螢 8             100句

蛍光らない堅くなつてゐる    尾崎放哉

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
祖父江野の星の数ほど蛍とぶ 味村志津子 雨月 200410
音のなき闇の底より蛍湧く 安達風越 雨月 200410
文豪の像にまつはり蛍飛ぶ 能沢和子 築港 200410
無人駅夜は蛍火の銀座なる 延江金児 築港 200410
都合にて中止せらるる螢狩 中谷喜美子 六花 200410
うきうきと預かつてゐる螢籠 櫛原希伊子 百鳥 200410
灯台へ螢の闇を抜け出せり 田中清之 百鳥 200410
音楽のやうに蛍火水の上 松内佳子 百鳥 200410
開くたび蛍飛び立つ一書かな 八田春木 百鳥 200410
死ぬ役の木偶もありけり蛍の夜 櫻井幹郎 百鳥 200410
幼子の髪に止まりし宵螢 藤田京子 ぐろっけ 200410
地に螢空には北斗星光る 藤田京子 ぐろっけ 200410
島螢天主の許へ往く如く 松井洋子 ぐろっけ 200410
あたたかき手に引かれたる蛍狩 滝青佳 ホトトギス 200411
蛍の火は星よりも生きてゐる 滝青佳 ホトトギス 200411
螢火や父母は連峰より遠く 戸田円三 200411
蛍火や幼子の熱峠越す 山崎辰見 ぐろっけ 200411
挙手し行く肩に螢の光りけり 内藤ゑつ ゑつ 200411
夕蛍古墳かかえし山裾に 平野きぬ子 八千草 200412
闇と言へば戦場の闇蛍炎ゆ 有働亨 馬醉木 200501
母の忌の蛍を草に返しけり 藤井明子 馬醉木 200501
くらやみももう蛍には戻れない 沼田巴字 京鹿子 200501
蛍火の流れ星めくかくれ里 築城京 馬醉木 200502
音楽のやうに蛍火水の上 松内佳子 百鳥 200502
夜のなくば人の世いかに螢籠 鷹羽狩行 200503
間をおいて火ともすもあり螢籠 鷹羽狩行 200503
蛍族と呼ばれし吾に月白し 御古ゆたか 200505
櫛買うてもらふ約束蛍の夜 中村房枝 六花 200505
蛍狩旅のはざまを埋めにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200506
計画は一泊となる蛍狩 稲畑汀子 ホトトギス 200506
上流といふ蛍の棲むところ 稲畑汀子 ホトトギス 200506
星を見に来しや蛍を見に来しや 稲畑汀子 ホトトギス 200506
よべ蛍見しはうつつか山の朝 稲畑汀子 ホトトギス 200506
まぼろしにあらずうつゝの蛍の夜 稲畑汀子 ホトトギス 200506
愁ひとは春の螢の舞ふごとし 小澤克己 遠嶺 200506
橋踏んで土の弾みや螢狩 鷹羽狩行 200507
増えし火が風押してくる螢沢 鷹羽狩行 200507
をさなごに闇あたらしき蛍かな 辻美奈子 200507
何と読む一筆描きの蛍火を 千田百里 200507
杉山へ蛍消えけり滲み月 山田六甲 六花 200507
蛍川動かぬ方の火が怖し 山田六甲 六花 200507
天網恢恢てのひらの蛍かな 高橋将夫 星の渦 200507
螢ふたつ思ひの丈の高き飛ぶ 藤原たかを 馬醉木 200508
里人にぶつかつてくる蛍かな 近藤喜子 200508
海老蔵を見て来し夜の螢かな 栗栖恵通子 200508
バイオリンの音止みてより螢の夜 松山直美 火星 200508
夫の手に手を添へ螢覗きけり 松山直美 火星 200508
蛍火の冷たさ坂巻純子思ふ 鈴木節子 200508
田戻りの妻の帽子に初蛍 小山漂葉 酸漿 200508
螢籠もらふ老先案内とし 伊藤白潮 200508
息合はそ籠の螢の明滅へ 伊藤白潮 200508
くちづけに似る螢への力水 伊藤白潮 200508
一螢が妻の遺影を点したる 伊藤白潮 200508
ほう螢比呂之の今を知らせてよ 伊藤白潮 200508
木に吊れり一役終へし螢籠 伊藤白潮 200508
行きつもどりつ螢の闇に父 遠山みち子 200508
灯を消して息の聞こゆる螢の夜 今瀬剛一 対岸 200508
蛍火の闇を動かす自尊心 鈴鹿仁 京鹿子 200508
鳴くものを集めて遅し蛍川 宇都宮滴水 京鹿子 200508
病み蛍けふもおもたきまま昏るる 宇都宮滴水 京鹿子 200508
蛍追ふよしなしごとに興じもし 大橋敦子 雨月 200508
かたみに火源氏平家の蛍籠 大橋敦子 雨月 200508
点滅し蛍存在示しをり 塩川雄三 築港 200508
籠蛍一火点して道暗し 薮口弥生 築港 200508
三つ巴なし飛び交へる恋蛍 薮口弥生 築港 200508
隠れ里平家蛍が飛び交へり 山岡修一 築港 200508
明月記読み疲れたる螢の夜 芝尚子 あを 200508
螢火のまたたきに聴く死者のこゑ 淵脇護 河鹿 200509
ふる里の米予約せり螢の夜 有島夛美 河鹿 200509
渓谷の深き闇より夕螢 橋口礼子 河鹿 200509
吾が息を避け潔癖の初蛍 泉田秋硯 200509
蛍狩いくさの闇を子に語り 泉田秋硯 200509
恋ならぬ浮気蛍もおりましよう 達山丁字 200509
逆縁を送る母の背初蛍 森下康子 200509
青墨のにじみ香に立つ螢の夜 根岸善雄 馬醉木 200509
螢とぶ坪三万の分譲地 桑島啓司 200509
家を出るころは明るき螢狩 佐藤弥生 200509
闇に奥ありて螢を繰り出しぬ 吉門焚火 200509
いまはにもかくあらまほし螢の夜 川崎洋吉 遠嶺 200509
水昏し流れては逢ふ蛍の灯 中嶋昌子 春燈 200509
蛍火の消えゆく闇の深さかな 松本圭司 200509
恋といふ言葉もはるか螢舞ふ 楠原幹子 200509
螢火に呼吸合はせをる無音界 工藤進 200509
日曜市の店の隅なる螢籠 岡和絵 火星 200509
螢飛ぶおいでおいでといふやうに 加古みちよ 火星 200509
水際にまづ置かれたる螢籠 木野本加寿江 火星 200509
深吉野の闇の移りし螢籠 高松由利子 火星 200509
しがらみを誘ひて恋の螢見に 大島翠木 200509
螢や池の真中に翳りある 雨村敏子 200509
橋の下より出てきたる蛍かな 青池亘 百鳥 200509
初蛍ひとつは高く飛びにけり 石川英利 百鳥 200509
初螢消えて草の香立つばかり 望月澄子 対岸 200509
螢見し熱びにぬるき信玄湯 広田和子 200509
高円のつゆに紛るる螢かな 河合佳代子 栴檀 200509
螢火のひとつ点れりわが門に 河合佳代子 栴檀 200509
橋越えてさすらふ如く蛍消ゆ 中村昭子 酸漿 200509
草蛍踏みさう闇を爪立ちて 井手由紀江 築港 200509
母の手の冷たき記憶夕蛍 長井順子 200509
螢火や死は一文ひと字を以て足る 淵脇護 河鹿 200510
百通の恋文のやう螢火は 槌田多鶴恵 200510
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2021年6月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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