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螢狩したる夜よりの螢篭    本橋愛子

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
落人の村に螢火しぶきけり 戸栗末廣 火星 200609
螢火のふくらみきつて消えにけり 長屋璃子 火星 200609
螢の夜へつづく道ありにけり 垣岡暎子 火星 200609
桐生窯にのとき在りて蛍かな 小林和子 風土 200609
振りむける少女の髪に蛍かな 森田節子 風土 200609
螢とぶ白鳳仏のまはりかな 野口香葉 遠嶺 200609
蛍飛ぶ近寄り難き距離に飛ぶ 瀬下るか 200609
足音は螢見しこと告げに来る 酒本八重 200609
気まずさもいつしか解けし蛍狩 福島松子 ぐろっけ 200609
ハンカチを叔父はとっさの蛍籠 村田とくみ ぐろっけ 200609
蛍見やわが人生の走馬灯 木村迪子 酸漿 200609
蛍追ふ人の気配も闇の中 中村昭子 酸漿 200609
庭先に突然光る蛍かな 坂本幸子 酸漿 200609
地に落ちし蛍なかなか抓まれず 石垣幸子 雨月 200609
夫の碁の音を眠りに蛍の夜 足立典子 雨月 200609
黒きもの着て蛍を見に行かむ 中田みなみ 200609
とまらせて乳房を点す螢かな 吉村摂護 200609
膝抱いてながめてゐたる螢の火 水谷ひさ江 六花 200609
螢狩手書きの地図を疑ひつ 水谷ひさ江 六花 200609
闇に目のなれる間のなし螢の火 水谷ひさ江 六花 200609
あの闇に誰かゐるやも螢狩 水谷ひさ江 六花 200609
女来て閨に蛍を放ちけり 山下佳子 200610
蛍より蛍の闇を好みけり 次井義泰 200610
蛍より多きギャラリー渓の径 金山藤之助 200610
螢火につなぐ夢あり喜雨亭忌 間宮陽夫 馬醉木 200610
螢火のアリア奏でてゐるごとく 西宮舞 200610
こはごはと下る崖道螢狩 積木道代 200610
育て上げ今宵見送る蛍守 島田山流 春燈 200610
螢ふと止まる少女の胸リボン 柳生千枝子 火星 200610
てのひらに螢のひかり息づける 柳生千枝子 火星 200610
蛍火を点けし水車のひとまはり 佐藤山人 200610
躁と鬱かたみに蛍明滅す 佐藤山人 200610
声にするほかに人ゐて螢の夜 吉岡一三 200610
両の掌を筒に蛍を渡さるる 吉岡一三 200610
蛍の今夜をふいと出ていきぬ 吉岡一三 200610
水匂ふ螢のひそむ草の岸 松原智津子 万象 200610
手の先にふるる近さや初螢 佐藤和子 万象 200610
みなどこか濡れてもどりぬ螢狩 樋口英子 200610
蛍火の消えて瀬音の鮮しき 松澤秀昭 200610
瞬きを惜しみて追ひぬ初螢 芳賀雅子 遠嶺 200610
歓声のやがて唄ごゑ螢舟 岩淵 彰 遠嶺 200610
吹かれくる螢火一つ手にあます 大曲溶 遠嶺 200610
螢舞ふ氷室のありし氷取沢 鵜沢千恵子 200610
蛍火のともり初む頃湖に出づ 下平しづ子 雨月 200610
喪服もて身をととのふる蛍の夜 水谷芳子 雨月 200610
蛍の夜思へば近し死との距離 石垣幸子 雨月 200610
小夜曲の音符のやうに蛍飛ぶ 萩谷幸子 雨月 200610
千手仏千の螢を放ちたる 柴田佐知子 200610
眠るとき根の国想ふ螢籠 荒井千佐代 200610
手を触れてペン胼胝同志蛍の夜 北川孝子 京鹿子 200610
