17  100句

螢獲て少年の指みどりなり    山口誓子

  ほたる  ほうたる

作品
作者
掲載誌
掲載年月
濃き闇を来て蛍火といふ出会ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
平家蛍の涙は苦し壇ノ浦 平野多聞 202007
両親も兄もみな亡し蛍とぶ 綱徳女 春燈 202008
戻りきて顔とりもどす蛍の夜 村田あを衣 京鹿子 202008
蹤きゆかむ吾もひと夜の恋蛍 村田あを衣 京鹿子 202008
水のやうやがて火のやう恋蛍 村田あを衣 京鹿子 202008
息かけて醒ます手鏡夕蛍 村田あを衣 京鹿子 202008
はらからと離れ育ちて夕蛍 森清信子 露の堂 202008
谷戸奥に流れ一本初蛍 森清信子 露の堂 202008
忘れものあるごと蛍急に飛ぶ 松本峰春 春燈 202008
蛍にも人にも会はず日日過ぎぬ 高橋将夫 202008
寝そびれし身に安らぎの蛍籠 卯木堯子 春燈 202008
可惜夜の故山を偲ぶ蛍の夜 高井修一 春燈 202009
胸に来し蛍火夫の化身かな 大室恵美子 春燈 202009
付き来るは母の化身か夕蛍 辻泰子 春燈 202009
二夜目の螢を放す螢籠 増田裕司 やぶれ傘 202009
夕空へ糸伝ふごと蛍とぶ 伊藤希眸 京鹿子 202009
線描の画布は漆黒蛍の火 高木邦雄 末黒野 202009
螢の切り取つてゆく里の闇 中村重幸 202009
魂の浮遊するかに蛍舞ふ 長岡千波 202009
その中の一匹蛍吾に寄り来 長岡千波 202009
三解脱門を抜けたる恋螢 高橋将夫 202009
蛍火の点滅あれは言葉なり 近藤喜子 202009
点滅はいのちの言葉草蛍 熊川暁子 202009
初蛍試みに青発信す 岩下芳子 202009
生臭きにほひ螢の飛びにけり 中田禎子 202009
一水の音より蛍の道となり 吉田順子 202009
身を焦がす螢は月に住めぬなり 平野多聞 202009
これよりは空海の山蛍追ふ 田中佐知子 風土 202009
胸元を指し来蛍のはたと逸れ 田中佐知子 風土 202009
蛍の乱舞その夜の眠られず 田中佐知子 風土 202009
蛍火の恋擦れちがひ行き違ひ 橋添やよひ 風土 202009
年ごとに減りゆく蛍との時間 土井三乙 風土 202009
一滴のしづく蛍となりて翔つ 岩木茂 風土 202009
沢音にこころほどけば飛ぶ蛍 岡本尚子 風土 202009
蛍や源氏の闇と平家の闇 根岸善行 風土 202009
蛍火の戻つて来るや生命線 江見巌 六花 202009
蛍舞ふ園たらちねの夜となりぬ 亀井福恵 京鹿子 202009
初蛍水面に落す火のあえか 高木邦雄 末黒野 202009
疎水べり憩へば増ゆる蛍かな 今村千年 末黒野 202009
蛍火の舞へば美し草の家 今村千年 末黒野 202009
つなぐ手の愛の深みや恋蛍 及川照子 末黒野 202009
遠くまでもっと遠くまで蛍 おーたえつこ 202009
もう少しここにいようね夕蛍 おーたえつこ 202009
蛍一つトラック島も秩父野も 今泉忠芳 日輪馬車のタクト 202009
蛍を見し日の遠し夫遠し 田中藤穂 あを 202009
螢火や草書でもらふラブレター 西村白杼 京鹿子 202010
螢火の沢にこもれる小宇宙 菊池和子 京鹿子 202010
前世では平家の姫か螢飛ぶ 杉井真由美 京鹿子 202010
有り無しの彼岸へ渡る螢川 山中志津子 京鹿子 202010
昏がりに隠す気まづさ夕螢 仲里奈央 202010
