稲 妻 1    218句

稲妻にさとらぬ人の貴さよ    芭蕉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
稲妻や砂丘に置いて来し旅愁 稲畑汀子 ホトトギス 199808
帰路に見し雲稲妻の夜を誘ふ 稲畑汀子 ホトトギス 199808
稲妻の沁みとほりたる喪服脱ぐ 神蔵器 風土 199810
遠稲妻漢方薬を煎じつめ 阿部晶子 199812
稲妻の打つ衣川小学校 神蔵器 風土 199812
稲妻を素手で掴んでみる少年 津田このみ 船団 199903
稲妻やおのが寝嵩は測られず 鷹羽狩行 199909
稲妻やきれいにできし裾かがり 大東由美子 火星 199910
稲妻や狐の面てこちら向く 高橋将夫 199911
稲妻やハートのAを切り札に 宇都宮滴水 京鹿子 199912
稲妻や俳句の切字畏るべし 斉藤利雄 遠嶺 199912
稲妻の海岸線を北上す 加藤あけみ 円虹 199912
鈍いろの雲を無様に稲妻す 田淵昌子 京鹿子 200001
稲妻や途切れし話継がずゐる 大村美智子 京鹿子 200001
稲妻の一瞬厚みありにけり 粟津松彩子 ホトトギス 200001
稲妻に後めたさをさとらせず 檜紀代 200002
稲妻と気づくに間ある静寂かな 稲畑汀子 ホトトギス 200008
マヌカンの臍は目印稲妻す 宇都宮滴水 京鹿子 200010
静脈を探られてゐて稲妻す 大橋敦子 雨月 200010
稲妻よ上総下総早稲どころ 林翔 200010
稲妻の饗宴闇の洋上に 辻美智子 円虹 200012
稲妻の刺りし十三湖の蜆かな 倉堀たま子 風土 200012
稲妻やくれなゐの紅絹たたみゐて 武井美代子 風土 200012
甲板に稲妻浴びてゐる女 山田弘子 円虹 200012
稲妻に搏たれ船旅らしくなる 山田弘子 円虹 200012
夏風邪や股くぐらせて稲妻見る 柳生正名 海程 200012
稲妻光りやまず星野道夫死す 高橋とも子 200107
航跡を追ふ稲妻となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200109
稲妻に教へられたる我が行く手 能村登四郎 羽化 200110
稲妻がわが家の出入口さぐる 丸山佳子 京鹿子 200110
稲妻にぴくりと動く犬の耳 志水千代子 俳句通信 200110
変化球ばかり稲妻地に刺さる 泉田秋硯 200111
稲妻や吾子の肩抱く手に力 萩原行博 遠嶺 200111
稲妻や玻璃戸の軋む杣の宿 西川よし子 春耕 200111
稻妻は眼球出でしよりの名ぞ 中原道夫 銀化 200112
稲妻の遠くに去りて詩となりぬ 大林淳男 銀化 200112
稲妻や使ひ慣れたる鍋握る 幡江美智子 百鳥 200112
野の果ての東京暗し遠稲妻 金子兜太 海程 200112
一瞬の怪我稲妻の走るとも 福永鳳水 円虹 200202
稲妻に縮んで伸びて黍畑 田中武彦 六花句集 200205
稲妻にさらして素顔いつはらず 大串章 百鳥 200207
稲妻や私の夢無尽蔵 須佐薫子 帆船 200210
稲妻のはつたり利かせみせもする 蔵持柚 銀化 200210
稲妻や壁画の龍の瞳をとらへ 岡本まち子 馬醉木 200211
稲妻に一太刀浴びせられにけり 宮城白路 風土 200211
稲妻に眠れぬ枕裏返す 泉田秋硯 200211
ゆきどころなき稲妻を受容せり 土田芳月 遠嶺 200212
稲妻に目ざめの早き道祖神 宇都宮滴水 京鹿子 200212
稲妻や狂ひしままの掛時計 岡田信雄 百鳥 200212
稲妻に山の全容ありにけり 大東由美子 火星 200212
稲妻やはや向こう向く君の肩 木村みかん 200301
稲妻に歩幅を変へず歩みをり 上野孝行 百鳥 200301
稲妻や三角定規穴一つ 北島美都里 200302
指組んで夜の稲妻を顔に受く 森田蝌蚪 200302
稲妻や阿修羅は肘をふかく曲げ 芝川百合子 京鹿子 200303