母がりの重き長靴螢狩 竹内久子 京鹿子 200610
螢火や水の闇より笙の笛 平田紀美子 風土 200610
天翔る自由の曲線蛍の火 永田勇 六花 200610
夫の香の枕をすけし蛍の夜 岡部三和江 ぐろっけ 200610
六甲の闇を分けゆく蛍狩 山田弘子 ホトトギス 200611
癒さるるなぞと螢を手に女 玉川悠 遠嶺 200611
先の世の人に逢ひたし螢籠 今井松子 遠嶺 200611
数十の蛍忽ち数百に 岡本直子 雨月 200611
篝火の届かぬ闇や初蛍 飯田角子 酸漿 200611
肩に触れ手にこぼれたる蛍の火 飯田角子 酸漿 200611
いつからかふるさと遠く蛍とぶ 長沼紫紅 200611
この橋に遊びしことも蛍とぶ 長沼紫紅 200611
いまもなほ二寺ある村や蛍とぶ 長沼紫紅 200611
蛍籠みどり児の夢照らしけり 立石萌木 雨月 200612
数十の蛍忽ち数百に 岡本直子 雨月 200612
柵越えてきたのはそちら恋螢 田中涼子 八千草 200612
ほうほうと吾を取りに来よ螢の火 片山タケ子 200701
いつの世のだれかは知らず螢文字 佐藤喜孝 あを 200701
初螢北斗の柄杓よりこぼれ 井上玉枝 万象合同句集 200703
蛍ほう野村君はどうしたろう 中原幸子 以上、西陣から 200705
火がわれの前にうしろに螢沢 鷹羽狩行 200706
一と一出会ひて一に螢の火 鷹羽狩行 200706
火のそよぎ風に遅れて螢沢 鷹羽狩行 200706
ひかり抑へて天上へ恋螢 鷹羽狩行 200706
衣すべる音のひそけく蛍の夜 ことり 六花 200706
蛍の夜含み笑ひと溜息と ことり 六花 200706
黒髪のとこに流るる蛍の夜 ことり 六花 200706
放たれて鏡にとまる蛍かな ことり 六花 200706
蛍火の川に浮かびて流れけり 横山迫子 六花 200706
蛍火と言葉やり取りお星さま 横山迫子 六花 200706
掌に囲ふ蛍静かに灯りけり 横山迫子 六花 200706
小田の風今宵は荒き螢かな 瀧春一 200706
蛍火を隠して森のそよぎけり 鴨下 昭 200707
地に降りて蛍火となる字宙塵 松本圭司 200707
螢見に宵の明星道標 宮津昭彦 200707
土地人と言葉交しつ螢見る 宮津昭彦 200707
昴りのとき過ぐ螢火も人も 宮津昭彦 200707
水に消え草に生れたる初螢 宮津昭彦 200707
竹藪へ灯へ向かひゆく螢かな 山田六甲 六花 200707
夜深く川音高く螢かな 山田六甲 六花 200707
草むらの向うの川を夕螢 山田六甲 六花 200707
さそはれしこと腑に落ちて螢見に 大島翠木 200708
命日は細やかに飛ぶ蛍かな 天野きく江 200708
螢籠女人高野の闇深し 奥村邦子 200708
ひとすじをすういと引きて初蛍 布川直幸 200708
蛍とぶ舞妓の声の高さまで 米山喜久子 200708
意にかなふ蛍の里の小川かな 四條進 200708
発光を綾織る闇の恋蛍 黒澤登美枝 200708
蛍火の草の気息に灯りけり 戸小城綾子 200708
山螢袋へ老いの目を寄する 伊藤白潮 200708
爺に甘えし日々甦る蛍かな 堀内五齢 春燈 200708
見るうちに螢の数の増えにけり 松崎鉄之介 200708
会ひし子の螢ゐたよと告げにけり 松崎鉄之介 200708
螢火の消えし水面の青紫 小林道子 200708
蛍火のいましも獅子座流星群 松本圭司 200708
そばに来て突と旋回蛍飛ぶ 谷榮子 雨月 200708