さつきから舳先離れぬ螢かな 天谷翔子 202010
蛍火の消えて永遠てふ時間 和田華凛 ホトトギス 202011
せせらぎの音を消したる蛍かな 太田良一 末黒野 202011
夕づけば妖しく光り蛍川 星野椿 ホトトギス 202011
蜷局巻く貝の育てし恋螢 柳川晋 202011
自然死てふ贅沢もあり秋螢 中村重幸 202011
今生の一会を秋の宵螢 増成栗人 202011
蛍火のひとつはけもの道へ消え 小原芙美子 風土 202011
たましひの蛍となつて会ひに来よ 和田華凛 ホトトギス 202011
友逝けば那須野に秋の蛍かな 太田良一 末黒野 202011
関寺小町のうしろ姿や秋蛍 浅岡麻實 末黒野 202012
蛍籠光の会話零したる 山田佳乃 ホトトギス 202101
ふところの螢ねむらせ眠りにつく 井上菜摘子 京鹿子 202105
太宰忌を妻に言はれし後の蛍 石川桂郎 風土 202105
木の瘤の大きな沼の初螢 亀田虎童子 202107
一途なるもののありけり宵螢 増成栗人 202108
一螢火うるしの闇へ曳光す 石崎和夫 202108
風すこしわが掌に残し螢とぶ 平嶋共代 202108
螢火はスターダストの中に消ゆ 平嶋共代 202108
礎石野の端に螢火湧き出づる 柴田佐知子 202108
うぶすな闇蛍吹雪の青さかな 和田照海 京鹿子 202108
螢火点滅沢のしたりと競ひあふ 伊藤希眸 京鹿子 202108
やはき手の娘の温もりや螢の夜 里村梨邨 202109
水の音とぎれとぎれに蛍狩 天野美登里 やぶれ傘 202109
琅玕にやはらかき闇初蛍 石原孝人 京鹿子 202109
山からの風のしめりや蛍の夜 黒滝志麻子 末黒野 202109
蛍火の乱舞の静寂沢の音 長尾タイ 末黒野 202109
あの家もこの家の空き家蛍飛ぶ 岩木茂 風土 202109
足濡らし追うてもふはり蛍かな 秋川泉 あを 202109
爪に灯を点したやうな蛍かな 大日向幸江 あを 202109
蛍と会へぬ二タ年老いやすく 土井ゆう子 風土 202110
蛍火のいつしか草の息となり 池田光子 風土 202110
ゆき違ふ蛍夫がふり返る 小林輝子 風土 202110
子の両手合はすふくらみ初蛍 石原孝人 京鹿子 202110
竹籠の籤のにほへる蛍かな 藤生不二男 六花 202110
風も水も青きにほひや草蛍 深川淑枝 202112
くづし字を消して点して初蛍 森清堯 薫風 202205
後ろから抱きしめてゐる蛍の夜 山田六甲 六花 202205
沈黙といふ黙認を悔ゆ蛍の夜 赤座典子 あを 202207
蛍の根深をもらふ伊勢の闇 山田六甲 六花 202207
夜昼の逆転もよし舞蛍 山田六甲 六花 202207
宮奥に蛍の舞ふとお告げあり 山田六甲 六花 202207
深追をさせて消えたる蛍かな 大文字孝一 春燈 202208
晩餐のホテルの蛍ほうたるよ 小林文良 春燈 202208
初蛍糸屋に隣る鉄瓶屋 井上宮子 春燈 202208
蛍火の闇脈打てりうねりをり 細川洋子 202208
蛍の夜伝言どこで違へしや 栗原公子 202208
しんがりに闇夜の迫る蛍狩 長山正子 202208
初蛍狩りたる小川里の夜 京極久也 末黒野 202208
蛍 →18

 

2023年7月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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