冬 陽(冬の陽)    76句

あけた事がない扉の前で冬陽にあたつてゐる   尾崎放哉

冬日  冬の日  冬陽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
原色で塗らる朱里城冬陽濃し 酒井ひろ子 199902
老懶の日々や冬陽の烏瓜 小山徳夫 遠嶺 199903
揺れるなり冬の陽閉じた眼の上で 山岸竜治 海程 199905
冬陽溜め口より大きい壺の底 村田孝子 京鹿子 199907
帆走のボート冬陽になり通す 土肥屯蕪里 俳句通信 200001
病む金魚二匹相寄る冬陽の底 田中藤穂 水瓶座 200002
冬の陽の近くてとおし生野菜 伊藤翠 船団 200006
織りかけの機に朱の糸冬陽ざし 斎藤珠子 遠嶺 200103
冬の陽をからめて湖の岳樺 戸村よねこ 遠嶺 200202
畦道の冬陽の幅を一人占む 松本鷹根 京鹿子 200202
病床の手鏡冬陽たくはへて 柴田奈美 銀化 200203
師の遺影かなしや冬陽移りゆく 小島せつ子 百鳥 200203
冬の陽を呑み込んでゐる獅子の口 志方章子 六花 200203
冬陽浴び人夫等洗ふ女神像 高橋正彦 200204
冬の陽を真正面に浴ぶ太郎冠者 金田美恵子 ぐろっけ 200204
野良猫と老人がゐて初冬の陽 柳生千枝子 火星 200302
冬の陽に昭和の匂ひ蚤の市 深川知子 雲の峰 200302
冬の陽や墳墓は鳥の楽園に 府川房江 遠嶺 200303
広き路駅と冬陽をつなぎたり 鈴木てるみ ぐろっけ 200303
一輪に冬の陽集め薔薇咲ける 福山広秋 200402
童子像に冬陽の零る谷(やつ)の寺 松井和恵 八千草 200406
冬の陽に傷隠れなき床框 朝妻力 春耕 200412
組みかへる足より冬の陽射かな 高倉和子 200503
十字架のかたちに冬陽差してをり 中村昭義 百鳥 200503
閉ぢられぬマネキンの瞳に冬陽射し 窪田米子 遠嶺 200503
雲切れの冬陽煌く日本海 大桃美枝子 200506
点滴の冬陽に光り恢復期 大森慶子 母衣 200602
冬の陽のつもりて碧き翁像 山田禮子 遠嶺 200602
大御輿冬陽に光る八幡宮 半谷弘子 遠嶺 200602
冬陽浴び三椏の蕾夢心地 飯田泰子 八千草 200606
地下街のあたりなりけり冬陽炎 金澤明子 200702

追悼・伊藤和子さん

冬陽降る天の献花のやうにふる

小澤克己 遠嶺 200702
里山は冬陽を這はせ円く昏る 松本鷹根 京鹿子 200802
ステンドグラス冬陽やはらぎ祈りの場 丹生をだまき 京鹿子 200804
鉄条網の荒き隙間や冬陽射 火箱游歩 船団 200806
深溪の片側のみの初冬の陽 有働亨 馬醉木 200901
冬陽透くがらくた市の鑿鉋 和田政子 200902
内港に冬の陽しづか砂利船も 高田令子 200903
街筋の冬陽遮り摩天楼 品川鈴子 龍宮の客 200904
冬陽射す磴の人影小刻めり 奥村鷹尾 京鹿子 200906
落葉松林あまねく冬陽山肌に 清水佑実子 201002
「冬の日」の地に冬陽射す父祖の魂 伊藤敬子 201002
柏原の冬陽こんもり御陵の嵩 豊田都峰 京鹿子 201003
塩竃あと注連新しく初冬の陽 北村香朗 京鹿子 201003
立冬の陽射の中のパン工房 高田令子 201102
冬陽浴び百歩歩ける吾を褒む 山田をがたま 京鹿子 201102
金メダルの走者細身や冬陽浴ぶ 田中藤穂 あを 201102
鳶揚げて冬陽光りの猪苗代 布川直幸 201111
冬の日の始発で京の冬の陽へ 松岡利秋 かさね 201202
似たような家に冬陽の平等に 三輪慶子 ぐろっけ 201203
掌に馴染むカップ冬陽は珈琲に 安藤久美子 やぶれ傘 201204
目を閉ぢて立冬の陽に抱かれをり 四條進 201301
合掌を解き冬の陽に包まるる 山田暢子 風土 201302
冬の陽や東京タワー銀色に 篠田純子 あを 201302
児の背なに冬陽の温し砂遊び 梁瀬照恵 ぐろっけ 201303
冬の陽を斜めにもぐら塚高し 大島英昭 やぶれ傘 201401
いささかの竹藪いささかの冬陽 大島英昭 やぶれ傘 201403
冬の陽を浴びつつ楽し俳句会 新宅久子 璦別冊 201408
緋袴の冬陽しやりしやり比売の神 松本鷹根 京鹿子 201502
文鳥の籠を冬陽に髭男 宇都宮敦子 201503
牛の群冬陽を少し連れ動く 土屋草子 ろんど 201505
冬の陽を楕円に映す道路鏡 小松誠一 201603
冬の陽にあたらず君と暖かい 林田麻裕 201603
室内に深く冬陽を入れ赦す 木戸渥子 京鹿子 201605
冬陽満つ母の座しゐるソファーにも 成田美代 201704
橋をまだ渡ることなく冬陽かな 赤石忍 船団 201812
冬の陽を返へす熟柿とピラカンサ 七郎衛門吉保 あを 201902
人生の余禄のやうに冬至の陽 山中志津子 京鹿子 201904
飛行機雲を編むやはらかな冬陽 辻水音 202003
荒富士の肌冬至の陽を惜しむ いき三椚淳 202006
冬陽背に足の爪切る昼下り 枝みや子 やぶれ傘 202103
臥する身に聖水のごと冬陽かな 荒井千佐代 202104
縁側を羨む人と冬陽浴ぶ 田中藤穂 あを 202201
冬の陽のぬくもり両手にて受ける 田中藤穂 あを 202201
白猫と膝の冬陽を楽しめり 松本胡桃 風土 202204
綿棒の痛み末冬の陽性 高畑太朗 202206

 

2022年12月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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