1             100句

人殺す我かも知らず飛ぶ蛍    前田普羅

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蛍の火柱となる刹那あり 山田弘子 春節 199503
螢の息ふくらめば草青し 山田弘子 春節 199503
螢火を見舞ひたき人ありにけり 山田弘子 春節 199503
螢の月に紛るることのあり 山田弘子 春節 199503
火焔木の花の蕾に昼蛍 皆川盤水 春耕 199805
蛍やつかず離れず水の音 稲畑汀子 ホトトギス 199806
掌に蛍の命近づけし 稲畑汀子 ホトトギス 199806
曾爾川の蛍と聞けば覗きたく 稲畑汀子 ホトトギス 199806
夜を待つ蛍の苞でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 199806
とらへたる一夜に蛍放ちけり 稲畑汀子 ホトトギス 199806
手に触れて蛍こぼれし光かな 稲畑汀子 ホトトギス 199806
宙に息づく蛍火があり ほざんな 小川双々子 地表 199806
能ケ谷の闇をかへせり初蛍 神蔵器 風土 199808
螢追ふ石磊磊とつづく道 井頭主水 黄鐘 199808
喪の家の前を素通り螢狩 岩水節子 199809
質きし鼻緒のゆるみ螢狩 岩水節子 199809
白檀の数珠にふれたる螢かな 竹内悦子 199809
ははの忌に次ぐちちの忌や蛍飛ぶ 橋添やよひ 風土 199809
生家とは父ゐるところ蛍籠 土田栄 199809
藪川の闇の濃かりし初蛍 水田清子 199809
この渓に螢放してみたくなり 米須あや子 遠嶺 199810
妹に泣かれ買ひ足す籠螢 飯塚ゑ子 火星 199810

