ子 ホトトギス 200101
貰ひきて蟷螂傷もなく育つ 本郷桂子 ホトトギス 200101
庭隅に棲み蟷螂の斧振らず 本郷桂子 ホトトギス 200101
蟷螂の鎌を借りたき草の丈 本郷桂子 ホトトギス 200101
餓鬼大将大蟷螂にたぢろぎぬ 小川修平 ホトトギス 200101
子供等に蟷螂斧を磨きけり 小川修平 ホトトギス 200101
蟷螂の野が闘ひの場となりぬ 小川修平 ホトトギス 200101
蟷螂のしたたる如く現はるる 松宮文代 ホトトギス 200101
大蟷螂渡りて枝のたわみけり 松宮文代 ホトトギス 200101
蟷螂の舌なめづりをして居りぬ 松宮文代 ホトトギス 200101
蟷螂の怒りは人を見るにつけ 小松里草 ホトトギス 200101
蟷螂に怒る理由のあるらしく 小松里草 ホトトギス 200101
身を反らし蟷螂風に乗らんとす 小松里草 ホトトギス 200101
蟷螂の高飛びオリンピック級 しもだたかし ホトトギス 200101
蟷螂の風土記の丘の主たる 今村征一 ホトトギス 200101
カント読むやうな貌して青蟷螂 岩垣子鹿 ホトトギス 200101
水の先先へ蟷螂怒り逃ぐ 岩垣子鹿 ホトトギス 200101
斧あげてばかり蟷螂青二才 岩垣子鹿 ホトトギス 200101
蟷螂の風強ければ斧たたむ 岩瀬操舟 円虹 200101
嘴に蟷螂の翅はみ出せり 高橋とも子 200107
蟷螂や朝の水撒く石畳 北吉裕子 春耕 200109
遠目にも蟷螂の貌こちら見る 森理和 あを 200109
蟷螂の口もまなこも草の色 朝妻力 俳句通信 200110
流れくる蟷螂に杭ぶつかりぬ 山田六甲 六花 200110
蟷螂が草鞋に縋る親鸞像 品川鈴子 ぐろっけ 200110
蟷螂の眼もつとも風のいろ 山尾玉藻 火星 200111
蟷螂の天守を仰ぐ明石城 田中呑舟 火星 200111
目鼻立ある蟷螂の殻涼し 永田二三子 酸漿 200111
蟷螂の喰はれて残す薄き翅 栢森定男 あを 200111
蟷螂の精緻は斧に極まれる 大橋敦子 雨月 200111
揚々と斧あぐ蟷螂籠の中 岩田登世 雨月 200112
蟷螂よ豪傑歩きにて登場 立岩利夫 海程 200112
ふんばつて大地の蟷螂ゆうらゆら 中島陽華 200112
京までは五里蟷螂の一大事 塩貝朱千 京鹿子 200112
蟷螂の細りたる声仏間まで 平山節子 春耕 200112
蟷螂の葉を伝ひゐる確かさよ 武田孝子 春耕 200112
藪なかに消えし蟷螂大きかり 佐々木芳山 春耕 200112
大蟷螂眼は真緑に小町針 森理和 あを 200112
宵越の窓の蟷螂太りたる 天野きく江 200201
蟷螂の斧も食はれてしまひけり 山口速 200201
合掌のさま老い母も蟷螂も 高山瑞恵 200201
蟷螂の大上段を黙殺す 竹内弘子 あを 200210
蟷螂の鯨尺にて追はれけり 後藤志づ あを 200211
大蟷螂掃き出す朝の敷居際 小林清之介 風土 200212
蟷螂に爪ををさめて猫去りぬ 生田恵美子 風土 200212
蟷螂の振り向く呪文唱へけり 木村みかん 200301
玄関の柱をつかみ蟷螂 木下野生 200301
蟷螂の飛び月燈の高さかな 中島陽華 200301
産卵を終えし蟷螂なりしかな 天野きく江 200301
先まはりせば蟷螂の大きかり 黒田咲子 200301
蟷螂のやうな分家の娘かな 百田早苗 六花 200301
喜寿われに蟷螂斧を振りかざす 藏本博美 ぐろっけ 200301
蟷螂の碧眼うごく葉擦れ風 松本恒司 ぐろっけ 200301
