冬 日 10    202句

暖き冬日あり甘き空気あり   高浜虚子

冬日  冬の日  冬陽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
浪の群ひむがしへ馳せ冬日出づ 瀧春一 花石榴 201312
出雲社の大き注連縄冬日差 山崎里美 201401
母立ちしあとの冬日を惜しみけり 田中文治 火星 201401
冬日さす墓石綺麗に並びゐる 吉成美代子 あを 201401
メタリックにビル染め冬日昇りけり 田所節子 201402
冬日さす鼻の歪んでゐるやうな 小山陽子 やぶれ傘 201402
冬日差会話楽しむティールーム 三川美代子 201402
方丈の千の瓦に冬日照る 藤井美晴 やぶれ傘 201402
目覚むれば冬日の満ちる六畳間 小山陽子 やぶれ傘 201402
カーブする大橋冬日眩しけれ 大橋晄 雨月 201402
照り翳りの冬日に研がれ仁王門 鴨下昭 201402
人の波の続く冬日の茶碗坂 生田恵美子 風土 201402
からつぽの犬の寝床に冬日さす 近藤紀子 201402
竹林の冬日奥へと移りけり 渡辺若菜 春燈 201402
忠魂碑に色を移して野の冬日 鴨下昭 201402
天幕に冬日差濃し直売所 高田令子 201402
木の橋に冬日の撥ねる大井川 宮内とし子 201402
はばかりなくうつ拍手に冬日立つ 豊田都峰 京鹿子 201402
マトリョーシカの入れ子の並ぶ冬日ざし 岡本敬子 万象 201403
冬日影松陰塾は三畳半 橋本靖子 201403
冬日差す縁に集ひし笑ひ声 羽賀恭子 201403
花時計冬日を廻しゐたりけり 箕輪カオル 201403
城壁を校門となし冬日燦 大橋晄 雨月 201403
空襲を免れし町冬日暮 遠藤とも子 ぐろっけ 201403
隙見せぬ友の背ラや冬日差 曽根京子 春燈 201403
退院の吾を祝うて冬日差 能勢栄子 201403
見下ろせば冬日当たりて灘五郷 おーたえつこ 201403
「ひだまり」てふカフェあり冬日したたれり 荒井千瑳子 201403
布団干す竿にやんはり棲む冬日 大松一枝 201403
碑へまつすぐに差す冬日かな 神谷さうび 末黒野 201403
冬日差す席から埋まる始発駅 塩田博久 風土 201403
冬日さす螺鈿机の贅極め 岡 久美子 201404
冬日射す崩れ土塀や社家の跡 坂根宏子 野山の道 201404
思ひ出を手繰るや冬日穏やかに 原田たづゑ 春燈 201404
アパートの二階空き室冬日差 小山陽子 やぶれ傘 201404
垣越えて紙ひかうきの着く冬日 松井倫子 火星 201404
笑み深き地蔵の肩に冬日燦 池田光子 201404
南より冬日責めくる盆の窪 鳳蛮華 201405
花嫁の父とは冬日濃く引きて 今橋眞理子 ホトトギス 201405
蝋梅の枝に恋々たる冬日 竹内弘子 あを 201405
空き椅子にゆらゆら冬日小半日 石坂比呂子 ろんど 201405
昼に乗るバスの窓側冬日差 石原健ニ やぶれ傘 201406
行間のように賀茂川冬日射す 火箱ひろ 船団 201406
冬日浴び松本楼のカレー食ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
火の山の襞整へて冬日影 稲畑廣太郎 ホトトギス 201412
鉄棒の少女と冬日回転す 鳥居おさむ ろんど 201412
せめてもの倖せ冬日耳に染む 堀内一郎 堀内一郎集 201412