 悼句

甲子男居の沢の蛍も悲しからむ

金子兜太 海程 199810
甲子男亡しといえば蛍の瞬きぬ 金子兜太 海程 199810
いつの間に涙の眼昼蛍 金子兜太 海程 199810
螢狩り知らぬ人影何故か怖し 金升富美子 199810
本題に入りて螢を火点らす 竹村悦子 銀化 199810
蛍籠看とりごころの霧吹いて 岡本眸 199810
シャンプーの香とすれ違ひ螢狩 三浦美穂 199811
蛍狩り歯ぶらし買いに行くように 宮崎斗士 海程 199811
蛍見ているもう魂とは思わず 芹沢愛子 海程 199811
嫁ぐ娘とことば少なに螢の夜 野口光枝 高籬 199812
螢火立つ少年わけもなく怯え 桐木榮子 船団 199812
透明になるまで螢交みゐし 鳥居真里子 船団 199812
プレゼント差し出す手から蛍舞う 古家佳代子 ぐろっけ 199812
吊橋を来る顔白く蛍の夜 萩原記代 199901
蛍待つ目にまだ蒼き雨後の空 萩原記代 199901
川波や墜ちゆく蛍火がふたつ 萩原記代 199901
おおかみに蛍が一つ付いていた 金子兜太 海程 199902
いつの間(ま)に涙のまなこ昼蛍 金子兜太 海程 199902
螢狩うしろの闇へ寄りかかり 正木ゆう子 船団 199903
少年のすでにさみしき蛍狩 深澤鱶 ヒッポ千番地 199905
あとくされなく流されて螢かな 山仲英子 199906
二つゐて火ともしくらべ螢籠 鷹羽狩行 199907
先をゆく声の明るき蛍狩 橋本榮治 馬醉木 199907
蛍火や夕星のまだ色あらず 橋本榮治 馬醉木 199907
蛍火の群はなるるは褪せゆけり 橋本榮治 馬醉木 199907
蛍火や言葉貧しきふたりなる 橋本榮治 馬醉木 199907
妹に買ひし紬や蛍の友 橋本榮治 馬醉木 199907
前向きの妻との月日蛍とぶ 渡辺よし生 風土 199907
いや長き充電螢の死してをり 中原道夫 銀化 199907
片思ひばかりをさせる草蛍 丸山佳子 京鹿子 199907
草むらの蛍火一つ秘佛めく 丸山佳子 京鹿子 199907
火のあつちゆきこつちゆき螢狩 鷹羽狩行 199908
螢火を天なる星へ返しやる 鷹羽狩行 199908
蛍見の夢の中にも川の音 田中佐知子 風土 199908
螢狩闇のふかきに融けて待つ 藤村真理 199908
耳元にこゑのにごれる螢沢 藤村真理 199908
戸を出でて二三十歩の蛍見に 河野扶美 円虹 199908
昨日見し蛇の草むらにも蛍 河野扶美 円虹 199908
蛍火に夜毎包まれ檀那寺 河野扶美 円虹 199908
俗の世に溢れ出できて飛ぶ蛍 河野扶美 円虹 199908
結界を越え露地裏を飛ぶ蛍 河野扶美 円虹 199908
蛍飛ぶまでは河鹿を聞かしむる 蔦三郎 円虹 199908
一日の幕切れ飾り蛍舞ふ 蔦三郎 円虹 199908
溪音に押しあげられて蛍舞ふ 蔦三郎 円虹 199908
恋蛍舞へば川瀬が笛を吹く 蔦三郎 円虹 199908
蛍の火あるとき星の火と並ぶ 蔦三郎 円虹 199908
野火止の雨後の水嵩蛍の火 金子きくえ 春耕 199908
手の蛍とぶ高とびのめでたけれ 大橋敦子 雨月 199908
蛍追うて畦すたすたと女ゆく 大橋敦子 雨月 199908
遠家郷慕ひて見えぬ目に螢 村越化石 199908
身の上は螢の照らす箇所をのみ 中原道夫 銀化 199908
竹ぼうきよくぞ取れたる螢かな 桑原敏枝 いろり 199908
最上源流螢の夜を更けしめず 佐藤国夫 馬醉木 199909
父祖の地の闇濃く螢さまよへり 佐藤国夫 馬醉木 199909
螢火の一筆に闇にほひけり 佐藤国夫 馬醉木 199909
刻ほろびゆく螢火の点るたび 佐藤国夫 馬醉木 199909
見えぬ目の手触れてはかな螢籠 木村風師 馬醉木 199909
草螢森の螢とひかりあふ 島田万紀子 馬醉木 199909
螢狩ほたると人に順路かな 野澤あき 火星 199909
螢にとぶ道筋のありにけり 加藤真起子 火星 199909
蛍寵小児病棟消灯す 中沢三省 風土 199909
蛍火の離れし手先闇戻る 池部久子 酸漿 199909
せせらぎの音の触れゆく草蛍 三村武子 酸漿 199909
母逝きて籠の螢のもう灯らず 福井久生 199909
もぬけとなり術後を眠る蛍の夜 窪田佳津子 雨月 199909
佐保やがて蛍呼ばんと川手入 奥村鷹尾 京鹿子 199909
みほとりに螢見られぬ街住居 大平保子 いろり 199909
もつれつつ闇に消えゆく恋蛍 水田清子 199909
何もかも昔なつかし蛍の夜 水田清子 199909
初蛍佇てばむかしの野ぞ見ゆる 金田きみ子 199909
蛍狩まなじり濡れてもどりけり ほんだゆき 馬醉木 199910
踏み込んで草の根固し初螢 鈴木まゆ 馬醉木 199910
ひとりづつ闇に真向ふ螢狩 鈴木まゆ 馬醉木 199910
田廻りの人にまた逢ふ蛍の夜 岩崎きゑ子 馬醉木 199910
螢火や闇の濃くして米どころ 富士原友 199910
蛍飛ぶ夜空の雨を溜めてをり 粟津松彩子 ホトトギス 199910
螢火のひとつは土を照らしをり 小山森生 199910
掌の蛍もうすぐ熱くなる 米澤光子 火星 199910
蛍2→      

 

2021年6月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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