掃くたびに蟷螂翅をひろげけり 伊藤多恵子 火星 200302
鎌振り上げて蟷螂となる刹那 高柳かつを 百鳥 200302
地図の上蟷螂佐渡へ足伸ばす 吉田龍 200307
脚さする我を見てをり青蟷螂 吉田龍 200307
小さくて小さき蟷螂に夕景色 加藤富美子 200310
蟷螂の土色を濃く生きてをり 伊藤白潮 200311
甲冑を脱ぎ蟷螂のやうにゐる 小澤克己 遠嶺 200311
蟷螂のまこと退屈なる構へ 小林正史 200312
蟷螂の吾を見るとき首回す 土井三乙 風土 200312
濡れ縁に生き残りたる青蟷螂 高倉恵美子 200312
蟷螂の上げたる斧が風にゆる 内山芳子 雨月 200401
蟷螂の眼の奥の暗さかな 佐本英介 築港 200401
蟷螂の富士を見てより草に入る 深見東州 草の花 200401
蟷螂の斧一本の保身術 白髭美佐子 200402
蟷螂の石の温みに斧を置き 西屋敷峰水 河鹿 200402
蟷螂に睨まれ坂を下りけり 花岡豊香 酸漿 200402
小蟷螂かぼそき鎌を構へけり 辰巳陽子 雲の峰 200408
どくどくと生まれ蟷螂こぼれ落つ 久保田喜代 雲の峰 200408
生れてすぐ蟷螂右往左往する 薮口弥生 築港 200409
蟷螂は半身に構へ振り向けり 原田竜子 河鹿 200410
フルートや蟷螂の腹風のいろ 石堂摩夜子 対岸 200410
蟷螂の静止の影やかくも細き 林翔 200411
身構へて一気に飛べり小蟷螂 森山のりこ あを 200411
蟷螂の突張り通し果てにけり 高橋十三夜 春燈 200412
蟷螂のさまよふ青き眼かな 中村恭子 200412
城門を出づ蟷螂の騎士ナイト 小澤克己 遠嶺 200412
蟷螂に似し顔をして碁の強し 田中峰雪 雨月 200412
蟷螂のエッフェル塔のやうな足 富沢敏子 200501
蟷螂の産卵宇宙までの晴 冨村みと 対岸 200501
蟷螂のおとどか風の中なるは 里中章子 200502
蟷螂もゐて便便と昼になる 青山丈 200502
蟷螂の落葉鳴らして走りけり 原口洋子 栴檀 200502
まだみどり保つ蟷螂鵙の贄 長村雄作 栴檀 200503
重き尻ひきずり惑ふ蟷螂か 品川鈴子 ぐろっけ 200510
蟷螂山斧を振り振り進みけり 井上輝男 築港 200510
蟷螂のついと大きな目玉あり 秋千晴 200510
蟷螂の鎌が虚空を威嚇せり 武内沢仙 遠嶺 200511
斧振りあぐ蟷螂の眼のするどさよ 近藤豊子 雨月 200511
捕はるる蟷螂貌をさいなむる 植竹美代子 雨月 200511
蟷螂の常に全身身構へる 高田佐土子 築港 200511
老蟷螂日光浴に腐心せり 伊藤白潮 200512
蟷螂の鎌に油断を見せざりし 安部和子 雨月 200512
蟷螂の目玉は貌におさまらず 前田忍 火星 200512
蟷螂や昨日も今日も同じ場所 早崎泰江 あを 200512
蟷螂のすがる穂先の撓みかな 大石ひろ女 百鳥 200601
蟷螂に大河の流れありにけり 堀木基之 百鳥 200601
追はるれば孕蟷螂飛びもせる 植竹美代子 雨月 200601
蟷螂の屍や黒神は墳墓の地 沼口蓬風 河鹿 200602
首振りて蟷螂意地を通すべく 前川明子 200602
蟷螂死す最後の祈りしたらしく 伊藤冬留 200602
日溜りで蟷螂食める黒い猫 松本綾子 四葩 200602
蟷螂が首を回して我を見る 小林朱夏 200602
蟷螂が男の眼もて生まれたる 鎌倉喜久恵 あを 200607
蟷螂のひそみゐし野と気づきけり 稲畑汀子 ホトトギス 200609
蟷螂の生れし殻の吹かれくる 片山タケ子 200609