少女舞ふ冬日に映えるチマチョゴリ 鈴木セツ 201501
古戦址に立ちて冬日を分かつ湖 鈴木照子 201502
よろめきて己が影ふむ冬日かな 小倉陶女 春燈 201502
ふきん干すや冬日啄む庭雀 廣瀬克子 春燈 201502
多羅葉に文字かき冬日豊かにす 酒本八重 201502
公園は大人ばかりとなる冬日 上辻蒼人 風土 201502
沓脱ぎに鉈横たはる冬日かな 林範昭 火星 201502
ペタンクの玉のかちりと冬日向 米澤光子 火星 201502
冬日をも生きる糧とし被災村 中島玉五郎 201502
絵硝子のイエスの一世冬日差 加藤富美子 201502
象園にある大いなる冬日向 堀田こう 雨月 201502
花時計冬日を廻しゐたりけり 箕輪カオル 201502
禾汀亡きこの地を巡る冬日かな 安立公彦 春燈 201502
海峡の冬日ひとつを抱いてゐる 田尻勝子 六花 201502
煤けたる網代天井冬日差 木戸宏子 201502
生垣を飛び出す枝や冬日差 小山陽子 やぶれ傘 201502
ぼさぼさの羽の鳩ゐる冬日差 小山陽子 やぶれ傘 201502
蝋梅の枝に恋々たる冬日 竹内弘子 あを 201502
後から冬日の温き別れかな 田中藤穂 あを 201502
吾が影は細身の巨人冬日浴ぶ 山荘慶子 あを 201502
腕章に冬日のあたる昼つ方 赤座典子 あを 201502
跼まる草見る背の冬日かな 佐藤恭子 あを 201503
吹上の水に冬日に濡るる鶴 佐藤喜孝 あを 201503
よろめける身に慈悲のごと冬日射す 杉山瑞恵 雨月 201503
あと書きより読む遺句集や冬日落つ 上辻蒼人 風土 201503
冬日輪低く成りたる宮址かな 上辻蒼人 風土 201503
ゆつくりと木立に届く冬日差 高田令子 201503
冬日差しほうつと浴びて普通の日 おーたえつこ 201503
お屋敷の空気疲れている冬日 太田沙良 201503
猫の背のひゅっと逆立つ冬日差し 笹村惠美子 201503
冬日さす壺に遊女の袖の紅 近藤紀子 201503
上座にはすでに冬日の来てをりぬ 岩下芳子 201503
冬日向青きパインの熟れはじむ 岩下芳子 201503
冬日射すゼブラ幾何模様に非らず 園部早智子 ろんど 201503
杭を発つ川鵜冬日をしたたらせ 田中道江 万象 201503
亡き人の遠くて近し冬日向 楠原幹子 201503
ふるさとに向かふ車窓へ冬日射 山口キミコ 201503
冬日背にクロスワードを埋めゆく 伊庭玲子 201503
古駅舎旅の疲れの冬日かな 陳妹蓉 春燈 201503
太柱支ふる礎石冬日濃し 中村紀美子 春燈 201503
からつぽの巣箱に冬日差すばかり 天谷翔子 201504
山ふたつ隔て冬日の乱反射 田中貞雄 ろんど 201504
振り向きし山羊が笑ひぬ冬日向 天谷翔子 201504
冬日向花屋に暖房なかりけり 中林晴雄 201504
冬日向同じ方むく鳩の群 齋藤朋子 やぶれ傘 201504
裸婦像や冬日渇望するポーズ 田中たつを 雨月 201504
カーテンを冬日の分だけ開けておく 貝森光洋 六花 201504
足長蜂冬日にたどりつきて死す 神蔵器 風土 201505
冬日透くステンドグラス葡萄の絵 波多野孝枝 末黒野 201505
ほつこりと冬日溜りの明るさよ 羽賀恭子 201505
揺れつゝに冬日犯さず水牛車 田部井幸枝 201505
冬日向肯はずとも眼の笑ふ 佐渡谷秀一 対座 201505
埋れたる観音像に冬日かな 沢辺たけし 万象 201505