稲妻を窓に田園五楽章 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
稲妻の走れば闇に浮かぶ雲 稲畑汀子 ホトトギス 200308
稲妻形の非常階段梅雨深し 白髭美佐子 200310
稲妻に老犬息を整へり 山口マサエ 雲の峰 200310
稲妻の烈しく走る音も無く 小澤友江 築港 200310
稲妻と月と火星の田圃道 遠藤米 帆船 200311
稲妻にグランドピアノ艶めける 泉田秋硯 200311
アルバムの顔へ稲妻走りけり 吉田島江 火星 200311
稲妻や髪に樹木の匂ひして 清水晃子 遠嶺 200311
稲妻の走る播州男山 田中みのる 火星 200312
稲妻の打ちし山ごと飛び上がる 小林朱夏 200312
稲妻や母の額の黒膏薬 柴田朱美 京鹿子 200312
稲妻にボディチェックをされし夜 岸田爾子 200312
たてよこに流る稲妻髪を染む 中野京子 200401
稲妻に照らされ贋のモアイ像 伊藤トキノ 200401
稲妻や大地に風の音沈め 稲畑汀子 ホトトギス 200408
稲妻や山の稜線近づけて 稲畑汀子 ホトトギス 200408
稲妻に火星の呼応してをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200408
寡婦三人稲妻の尾に触れ易く 堀内一郎 あを 200408
稲妻や耳にさされし鍼のあり 井上有利子 草の花 200410
稲妻を二つに割きて浅間山 森山のりこ あを 200410
稲妻や宝剣岳の岩峯に 須賀敏子 あを 200410
稲妻や波立ちゐたる壺の闇 里中章子 200410
稲妻や山裾の闇きらびやか 長崎桂子 あを 200410
稲妻や逢ひにゆかねばならぬ理由 吉弘恭子 あを 200410
稲妻の海切り裂いてたちあがる 鎌倉喜久恵 あを 200410
稲妻に壜の蝮の立ち泳ぐ 竹中龍青 200410
稲妻に身をひくく尾を垂るる犬 早崎泰江 あを 200410
稲妻がうしろにばかり案山子かな 定梶じょう あを 200410
男やもめ稲妻の尾に触れやすし 堀内一郎 あを 200410
八合目稲妻横に走りけり 相川秀子 帆船 200410
稲妻に夫が他人の顔となれり 佐々木ミツヱ 200411
稲妻に刺されてゐたる思案かな 鳴海清美 六花 200412
稲妻や古代の馬の振り向きぬ 小澤克己 遠嶺 200412
稲妻よ富士の片鱗見せ給へ 長山あや ホトトギス 200412
稲妻や鉄棒うつす水たまり 鈴木勉 対岸 200412
稲妻に妻待つ刻はゆるゆると 江崎成則 200412
遠稲妻岩場を後向きに下る 松井倫子 火星 200412
稲妻の射すたび黒い海在りぬ 櫻井多恵 200501
稲妻の夜具にさし込む宿りかな 高橋さえ子 200501
稲妻の照らす極彩偃息図 里中章子 200502
稲妻やねずみ返しのある土蔵 丸山勝利 遠嶺 200503
音もなき稲妻ばかり無尽蔵 泉田秋硯 黄色い風 200505
稲妻に石狩河口威を正す 稲畑廣太郎 ホトトギス 200508
稲妻や忘れしやうに山のあり 稲畑汀子 ホトトギス 200508
稲妻の玻璃の間遠となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200508
夜の帳稲妻隠し果せざる 稲畑汀子 ホトトギス 200508
稲妻に向き屹立の鬼瓦 赤松せつよ 築港 200509
稲妻に跳ばんばかりの白兎 滝沢伊代次 万象 200509
稲妻や村の掟に縛られず 宇都宮滴水 京鹿子 200511
稲妻や戦が好きな地球人 苑田ひろまさ 200512
稲妻や立山杉の漆黒に 西山東人 百鳥 200601
稲妻や山へと帰る床柱 梶浦玲良子 六花 200601
稲妻やくわつと開きし仁王の手 森山暁湖 万象 200601
稲妻のトンネルいくつ抜け出雲 禰寝瓶史 京鹿子 200601
稲妻に曝す身の裏身のおもて 土屋酔月 火星 200601
百鬼夜行冬の稲妻走りをり 竹中一花 200603
稲妻の一閃こころ決めしとき 遠藤真砂明 200610