蟷螂と内弁慶を貶しめり 太田絵津子 200609
月白の蟷螂の首軋みけり 山尾玉藻 火星 200610
蟷螂のさみどりの死の斧たたみ 伊藤白潮 200611
蟷螂の蹴りの伝はる紙袋 柴田久子 風土 200612
蟷螂の影うつりたる障子かな 延川五十昭 六甲 200612
蟷螂を眼鏡ずらしてながめけり 延川五十昭 六甲 200612
蟷螂の斧を収めて勅使門 徳永亜希 馬醉木 200701
標立つ辻に蟷螂迷ひけり 鶴田勝子 万象 200701
蟷螂の善人の吾を警戒す 大橋晄 雨月 200701
孕蟷螂風に押されて歩みけり 三輪温子 雨月 200701
孕み蟷螂首の回転のみ速し 岸本久栄 雨月 200702
館長と話す蟷螂手掴みに 野沢しの武 風土 200702
命終の折も蟷螂鎌上ぐる 木内美保子 六花 200702
蟷螂の礫刑もまた鵙の贄 味村志津子 雨月 200703
斧あげて蟷螂いざや寺を守る 勝原文夫 春燈 200707
蟷螂の首の細きが聖者めく 藤井昌治 200711
部屋に舞ふ蟷螂妻の捕へたる 飛高隆夫 万象 200712
風立ちぬ蟷螂山を見つくして 生田恵美子 風土 200712
割箸をもて蟷螂と渡り合ふ 荒井和昭 200712
皆既月食蟷螂いろを捨てにけり 片山タケ子 200712
蟷螂の虚々実々の眼かな 川口襄 遠嶺 200712
蟷螂やためらはず斧振り込みぬ 池崎るり子 六花 200712
蟷螂のピカソ貌して我を見る 大石喜美子 雨月 200802
蟷螂は念仏のいろ十二月 宮崎すみ 神々の交信 200808
蟷螂のみどり紛れぬ動きかな 稲畑汀子 ホトトギス 200809
蟷螂のかぶきものめき石の上 遠藤若狭男 200809
蟷螂のかさこそ今朝は雨である 鴨下昭 200811
蟷螂の目玉に黒き星ひとつ 吉田悦花 炎環 200811
蟷螂の鬼房に似し骸かな 伊藤無迅 炎環 200811
蟷螂のホースの水に構へけり 西畑敦子 火星 200811
凄まじや蟷螂二匹雄を食ひ 安本恵子 200812
戦争はまつぴら蟷螂鎌立てし 鈴木陽子 炎環 200812
死に際に蟷螂なほも餌を狙ひ 鈴木阿久 200812
蟷螂の居場所を軒に定めをり 谷合青洋 酸漿 200812
日溜りに青き蟷螂さすらへり 和田政子 200901
逃げ足の疾し蟷螂孕めるに 大橋晄 雨月 200901
蟷螂に馬車をひかせて旅に出む 清水晃子 遠嶺 200902
蟷螂に猫がとびつく日向かな 苑実耶 200902
蟷螂が太陽襤褸にしてしまふ 八田木枯 晩紅 200902
吾を見る蟷螂に首傾げられ 大橋敦子 雨月 200908
蟷螂の前肢かざし向かひくる 滝沢伊代次 万象 200909
少年期らし蟷螂の怒りをり 米山喜久子 200911
蟷螂の草の色して草の上 岡野ひろ子 200911
蟷螂のかまへ解かぬに向合へり 阿部ひろし 酸漿 200911
蟷螂の敵意に吾も意地捨てず 酒井秀穂 炎環 200912
痒みあり蟷螂咬みし指の先 上原重一 200912
衰へし蟷螂になほ闘志あり 村田文一 遠嶺 200912
蟷螂の産卵夜半に見届ける 堤節子 ぐろっけ 200912
印南野につまむ蟷螂胸厚し 浜口高子 火星 200912
蟷螂に向き合へば顔上げにけり 岡田房子 酸漿 200912
蟷螂の千里をめざす構へかな 山田禮子 遠嶺 201001
蟷螂の思はぬ飛翔日箭の幅 柳生千枝子 火星 201001
蟷螂の首かしげたる憂ひかな 大橋淳一 雨月 201001
蟷螂に隙といふものなかりけり 笠井敦子 201001
蟷螂の考へてゐる谺かな 梶浦玲良子 六花 201002