笯を漬くる葦よりあがり初蛍 乗光雅子 雨月 200708
みたらしの杓に螢が火を点ず 齋部千里 ぐろっけ 200708
点るたび螢は光増しにけり 山田六甲 六花 200708
螢籠ゆさぶり子等は眠らずよ 山田六甲 六花 200708
踏み分くる草の香強き蛍の夜 坪井洋子 200708
乱舞にはいささか早き蛍狩 布川直幸 200709
蛍火をすつぽりつつむ田の湿り 布川直幸 200709
をちこちに明滅そろひ蛍沢 布川直幸 200709
甘生水行方苦しよ蛍川 須藤トモ子 200709
蛍火を追ひゐて闇を忘れけり 泉田秋硯 200709
蛍狩いくさの闇を憶ひつつ 泉田秋硯 200709
サプリメント一錠のみて蛍狩 刈米育子 200709
螢呼ぶ闇美しき高瀬川 和田照子 200709
灯を消して庭の螢と密会す 宮脇ちづる 200709
母がりへ橋の架かれり螢の夜 杉浦典子 火星 200709
父の押す車椅子なり螢狩 大塚のぼる 火星 200709
螢火が昏き体の中に入る 水野恒彦 200709
すつぽんの甲羅干しあり螢飛ぶ 中島陽華 200709
音霊おとだまに吸ひ込まれゆく螢かな 本多俊子 200709
溜息のふはつと出でし螢かな 中野京子 200709
源流のふかみへおちてゆく蛍 豊田都峰 京鹿子 200709
蛍火の奥処知りしよりのこと 豊田都峰 京鹿子 200709
加齢してまめに螢へ水与ふ 伊藤白潮 200709
十夜ほど生きし螢を草へ置く 伊藤白潮 200709
なまぐさきまで螢籠近く寝る 伊藤白潮 200709
老人が螢の異界覗き込む 伊藤白潮 200709
二番目に欲しきものなり螢籠 宮崎高根 200709
名を聞かず仕舞ひの別れ螢橋 藤井佐知子 200709
灯火展見しその帰路の螢狩 川畑はるか 遠嶺 200709
朝より逸る心や蛍狩 山本浪子 風土 200709
蛍のたまゆらといふ長さかな 根岸善行 風土 200709
寝に入れば蛍となりし老いの母 今井弘雄 春燈 200709
刻々と闇満たしゆく蛍かな 水谷芳子 雨月 200709
施物線直線闇に恋蛍 三輪温子 雨月 200709
蛍火の明滅のなか棚田行く 手島伸子 雨月 200709
掌に蛍囲ひて安らけし 手島伸子 雨月 200709
父母は三河に逝けり蛍飛ぶ 手島伸子 雨月 200709
車胤の故事諾ふ蛍あかりかな 味村志津子 雨月 200709
泣き虫のむかしありけり螢狩 小山田子鬼 200709
ほうたるの闇より螢とり出だす 辻美奈子 200709
耶馬杉の闇のあをめき初螢 吉武千束 200709
一葉の遺せし文や恋蛍 市川十二代 ぐろっけ 200709
対岸に人の気配や初蛍 島崎勇作 酸漿 200709
初蛍少女のやうに走り出す 坂本知子 酸漿 200709
天に星地に瞬ける蛍の火 坂本知子 酸漿 200709
ふんはりと頭上越えゆく蛍あり 坂本知子 酸漿 200709
ゆらゆらとはぐれ蛍のさまよへり 坂本知子 酸漿 200709
子の声に一際高く蛍飛ぶ 矢崎暉文 酸漿 200709
点りつつ沈みゆきつつ螢かな 笹村政子 六花 200709
庭螢ミネストローネ冷めるまで 荒井千佐代 200709
踏み揺らぐ木橋一つを蛍の夜 木内憲子 200709
しばらくは仏間に置かむ蛍籠 西郷利子 200709
草川といへども迅し夕蛍 波塚照美 200709
螢籠深夜の余震揺りてけり 定梶じょう あを 200709
亡き母の面遠ざかる螢籠 西村博子 馬醉木 200709
道行のやうに歩きて蛍の夜 高根照子 200710