冬日のベンチ猫が隣へ来て座る 田中藤穂 201504
雀らに冬日やさしき別れかな 白神知恵子 女坂 201508
冬日向青きパインの熟れはじむ 岩下芳子 201508
馬競う興奮さめぬ冬日向 江口九星 201508
影ふみの遊びなつかし冬日かな 渡辺節子 201508
句をそしる人の句を褒め冬日燦 布川直幸 201512
一匹づつ冬日の亀の確かな個 定梶じょう あを 201601
病棟の奥へ冬日をいくつも越え 太田佳代子 春燈 201602
ランナーの一人一影冬日燦 ほんだゆき 馬醉木 201602
雲の裏燃やしつくして冬日果つ 本間羊山 風土 201602
握りてもてのひらにゐぬ冬日かな 雨宮桂子 風土 201602
植木屋とコーヒータイム冬日向 渡辺やや 風土 201602
棕梠一本丘の洋館冬日浴ぶ 下山田美江 風土 201602
掘り起す土黒黒と冬日吸ふ 岩下芳子 201602
山霊の光を溜めて冬日出づ 犬塚李里子 201602
一日を冬日こもりに父の鵙 井上信子 201602
冬日燦々八百号の誌齢祝ぐ 玉置かよ子 雨月 201602
降客は三人余呉湖に冬日落つ 辻由紀 雨月 201602
這ふごとく冬日入りくる座敷かな 大木清美子 201602
愛誓ふ絵馬に冬日のあたりけり 平居澪子 六花 201602
湖よりの冬日も縒りて琴の糸 神谷文子 馬醉木 201603
高層に冬日畳の部屋一つ 安居正浩 201603
極上の冬日に展ぐスポーツ紙 上谷昌憲 201603
板壁を冬日の漏るる芝居小屋 荒井千瑳子 201603
空部屋の冬日を刻む掛時計 田川美根子 201603
さとすごと猫にもの言ふ冬日向 田代貞枝 201603
撫牛の背中斜めに冬日射す 中島昌子 201603
老犬と分かち合ふたり冬日向 中島昌子 201603
膝の傷へ冬日泌みこむ心にも 有松洋子 201603
冬日断つ木々や都心の隠れ谷 高橋道子 201603
カーテン洗ふ冬日ほつこり使ひきり 加藤峰子 201603
冬日影海に背向け芳一像 山口ひろよ 201603
歯科椅子の冬日呑み込む喉ちんこ 中島芳郎 201603
たんぽぽの絮冬日の中にひとり 雨宮桂子 風土 201603
オルガンの響きのなかへ冬日差し おーたえつこ 201603
冬日受け雲より虹の小さく立つ 森理和 あを 201603
てのひらに冬日乗せたる埴輪かな 田中臥石 末黒野 201603
やはらかき鳥居の影や冬日向 太田良一 末黒野 201603
枯露柿の婆の乳めく冬日向 布施由岐子 末黒野 201603
数条の雲を射抜きし冬日かな 藤生不二男 六花 201603
しばらくを冬日あそばせ膝の上 玉垣咲良 馬醉木 201604
葉をおとし冬日ためゐる櫟山 白石正躬 やぶれ傘 201604
はらばひで冬日に顔を向くる猫 渡邊孝彦 やぶれ傘 201604
冬日射す電話ひとつの駐在所 野口希代志 やぶれ傘 201604
八橋を渡り語らふ冬日向 橋本美代 やぶれ傘 201604
おだやかなる冬日の続き寒に入る 高橋明 末黒野 201604
鶏の迎ふる社冬日向 江島照美 201604
塗箸に少しの螺鈿冬日さす 井浦美佐子 201604
安寧の冬日の匂ふかんなくづ 齋藤厚子 201604
滝つ瀬の勢ひ冬日を集めたり 松井佐枝子 万象 201605
立冬の岩場の鴎冬日射す 中江月鈴子 201612
飛び石の冬日に一寸蹟いた 中林明美 船団 201612
初孫はふたり児冬日燦々と 栗原公子 銀の笛 201612