蟷螂に初老の艶や小町寺 冨山俊雄 山居抄 201008
蟷螂のゐる筈のなきところかな 稲畑汀子 ホトトギス 201009
蟷螂の戦ふ形で生まれけり 小林朱夏 201010
さかしまに尻上げ透くる子蟷螂 渡邉美保 火星 201010
蟷螂のドンキホーテに相似たる 松岡和子 201011
蟷螂や器用に生くる術知らず 久米憲子 春燈 201011
蟷螂の斧をたしかにふるひをり 石脇みはる 201011
蟷螂の妖怪変化の風貌よ 大橋敦子 雨月 201011
蟷螂の脱け殻白く吹けば飛ぶ 水谷芳子 雨月 201011
蟷螂を外連と見つつかかづらふ 竹内弘子 あを 201011
蟷螂を怒からせてゐる婆の杖 西川みほ 末黒野 201012
斧かざす蟷螂の眼の動きけり 亀卦川菊枝 末黒野 201101
蟷螂のもの食ひ終へし貌ねぐふ 島谷征良 風土 201101
蟷螂と托鉢並び門に佇つ 竪山道助 風土 201101
野仏の顔へ蟷螂鎌立つる 奥村眞人 雨月 201101
芝に足取られ蟷螂見つけけり 志方章子 六花 201101
大蟷螂斧振りあげて野道行く 武智恭子 ぐろっけ 201101
蟷螂の枯れ拒むやう容るるやう 鶴見遊太 201102
蟷螂の脚の先まで枯れにけり 石井雲雀 末黒野 201103
蟷螂の大きな胸に日の当り 金田けいし ろんど 201103
蟷螂のまだ枯れ切れぬ目の泳ぎ 荒川美邦 京鹿子 201105
籠に飼ふ蟷螂の子に蚊を放つ 金森信子 雨月 201108
小さき鎌構へて威嚇子蟷螂 大島みよし 201110
蟷螂の草にまぎれる薄みどり 鈴木セツ 201110
少年の人差指に子蟷螂 中村恭子 201110
蟷螂のパントマイムや石舞台 村上絢子 馬醉木 201111
蟷螂の三角貌をかしげたり 秋千晴 201111
鎌振れば蟷螂の胴真つ二つ 二宮一知 万象 201111
さみどりの蟷螂蜂に引きずられ 榎本文代 万象 201111
全身を反らして威嚇子蟷螂 安部和子 雨月 201111
蟷螂の表札のごとはりつけり 山荘慶子 あを 201110
蟷螂の眼に狡獪を匿し得ず 塩路五郎 201112
蟷螂の深淵めける眼かな 鈴木鞠子 末黒野 201112
蟷螂のやうに足曲げヨガポーズ 濱上こういち 201112
蟷螂の斧を上げたるスパナかな 堀志皋 火星 201112
孕蟷螂貌が小さくなりにけり 大石よし子 雨月 201112
先の世の蟷螂の斧隠し持つ 柴田佐知子 201201
蟷螂の這ひつくばひて命果つ 本郷宗祥 かさね 201201
蟷螂の登る梯子を上りけり 根岸善行 風土 201201
蟷螂の鎌は威嚇か挨拶か 中田寿子 ぐろっけ 201201
蟷螂の今潮時と産卵す 大橋晄 雨月 201201
蟷螂の雄食まれたる腹ぞこれ 久保田雪枝 雨月 201201
翅拡げ孕蟷螂身を守れる 宮平静子 雨月 201201
蟷螂の鎌をを上げたる落暉かな 五ケ瀬川流一 六花 201201
蟷螂の忽ち挑む構へせる 西村しげ子 雨月 201202
捕まりてはや鎌かざす子蟷螂 美田茂子 末黒野 201204
蟷螂のゆつくりとひと驚かす 相良牧人 201111
ぎらぎらと吾見る蟷螂吾も見る 大橋敦子 雨月 201209
蟷螂生る五体揃ひて跳ぶけはひ 東野鈴子 雨月 201209
干柿に小蝿たかれば蟷螂来 細野恵久 ぐろっけ 201210
蟷螂のゆつくり鎌をもたげたり 松本周二 かさね 201211
蟷螂の獲物に挑む身の構へ 安藤虎酔 かさね 201212
逆光に切絵のやうな蟷螂よ 藤井久仁子 ぐろっけ 201212