夜の邃さ測らんと揺る螢籠 ほんだゆき 馬醉木 200710
蛍火の一条胸に入りにけり 神山志堂 春燈 200710
蛍火をいまも楽しむ片田舎 佐藤健伍 200710
螢見し眼を閉ぢて帰路のバス 村上沙央 200710
鉱山も長屋も潰え蛍湧く 小林輝子 風土 200710
蛍の鳴かぬといふは悲しかる 奥山絢子 風土 200710
くねくねと日暮のながき螢川 服部早苗 200710
蛍火や逢うて別れてそれつきり 青山悠 200710
客のため上座明け置く螢の夜 木田秀子 200710
回り道ただただ見たし飛ぶ蛍 三井孝子 六花 200710
摂津峡源氏螢が飛び交はす 奥田妙子 ぐろっけ 200710
からだじゅう螢の宇宙にして睡る 山元志津香 八千草 200710
螢火のいま現し世の天上華 伊藤希眸 京鹿子 200710
蛍火のほのかなぬくみ掌に残り 菅谷弘子 雨月 200710
伊津夫忌や出穂の蛍を見にゆかむ 永峰久比古 馬醉木 200710
蛍火のひとつが強くこたへけり 藤野力 馬醉木 200710
蛍合戦憂き世の隅を照らしけり 久留米脩二 馬醉木 200710
タイミングずれて光りて群れ蛍 嶋田摩耶子 ホトトギス 200711
つぎの世は星になりたき蛍かな 関根洋子 風土 200711
蛍点り新しき闇生まれけり 野沢しの武 風土 200711
溜息のやうに明滅迷ひ蛍 丹生をだまき 京鹿子 200711
吊橋に闇を率ゐて来る蛍 舩越美喜 京鹿子 200711
葉の裏でじっと夜を待つ蛍たち 沖則文 ぐろっけ 200711
北面の檜皮に群るる螢かな 延広禎一 200711
掌を合はす闇より螢の火 中野京子 200711
初螢北の星座と息の合ふ 南一雄 200711
蛍火や闇を深むる平家琵琶 土屋啓 馬醉木 200711
蛍逃げ手に郷愁の残りけり 土屋啓 馬醉木 200711
吾子の手へ移さば光る蛍かな 金月洋子 六花 200711
川宿の生簀に恋の夕蛍 関まさを 酸漿 200711
宴最中灯を消して見る蛍かな 小浦遊月 酸漿 200711
蛍火や幼く遠き日の山河 神保みね子 酸漿 200711
星空へのぼり消えたる蛍あり 竹下陶子 ホトトギス 200712
たましひの今昇りゆく螢かな 東良子 首座星 200804
蛍火の奥処を知りしよりのこと 豊田都峰 草の唄 200805
光るてふ蛍の嘆きありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
初蛍舞ひ敦盛か維盛か 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
蛍の星になりたき飛翔とも 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
一閃の蛍闇の句読点 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
窓あけて落葉松の螢見ればなし 水原秋櫻子 馬醉木 200806
螢籠より暗く過ぎ懐中灯 鷹羽狩行 200806
闇の中森へ集まる螢かな 滝沢伊代次 万象 200806
蛍籠売りし夜店はひと昔 新関一杜 京鹿子 200806
時計見て河原へ下りぬ螢狩 山田六甲 六花 200806
野暮かしら蛍の恋路見届けむ 塩路隆子 200807
どんつきの蛍の夕べ智積院 鷲見多依子 200807
蛍 11→      

 

2021年6月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。