うつろへる冬日は万華鏡のごと 熊岡俊子 雨月 201701
喪中なりただただ歩く冬日中 頓所友枝 201701
ノーベル賞の学徒輩出冬日燦 大橋晄 雨月 201702
若冲の鶏の余白の冬日美し 石田厚子 馬醉木 201702
マリンタワーの展望冬日と海光と 落合絹代 風土 201702
楡の間に冬日の正午を見上げけり 田尻勝子 六花 201702
向き変へて冬日載せたるにぎりめし 山本久江 201702
禁断の森に冬日の差してをり 高田令子 201702
赤んぼと握手や冬日あたたかき 大坪景章 万象 201702
猫の背ナ撫でて冬日を平らにす 大湾宗弘 万象 201702
一茶辿りし路か冬日の下総郷 安立公彦 春燈 201702
真つ新な俳句手帳に冬日差し 柳田美代子 やぶれ傘 201702
血潮まで淀みし今日の冬日かな 柴田靖子 201703
皇帝ダリア冬日大事にしてをりぬ 犬塚芳子 201703
冬日濃し数多の馬の命日に 鈴木良戈 201703
禅堂へ続く回廊冬日溜め 榎本秀治 201703
大瀬戸の潮に溶けゆく冬日かな 榎本秀治 201703
リハビリの五指を拡げる冬日かな 清部祥子 201703
この小窓冬日横切る間の午睡 紅露恵子 万象 201703
燠のごと山間に入る冬日かな 松本三千夫 末黒野 201703
トラックに牛積まれゆく冬日かな 岡田史女 末黒野 201703
踏む影のみな美しき冬日かな 正谷民夫 末黒野 201703
冬日差洗濯物が揺れてゐる 小山陽子 やぶれ傘 201703
池の面にゆれて羽毛と冬日差 青谷小枝 やぶれ傘 201703
黒ずめる点滴跡に冬日差す 藤井美晴 やぶれ傘 201703
逃げてゆく冬日に急ぐ針仕事 山本久枝 やぶれ傘 201703
竹林の縞の冬日の動く音 成田美代 201704
足許に白し冬日と舫石 深川淑枝 201703
冬日燦々翔先生の墓石句へ 久染康子 201704
フェルメール部屋にやさしき冬日差 榎本秀治 201704
冬日射す娘の家の高框 田中臥石 末黒野 201704
丹の橋の擬宝珠に射せる冬日かな 永田万年青 六花 201704
智恵の輪の振れば外れて冬日向 高橋ひろ 万象 201704
友逝けり冬日にのこる車椅子 河前隆二 馬醉木 201704
見えがたき目に歳時記を繰る冬日 高橋照子 雨月 201704
結末は切株にさす冬日ひとつ 井上菜摘子 京鹿子 201705
髭剃ってあと爪切って冬日向 中川句寿夫 ここのもん 201705
内陣に届く冬日の一欠片 大久保進 万象 201705
買ひ手なき犬の甘噛み冬日向 栗原京子 201705
来し道を帰りは迷ひ冬日差 渕田則子 末黒野 201705
水平線に沈む冬日や城ヶ島 田村加代 末黒野 201705
自分史となりて冬日の句帳かな 細島孝子 末黒野 201705
日時計の刻み損ねてゐる冬日 伴明子 ホトトギス 201707
冬日いま鞄の重さほど傾ぐ 津波古江津 船団 201707
雲右往左往冬日の出て来たる 稲畑汀子 ホトトギス 201712
冬日向ドレミの空に風眠る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201712
棟上げの梁に紅さす冬日ざし 田所節子 201801
盲導犬サーブの像に冬日濃し 加藤北天 雨月 201801
冬日 →11      

 

2021年1月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。