蟷螂の徒手空拳の構へかな 和田紀夫 201212
うつばりに蟷螂のゐる夕餉かな 坂口夫佐子 火星 201212
蟷螂の顔傾けて考ふる 柴田佐知子 201212
蟷螂の己の貌を知らざりき 荒木甫 201301
蟷螂の首をかしげて何思ふ 谷村幸子 201301
蟷螂の構へし斧に見構へる 松嶋一洋 201301
動くもの見る蟷螂の動かぬ眼 山田佳乃 ホトトギス 201302
蟷螂はすぐに怒りぬ怒らする 柴田佐知子 201302
前脚をたたみ蟷螂産む構へ 亀田やす子 ははのこゑ 201306
蟷螂の何やら祈り出しにけり 柿本麗子 千の祈り 201307
蟷螂の斧もて祓ひ清めたる 岩下芳子 201311
蟷螂の斧ひつかかるポストの口 坂口夫佐子 火星 201311
蟷螂の小首傾げてロダン貌 塩路五郎 201311
蟷螂の攻めも守りも斧かざす 高橋将夫 201311
蟷螂のみどりの美しき朝の道 川崎良平 雨月 201311
蟷螂も目まひ催す葉月かな 古沢幸次 ろんど 201312
蟷螂も乗せてトロッコ列車発つ 森脇貞子 雨月 201312
蟷螂の産卵中の白あぶく 大畑善昭 201312
蟷螂の居り空いろの砂利を敷く 井上信子 201312
蟷螂のつやつやしきを妬みけり 宇都宮敦子 201312
蟷螂に会ふ桂郎の声とんで 神蔵器 風土 201312
蟷螂に安らぎといふ時ありや 大橋晄 雨月 201312
夕映えや蟷螂渡る通学路 江島照美 201312
雨さけて蟷螂壁にへばり付く 伊藤公女 ぐろっけ 201312
九仞の切り岸のぼりゆく蟷螂 山崎青史 ろんど 201401
神在す蟷螂山のかまきりは 後藤比奈夫 ホトトギス 201401
少年のつまみ見せ呉る大蟷螂 村上留美子 火星 201401
蟷螂の眼と目が合うて草千里 野口宗久 京鹿子 201401
腹大き蟷螂休むブロック塀 三橋早苗 ぐろっけ 201401
蟷螂の深まなざしの中にをりあを 成田美代 201402
蟷螂の深まなざしの中にをり 成田美代 201402
蟷螂の三尺跳びて能舞台 石橋萬里 ぐろっけ 201402
蟷螂の解脱促す瑜伽(ゆが)の寺 鳥居美智子 ろんど 201402
蟷螂の鎌の威嚇に通ぜざり 落合由季女 雨月 201403
翅広げすぎて蟷螂納まらず 秋千晴 201407
ありなしの風にちりぢり子蟷螂 能勢俊子 馬醉木; 201409
斑鳩の蟷螂勾玉色の瞳よ 大橋敦子 雨月 201410
静かなる硬直解く子蟷螂 柳本渓光 ろんど 201411
蟷螂を咥へて猫が振り回す 柴田佐知子 201411
鎌上ぐる蟷螂の目のいとやさし 堀田清江 雨月 201411
蟷螂の透き徹る目と合ひにけり 小池一司 やぶれ傘 201412
蟷螂の斜視受け老をつのらする 佐藤山人 201501
蟷螂のすがれ始めし眼かな 塩野谷慎吾 201501
内宮に罷り出でたる大蟷螂 半田稜 ろんど 201501
振り向けば蟷螂鎌を持て余す 古川忠利 ろんど 201501
蟷螂も枯れて跛行を楽しむか 野中亮介 馬醉木 201501
振り向きし蟷螂の眼のうすみどり 横田敬子 201502
蟷螂や密議のあとは高く跳び 松田都青 京鹿子 201502
蟷螂を食べし蟷螂我を見る 山田夏子 雨月 201502
横様に蟷螂はただ錆びゆけり 小林愛子 万象 201503
蟷螂の表へ出ろと貌上ぐる 柴田佐知子 201503
蟷螂の腹引きずれる風の中 宇都宮敦子 金玉羹 201504
蟷螂 →2      

 

2021年9月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。