稲妻やパズルの数字解きあぐね 木野裕美 ぐろっけ 200612
つまみ食ひして稲妻に叱られる 合川月林子 ぐろっけ 200612
稲妻の一閃獨りが怖くなる 池田かよ ぐろっけ 200701
前ぶれもなき稲妻に照らさるる 長沼三津夫 200702
悪夢とは冬の稲妻めきゐたる 天野きく江 200703
子は睡り夕稻妻は野の上に 瀧春一 200706
稲妻に山荘の門閉ざさるる 稲畑汀子 ホトトギス 200708
稲妻に雲の仔細の動きけり 稲畑汀子 ホトトギス 200708
稲妻やつなぐ子の手の力増し 谷榮子 雨月 200710
稲妻やいきなり塀を猫の飛ぶ 若島久清 万象 200711
稲妻を浴び損もなく得もなく 長沼三津夫 200711
稲妻や能面の口深裂けて 柴田朱美 京鹿子 200711
稲妻や石仏の顔削がれゐて 柴田朱美 京鹿子 200711
稲妻のたびに気付ける景色あり 能村研三 200711
山国の闇稲妻が押し開く 柴田朱美 京鹿子 200711
稲妻や日々点滴のつづきたり 片山茂子 遠嶺 200712
稲妻の度に目を閉じ南無阿弥陀 林美智 ぐろっけ 200712
華麗なる稲妻ひとりの指を組む 永原朱 200712
稲妻に一瞬現るるモンブラン 金山藤之助 200801
鉱脈に稲妻通ふ夜もあらむ 大曲澪 遠嶺 200801
稲妻の寸時ゴツホがこちら向く 木山杏理 京鹿子 200801
稲妻の走る沖合竹生島 中川すみ子 200802
稲妻に夕日押されてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
稲妻に富士の方角ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200808
稲妻に近づきゆける帰路となる 稲畑汀子 ホトトギス 200808
稲妻に雲の変幻ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
六甲の稲妻走る家路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200808
稲妻の垂直に立つ湖上かな 中川すみ子 200810
稲妻にまた手を止めて夕仕度 山田暢子 風土 200811
稲妻をおそれぬ妻となりしかな 渡邊友七 あを 200811
稲妻を浴びし仁王の草鞋かな 浜口高子 火星 200811
稲妻や二人きりとなりし家 ほんだゆき 馬醉木 200811
稲妻の行方や未完のままの稿 山田暢子 風土 200811
稲妻の一過マネキンたじろがず 和田森早苗 200811
稲妻の威嚇刺客の如迫る 石岡祐子 200811
稲妻に寸景見せる盆地村 布川直幸 200811
雨雲の奥に稲妻野の蒼く 國保八江 やぶれ傘 200811
稲妻のわりなき高さ明日のこと 高橋澄子 200812
稲妻を見切る眼力省二の忌 高橋将夫 200812
稲妻や榕の走り根瘤だらけ 廖運藩 春燈 200812
稲妻の寸描をまつ夜空かな 布川直幸 200812
稲妻を連れて遅れて男来る 野沢しの武 風土 200905
稲妻や明日へ持ち越す稿多数 稲畑汀子 ホトトギス 200908
稲妻のモンマルトルは影絵の丘 泉田秋硯 200908
稲妻に研ぎ澄まさるる肌かな ことり 六花 200908
遥かより見て稲妻でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200908
稲妻やあかんぼピクリとして覚めず ことり 六花 200910
稲妻に逃ぐる雀を追ふ雷鳴 小林清之介 風土 200910
稲妻や「この先速度規制中」 飯沼邦子 炎環 200911
稲妻や計りこぼれの米の粒 米澤光子 火星 200911
稲妻を羽織り眠れる空と海 鈴木勢津子 樹間 200911
稲妻や恋はねば日記白きまま 柴田佐知子 201002
稲妻に明け渡したる空の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
