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螢籠昏ければ揺り炎えたたす    橋本多佳子

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
いつの間の老いや螢の明滅す 柳生千枝子 火星 200510
をととひの護摩火のにほふ螢かな 丸山照子 火星 200510
ていねいに化粧落すや螢の夜 城孝子 火星 200510
螢や夫に布団の余りをり 城孝子 火星 200510
螢籠けふの一番星を入れ 清水ゆみ子 200510
水吹いて消ぬべくをりし朝螢 戸田和子 200510
川べりに半とき屈み螢出ず 中尾廣美 ぐろっけ 200510
螢沢昼間の不仲どこへやら 金國久子 遠嶺 200510
傘のうち螢一ぴきかくまへり 稲嶺法子 遠嶺 200510
命日や蛍となりて吾子来る 坂本幸子 酸漿 200510
蛍火の絶えて藁家の傾ぎをり 小山國雄 百鳥 200510
蛍飛ぶ闇に起伏のあるごとく 柿澤喜三郎 百鳥 200510
迷ひ来て蛍大きく灯しけり 吉村一郎 百鳥 200510
潦に映る螢の光かな 池田鶴月 栴檀 200510
螢火やこの世し残す何も無し 奥村鷹尾 京鹿子 200510
迷ひつつ瀬見の川辺を翔つ蛍 荻野千枝 京鹿子 200510
追ふでなく平家蛍の祖谷にゐて 密門令子 雨月 200510
蛍火に幼き日々の点滅す 川上恵子 雨月 200510
蛍や石けん匂ふたなごころ 柴田久子 風土 200510
拝み手の十指ふくらむ蛍の火 柴田久子 風土 200510
七本槍合戦の跡蛍飛ぶ 山田圓子 築港 200510
蛍飛び終演の刻迫りきて 木下栄子 築港 200510
隠れ里平家蛍の乱れ飛ぶ 木下栄子 築港 200510
螢を鏤め寝落つ聚落むら十戸 長谷川春 200510
蛍火のわたくしごころ明滅す 服部早苗 200510
蛍火に屈めば人のをりにけり 佐藤佐代子 200510
蛍火や外湯への道おぼつかな 佐藤佐代子 200510
誰彼の浴後の匂ふ夕蛍 佐藤佐代子 200510
細々と光の帯の姫蛍 森山のりこ あを 200510
石臼に螢ねむるや風の中 渡邉友七 あを 200510
手の蛍放てば星に紛れけり 北川キヨ子 200511
蛍とぶ象も麟麟も寝ねし園 竹屋睦子 ホトトギス 200511
いつか手をつなぎてをりぬ螢沢 伊藤トキノ 200511
葉ごもりに川の螢の吹かれあり 市場基巳 200511
茅葺きに草の影置く螢の灯 安原ときこ 遠嶺 200511
蛍籠のぞく眼の濡れてをり 林昭太郎 200511
螢の夜閉ぢては開く星座表 工藤進 200511
螢火のうしろ大きな山の闇 浅田浦蛙 対岸 200511
合掌を解くごと蛍放ちけり 柿澤喜三郎 百鳥 200511
手に受けて螢火となる織女星 江崎成則 栴檀 200511
蛍火や一村やがてダムとなる 福間須美江 200511
深谿に残されをりし蛍宿 福間須美江 200511
沢水の響くみささぎ夕螢 尾辻のり子 河鹿 200512
観音の千手の慈悲に玉蛍 松村多美 四葩 200512
葬りの夜供華に添へある螢籠 安達実生子 馬醉木 200512
読み止しの本の耳折る蛍かな 吉田かずや 春燈 200512
源平の競い合いしか蛍の夜 中島英子 八千草 200512
蛍出る場所は此処ぞと町田谷戸 中島英子 八千草 200512
まなこあるものに夜が来る螢の火 藤井寿江子 馬醉木 200601
源流にひとさし舞へる玉螢 松村多美 四葩 200601
胎動の著けき夜なり群れ螢 細川洋子 200601
もういくつ螢を足せば母が来る 井上菜摘子 京鹿子 200601
屯して非行と謂はる螢闇 渡辺貞子 京鹿子 200601
螢へどうぞどうぞと肩を貸す 飛鳥由紀 200601
水鏡して蛍火の二つかな 安達風越 雨月 200601
追ふでなく平家蛍の祖谷にゐて 密門令子 雨月 200601
ふりしきる雨となりにけり螢籠 久保田万太郎 春燈 200603
里の子の呼べる吾が子や螢狩 瀧春一 常念 200606
をさな子の手にみちびかれ螢狩 瀧春一 常念 200606
螢狩星の誓子に見下ろされ 鷹羽狩行 200606
谷に闇のこして返す螢狩 鷹羽狩行 200606
夜更けには火の楼閣の螢籠 鷹羽狩行 200606
螢火や家族の夕餉起伏なく 渡邉友七 あを 200606
螢来よ幼ナの肩に来て止まれ 柳生千枝子 火星 200607
螢明滅髪なびかせる乙女子に 柳生千枝子 火星 200607
肉を餌に蛍の育つ水のロマン 吉永寿美子 四葩 200607
湿るほど闇深くあり初蛍 中島あきら 200608
野火止に多摩の水音蛍の火 佐橋敏子 春燈 200608
自愛とはまつ暗がりの螢かな 大島翠木 200608
かの世にて呼びとめられし螢かな 西村純太 200608
水吹いて螢の恋をそそのかす 伊藤白潮 200608
生き残る螢へ与ふいのち水 伊藤白潮 200608
戻るには遠く来すぎて草蛍 丸山佳子 京鹿子 200608
螢の宿入りし厨の夢想窓 松崎鉄之介 200608
螢の宿ゐたよゐたよと子等めぐる 松崎鉄之介 200608
龍安寺垣に寄り添ひ螢見る 松崎鉄之介 200608
掌より掌へ源氏螢を渡しけり 松崎鉄之介 200608
螢の宿隣家を仕切る大津垣 松崎鉄之介 200608
宿去るに見送りのごと螢舞ふ 松崎鉄之介 200608
湯の町の旅の一夜や蛍狩 松元末則 酸漿 200608
払はれて水に落ちざる蛍かな 山田六甲 六花 200608
草の葉の裏にまはりし蛍かな 山田六甲 六花 200608
友の死を風に聞きたる夕螢 木内美保子 六花 200608
麻沙子との一番の旅蛍狩 大橋敦子 雨月 200608
仰山の蛍に疲れ戻りけり 指尾直子 雨月 200608
愁ひとは春の螢の舞ふごとし 小澤克己 塩竃 200608
父母のふる里訪はな螢籠 環順子 夢帽子 200608
流螢に人影もなし瑠璃光寺 長谷川史郊 馬醉木 200609
誰もみな胸に母あり夕螢 白井友梨 馬醉木 200609
きつと恋しのび初めの螢かな 山岡季郷 馬醉木 200609
遠き日の尽きぬ語らひ蛍の夜 永井雪狼 200609
螢狩急かされつつも化粧して 鎮田紅絲 200609
あともどり出来ぬところへ恋螢 北川瀬通子 200609
ミサイルも死者も遠のく蛍の夜 松村多美 四葩 200609
飛ぶ蛍友等思ひのまま生きよ 松村多美 四葩 200609
太古より水音ありけり螢籠 雨村敏子 200609
ひとむらの草炎えたたす恋蛍 加藤富美子 200609
月光の触れてゐるなり草螢 丸山照子 火星 200609
蛍 10→      

 

2021年6月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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