その中に稲妻秘めて雲動く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
稲妻や折りしも形見分けてをり 中田みなみ 201011
稲妻やジグソーパズル終のピース 川崎真樹子 春燈 201011
オートバイ遂に稲妻振り切りし 中田みなみ 201011
上州の方に稲妻生まれたる 大島英昭 やぶれ傘 201011
イヌマキの太々と幹稲妻す 宮川みね子 風土 201012
稲妻や女人の語る平家琵琶 雲所誠子 風土 201012
稲妻やいまだ案山子の脚湿り 丸井巴水 京鹿子 201101
心電図冬の稲妻みてねまる 竹内悦子 201103
火口湖やカムイ怒りの大稲妻 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
稲妻や山の稜線削るかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
稲妻の走り淋しき闇となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
稲妻に切り取られては目覚めけり ことり 六花 201110
少年が稲妻を抱くハンモック 鴨下昭 201110
黒毛牛稲妻の中並びゐる 遠山みち子 201111
稲妻の照らし出したる樹相かな 黒滝志麻子 末黒野 201112
稲妻やコーヒーショップのルオーの絵 鷹崎由未子 花野 201112
稲妻の能面よぎる刹那かな 小林一榮 末黒野 201112
稲妻の走り待ち人現れず 山崎稔子 末黒野 201112
稲妻や働かぬ蟻元気なり 川南隆 ろんど 201202
稲妻や絶対といふもろきもの 高橋将夫 201202
稲妻は神の動脈地へ流れ 宮田香 故郷 201207
稲妻の走るたび雲浮き立つる 稲畑汀子 ホトトギス 201208
稲妻や暮れて家路となりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201208
稲妻の天を裂きたる光かな 加納淳子 六花 201209
稲妻のはしる生駒嶺父母を恋ふ 北崎展江 くりから 201209
稲妻や岬はづれの狐島 山田六甲 六花 201210
稲妻や学童騒ぐ通学路 水野弘 ぐろっけ 201210
稲妻や溶岩鎮もれる浅間山 鈴木鞠子 末黒野 201211
稲妻に太刀をかざしてねぶた武者 山田春生 万象 201211
稲妻と一対一で黙んまりぬ 岩下芳子 201211
稲妻に押されてくぐる縄暖簾 木村稔 ろんど 201212
稲妻の先端に触れ西新宿 上谷昌憲 201212
稲妻や蔓草覆ふ古レール 和田勝信 かさね 201212
稲妻や光と闇の割符めく 高田好子 京鹿子 201212
稲妻や家具を押へるつつぱり棒 小嶋洋子 201212
稲妻の走る筑波嶺宇宙基地 中山皓雪 201212
稲妻の闇に浮き立つ輪中かな 水谷靖 雨月 201212
一閃の稲妻に闇ひきしまり 水谷靖 雨月 201212
稲妻の下を稲妻走りけり 國保八江 やぶれ傘 201301
眼前の稲妻妻の嘶けり 柳本渓光 ろんど 201311
稲妻に山の稜線浮きあがる 尾崎みつ子 雨月 201311
稲妻の真直ぐ街に突き刺さる 藤井美晴 やぶれ傘 201311
稲妻や火襷といふ美しき枷 熊川暁子 201312
ももいろに秋の稲妻走りたる 椿和枝 201312
稲妻にさらす岩肌ジャンダルム 今田清三 馬醉木 201312
窓に見る遠稲妻や旅の宿 安立公彦 春燈 201312
大稲妻一閃闇を切りさける 村上美智子 雨月 201312
沼底の稲妻に散るみどりむし 中島玉五郎 201401
稲妻や山を負ひたるビルの町 廖運藩 春燈 201401
稲妻の走るは龍の昇るさま 佐藤喜仙 かさね 201401
稲妻にふちどられたる夜の雲 服部早苅 201401
稲妻 →2      

2021年10月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。